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ISO 16949

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ISO 16949とは、自動車じどうしゃ産業さんぎょうけの品質ひんしつマネジメントシステム (QMS) の技術ぎじゅつ仕様しようである。

概要がいよう

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2013ねん時点じてんはんISO/TS 16949:2009であり、名称めいしょうは「品質ひんしつマネジメントシステム - 自動車じどうしゃ製造せいぞう関連かんれんする交換こうかん部品ぶひんたずさわる組織そしきにISO 9001:2008を適用てきようするさい要求ようきゅう事項じこう」(Quality management systems —Particular requirements for the application of ISO 9001:2008 for automotive production and relevant service part organizations)という。TSは技術ぎじゅつ仕様しよう(Technical Specification)意味いみする。ここで品質ひんしつマネジメントシステムというのは、たん顧客こきゃく要求ようきゅう事項じこうたすだけでなく、継続けいぞくてき改善かいぜん良品りょうひんができることを防止ぼうしすること、製品せいひん統計とうけいてきばらつき減少げんしょうサプライチェーンにおける無駄むだ排除はいじょ確実かくじつなものにするシステムである。自動車じどうしゃ業界ぎょうかいにおいて製品せいひんやサービスを供給きょうきゅうする組織そしきが、そのようなシステムを運用うんようしていくことをささえることがISO/TS 16949 の目的もくてきである[1]

2016ねん改正かいせい

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ISO/TS 16949:2009は、2016ねん10月にIATF 16949:2016改正かいせいされた[2][3]

ISO/TS 16949制定せいていまでの歴史れきし

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ISO/TS 16949の制定せいてい以前いぜん

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自動車じどうしゃ大量たいりょう生産せいさんはじまってしばらくのあいだは、部品ぶひん完成かんせいしゃメーカー自身じしん製造せいぞうするれいおおかった。たとえば、フォードが1927ねん建設けんせつしたデトロイトのルージュ工場こうじょう溶鉱炉ようこうろそな原料げんりょうから完成かんせいしゃまで一貫いっかんして自動車じどうしゃ製造せいぞうしていた[4]

しかし、現代げんだいにおいては、おおくの完成かんせいしゃ工場こうじょうは、鋼板こうはんからパネルをくプレス工程こうてい、そのパネルをつなげてボディに仕上しあげる溶接ようせつ組立くみたて工程こうてい、このボディにいろ塗装とそう工程こうてい、ボディに部品ぶひんけていく組立くみたて工程こうていの4つの主要しゅよう工程こうていからなっている。その自社じしゃのエンジン工場こうじょうべつにあることはおおい。つまり、個々ここ部品ぶひんについて場合ばあい自動車じどうしゃ完成かんせいしゃメーカーがみずか製造せいぞうしている部品ぶひんはボディやエンジンブロックなど極少きょくしょうすう部品ぶひんにすぎない。自動車じどうしゃ構成こうせいするほとんどの部品ぶひん外部がいぶのサプライヤーが製造せいぞうし、それを完成かんせいしゃメーカーが完成かんせいしゃ工場こうじょうやエンジン工場こうじょうけているのである。したがって、個々ここ部品ぶひん品質ひんしつやサプライヤーの品質ひんしつマネジメントシステムを管理かんりすることは、完成かんせいしゃメーカーにとって重要じゅうようなテーマのひとつとなっている。

完成かんせいしゃメーカーは、ふるくからサプライヤーにたいする品質ひんしつ管理かんり体制たいせい監査かんさ実施じっししてきた。たとえば、1964ねんにフォードはQ101を、ゼネラル・モータースはSPEAR(Supplier Performance and Evaluation Report)をさだめ、サプライヤーにたいする監査かんさはじめている[5] 。また、1980年代ねんだい日本にっぽん自動車じどうしゃメーカーの製品せいひんが、その品質ひんしつさでアメリカの市場いちば浸透しんとうしてくるようになると、アメリカの完成かんせいしゃメーカーはペンタ・スター(クライスラー)、Q1(フォード)、ターゲット・フォー・エクセレンス(ゼネラル・モータース)というようなサプライヤーの品質ひんしつ管理かんり体制たいせいたいするしょうもうけた[6] 。サプライヤーを表彰ひょうしょうすることで、サプライヤーを評価ひょうかし、サプライヤーの関心かんしん品質ひんしつ向上こうじょうけるようにしたのである。

一方いっぽうで、完成かんせいしゃメーカー各社かくしゃがそれぞれ独自どくじ品質ひんしつ保証ほしょう体制たいせいをサプライヤーに要求ようきゅうすると、サプライヤーは取引とりひきのある完成かんせいしゃメーカーすべてに対応たいおうする仕組しくづくりが必要ひつようとなり、大変たいへんおおきな負担ふたんがかかる。具体ぐたいてきには以下いかのような問題もんだいがあげられる[7]

  • たような個別こべつ規格きかく拡散かくさんしていること。
  • 要求ようきゅうされる書類しょるいことなること。
  • さまざまな監査かんさ完成かんせいしゃメーカーそれぞれがおこなうこと。
  • 用語ようご共通きょうつうでないこと。
  • おなかんがかたたい複数ふくすう用語ようごがもちいられること。
  • おな用語ようごことなる意味いみがあること。
  • 完成かんせいしゃメーカーごとに評価ひょうか方法ほうほうがちがうこと。

