E-7 (航空機こうくうき)

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E-7 ウェッジテイル

トルコ空軍のE-7T

トルコ空軍くうぐんのE-7T

E-7 は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくボーイングしゃ開発かいはつ製造せいぞうしている早期そうき警戒けいかい管制かんせい(AEW&C)である。愛称あいしょうウェッジテイル(Wedgetail)。以前いぜんE-737 AEW&Cともばれた。

概要がいよう[編集へんしゅう]

E-7はB737-700機体きたい背部はいぶに、いたじょうレーダーアンテナ装備そうびしたAEW&C(Airborne Early Warning & Control:空中くうちゅう早期そうき警戒けいかい管制かんせいで、長時間ちょうじかん滞空たいくうしながら敵性てきせい航空機こうくうき監視かんし追跡ついせき味方みかた航空機こうくうき指揮しき管制かんせいおこなこと航空こうくうせん優位ゆういすすめる空中くうちゅう支援しえんである。

機体きたい規模きぼ航空こうくう自衛隊じえいたい装備そうびしているE-767のベースになったボーイング767よりいちまわちいさく、機内きない容積ようせきちいさい。ベースのB737-700は1997ねん11月に型式けいしき証明しょうめい取得しゅとくし、同年どうねんから航空こうくう会社かいしゃわたしがはじまった機体きたいである。

開発かいはつ[編集へんしゅう]

開発かいはつは1990年代ねんだいオーストラリア空軍くうぐん早期そうき警戒けいかい管制かんせい(AEW&C)必要ひつようとしはじめたことから、検討けんとう開始かいしされた。計画けいかくめいはプロジェクトAIR5077「ウェッジテイル」とされた。1996ねん提案ていあん依頼いらいしょ(RFP)が発行はっこうされた[1]

1999ねんには、以下いかの3機種きしゅ提案ていあんおこなわれた[2]

選考せんこう結果けっか、1999ねん7がつに、ボーイングのチームはプロジェクトウェッジ・テイルのための好適こうてき入札にゅうさつしゃえらばれた[1]。2000ねん12月に開発かいはつおよび買収ばいしゅう契約けいやく締結ていけつされ、2001ねん2がつ27にちにはMESAレーダーを提供ていきょうするためにノースロップ・グラマンと契約けいやくむすばれた。同年どうねん9がつにはレーダーと識別しきべつてき味方みかた(IFF)システムの予備よび設計せっけい審査しんさ(PDR)が完了かんりょうした[1]

最初さいしょ機体きたいは2002ねん10がつ31にちにロールアウトした。この機体きたいはまだ早期そうき警戒けいかい管制かんせいシステムを搭載とうさいしていなかった。機材きざいけは2003ねんはじまった[1]。2004ねん5がつ20日はつか、E-737ははつ飛行ひこう成功せいこうした。しかしその、レーダーのクラッター英語えいごばん問題もんだい機材きざいけに手間取てまどり、2006ねんわたしの予定よていから大幅おおはばおくれ、2009ねん11月26にち最初さいしょ機体きたいわたされた[1]

機体きたい[編集へんしゅう]

E-7の機体きたいは、べいボーイングしゃ開発かいはつしたボーイング737-700近距離きんきょりよう旅客機りょかくき機体きたい基本きほんに、737-800がた主翼しゅよく降着こうちゃく装置そうち採用さいようしたうえで、おおきなアンテナの搭載とうさいやフィン、構造こうぞうざい強度きょうどたかめるなど、各種かくしゅ改造かいぞうほどこされたものである[3]

胴体どうたいつばさ[編集へんしゅう]

リムパックにおいてKC-135から空中くうちゅう給油きゅうゆけるE-7A

737-800がた主翼しゅよくえられたため、つばさ面積めんせき拡大かくだいすることでつばさめん荷重かじゅう減少げんしょうさせてこう高度こうど巡航じゅんこう可能かのうにし、つばさない燃料ねんりょうタンクも増加ぞうかすることで航続こうぞく距離きょり延伸えんしんした[ちゅう 1]しゅ翼翼よくよくはしブレンデッド・ウィングレットそなわっていない(理由りゆう後述こうじゅつ)。おおきなアンテナによるそらりょく特性とくせい変化へんかしょうじ、方向ほうこう安定あんていせいおぎなうために「ベントラルフィン」とばれる固定こてい安定あんていばん後部こうぶ胴体どうたい下部かぶ左右さゆうにそれぞれ1まいずつけられている。フライングブーム方式ほうしきによる空中くうちゅう給油きゅうゆ受油こう機首きしゅ上面うわつらにあり、胴体どうたい右舷うげん内壁ないへき沿って燃料ねんりょうかんはしっている。主翼しゅよくには民間みんかんがたには存在そんざいしない燃料ねんりょう投棄とうきシステムがそなわっている。

