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eIF4F

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
m7GキャップとeIF4G断片だんぺん結合けつごうした酵母こうぼeIF4Eの溶液ようえき構造こうぞうPDB: 1RF8[1]

eIF4F(eukaryotic initiation factor 4F)は、mRNA5'キャップ結合けつごうし、かく生物せいぶつ翻訳ほんやく開始かいし促進そくしんするヘテロさんりょう体型たいけいタンパク質たんぱくしつふく合体がったいである。eIF4Fふく合体がったいは、DEADボックス英語えいごばんかたRNAヘリカーゼeIF4A、キャップ結合けつごうタンパク質たんぱくしつeIF4Eおおきな足場あしばタンパク質たんぱくしつeIF4G英語えいごばん、という3つのことなるサブユニットから構成こうせいされる[2][3]哺乳類ほにゅうるいのeIF4Fふく合体がったいは1983ねん最初さいしょ記載きさいされ、キャップ依存いぞんせい翻訳ほんやく開始かいし分子ぶんし機構きこうにおける主要しゅよう研究けんきゅう領域りょういきとなっている[3]

機能きのう

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eIF4Fは、キャップ依存いぞんてき翻訳ほんやく開始かいしリボソームしょうサブユニット(40Sサブユニット)をmRNAの5'キャップへリクルートするために重要じゅうようである。このふく合体がったい構成こうせい要素ようそはキャップ依存いぞんてき翻訳ほんやく開始かいしにも関与かんよしている。たとえば、特定とくていのウイルスのプロテアーゼはeIF4Gを切断せつだんしてeIF4E結合けつごう領域りょういき除去じょきょし、キャップ依存いぞんてき翻訳ほんやく阻害そがいする[3]

構造こうぞう

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eIF4Fの構成こうせい要素ようそ構造こうぞう個別こべつに、そして部分ぶぶんてきふく合体がったいとして、さまざまな手法しゅほうかれている。しかしながら、eIF4Fの完全かんぜん構造こうぞう現在げんざいのところられていない[4]

サブユニット

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哺乳類ほにゅうるいでは、eIF4E•G•Aさんりょう体型たいけいふく合体がったい細胞さいぼうから直接ちょくせつ精製せいせいすることができるが、酵母こうぼ細胞さいぼうではeIF4E•Gの2つのサブユニットのみが精製せいせいされる[3]。eIF4Eはm7G修飾しゅうしょくがなされた5'キャップと足場あしばタンパク質たんぱくしつeIF4Gに結合けつごうし、mRNAの5'末端まったん翻訳ほんやく開始かいし因子いんしやmRNAを連結れんけつするハブとなる。eIF4G•Aあいだ相互そうご作用さようは、eIF4AのRNAヘリカーゼ活性かっせいによる43S開始かいしぜんふく合体がったい英語えいごばん(43S PIC)の結合けつごうのための一本いっぽんくさりRNA領域りょういき形成けいせいみちびくとかんがえられている[3]

eIF4Fを構成こうせいするタンパク質たんぱくしつにはいくつかの結合けつごうパートナーが存在そんざいし、またヒトゲノムにはeIF4A、eIF4E、eIF4Gの複数ふくすうのアイソフォームが存在そんざいする。哺乳類ほにゅうるいでは、eIF4FはeIF3とeIF4Gとの相互そうご作用さようかいして40Sサブユニットと連結れんけつされているが、出芽しゅつが酵母こうぼはこうした連結れんけついている[3]。eIF4GとPABPとの相互そうご作用さようは、mRNAの環状かんじょう媒介ばいかいしているとかんがえられている[5]

