(Translated by https://www.hiragana.jp/)
7.92x57mmモーゼル弾 - Wikipedia コンテンツにスキップ

7.92x57mmモーゼルだん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
7.92x57mmモーゼルだん
種類しゅるい 小銃しょうじゅうよう実包じっぽう
はら開発かいはつこく ドイツ帝国の旗 ドイツ帝国ていこく
使用しよう
使用しよう期間きかん 1905ねん -
使用しよう戦争せんそう だいいち世界せかい大戦たいせんだい世界せかい大戦たいせんなど
製造せいぞう歴史れきし
設計せっけいしゃ ドイツ小銃しょうじゅう試験しけん委員いいんかいドイツばん
設計せっけい時期じき 1903ねん/1905ねん
派生はせいひん 8×57mm IRS (おこりえんしき)
特徴とくちょう
もとモデル M/88
薬莢やっきょう形状けいじょう リムレス、ボトルネック
弾丸だんがんみち 8.08 mm / .318 (I, IR) , 8.20 / .323" (IS, IRS)
くびみち 9.08 mm (0.357 in)
かたみち 10.95 mm (0.431 in)
底面ていめんみち 11.94 mm (0.470 in)
リムみち 11.95 mm (0.470 in)
リムあつ 1.30 mm (0.051 in)
薬莢やっきょうちょう 57.00 mm (2.244 in)
全長ぜんちょう 82.00 mm (3.228 in)
薬莢やっきょう容量ようりょう 4.09 cm3 (63.1 gr H2O)
ライフリング 240 mm (1 in 9.45 in)
雷管らいかんのタイプ Large rifle
最大さいだいあつ 390 MPa (57,000 psi)
弾丸だんがん性能せいのう
弾頭だんとう重量じゅうりょう/種類しゅるい 初速しょそく エネルギー
11.7 g (181 gr) RWS DK 820 m/s (2,700 ft/s) 3,934 J (2,902 ft⋅lbf)
12.1 g (187 gr) RWS HMK 820 m/s (2,700 ft/s) 4,068 J (3,000 ft⋅lbf)
12.7 g (196 gr) RWS TMR 800 m/s (2,600 ft/s) 4,064 J (2,997 ft⋅lbf)
12.8 g (198 gr) RWS ID Classic 800 m/s (2,600 ft/s) 4,096 J (3,021 ft⋅lbf)
算出さんしゅつ銃砲じゅうほうながさ: 600 mm (23.62 in)
出典しゅってん: RWS / RUAG Ammotech [1]

7.92x57mmモーゼルだん(7.92×57mm Mauser)、あるいは8mmモーゼルだん(8mm Mauser)[2]8x57 ISだん(8 × 57 IS)[3]は、ドイツ帝国ていこく開発かいはつされたリムレス・ボトルネックがた小銃しょうじゅうよう実包じっぽうである。1905ねん採用さいよう以降いこうだいいち世界せかい大戦たいせんおよびだい世界せかい大戦たいせん双方そうほうドイツぐん標準ひょうじゅん小銃しょうじゅうだんとして使用しようされた。開発かいはつ当時とうじ、7.92x57mmモーゼルだんもっと人気にんきのある軍用ぐんよう実包じっぽうの1つとして世界せかい各国かっこく軍隊ぐんたい採用さいようした。21世紀せいきになっても、狩猟しゅりょう・スポーツよう実包じっぽうとしてヨーロッパやアメリカでの生産せいさんつづいている。

開発かいはつ

[編集へんしゅう]
M/88だん(7.92x57mmIだん)(ひだり)と、
7.92x57mmモーゼルSだん(7.92x57mmISだん)(みぎ)。
Iは歩兵ほへい(Infanterie)、Sはとんがあたまだん(Spitzgeschoß)を意味いみする。

7.92x57mmモーゼルだんは、Gew88小銃しょうじゅうともに1888ねん採用さいようされた88ねんしき実包じっぽう(Patrone88、またはたんM/88。7.92x57mmIだん。Iは歩兵ほへい意味いみ)という小銃しょうじゅうだん原型げんけいとして開発かいはつされた。M/88の開発元かいはつもとドイツ小銃しょうじゅう試験しけん委員いいんかいドイツばん(Gewehr-Prüfungskommission, GPK)で[4]弾頭だんとうえんあたま直径ちょっけい8.08mm(0.318in)、重量じゅうりょう14.6g(225gr)と比較的ひかくてきおもいものがもちいられた。