胴体どうたい側面そくめん旅客りょかくようまどはほとんどがふさがれており、中央ちゅうおう休息きゅうそく区画くかくにわずかにのこされたのみである。おおくの搭載とうさい電子でんし機器きき冷却れいきゃくするために、胴体どうたいない左右さゆう2ほんずつはし空調くうちょうパイプは民間みんかんがたよりもふといものになっている[3]

機内きない[編集へんしゅう]

B737 AEW&C ウェッジテイル 機内きない配置はいち
まえから操縦そうじゅうしつ、ミッション・コントロール区画くかく休息きゅうそく区画くかく電子でんし機器きき区画くかくとなっている。機体きたい後部こうぶ上方かみがたおおきなアンテナとしたのベントラルフィンが特徴とくちょうてきである。(電子でんし機器きき区画くかくない詳細しょうさい不明ふめいのため、えがかれていない。)

機内きない操縦そうじゅうしつつづいて前部ぜんぶにミッション・コントロール区画くかく位置いちし、中央ちゅうおう乗員じょういんよう休息きゅうそく区画くかくもうけられており、後半こうはん電子でんし機器きき区画くかくとなっている。人員じんいんよう区画くかくないはおおむね中央ちゅうおう通路つうろになっている。

操縦そうじゅうしつ

民間みんかんがた同様どうように2めい操縦そうじゅうしゃ左右さゆう着座ちゃくざする。民間みんかんにもそなわる航法こうほう装置そうちるいくわえて、戦術せんじゅつ表示ひょうじ装置そうち戦術せんじゅつ操作そうさ表示ひょうじユニット、電子でんしせん自己じこ防御ぼうぎょ操作そうさ装置そうち、(機長きちょうがわのみ)ヘッドアップディスプレイ、ミッション通信つうしん装置そうち空中くうちゅう給油きゅうゆシステム操作そうさ装置そうち、ミッション専用せんよう電気でんき系統けいとうシステムなどが操縦そうじゅうしつにはそなえられている。

ミッション・コントロール区画くかく

ミッション・コントロール・コンソールが10せきあり、ミッション・オペレータ10めい警戒けいかい管制かんせい作業さぎょうおこなえるようになっている。制御せいぎょコンソールは左側ひだりがわに6右側みぎがわに4左右さゆうかべぎわのほぼ機体きたい曲面きょくめん沿ってけられており、10にんのオペレータは中央ちゅうおう通路つうろかべかって着座ちゃくざ操作そうさすることになる。左側ひだりがわまえりの2ぶん反対はんたいがわたる右側みぎがわ、つまり右側みぎがわ4前方ぜんぽう空間くうかん通信つうしん機器ききよう大型おおがたキャビネットがめている。10制御せいぎょコンソールより後方こうほうには、左側ひだりがわ電子でんしせん信号しんごう処理しょりよう機材きざいおさめたキャビネットが、右側みぎがわには通信つうしん機器ききようのキャビネットがある。 これらによって警戒けいかい管制かんせい作業さぎょう要員よういん10めい搭乗とうじょう可能かのうである。

休息きゅうそく区画くかく

乗員じょういん休息きゅうそくなどのために、各々おのおの片側かたがわにはビジネスクラスよう座席ざせきが2せきずつテーブルをはさんで4せきぶんならべられ、左右さゆう合計ごうけい8せき8にんぶん休息きゅうそくよう空間くうかん確保かくほされている。

電子でんし機器きき区画くかく

MESAレーダー・アンテナの信号しんごう処理しょりするために、天井てんじょうからすぐに送受信そうじゅしんモジュールが1mほどはば中央ちゅうおう部分ぶぶんめている。周囲しゅういには各種かくしゅ電子でんし機材きざいのキャビネットがならべられている。通常つうじょう飛行ひこうちゅうひとりはおこなわれない[3]

