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Control-Alt-Delete

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
おおくのPC/AT互換ごかんQWERTY配列はいれつキーボードにおける Control- Alt-Delete位置いち

Control-Alt-Delete または Ctrl-Alt-Del(コントロール・オルト・デリート)とは、コンピュータキーボードコマンドひとつで、コンピュータさい起動きどうするときや、最近さいきんのほとんどのバージョンのMicrosoft WindowsでWindowsのセキュリティやタスクマネージャすときに使用しようされる。コントロールキー(Ctrlキー)とAltキーしながら、削除さくじょキー(Delキー)をすことで実行じっこうされる。

日本にっぽんではPC-9800シリーズ普及ふきゅうもあり、Alt を GRPH (グラフキー)にえた、CTRL-GRPH-DEL という表現ひょうげんもされた。

起源きげん

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このキーストローク・コンビネーションは、オリジナルのIBM PC設計せっけいしたデビッド・ブラッドリーによって実装じっそうされた。ブラッドリーは、コントロールキーとAltキーとEscキーわせでソフトリブート実行じっこうされるように設計せっけいしていた。 しかし、かれはキーボードの左側ひだりがわなどをぶつけただけで簡単かんたんにこれらキーが同時どうじされて、意図いとせずコンピュータがさい起動きどうしてしまうことにいた。そこでかれは、片手かたてでは同時どうじせないよう、キーストローク・コンビネーションをコントロールキーとAltキーと削除さくじょキーに変更へんこうしたのである(現在げんざいでは102キーボードマルトロンキーボードのような、片手かたてでこれらキーをすことができるものもある)。よりすすんだオペレーティングシステムでは、この状態じょうたい予約よやくされた組合くみあわせとして様々さまざま目的もくてき使用しようしているが、現在げんざいでも特定とくてい環境かんきょう条件下じょうけんかではソフトリブートがおこなわれる。

ブラッドリーは、「わたしが Control-Alt-Delete を発明はつめいしたかもしれない。しかし、ビル・ゲイツがそれを有名ゆうめいにした。」とかたっている[1]。ゲイツ自身じしんは、「あれは失敗しっぱいだった」、「IBMのキーボード設計せっけいしゃがMicrosoftのためにそういう(セキュア・アテンション・キーようの)ボタンをけたがらなかった」と2013ねんかたっている[2][3]

DOSやそのリアルモードで動作どうさするシステム

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パソコンうえ動作どうさするDOSやそのリアルモード動作どうさするシステムは、キーストローク・コンビネーションは、BIOSうちのキーボード・ハンドリング・コードによって認識にんしきされ、Intel 8086NMI(Non-Maskable Interrupt)シグナル(ごく一部いちぶ例外れいがいのぞいてソフトリブートされる)としてあつかわれる。

DOSベースのWindows

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Windows 3.0以前いぜん(スタンダードモードで起動きどうされたWindows 3.1もふくむ)では、Control- Alt-Delete をするとMS-DOSと同様どうようさい起動きどうおこなわれる。386拡張かくちょうモードで起動きどうしているWindows 3.1、Windows 95Windows 98Windows Meでは、このキーボードストローク・コンビネーションは、Windowsキーボードデバイスドライバによって認識にんしきされる。このとき、system.ini[386Enh]こうLocalReboot によって、Windowsはいをえる。

  • LocalReboot=Off - ソフトウェア処理しょりによるさい起動きどう(ソフトリブート)が実行じっこうされる。
  • LocalReboot=On:
    • Windows 3.1は、ブルースクリーン表示ひょうじして、エンターキーして現在げんざい実行じっこうしているタスクを終了しゅうりょうさせるか、もう一度いちど Control- Alt-Deleteしてソフトリブートを実行じっこうするかを、ユーザーに選択せんたくさせる。
    • Windows 95、Windows 98、Windows Meでは、現在げんざい実行じっこうちゅうプロセス一覧いちらん表示ひょうじさせ、これらプロセスを終了しゅうりょうさせ、応答おうとうがない場合ばあい強制きょうせい終了しゅうりょうさせることをユーザーにしめす。もう一度いちど Control- Alt-Deleteすと、ソフトリブートが実行じっこうされる。

タスクやプロセスの強制きょうせい終了しゅうりょうは、たとえばプログラムが無限むげんループ突入とつにゅうしたときにやくつ。理論りろんてきには、このキーストローク・コンビネーションを使用しようしても、ほかのプロセスは影響えいきょうなく実行じっこうされなくてはならないが、Windows 3.1ではリソースやメモリのリークが発生はっせいする。そのようなバージョンのWindowsでは、プロセスの強制きょうせい終了しゅうりょうただちにのアプリケーションのデータを保存ほぞんし、さい起動きどうおこなうことがつよ推奨すいしょうされている。そのようなダメージは、リソーストラッキングによって、あたらしいDOSベースWindowsではほとんど発生はっせいしない。