その、ドイツ帝国ていこく政府せいふ主導しゅどうのもと、GPKではM/88およびこれを使用しようする銃器じゅうき性能せいのう向上こうじょうみ、1905ねんには口径こうけい変更へんこうした7.92x57mmモーゼルだん開発かいはつされたのである。このさいどう口径こうけいにはS口径こうけい(S-bore)という名称めいしょうあたえられた。1905ねん開発かいはつされた7.92x57mmモーゼルSだん(7.92×57mm Mauser S Patrone。7.92x57mmISだん。Sはとんがあたまだん意味いみ)は、おもさ9.9g(153gr)、直径ちょっけい8.2mm(0.323in)と比較的ひかくてき軽量けいりょうとんがあたまだん使用しようし、また従来じゅうらいより強力きょうりょく混合こんごうしき無煙むえん火薬かやく使用しようした。とんがあたまだんもちいるこの新形しんがた弾頭だんとうは、M/88にくらべて有効ゆうこう射程しゃていおよびていしんせい向上こうじょうしていた[5]

当初とうしょおこりえんがた薬莢やっきょうのみが使用しようされていたが、のちにこれをネックダウンまたはネックアップさせたもの、あるいはおこりえんがたなど各種かくしゅ派生はせいがた薬莢やっきょう開発かいはつされた。

軍用ぐんよう小銃しょうじゅうだんとして

[編集へんしゅう]

1905ねん開発かいはつ以来いらい性能せいのう汎用はんようせいたかさから7.92x57mmモーゼルだんはドイツ(ドイツ帝国ていこくヴァイマル共和きょうわこくナチス・ドイツドイツ連邦れんぽう共和きょうわこくドイツ民主みんしゅ共和きょうわこく以外いがいにも様々さまざまくにぐん警察けいさつとうにより採用さいようされ、またながらく使用しようされてきた。

だい世界せかい大戦たいせんちゅうには9x19mmパラベラムだんなどと同様どうよう枢軸すうじくこく連合れんごうこく双方そうほう使用しようされた弾薬だんやくの1つとなった。ナチス・ドイツおよびポーランドでは標準ひょうじゅん小銃しょうじゅうだんとして採用さいようされており、イギリスぐんでもベサ車載しゃさい機関きかんじゅう弾薬だんやくとして採用さいようされていた。

2012ねん段階だんかいでもきゅうユーゴスラビアで開発かいはつされたザスタバM76狙撃そげきじゅうやザスタバM53機関きかんじゅう戦後せんご生産せいさんがたMG42)などにもちいるべく、軍用ぐんよう小銃しょうじゅうだんとしての使用しようつづいている[6]

民生みんせいよう小銃しょうじゅうだんとして

[編集へんしゅう]
7.92x57mmモーゼルだんうえ)と、ブリネッキ英語えいごばんしゃせいおこりえんがた8x57mm IRSだんした

7.92x57mmモーゼルだんは、欧州おうしゅうにおいて猟銃りょうじゅうやスポーツじゅうなどといった民生みんせいよう小銃しょうじゅう実包じっぽうとしても一般いっぱんてきられ、おおくの企業きぎょうにより製造せいぞうつづけられている。ザスタバ・アームズブレイザー英語えいごばんチェスカー・ズブロヨフカ・ウヘルスキブロッドハイム英語えいごばんモーゼル狩猟しゅりょう武器ぶき英語えいごばんステアー・マンリッヒャーなどは現在げんざいでも7.92x57mmモーゼルだん使用しようする猟銃りょうじゅう製造せいぞうしており、くわえて銃弾じゅうだんそのものはRUAG英語えいごばんププルヴィ・パルティザン英語えいごばんサコー英語えいごばんセリアー&ベロー英語えいごばんなどの企業きぎょう生産せいさんしている[4] 2004ねんレミントン・アームズではM700ライフルの7.92x57mmモーゼルだん仕様しよう限定げんてい生産せいさんした[7]狩猟しゅりょうよう銃弾じゅうだんとしての7.92x57mmモーゼルだんはアメリカせい.30-06スプリングフィールドだん同等どうとう性能せいのうなされており、ドイツをはじめとする欧州おうしゅう各国かっこくでは、鹿しか、シャモア、ムフロン、イノシシ、クマなどの大物おおもの狩猟しゅりょうよう銃弾じゅうだんなされている。ただし、フランスのように軍用ぐんよう小銃しょうじゅうだん民間みんかん使用しよう制限せいげんしているくにでは、すで旧式きゅうしきしているとはいえ7.92x57mmモーゼルだん軍用ぐんよう小銃しょうじゅうだんなして一般いっぱん所持しょじおよ使用しよう禁止きんししている場合ばあいもある。