エンジン[編集へんしゅう]

2CFMI CFM56-7B27Aジェットエンジンを主翼しゅよく搭載とうさいしている。電子でんしせんよう機器ききるい消費しょうひするおおきな電力でんりょく需要じゅよう対応たいおうして、左右さゆう2のエンジンどもに、そのである発電はつでん民間みんかんがたの"-700"よりも大型おおがたのもの[ちゅう 2]変更へんこうされた。おおきな発電はつでんおさめるためにエンジンカウルの左側ひだりがわふくらみとなっている[3]

装備そうび[編集へんしゅう]

AEW&C機器きき電子でんしせん能力のうりょく[編集へんしゅう]

737 AEW&CにはE-10 MC2A開発かいはつつちかった技術ぎじゅつ投入とうにゅうされており、戦術せんじゅつデータ・リンクとしては、従来じゅうらい使つかわれてきたTADIL-A/BTADIL-Cのほか、機能きのう情報じょうほう伝達でんたつシステム(MIDS)によりTADIL-Jにも対応たいおうする。またVHF/UHFHAVE QUICK英語えいごばんアーキテクチャ対応たいおう航空こうくう無線むせん衛星えいせい通信つうしんふくめただい規模きぼ通信つうしんシステムをゆうするほか、こう精度せいどPコードGPS受信じゅしんなどが搭載とうさいされる。ただし2013ねん時点じてんでは、共同きょうどう交戦こうせん能力のうりょく(CEC)には対応たいおうしていない[4]こう解像度かいぞうど機能きのうコンソールは6-8アメリカ空軍くうぐんE-3 セントリー航空こうくう自衛隊じえいたいE-767 AWACS連接れんせつすること可能かのうであり、べいぐん共同きょうどう作戦さくせんおこなくにには有利ゆうりてんである。

機体きたい後部こうぶ背面はいめんじょう搭載とうさいされる細長ほそながいたじょうのMESA(Multi-role Electronically Scanned Array英語えいごばん機能きのう電子でんし走査そうさアレイ)レーダーは、1990年代ねんだいウェスティングハウス・エレクトリックしゃげんノースロップ・グラマンしゃ電子でんしシステムズ部門ぶもんが)が開発かいはつしたLバンドアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダーでトップハットレーダーともばれる。MESAレーダーは7ぜんかたぶけしてけられており[ちゅう 3]、3.5トンとされる重量じゅうりょう左右さゆう11個いっこけい22ヶ所かしょけポイントで支持しじされており、機体きたいがわもそれにわせて強化きょうかされている。アンテナアレイのしたのフェアリングないにはレーダ信号しんごう処理しょり装置そうちとセントラル・コンピュータが設置せっちされている。アンテナは、フェアリング前後ぜんこうとパイロンりょう側面そくめん内蔵ないぞうされており、前後ぜんごに60、パイロンがわ面部めんぶは120探索たんさく可能かのうである。10びょう以下いかで360電子でんしてきにスキャンすること可能かのうでアンテナは、改良かいりょうがたIFF(Identification, Friend or Foe:てき味方みかた識別しきべつ装置そうちのアンテナもねている。うすいたじょうのアンテナは従来じゅうらい円盤えんばんじょうのロートドーム (rotodome) よりも空気くうき抵抗ていこうすくなくしているものの前後ぜんご方向ほうこうくつがえいきみじかくなるという欠点けってんんでいる。探知たんち距離きょりはルックアップモードで600km以上いじょう、ルックダウンモードかつ戦闘せんとうサイズの目標もくひょうたいしては370km以上いじょうである。海上かいじょう目標もくひょうたいしては、フリゲートサイズの目標もくひょうたいして240km以上いじょうである。同時どうじ追尾ついび目標もくひょうすうは180で、うち24迎撃げいげきおこなうことが可能かのうELINTアンテナとしての機能きのうそなえ、その場合ばあい探知たんち距離きょり高度こうど9000mにおいて850km以上いじょうである。アンテナのスキャン時間じかんは、3びょうから40びょう設定せっていすることができレーダのビームは、2°から8°のはば設定せっていすることができる[5]。 また、機首きしゅ下面かめん胴体どうたい最後さいご部下ぶかめんにも比較的ひかくてきおおきなレドームがそなわっており、そのにも、胴体どうたい上面うわつら下面かめん多数たすうのフィンアンテナるいけられている。左右さゆう主翼しゅよくはしにはウィングレットのわりにESMようセンサーがそなわっている[3]

