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eROSITA

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
eROSITA
eROSITAロゴマーク
所属しょぞく マックス・プランク地球ちきゅう外物がいぶつ理学りがく研究所けんきゅうじょ(MPE)
公式こうしきページ eROSITAウェブサイト
状態じょうたい 運用うんよう中ちゅう
目的もくてき X線せん掃天観測かんそく
打上うちあげ機き プロトン-M
打上うちあげ日時にちじ 2019年ねん7月がつ13日にち
物理ぶつり的てき特長とくちょう
本体ほんたい寸法すんぽう 1.3 m × 2.6 m
質量しつりょう 810 kg
姿勢しせい制御せいぎょ方式ほうしき 3軸じく姿勢しせい制御せいぎょ
軌道きどう要素ようそ
周回しゅうかい対象たいしょう ラグランジュ点てん
軌道きどう ハロー軌道きどう
観測かんそく機器きき
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eROSITAは、ドイツのマックス・プランク地球ちきゅう外物がいぶつ理学りがく研究所けんきゅうじょ (MPE) が開発かいはつした製造せいぞうされたX線せん宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうである。eROSITAはロシアとドイツが共同きょうどうで進すすめるSpektr-RG宇宙うちゅう天文台てんもんだいの一部いちぶであり、ロシアの望遠鏡ぼうえんきょうART-XCと合あわせて一ひとつの衛星えいせいを構成こうせいする。2019年ねん7月がつ13日にちにバイコヌール宇宙うちゅう基地きちからロスコスモスによって打うち上あげられ、第だい2ラグランジュ点てん（L2）を6か月げつかけてめぐるハロー軌道きどうに配置はいちされた[1]。2019年ねん10月がつに、科学かがく観測かんそくを開始かいしした。

概要がいよう

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ドイツ宇宙うちゅうセンターが制作せいさくした、eROSITAの紹介しょうかい映像えいぞう

eROSITAは、もともと国際こくさい宇宙うちゅうステーションに設置せっちすることを目的もくてきにヨーロッパ宇宙うちゅう機関きかんによって設計せっけいされた。しかし2005年ねんに、eROSITAを独立どくりつした人工じんこう衛星えいせいに搭載とうさいすることで科学かがく的てき成果せいかが大幅おおはばに向上こうじょうするとの報告ほうこくがなされた[2]。eROSITAに使つかわれているX線せん望遠鏡ぼうえんきょうは、1999年ねん4月がつに打うち上あげられたがバッテリーの過か充電じゅうでんによって破壊はかいに至いたったABRIXAS天文台てんもんだい[2]の設計せっけいに基もとづいて行おこなわれた。

eROSITAは、7年間ねんかんにわたりX線せんで全ぜん天てんを掃天観測かんそくする計画けいかくである。eROSITA全ぜん天てん調査ちょうさ（eRASS）は、2〜10keVの帯域たいいきで最初さいしょの全ぜん天てん観測かんそくになる予定よていである。また0.3〜2 keVの帯域たいいきでは、1990年代ねんだいに実施じっしされた先駆せんく的てきなX線せん掃天観測かんそく衛星えいせいであったROSATに比くらべて25倍ばいの感度かんど向上こうじょうが期待きたいされており、観測かんそく成果せいかを大おおきく塗ぬり替かえることになる[3]。eROSITAは、10万まん個この銀河ぎんが団だん、300万まん個この活動かつどう銀河ぎんが核かく、天そらの川かわ銀河ぎんが内うちの70万まん個この星ほしを検出けんしゅつすると想定そうていされている。主要しゅような科学かがく目標もくひょうは、銀河ぎんが団だんの観測かんそくを通つうじて宇宙うちゅうの構造こうぞうと歴史れきしを解明かいめいし、ダークエネルギーを測定そくていすることである。