おこりえんがたのバリエーションとして、8x57mm IRSだんられている。これは中折なかおしきライフルなどでの使用しよう前提ぜんてい開発かいはつされた[8]現在げんざいでは欧州おうしゅうにおける中折なかおしきライフルの一般いっぱんてき銃弾じゅうだんとしてそのられる[1][8]

名称めいしょう

[編集へんしゅう]

この銃弾じゅうだん長期ちょうきわたり、世界せかい各国かっこく様々さまざま用途ようと使用しようされてきたため非常ひじょうおおくの制式せいしき名称めいしょう商品しょうひんめいおよび通称つうしょう存在そんざいする。以下いか代表だいひょうてきなものをしめす。

  • 7.9, 7.9mm[9]
  • 7.9 Mauser, 7.9mm Mauser
  • 7.92, 7.92mm
  • 7.92 Mauser, 7.92mm Mauser
  • Cartridge SA, 7.92
  • 7.92×57, 7.92×57mm
  • 7.92×57 Mauser, 7.92×57mm Mauser
  • 8mm Mauser
  • 8×57, 8×57mm
  • 8×57 Mauser, 8×57mm Mauser
  • 8 × 57 IS, 8 × 57 JS

口径こうけいには、「7.92」以外いがいにも「7.9」の数字すうじ使つかわれる。またドイツでは伝統でんとうてき口径こうけいおよそ8mmの銃弾じゅうだんそうじて8mmだん通称つうしょうしていたことから、「8」という数字すうじしめされる場合ばあいおお[3]

しばしば「モーゼルだん」と呼称こしょうされるものの、モーゼル(マウザー)しゃ銃弾じゅうだんそのものの開発かいはつ一切いっさい関与かんよしていない。しかし同社どうしゃ開発かいはつした2種類しゅるい小銃しょうじゅうGew98およびKar98kがこの銃弾じゅうだん使用しようする代表だいひょうてき銃器じゅうきだったこと、そしてこれらの小銃しょうじゅうりょう世界せかい大戦たいせんなかでドイツぐん制式せいしき小銃しょうじゅうとして使用しようされたことから、「モーゼルだん」という名称めいしょうひろられるようになったという[10]

「J」あるいは「I」という文字もじされる場合ばあいもある。これは本来ほんらい、「歩兵ほへい」(どく:Infanterie)を意味いみする「I」で、薬莢やっきょうそこ刻印こくいんされていた。「J」はくずした書体しょたいの「I」を英語えいご話者わしゃちがえたところからひろまったのだとされている。現在げんざいでも英語えいごけん中心ちゅうしんに「J」や「JS」をこの銃弾じゅうだん名称めいしょうすることおおく、これらには実際じっさいに「J」と刻印こくいんされていることおおい。一方いっぽう、ドイツけい企業きぎょうでは「I」や「IS」をもちいているため、このてんでも混乱こんらんしょうじている。また「S」はとんがあたまだんどく:Spitzgeschoß、えい:Spitzer)を意味いみする。

CIP規格きかく欧州おうしゅうにおける民生みんせいよう規格きかく

[編集へんしゅう]
ドイツせいのCIP規格きかく8x57IS薬莢やっきょう弾丸だんがん雷管らいかんそうやくめていない薬莢やっきょうのみが販売はんばいされているもの。

欧州おうしゅうにおける民生みんせいよう銃器じゅうき銃弾じゅうだん標準ひょうじゅん団体だんたい銃器じゅうき試験しけん常設じょうせつ国際こくさい委員いいんかい英語えいごばん(Commission Internationale Permanente pour l'Epreuve des Armes à Feu Portatives, CIP)の規格きかくでは、2012ねん段階だんかいで7.92x57mmモーゼルだん名称めいしょう8x57 ISだん(8 × 57 IS)と指定していしている。これはイギリスなどCIP加盟かめいこくにおける法的ほうてき名称めいしょうとしても使用しようされている[3]