追尾ついび管制かんせいシステムはオープンアーキテクチャもとづいており、アップグレードをおこなこと機能きのう拡張かくちょうすることができる。

自衛じえい装置そうち[編集へんしゅう]

中央ちゅうおうつばさ前部ぜんぶ下面かめん付近ふきん左右さゆうかく4チャフフレアディスペンサーがけられている。 また、各種かくしゅ警戒けいかいようセンサーが機体きたい各所かくしょそなわっている[3]

改良かいりょう[編集へんしゅう]

2017ねん7がつ5にち、オーストラリア空軍くうぐんは5おく2,050まんドルをかけてE-7Aの空中くうちゅう早期そうき警戒けいかいおよ管制かんせい能力のうりょく向上こうじょうさせると発表はっぴょうした。改良かいりょうによりあたらしく高度こうど戦闘せんとう識別しきべつセンサー、戦術せんじゅつてきデータリンク、通信つうしんおよび暗号あんごうシステムでアップグレードされる。アップグレードは、2022ねん中頃なかごろまでに完了かんりょうする予定よてい。ボーイングディフェンスオーストラリアは、ボーイングの米国べいこく航空こうくう監視かんし司令しれいチームおよびサプライヤーのネットワークからの支援しえんけ、AIR 5077 Phase 5AのしたでWedgetailをアップグレードする。プログラムは3つの独立どくりつしたリリースで構成こうせいされており、4おく4,320まんドルの費用ひようがかかると見込みこまれている。リリース1には、ターゲット識別しきべつ、ミッションコンピューティングのアップグレード、大型おおがたのビジュアルモニターディスプレイによる状況じょうきょう認識にんしき向上こうじょうふくまれ、2019ねん初頭しょとうに2適用てきようされる。その、2022ねん中頃なかごろまでに統合とうごうされたIPチャット通信つうしんアップグレードをミッションコンピューティングに適応てきおうし、あたらしい広帯域こうたいいき衛星えいせいシステム、データリンクおよびデュアルディスプレイのアップグレードをおこな[6][7]

運用うんよう[編集へんしゅう]

2022ねん現在げんざい、3顧客こきゃく14運用うんようちゅう


オーストラリア空軍くうぐん[編集へんしゅう]

オーストラリア空軍くうぐんのE-7A

オーストラリアは2000ねん、ボーイング737がた原型げんけいとしたAEW&Cを当初とうしょ4のちに3最終さいしゅうてき追加ついか発注はっちゅうは2)を追加ついかオプションで発注はっちゅうした。最初さいしょの2シアトルのボーイング工場こうじょう組立くみたて試験しけんおこなわれ、2006ねんには納入のうにゅうされる予定よていであった。しかし、機器きき集積しゅうせき問題もんだいで18ヶ月かげつ計画けいかく遅延ちえんし、ボーイングは納入のうにゅうは2009ねん初頭しょとうになると発表はっぴょうした。2遅延ちえんともな予算よさん超過ちょうかは11おくドルをえる見込みこみである[9]追加ついか発注はっちゅうぶんふくめた4はボーイングオーストラリアでてられ、2010ねん年末ねんまつまでには3~5号機ごうき生産せいさん完了かんりょうし、2012ねんに6号機ごうき受領じゅりょう運用うんようちゅう

2009ねん11月26にち、ようやくオーストラリアけ1号機ごうきと2号機ごうき完成かんせいし、2010ねん5がつ5にち正式せいしきにオーストラリア空軍くうぐんわたされた。これらはオーストラリア空軍くうぐんだい82航空こうくうだん運用うんようされ、ウィリアムタウン空軍くうぐん基地きちとティンダル空軍くうぐん基地きち拠点きょてんとする。2012ねん12月に初期しょき作戦さくせん能力のうりょく(IOC)[10]、2015ねん5がつ26にち完全かんぜん作戦さくせん能力のうりょく(FOC)を獲得かくとくした[11]