DOSベースWindowsで Control- Alt-Deleteかいすと、たとえWindowsがプロセスリストを表示ひょうじしていなくてもソフトリブートがおこなわれる。これは、Control- Alt-Delete組合くみあわせにたいする応答おうとう定義ていぎできるユーザーレベルのプログラムがないため、すべてのスタックしたプロセスをえることをユーザーに許可きょかするためである。

Windows NTやその後継こうけいWindows 2000Windows XPWindows Server 2003Windows VistaWindows 7Windows Server 2008Windows 8Windows Server 2012Windows 10では、このキーストローク・コンビネーションは、Winlogonプロセスによって認識にんしきされ、以下いかのうちいずれかのいをする。

  • だれもログインしていない場合ばあい、ログイン画面がめん表示ひょうじする。コンピュータのロックを解除かいじょする場合ばあいにも使つかう。
  • NTドメインまたはActive Directoryのドメインに参加さんかないしは構成こうせいしていたり、Windows 2000が起動きどうしている場合ばあい、「Windowsのセキュリティ」のダイアログが表示ひょうじされ、ユーザーはコンピュータをロックしたり、パスワードを変更へんこうしたり、ログアウトしたり、コンピュータをシャットダウンしたり、タスクマネージャを起動きどうすることができる。Windows VistaやWindows Server 2008では、それらのドメインを起動きどうしているいないにかかわらず、デフォルトのいである。提示ていじされるオプションは、グループポリシー使用しようすることによって制限せいげんできる。
  • Windows XPで、ドメインに接続せつぞくしていない場合ばあい
    • ようこその画面がめん高速こうそくユーザーえが有効ゆうこう場合ばあい、タスクマネージャを起動きどうする。
    • ようこその画面がめん高速こうそくユーザーえが無効むこう場合ばあい、Windowsのセキュリティのダイアログが起動きどうする。
  • Windows Vista以降いこう場合ばあい
    • セキュリティオプションを起動きどうする。

Windows NTのような構成こうせいでは、なんらかの方法ほうほうでセキュリティをよわめないかぎり、Winlogonプロセスしかこのキーストローク・コンビネーションの通知つうちることができない。これは、カーネルがWinlogonプロセスのプロセスIDおぼえていて、このプロセスにしか情報じょうほう通知つうちしないからである。このように、このキーストローク・コンビネーションはセキュア・アテンション・キーとなっている。Windows NTでは、これをセキュア・アテンション・シーケンスとぶ。ユーザーは Control- Alt-Deleteすことで、これが第三者だいさんしゃのプログラムではなく、本当ほんとうにオペレーティングシステムが表示ひょうじしているものだと判断はんだんでき、安心あんしんしてパスワードを入力にゅうりょくすることができる。Windowsでこの組合くみあわせがセキュア・アテンション・キーにえらばれたのは、PCプラットフォームでこの目的もくてきのためにキーストロークの組合くみあわせを変更へんこうする合理ごうりてき理由りゆうがなかったためである[4]

また、このキーストローク・コンビネーションは、Windows Server 2003以降いこうでタスクマネージャを信頼しんらいできる方法ほうほうでもある。そのすべてのキーストローク・コンビネーションはスタックしたプロセスにしばられる可能かのうせいがあったが、ユーザープロセスが Control- Alt-Delete のシーケンスを妨害ぼうがいすることはできない。しかし、これはWindowsグループポリシーで無効むこうできる。Windows NT 4.0以降いこうすべてのNTけいOSでは、Control- Alt-Delete組合くみあわせがWindowsのセキュリティダイアログにてられているときでも、Ctrl- Shift-Esc のキーストローク・コンビネーションでタスクマネージャが起動きどうできる。

副作用ふくさようとして、ユーザーが電源でんげん電源でんげんスイッチ、リセットスイッチにれる手段しゅだんがない場合ばあい以前いぜんControl- Alt-Delete使つかうことでさい起動きどうすることができたが、現在げんざいは、グループポリシーの設定せっていおこなうことで、一般いっぱんユーザーが勝手かってにコンピュータをさい起動きどうすることができなくなった。