SAAMI規格きかく(アメリカにおける民生みんせいよう規格きかく

[編集へんしゅう]
挿弾たばねられた5はつの7.92x57mmISだん

アメリカにおけるスポーツよう銃弾じゅうだん標準ひょうじゅん団体だんたいスポーツ火器かきおよび銃弾じゅうだん製造せいぞう業者ぎょうしゃ協会きょうかい英語えいごばん(Sporting Arms and Ammunition Manufacturers' Institute, SAAMI)の規格きかくでは、2012ねん段階だんかいで7.92x57mmモーゼルだん名称めいしょう8mmモーゼルだん(8mm Mauser)と指定していしており、また8x57mmだん(8×57mm)ともばれている[2]

ただし、CIPとことなりSAAMIは命名めいめい規則きそく発行はっこう権限けんげんゆうしていない。そのため、これらの名称めいしょうがアメリカ国内こくないにおける法的ほうてき名称めいしょうとして使用しようされているわけではない。

軍用ぐんよう小銃しょうじゅうだんとしての名称めいしょう

[編集へんしゅう]

ドイツぐんでは、しばしば7.9mmだん(7,9mm)という呼称こしょう使用しようされた。弾薬だんやくばこのラベルにもこの名称めいしょう使用しようされている。

スウェーデンぐんでは、M/39 8mm銃弾じゅうだん(8mm patron m/39)という制式せいしき名称めいしょうあたえられていた[11]

ポーランドぐんでは、ドイツぐん同様どうようの7.9mmだんという呼称こしょうほか7.92mmだん(7.92mm)ともばれたという[よう出典しゅってん]

イギリスぐんでは、7.92 SAだん(Cartridge SA, 7.92)という制式せいしき名称めいしょうあたえられていた。これはだい世界せかい大戦たいせんちゅう、ベサ車載しゃさい機関きかんじゅうよう銃弾じゅうだんとして採用さいようされていた[12]

アメリカぐんでは、諜報ちょうほう作成さくせいした報告ほうこくしょなかでしばしば7.927.92mm7.92-mmといった名称めいしょう使用しようされていた[13][14]

設計せっけい

[編集へんしゅう]

7.92x57mmモーゼルだん薬莢やっきょう容量ようりょうは4.09cm³(63グレイン)H2Oであり、薬莢やっきょう形状けいじょうとくにボルトアクションしき小銃しょうじゅうおよび機関きかんじゅう装填そうてんするさいきゅうだん信頼しんらいせい重視じゅうしした設計せっけいであった。

CIP規格きかくもとづく7.92x57mmモーゼルだん寸法すんぽう単位たんいはミリメートル。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b RWS Rifle Cartridge Brochure showing 8×57mm IR, 8×57mm IS and 8×57mm IRS cartridge offerings at page 9
  2. ^ a b SAAMI 8mm MAUSER (7.92×57) cartridge and chamber drawings
  3. ^ a b c CIP decisions, texts and tables 2007 CD-ROM
  4. ^ a b 8×57mm IS cartridge portrait - Totgesagte leben länger, Wild und Hund 11/2006 (ドイツ
  5. ^ The 8 mm (7,92×57) Mauser Cartridge
  6. ^ Machine Gun 42
  7. ^ Remington's 8×57 Classic
  8. ^ a b Table II pages 31-32.
  9. ^ German 7,9mm Military Ammunition 1888-1945 by Daniel W. Kent
  10. ^ [1]
  11. ^ http://gotavapen.se/gota/artiklar/rifles_se/gev39_40.htm Swedish
  12. ^ Royal Armoured Corps Tank Museum (1983). Churchill Tank: Vehicle History and Specification. H.M. Stationery Office. pp. 100–102. ISBN 978-0-11-290404-5 
  13. ^ Military Intelligence Service, Special Series No. 14, May 25, 1943 Section V: AMMUNITION 27. RIFLE AND MACHINE-GUN AMMUNITION (7.92-MM)
  14. ^ Catalog of Enemy Ordnance Originally Published by U.S. Office of Chief of Ordnance, 1945

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]