オーストラリア空軍くうぐん採用さいようした737 AEW&Cには、イスラエルエルタ・システムズしゃせいESM/ELINT電子でんしせん支援しえんシステムと、ノースロップ・グラマンしゃせいAN/AAQ-24(v)ネメシス赤外線せきがいせんミサイル警報けいほう装置そうち追加ついか装備そうびされている。オーストラリア空軍くうぐん運用うんよう計画けいかくではオペレーターは10にんとなり、2人ふたり待機たいき要員よういん搭乗とうじょうする。

愛称あいしょうWedgetail(ウェッジ・テイル:オナガイヌワシ。2012ねんにはE-7A形式けいしき番号ばんごうあたえられた。

2014ねんには、過激かげき組織そしきISIL(イスラミック・ステート)たいするばくげき作戦さくせん支援しえん英語えいごばんはじめて実戦じっせん投入とうにゅうされた[12]

トルコ空軍くうぐん[編集へんしゅう]

トルコ空軍くうぐんのE-737

2005ねんに4発注はっちゅうされ、トルコけ1号機ごうきはシアトルのボーイング工場こうじょう製造せいぞうされ、2007ねん9月には飛行ひこう試験しけん完了かんりょうした。2~4号機ごうきはトルコのアンカラにあるトルコ航空こうくう宇宙うちゅう産業さんぎょう (TAI) が組立くみたて試験しけん担当たんとうし、2号機ごうきおよび3号機ごうき2008ねん6がつ製造せいぞう完了かんりょうし、2008ねん後半こうはんより各種かくしゅテストがおこなわれた。しかし2010ねんにイスラエルとトルコの関係かんけいから搭載とうさい予定よていしていたエルタしゃのシステムが搭載とうさいできなくなり作業さぎょう停滞ていたいした。これは、アメリカのあつりょくにより2013ねん再開さいかいされ[13]、2014ねん2がつ21にち最初さいしょ機体きたい受領じゅりょうされ[14]、2015ねんまでにぜん4受領じゅりょう運用うんようちゅう

愛称あいしょうPeace Eagle(ピース・イーグル)

韓国かんこく空軍くうぐん[編集へんしゅう]

韓国かんこく空軍くうぐんのボーイング737 AEW&C

韓国かんこく2000ねんから空中くうちゅう警戒けいかい管制かんせい整備せいびするE-X計画けいかくすすめ、ボーイングしゃすE-737(B737 AEW&C)とイスラエルIAIエルタ・システムズしゃG550 CAEW採用さいようきそった。E-X計画けいかくはIAIエルタしゃのG550が韓国かんこく空軍くうぐん要求ようきゅう性能せいのうたっせず、競争きょうそう入札にゅうさつおこなえない事態じたいになりいち事業じぎょう中断ちゅうだんされるなど混乱こんらんしたが、2005ねん再開さいかいされた。2007ねん1がつ20日はつか選定せんてい事業じぎょう再開さいかいされたのちもIAIエルタしゃ期限きげんまでに評価ひょうかようデータを提出ていしゅつできなかったり、アメリカ政府せいふがE-737が採用さいようされるよう圧力あつりょくをかけたりと問題もんだいきたが、韓国かんこく国防こくぼうは2006ねん8がつ4にちにE-737の採用さいよう決定けっていした。決定けっていおこなわれた価格かかく協議きょうぎでボーイングしゃめたりもしたが(韓国かんこくがわ要望ようぼうしていた16おくドルを上回うわまわる17-19おくドルが提案ていあんされたという)、2006ねん8がつ3にちにE-737が選定せんていされ[15]、2006ねん11月8にち韓国かんこくDAPA(Defense Acquisition Program Agency:防衛ぼうえい事業じぎょうちょう)はボーイングしゃと15おく9,000まんドルで契約けいやくむすぶと発表はっぴょうした。この契約けいやくには一部いちぶ技術ぎじゅつ移転いてん地上ちじょう器材きざい要員よういん訓練くんれん、ミッション・サポート、機体きたいとシステムの改修かいしゅうサポートがふくまれるという。1号機ごうき機体きたい改修かいしゅうはボーイングしゃおこなわれるが、2-4号機ごうき機体きたいそのものと機材きざい装備そうびがアメリカから韓国かんこくのKAI(Korea Aerospace Industries:韓国かんこく航空こうくう宇宙うちゅう産業さんぎょう)におくられ、KAIしゃ改修かいしゅう担当たんとうする予定よてい