OS/2では、このキーボードストローク・コンビネーションは、OS/2のキーボードデバイスドライバによって認識にんしきされ、セッションマネージャプロセスに通知つうちされる。OS/2バージョン2以降いこう通常つうじょうのセッションマネージャプロセスでは、おやワークプレイス・シェル・プロセスが "The system is rebooting" とウィンドウに表示ひょうじして、ソフトリブートがおこなわれる。このとき、もう一度いちど Control- Alt-Deleteすと、セッションマネージャプロセスをたずにただちにソフトリブートが実行じっこうされる。

いずれのケースでも、システムはページキャッシュをフラッシュし、すべてのディスクを綺麗きれいにアンマウントする。しかし、すべての実行じっこうちゅうのプロセスが綺麗きれい終了しゅうりょうされるわけではない(ドキュメントは保存ほぞんされない)。

Linuxでは、キーボードストローク・コンビネーションはカーネルのキーボードデバイスドライバによって認識にんしきされる。とく指示しじされていない場合ばあい(たいていはシステム初期しょきちゅうあいだ)、カーネルはソフトリブートを開始かいしする。より一般いっぱんてきには、カーネルは init プロセスにシグナルをおくり、スクリプトを実行じっこうしたり、「現在げんざいのセッションを終了しゅうりょうします」と表示ひょうじしたりする。

おおくのLinuxディストリビューションでは、init はシグナルをけてランレベルえて、ソフトリブート実行じっこうする。なお、Linuxのシステムではキーボードストローク・コンビネーションを無視むしすることもできる。設定せっていは、たいてい inittab(5)設定せっていファイルのcaというキーワードにある。

Mac OS XClassic Mac OSControl- Alt-Delete対応たいおうするキーの組合くみあわせは、 Command- Opt-EscコマンドキーオプションキーしながらEscキー)である。これらをすと強制きょうせい終了しゅうりょうウィンドウが表示ひょうじされる。Macのノートがたパソコンは、キーボード電源でんげんボタンをサポートし、 Command-Control-Powerすと、システムをハードリブートする。macOSでは、Control- Option-Eject になっている。macOSでControl-Eject組合くみあわせは、ログアウト、スリープ、さい起動きどう終了しゅうりょう選択せんたくをする画面がめんになる。1980年代ねんだいのアップルのマイコンApple IIApple III)では、Control-Open-Apple Reset組合くみあわせでソフトブートがはじまる。

Control-Alt-Deleteと大衆たいしゅう文化ぶんか

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このオランダじんのデモ参加さんかしゃは、Control-Alt-Delete使つかって政府せいふ方針ほうしん白紙はくしもどせともとめている。

コンピュータが普及ふきゅうしたことで、Control-Alt-Delete は隠語いんごとしても使つかわれるようになった。Control-Alt-Delete は、英語えいごdump(…をてる)とか do away with(…を廃止はいしする)という意味いみ[5]

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ David Bradley - Ctrl Alt Del - YouTube
  2. ^ ビル・ゲイツ、「Ctrl+Alt+Del」は失敗しっぱいだったとみとめる(2013ねん09がつ27にち 1129ふん UPDATE) - ITmedia NEWS
  3. ^ ビル・ゲイツ、「Ctrl+Alt+Deleteは失敗しっぱいだった」(2013.09.27 ) - CNN.co.jp
  4. ^ Osterman, Larry (2005ねん1がつ24にち). “Why is Control-Alt-Delete the secure attention sequence (SAS)?”. Larry Osterman's WebLog. MSDN Blogs. 2007ねん3がつ15にち閲覧えつらん
  5. ^ Wordspy はこの用法ようほう最初さいしょれいとして Chris Miksanek による Computerworld の1995ねん12月18にちづけのコラム "Ctrl-Alt-Delete those holiday trinkets." を引用いんようしている

参照さんしょう

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  1. Windows 3.1 Resource Kit SYSTEM.INI 386ENH Section A-L”. Microsoft's KnowledgeBase article 83435. 2005ねん1がつ7にち閲覧えつらん
  2. Linux manual pages for kill(2) and reboot(2).
  3. Gary S. Terhune (11 January 2004). "Lost Ctrl-Alt-Del function on W98, 2nd". Newsgroupmicrosoft.public.win98.gen_discussion. Usenet: uAIVMjC2DHA.2336@TK2MSFTNGP09.phx.gbl — a report of the effect of LocalReboot in Windows 95
  4. Geoff Chappell (6 May 1998). "Is this possible?". Newsgroupcomp.os.ms-windows.programmer.vxd. Usenet: 6iouc1$dgh$2@reader1.reader.news.ozemail.net — a report of differences in LocalReboot between Windows 3.x and Windows 95

外部がいぶリンク

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