eROSITAは2019年ねん10月がつ17日にちにファーストライトを達成たっせいし[4] 、2020年ねん6月がつ11日にちに最初さいしょの全ぜん天てん調査ちょうさを完了かんりょうした[5]。2021年ねん夏なつに最初さいしょのX線せんデータが公開こうかいされた[6]。2022年ねん2月がつ26日にち、ロシアのウクライナへの侵攻しんこうが始はじまると、eROSITAの運用うんようは一時いちじ停止ていしされた。観測かんそく装置そうちの科学かがく運用うんようは一時いちじ的てきに停止ていしされたが、ドイツで既すでに受信じゅしんされたデータの解析かいせき作業さぎょうは継続けいぞくされた。この時点じてんで、eROSITAの全ぜん天てんサーベイは、予定よていされていた8回かいのうち4回かいを終了しゅうりょうしている[7]。

開発かいはつ

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eROSITAに使つかわれているX線せん望遠鏡ぼうえんきょうは、金きんメッキされた反射はんしゃ鏡きょう54層そうからなるヴォルター式しき望遠鏡ぼうえんきょう (ミラーモジュール) が7台だい並ならんだ構造こうぞうになっている。反射はんしゃ鏡きょうは高こうエネルギーX線せん光子こうしを集しゅう光ひからし、eROSITA X線せん高だか感度かんどカメラに導みちびくように配置はいちされている。カメラは高こう純度じゅんどシリコンでできたX線せんCCDであり、MPEで内うち製せいされたものである。最適さいてきな性能せいのうを得えるために、カメラは-90℃にまで冷却れいきゃくされる[8]。

  • 正面から見た7つのミラーモジュール
    正面しょうめんから見みた7つのミラーモジュール
  • 各ミラーの背後にあるX線検出器
    各かくミラーの背後はいごにあるX線せん検出けんしゅつ器き

観測かんそく装置そうち

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Spektr-RG天文台てんもんだいに搭載とうさいされた機器きき
eROSITA ART-XC
組織そしき マックス・プランク地球ちきゅう外物がいぶつ理学りがく研究所けんきゅうじょ IKI / VNIIEF
望遠鏡ぼうえんきょうタイプ ヴォルター式しき ヴォルター式しき
波長はちょう X線せん X線せん
質量しつりょう 810 kg 350 kg
感度かんど範囲はんい 0.3-10 keV 6-30 keV
画が角かく 1度ど 30分ふん角かく
角度かくど分解能ぶんかいのう 15秒びょう角かく 45秒びょう角かく
センサー面積めんせき 2,400平方へいほうcm/1keV 450平方へいほうcm/1keV

協力きょうりょく体制たいせい

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eROSITAは、マックス・プランク地球ちきゅう外物がいぶつ理学りがく研究所けんきゅうじょを中心ちゅうしんに、バンベルク、ハンブルク、ポツダム、チュービンゲンの研究所けんきゅうじょと共同きょうどうで開発かいはつされた。ドイツのeROSITAコンソーシアムにはドイツ全土ぜんどの研究所けんきゅうじょだけでなく国際こくさい機関きかんのメンバーも含ふくまれており、eROSITAによって検出けんしゅつされる数すう百ひゃく万まんの天体てんたいを追跡ついせき観測かんそくするため、地上ちじょう望遠鏡ぼうえんきょうとの協力きょうりょく体制たいせいも確立かくりつしている。

2019年ねん3月がつ4〜7日にちにポツダムで開催かいさいされたドイツのeROSITAコンソーシアム会議かいぎ

科学かがく成果せいか

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望遠鏡ぼうえんきょうの科学かがく的てきな性能せいのうを評価ひょうかするための試験しけん観測かんそくのデータは、2019年ねん10月がつ22日にちに公表こうひょうされた[9]。超新星ちょうしんせい1987Aの高こう分解能ぶんかいのうスペクトル、大だいマゼラン雲くもや銀河ぎんが団だんの画像がぞうに加くわえて、非常ひじょうに変動へんどうの大おおきい活動かつどう銀河ぎんが核かくの光度こうど曲線きょくせんも公開こうかいされた。