ボーイングしゃは2007ねん8がつすえソウルでE-X(E-737)AEW&Cにかんするサプライヤー・カンファレンスを開催かいさいした。ボーイングしゃ発表はっぴょうによるとE-X事業じぎょう参加さんかするおも企業きぎょうはKAI(機体きたいおよびシステムの改修かいしゅう地上ちじょうクルーの訓練くんれん)、NEX1フューチャーしゃ(VHF/UHF無線むせん)、三星みつぼしタレスしゃ(ミッションクルーの訓練くんれん評価ひょうか)、ヒュニド・テクノロジーしゃ一部いちぶシステムのインテグレート、プログラムオプション、民生みんせいひん使つかったデータリンク)、ATAしゃ(フライトクルーの訓練くんれん評価ひょうか)、ボーイング・オーストラリアしゃ兵站へいたん支援しえん)、BAEシステムズしゃ(ESM、自衛じえいよう電子でんしせん機器きき支援しえん施設しせつ、ミッション・シミュレーター)など。

ボーイングでてられた韓国かんこくけE-737の初号しょごうは2010ねん2がつ9にち韓国かんこく到着とうちゃくした。MESAレーダーは搭載とうさいで、搭載とうさい作業さぎょう韓国かんこく航空こうくう宇宙うちゅう産業さんぎょう(KAI)が実施じっしする。空軍くうぐんへの引渡ひきわたしは2011ねん予定よてい。 E-737は、2012ねん予定よていされているアメリカから韓国かんこくへの戦時せんじ作戦さくせん統制とうせいけん移行いこうそなえた、独立どくりつした情報じょうほう収集しゅうしゅう監視かんし偵察ていさつ能力のうりょく向上こうじょう達成たっせいするための装備そうびの1つとして導入どうにゅうおこなわれる。韓国かんこく発注はっちゅうしているE-737の4すべての引渡ひきわたしは2012ねん完了かんりょうした。4は8あいだ交替こうたいで24あいだ体制たいせい防空ぼうくう体制たいせい予定よてい

なお、実際じっさいには部品ぶひん不足ふそく飛行ひこう可能かのうなのは初号しょごうのみで、の3部品ぶひんよう地上ちじょう待機たいきして共食ともぐ整備せいびしているともいわれる。しかし韓国かんこく空軍くうぐんは、この地上ちじょう待機たいき報道ほうどうについて間違まちがった情報じょうほうであるとの立場たちばあきらかにしている。これによると、本格ほんかく運用うんよう以降いこう80%以上いじょう可動かどうりつ維持いじしており、定期ていき整備せいびにより可動かどうりつひくくなったつきでもそれは69%以上いじょうであったと発表はっぴょうした。また瑕疵かし保証ほしょう期間きかんちゅうであったと同時どうじに、ボーイング737かた世界せかいで6,000以上いじょう運用うんようされており部品ぶひん確保かくほ非常ひじょう容易よういである状況じょうきょうで、3部品ぶひん不足ふそく地上ちじょう待機たいきしているというレポートは論理ろんりてきであるとしている。韓国かんこく空軍くうぐんはこのあやまったレポートにたいして早急そうきゅう訂正ていせいするようにもとめている[16]

2016ねん10がつ9にちには、あらたに2導入どうにゅう検討けんとうしていることがほうじられている[17]

愛称あいしょうPeace Eye(ピース・アイ)

イギリス空軍くうぐん[編集へんしゅう]

イギリス空軍くうぐんはE-3Dの後継こうけいとして検討けんとうおこない、タイムズかみは2018ねん6がつ19にち国防省こくぼうしょうがE-3D後継こうけいとして4-6のWedgetailを最大さいだい30おくポンドのコストで購入こうにゅうすることを目指めざしていたとほうじた[18]。7月3にち報道ほうどうではイギリス国防こくぼう委員いいんかいにおいて、ジュネーヴ・ルイスが6がつ26にちの「英国えいこく空軍くうぐんのE-3D セントリー AWACS潜在せんざいてき交換こうかんかんする報告ほうこくしょ」を参照さんしょう競争きょうそうなしにE-7Aが調達ちょうたつされる可能かのうせい示唆しさしているとべている。どう委員いいんかいでは入札にゅうさつ排除はいじょする理由りゆうがないとし懸念けねん表明ひょうめいした[19][20]。その同月どうげつ13にちけのロイターは4-6購入こうにゅうちかづいていると報道ほうどうした[21][22]。8月16にちには7がつ中旬ちゅうじゅんに3にんのイギリス空軍くうぐん人員じんいんがウィリアムタウンの2sqnに到着とうちゃくし、オーストラリア空軍くうぐんのE-7Aをもちいて訓練くんれん開始かいししたことがほうじられている[23][24]。 これにたいし、エアバスとサーブはエリアイレーダーとエアバス構築こうちくされたプラットフォームのわせを競合きょうごうあんとしてすことを検討けんとうしており[25]、サーブはAINの取材しゅざいたいし「イギリスおよびくににとって理想りそうてき空中くうちゅう監視かんしおよび航空こうくう戦闘せんとう管理かんりシステムの世界せかいてきなサプライヤーの1つである」とコメントし、エアバス・ディフェンス・アンド・スペースは、「イギリスがコンペを開催かいさいすることを奨励しょうれいし、エアバスはA320とA330の派生はせいひんさぐっている」とAINにかたった[19][20]

