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Iがたインターフェロン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
interferon beta, Human.

Iがたインターフェロン(いちがた―)(えい:type I interferon)とは、インターフェロンファミリーのうち、インターフェロンαあるふぁ英語えいごばん(IFN-αあるふぁ)とインターフェロンβべーた英語えいごばん(IFN-βべーた)などをふくめた総称そうしょうで、ウイルス感染かんせん誘導ゆうどうされるこうウイルスけいサイトカインである。「Iがた」という名前なまえは、免疫めんえきけい細胞さいぼうによって分泌ぶんぴつされマクロファージ活性かっせいするIIがたインターフェロン(IFN-γがんま)などと区別くべつするための呼称こしょうであるが、一般いっぱんに「インターフェロン」というとIがたインターフェロンのことをす。インターフェロン自体じたいは、あるウイルスを感染かんせんさせた細胞さいぼうべつのウイルスを感染かんせんさせると、から感染かんせんさせたウイルスの増殖ぞうしょくおさえられる「ウイルス干渉かんしょう」とばれる現象げんしょうにおける干渉かんしょう物質ぶっしつとしてつかったものである。

機能きのう

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Iがたインターフェロンのおも機能きのうとしては、

  • (1)ウイルス複製ふくせい抑制よくせいすることで、細胞さいぼうのウイルス抵抗ていこうせい上昇じょうしょうさせる
  • (2)ウイルス感染かんせん細胞さいぼうMHCクラスI分子ぶんし発現はつげん増加ぞうかさせ、NK細胞さいぼう攻撃こうげきから保護ほごする
  • (3)NK細胞さいぼう活性かっせいさせてウイルス感染かんせん細胞さいぼう除去じょきょする

という3つである。 まず、Iがたインターフェロンが細胞さいぼう結合けつごうすると、(2'-5')オリゴアデニルさん合成ごうせい酵素こうそけいプロテインキナーゼけい活性かっせいする。(2'-5')オリゴアデニルさん合成ごうせい酵素こうそけい(2-5ASけい)では、通常つうじょう3'-5'のかたち結合けつごうしているATPを2'-5'結合けつごうオリゴマーに重合じゅうごうさせることでエンドヌクレアーゼであるRNaseLを活性かっせいしウイルスのmRNA分解ぶんかいする。一方いっぽうプロテインキナーゼけいでは、翻訳ほんやく開始かいし因子いんし eIF2αあるふぁ(eIF2S1)をリン酸化さんかすることでウイルスペプチドくさり合成ごうせい開始かいし阻止そしする。このほかにもインターフェロンはこうウイルス活性かっせいしめ遺伝子いでんし誘導ゆうどうする。その遺伝子いでんしの1つとしてMxA(myxovirus resistance A)がある。MxAはウイルス感染かんせん細胞さいぼうにおけるアポトーシス促進そくしんとウイルス増殖ぞうしょく抑制よくせいうながすが、これはMxAがしょう胞体ストレスこすことによるものだとかんがえられている[1]うえべたような直接的ちょくせつてきこうウイルス活性かっせいほかに、Iがたインターフェロンはウイルス感染かんせん細胞さいぼうのMHCクラスI分子ぶんし発現はつげんたかめることでNK細胞さいぼうから正常せいじょう細胞さいぼう保護ほごしている。というのも、NK細胞さいぼうはウイルスによってMHCの発現はつげん抑制よくせいされたり、立体りったいはい(コンフォメーション)を変更へんこうさせられたMHCを細胞さいぼう攻撃こうげきする一方いっぽう正常せいじょうのMHCクラスI分子ぶんしっている細胞さいぼうたいしてはNK細胞さいぼう抑制よくせいせいのシグナルがはい攻撃こうげきおこなわないからである。この一方いっぽうで、IがたインターフェロンはNK細胞さいぼう活性かっせいする役割やくわりになっている。ここで活性かっせいされたNK細胞さいぼうはウイルス感染かんせん細胞さいぼう除去じょきょするとともにインターフェロンγがんまIFN-γがんま)を放出ほうしゅつすることでT細胞さいぼう依存いぞんせい細胞さいぼう傷害しょうがい誘導ゆうどうする。

インターフェロン放出ほうしゅつまでのシグナル

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Iがたインターフェロンの発現はつげんしゅとしてウイルスがつく2ほんくさりRNAdsRNA)をエンドソームうちTLR3細胞さいぼうちゅうRIG-IMDA5認識にんしきすることにより誘導ゆうどうされる。TLR3は病原びょうげんたいのタイプを認識にんしきするTollさま受容じゅようたい(Toll-like receptor)の1つでエンドソームまくじょう存在そんざいし、2ほんくさりRNA認識にんしきするとアダプター分子ぶんしTRIFかいしてインターフェロン制御せいぎょ因子いんし(interfron regulatory factor: IRF)の1しゅであるIRF3とIRF7を活性かっせいする。ただ、ウイルスのRNAの合成ごうせい細胞さいぼうしつないおこなわれるのでエンドソームじょう受容じゅようたいがあるよりも細胞さいぼうしつないにウイルスRNAを感知かんちできる分子ぶんしがあったほう合理ごうりてきである。実際じっさいそのような役割やくわりになっているのがRIG-I(retinoic acid-inducible gene-I)とMDA5(melanoma differentiation-associated antigen 5)である。これら2つの分子ぶんしはともに2ほんくさりRNAに結合けつごうするためのRNAヘリカーゼさまドメインとつぎ分子ぶんしにシグナルをつたえるためのCARDドメインをつ。RIG-IやMDA5が2ほんくさりRNAに結合けつごうするとおなじCARDドメインをCARDIF(CARD adaptor inducing IFN-βべーた)をかいしてIRF3やIRF7を活性かっせいしインターフェロンαあるふぁ、インターフェロンβべーたさんせいうながす。

インターフェロン放出ほうしゅつのシグナル

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IがたインターフェロンのシグナルはJAK/STATけいばれるかたちつたえられる。これはまず、インターフェロンがその受容じゅようたいであるIFNAR結合けつごうすると、そのちかくにある受容じゅよう体型たいけいチロシンキナーゼのJAK(ヤヌスキナーゼ)がリン酸化さんかされることで活性かっせいする。つぎ活性かっせいしたJAKがSTAT(シグナル伝達でんたつけん転写てんしゃ活性かっせい因子いんし)をリン酸化さんかする。そしてリン酸化さんかされたSTATはりょうからだ形成けいせいかくない移行いこうして標的ひょうてき遺伝子いでんし転写てんしゃ活性かっせいするのである。

参考さんこう文献ぶんけん

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  • ささがつ 健彦たけひこ 監訳かんやく K.マーフィー ちょ: Janeway's 免疫めんえき生物せいぶつがく 原書げんしょだい7はん ISBN 978-4-524-25319-7
  • 高田たかだ けんぞう: 医科いかウイルスがく改訂かいていだいはんISBN 9784524240227

出典しゅってん

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  1. ^ IFN誘導ゆうどうせい因子いんしヒトMxAの細胞さいぼう促進そくしん活性かっせいこうウイルス機構きこう解析かいせき筑波大学つくばだいがく学位がくい論文ろんぶん要旨ようし日本語にほんご