サブユニット 分子ぶんしりょう[A] アイソフォーム 重要じゅうよう特徴とくちょう
eIF4A 46k eIF4A1英語えいごばん, eIF4A2英語えいごばん, eIF4A3英語えいごばん DEADボックスRNAヘリカーゼ。mRNA、eIF4G、eIF4B英語えいごばんeIF4H英語えいごばんPDCD4英語えいごばん結合けつごうする。てい分子ぶんしヒプリスタノール英語えいごばん[6]ロカグラミドA英語えいごばん(RocA)[7]、パテアミンA(pateamine A)[8]によって阻害そがいされる。
eIF4E 25k eIF4E1, eIF4E2英語えいごばん, eIF4E3英語えいごばん キャップ結合けつごうタンパク質たんぱくしつ。eIF4G、4EBP14EBP2英語えいごばん4EBP3英語えいごばん結合けつごうする。
eIF4G英語えいごばん 175k eIF4G1英語えいごばん, eIF4G3英語えいごばん 足場あしばタンパク質たんぱくしつ。mRNA、eIF4A、eIF4E、PABPに結合けつごうする。

A ヒトタンパク質たんぱくしつのおよその分子ぶんしりょう

eIF4Fさんりょうたい主要しゅようタンパク質たんぱくしつくわえて、eIF4Fふく合体がったいeIF4B英語えいごばんeIF4H英語えいごばんとも機能きのうてき相互そうご作用さようする。eIF4Gの一般いっぱんてきでないアイソフォームであるeIF4G2英語えいごばん(DAP5)も典型てんけいてき翻訳ほんやく機能きのう発揮はっきしているようである。

調節ちょうせつ

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eIF4FのeIF4Eサブユニットは、eIF4E結合けつごうタンパク質たんぱくしつ(4E-BP)をかいしてmTORシグナルの重要じゅうよう標的ひょうてきとなっている[3]。mTORによる4E-BPのリン酸化さんかによって4E-BPのeIF4Eへの結合けつごうさまたげられ、eIF4EはeIF4Gと結合けつごうして翻訳ほんやく開始かいし関与かんよできるようになる[3]

出典しゅってん

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  1. ^ Gross, John D.; Moerke, Nathan J.; von der Haar, Tobias; Lugovskoy, Alexey A.; Sachs, Alan B.; McCarthy, John E.G.; Wagner, Gerhard (2003). “Ribosome Loading onto the mRNA Cap Is Driven by Conformational Coupling between eIF4G and eIF4E”. Cell (Elsevier BV) 115 (6): 739–750. doi:10.1016/s0092-8674(03)00975-9. ISSN 0092-8674. PMID 14675538. 
  2. ^ “A mechanistic overview of translation initiation in eukaryotes”. Nature Structural & Molecular Biology 19 (6): 568–76. (June 2012). doi:10.1038/nsmb.2303. PMID 22664984. 
  3. ^ a b c d e f g h “eIF4F: a retrospective”. The Journal of Biological Chemistry 290 (40): 24091–9. (October 2015). doi:10.1074/jbc.R115.675280. PMC 4591800. PMID 26324716. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4591800/. 
  4. ^ “Quantitative studies of mRNA recruitment to the eukaryotic ribosome”. Biochimie 114: 58–71. (July 2015). doi:10.1016/j.biochi.2015.02.017. PMC 4458453. PMID 25742741. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4458453/. 
  5. ^ “Circularization of mRNA by eukaryotic translation initiation factors”. Molecular Cell 2 (1): 135–40. (July 1998). doi:10.1016/S1097-2765(00)80122-7. PMID 9702200. 
  6. ^ “Hippuristanol - A potent steroid inhibitor of eukaryotic initiation factor 4A”. Translation 4 (1): e1137381. (January 2016). doi:10.1080/21690731.2015.1137381. PMC 4909409. PMID 27335721. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4909409/. 
  7. ^ “Rocaglates convert DEAD-box protein eIF4A into a sequence-selective translational repressor”. Nature 534 (7608): 558–61. (June 2016). Bibcode2016Natur.534..558I. doi:10.1038/nature17978. PMC 4946961. PMID 27309803. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4946961/. 
  8. ^ “Inhibition of eukaryotic translation initiation by the marine natural product pateamine A”. Molecular Cell 20 (5): 709–22. (December 2005). doi:10.1016/j.molcel.2005.10.008. PMID 16337595. 

関連かんれん項目こうもく

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