2019ねん3がつ22にちイギリス国防省こくぼうしょうは、E-7を総額そうがく19おく6,000まんドルで5発注はっちゅうすることを発表はっぴょう、2020年代ねんだい初頭しょとうからのわた開始かいし予定よていしている[26]

アメリカ空軍くうぐん[編集へんしゅう]

アメリカ空軍くうぐんは2022ねん4がつ26にち、E-3の一部いちぶをE-7「ウェッジテイル」でえると発表はっぴょうした。契約けいやく締結ていけつは2023年度ねんど予定よていしており、どう年度ねんど予算よさんでは試作しさく初号しょごう開発かいはつし、よく2024年度ねんどに2試作しさく製作せいさく、そして2025年度ねんどから量産りょうさん配備はいびにむけた生産せいさん決定けってい計画けいかくしているという[27]。 アメリカ空軍くうぐんは2023ねんボーイングにE–7の契約けいやく授与じゅよした。契約けいやくともないE–3は退役たいえきする。[28]

北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう[編集へんしゅう]

2035ねん退役たいえき計画けいかくがあるE-3A後継こうけいとして2022ねん3がつ、ボーイングに後継こうけい調査ちょうさ発注はっちゅう[29]、2023ねん11月15にちにE-7A導入どうにゅう発表はっぴょうした[8]

潜在せんざいてき顧客こきゃく[編集へんしゅう]

カタール空軍くうぐん2014ねんに3導入どうにゅうする書面しょめん署名しょめいした。しかし、文言もんごん曖昧あいまいであり、ボーイングとの交渉こうしょうにあるとされる[30]

検討けんとうのみ[編集へんしゅう]

イタリアは14P-8 MMA導入どうにゅう検討けんとうちゅうであったが[31]、2012ねんにイスラエル空軍くうぐんによるM-346練習れんしゅう採用さいよう見返みかえりとしてIAIエルタ・システムズG550 CAEW採用さいよう決定けっていした[32]

アラブ首長しゅちょうこく連邦れんぽうはサーブ 2000 AEW、E-2Dとうとも評価ひょうかしていたが[33]、2009ねん決定けってい延期えんきし、暫定ざんていてき解決かいけつさくとして2のサーブ 340 AEWを購入こうにゅうした。そのボーイングは提案ていあんつづけたが[34]、UAEは2015ねんグローバル 6000エリアイレーダーを搭載とうさいしたグローバルアイ2購入こうにゅうすると発表はっぴょうした[35]

日本にっぽん中期ちゅうき防衛ぼうえいりょく整備せいび計画けいかく(26中期ちゅうきぼうしん早期そうき警戒けいかい管制かんせい候補こうほとして導入どうにゅう検討けんとうしていたが、E-2D選定せんていされている。

問題もんだい[編集へんしゅう]

2015ねんにE-7固有こゆう部品ぶひん64しゅ生産せいさんラインが早期そうき閉鎖へいさされ、機器きき維持いじ大幅おおはば上昇じょうしょうしていることがほうじられている[36]

仕様しよう[編集へんしゅう]