eROSITAが観測かんそくした相互そうご作用さよう銀河ぎんが団だんA3391およびA3395。

最初さいしょの全ぜん天てん観測かんそくは2020年ねん6月がつ11日にちに完了かんりょうし[10]、活動かつどう銀河ぎんが核かく（77％）、活動かつどう的てきな高温こうおんコロナを持もつ星ほし（20％）、銀河ぎんが団だん（2 ％）などの天体てんたいの他ほか、明あかるいX線せん連れん星ぼし、超新星ちょうしんせい残骸ざんがい、広ひろがった星ほし形成けいせい領域りょういき、さらにはガンマ線がんませんバーストなどの突発とっぱつ現象げんしょうを含ふくむ110万まん個この天体てんたいを記録きろくしたカタログとしてまとめられた[11]。全ぜん天てんマップには、マッシュルームのような泡あわ状じょう構造こうぞうなどの天そらの川かわ銀河ぎんがから広ひろがる構造こうぞうや銀河ぎんが円盤えんばんのガスによる吸収きゅうしゅうなども含ふくまれている[12]。

eROSITA全ぜん天てん画像がぞう

出典しゅってん

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  1. ^ Zak (2016年ねん4月がつ16日にち). “Spektr-RG to expand horizons of X-ray astronomy”. Russian Space Web. 2016年ねん9月がつ16日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b “Spectrum-RG/eRosita/Lobster mission definition document”. Russian Space Research Institute (2005年ねん10月がつ30日にち). 2011年ねん2月がつ4日にち閲覧えつらん。
  3. ^ Castelvecchi, Davide (11 June 2019). “Space telescope to chart first map of the Universe in high-energy X-rays”. Nature 570 (7760): 149–150. Bibcode: 2019Natur.570..149C. doi:10.1038/d41586-019-01831-1. PMID 31186573. https://www.nature.com/articles/d41586-019-01831-1 2019年ねん6月がつ14日にち閲覧えつらん。. 
  4. ^ https://spaceflightnow.com/2019/10/23/german-x-ray-telescope-achieves-first-light/
  5. ^ https://www.bbc.com/news/science-environment-53102718
  6. ^ “An appetizer to the all-sky banquet”. Max Planck Institute for extraterrestrial Physics (2022年ねん6月がつ7日にち). 2022年ねん7月がつ13日にち閲覧えつらん。
  7. ^ “Statement on the status of the eROSITA instrument aboard Spektr-RG (SRG)”. Max Planck Institute for extraterrestrial Physics (2022年ねん6月がつ7日にち). 2022年ねん7月がつ13日にち閲覧えつらん。
  8. ^ "eROSITA Science Book: Mapping the Structure of the Energetic Universe". 20 September 2012. arXiv:1209.3114 [astro-ph.CO]。
  9. ^ Predehl (2019年ねん6月がつ11日にち). “Revealing the Beauty of the Hidden Universe: eROSITA sees first light”. Max Planck Institute for Extraterrestrial Physics. 2020年ねん6月がつ19日にち閲覧えつらん。
  10. ^ Merloni (2020年ねん6月がつ19日にち). “Our deepest view of the X-ray sky”. Max Planck Institute for Extraterrestrial Physics. 2020年ねん6月がつ19日にち閲覧えつらん。
  11. ^ Merloni (2020年ねん6月がつ19日にち). “Presskit for the eROSITA First All-Sky Survey”. Max Planck Institute for Extraterrestrial Physics. 2020年ねん6月がつ19日にち閲覧えつらん。
  12. ^ Amos (2020年ねん6月がつ19日にち). “Breathtaking new map of the X-ray Universe”. BBC News. 2020年ねん6月がつ19日にち閲覧えつらん。

外部がいぶリンク

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