  • 全長ぜんちょう - 35.71m
  • 全幅ぜんぷく - 33.63m
  • 全高ぜんこう - 12.55m[3]
  • つばさ面積めんせき - 91 m2
  • つばさがた - B737D
  • そら重量じゅうりょう - 46,607kg
  • 積載せきさいりょう - 19,830 kg
  • 最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう - 77,566kg
  • エンジン - CFM56-7B27Aターボファン(118kN)× 2
  • 巡航じゅんこう速度そくど - 700km/h
  • 実用じつよう上昇じょうしょう限度げんど - 12,500m
  • 航続こうぞく距離きょり - 5,200km

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 航続こうぞく距離きょりやく5,200kmとされ10時間じかん以上いじょう滞空たいくう可能かのうである。空中くうちゅう給油きゅうゆによってさらに滞空たいくう時間じかんばすことができる。
  2. ^ 大型おおがた発電はつでんは、ボーイング777使用しようされているものと同等どうとうとされる。
  3. ^ 飛行ひこうちゅうにアンテナを水平すいへいにする必要ひつようがあれば、機体きたいむかかく7だけのちかたぶけさせる。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e Boeing 737 AEW
  2. ^ 航空こうくうファン (雑誌ざっし) 2014ねん7がつごう 世界せかい空中くうちゅう早期そうき警戒けいかい管制かんせい P.63
  3. ^ a b c d e f g 「ウェッジテイル、C-17&ホーネット・アップグレード」『航空こうくうファン』2010ねん8がつごう
  4. ^ 石川いしかわ潤一じゅんいち「B.737 AEW&C -E-7Aウェッジテイル-」『航空こうくうファン (雑誌ざっし)だい725ごうぶん林堂はやしどう、2013ねん5がつ、61-65ぺーじ 
  5. ^ Jane's Electronic Mission Aircraft, 2011 Edition
  6. ^ Australia To Upgrade Wedgetail AEW&C Aircraft
  7. ^ Minister for Defence & Minister for Defence Industry - Joint Media Release - $582 million for Australian Wedgetail to remain World-best
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  10. ^ “AVALON: RAAF upbeat on Wedgetail reliability” (英語えいご). Flight Global. (2015ねん2がつ25にち). https://www.flightglobal.com/news/articles/avalon-raaf-upbeat-on-wedgetail-reliability-409408/ 
  11. ^ “RAAFのE-7Aウエッジテール、FOCを獲得かくとく. FlyTeam. (2015ねん5がつ27にち). http://flyteam.jp/news/article/50456 
  12. ^ “Australia commits combat aircraft to fight IS” (英語えいご). Flight Global. (2014ねん9がつ15にち). https://www.flightglobal.com/news/articles/australia-commits-combat-aircraft-to-fight-is-403665/ 
  13. ^ Israel sends Turks EW systems despite rift
  14. ^ TSK yeni yıldızı Barış Kartalı'na kavuştu
  15. ^ Picture: South Korea selects Boeing 737-based AEW&C system over Gulfstream G550 platform
  16. ^ “땅에 서 노는 조기경보기” 사실은 허위보도…공군 ‘분노’
  17. ^ S. Korean Air Force to acquire 2 more Peace Eye AEW&Cs
  18. ^ RAF risks row over £3bn US Boeing deal without a competition
  19. ^ a b UK committee urges against Wedgetail selection
  20. ^ a b Controversy Develops over RAF AEW&C Fleet
  21. ^ UK nears decision to buy Boeing AWACS planes - sources
  22. ^ UK nears decision to buy Boeing AWACS planes: sources
  23. ^ UK moves closer to Wedgetail buy - Australian Defence Magazine
  24. ^ UK moving closer to E-7 Wedgetail purchase with crew training
  25. ^ Airbus and Saab consider challenge to Boeing Wedgetail for UK
  26. ^ イカロス出版いかろすしゅっぱん Jwing No.250 2019ねん6がつごう 88ぺーじ-93ぺーじくぞ!NEWSマン 海外かいがいぐん関係かんけいNEWS」
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  30. ^ Qatar’s Air Force Multipliers: Aerial Tankers and AEW&C
  31. ^ Aviation Week & Space Technology. June 21, 2004.
  32. ^ Italy Expands Airborne C4ISR Capabilities
  33. ^ Wedgetail woes may be over for Boeing
  34. ^ Northrop Grumman aims for bigger role in UAE arms sales
  35. ^ DUBAI: UAE signs $1.2bn surveillance deal with Saab
  36. ^ 공군 조기경보기 '피스아이' 부품 단종…'장님' 될 판

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]