このことはティア2サプライヤー[注釈ちゅうしゃく 1]場合ばあい状況じょうきょうはさらにわるくなり、完成かんせいしゃメーカーの規格きかくだけでなく、それにかくティア1サプライヤーの独自どくじ規格きかくくわわってくるのである。

このような問題もんだい解決かいけつするために自動車じどうしゃ業界ぎょうかい統一とういつした品質ひんしつマネジメント規格きかくもとめられた。アメリカでは、そのような要望ようぼうこたえてビックスリーが中心ちゅうしんとなって統一とういつ品質ひんしつマネジメント規格きかくQS-9000を制定せいていした。1988ねんさんしゃ購買こうばい担当たんとうふく社長しゃちょう統一とういつ規格きかくやマニュアルの作成さくせい合意ごういし、QS-9000は1994ねん出来上できあがった[8] 。これは、ISO 9000:1994 の4しょうもとに、各社かくしゃのペンタ・スター、Q101、ターゲット・フォー・エクセレンスの要求ようきゅう事項じこう網羅もうらするように発展はってんさせたものである。QS-9000と一緒いっしょにサプライヤーにもとめる品質ひんしつ管理かんり方法ほうほう手順てじゅんもまとめられ、アメリカ自動車じどうしゃ工業こうぎょうかい(AIAG)生産せいさん部品ぶひん承認しょうにんプロセス(PPAP)統計とうけいてきプロセス制御せいぎょ(SPC)測定そくていシステム解析かいせき(MSA)故障こしょうモード影響えいきょう解析かいせき(FMEA)先行せんこう製品せいひん品質ひんしつ計画けいかく(APQP)という5さつ手引てびきしょ発行はっこうした。これらの手引てびきしょはQS-9000とセットで品質ひんしつマネジメントシステムの要求ようきゅう事項じこうをなすもので、ファイブ・コアツールとばれている。QS-9000がISO/TS 16949にわった現在げんざいでも、アメリカけいのメーカーはこの5さつ手引てびきしょをISO/TS 16949に添付てんぷする顧客こきゃく固有こゆう要求ようきゅう事項じこうとしてサプライヤーへの品質ひんしつマネジメントシステムの要求ようきゅう事項じこう一部いちぶにしている。

ドイツでは、1991ねんにドイツ自動車じどうしゃ工業こうぎょうかい(VDA:Verband der Automobilindustrie)がVDA6.1制定せいていした。VDAはダイムラーBMWといった完成かんせいしゃメーカーと、ボッシュコンチネンタルというような部品ぶひんメーカーなど、2013ねん現在げんざい600以上いじょう企業きぎょう加盟かめいする業界ぎょうかい団体だんたいである[9] 。VDAは1901ねんにVDMI(Verein Deutscher Motorfahrzeug-Industrieller)の名前なまえ組織そしきされ、1946ねんにVDAと名前なまええて[10]現在げんざいいた組織そしきである。このVDAの作成さくせいしたVDA6.1はDIN EN ISO 9004:1990をもとにした自動車じどうしゃ産業さんぎょうけのチェックシートで、業界ぎょうかいないでの統一とういつしたISO 9004 の解釈かいしゃくしめし、共通きょうつう方法ほうほうでサプライヤーの品質ひんしつマネジメントシステムの監査かんさができるようにつくられたものである[11] 。VDAもファイブ・コアツールに相当そうとうするような様々さまざま手引てびきしょをまとめており、ドイツけいのメーカーではVDAのまとめた手引てびきしょ(一般いっぱんにVDAのまとめた手引てびきしょ基準きじゅんしょ自身じしんもVDAとばれる)にもとづくようにもとめている。ただし、AIAGのファイブ・コアツールもVDAも主要しゅよう内容ないようはほとんどおなじである。

イタリアでは、イタリア自動車部品工業じどうしゃぶひんこうぎょうかい(ANFIA: Associazione Naionale Fra Industrie Automobilistiche)がAVSQ(Associazione Nazionale dei Valutatori di Sistemi Qualita: 品質ひんしつシステム評価ひょうか)を1994ねん制定せいていした。これは、ISO 9001:1994 をもとにしたチェックリストであり、質問しつもんごとに自動車じどうしゃ業界ぎょうかいでその質問しつもん内容ないようをどのように導入どうにゅうするかというガイドラインもしるされている。AVSQのだいさんはんでは、VDA6.1、EAQF(フランスの品質ひんしつシステム規格きかく後述こうじゅつ)、ISO 9004-1:1994の内容ないようれられ、AVSQの認証にんしょうはVDA6.1やEAQFの認証にんしょう同等どうとうとされていた[12]

フランスでは、PSA・プジョーシトロエンルノーがEAQF(Référentiel d'Evaluation d'Aptitude qualité fournisseurs: サプライヤー品質ひんしつ能力のうりょく調査ちょうさ参照さんしょう資料しりょう)を1990ねん発行はっこうした[12] 。これはISO 9001のだい4せつもとに、ISO 9001 を自動車じどうしゃ産業さんぎょう適用てきようするための指針ししん追加ついか要求ようきゅう事項じこうくわえたものである。1994ねんにVDA6.1の内容ないようれて、大幅おおはば改定かいていされた(EAQF: Evaluation d'Aptitude qualité fournisseurs/サプライヤー品質ひんしつ能力のうりょく調査ちょうさ)。

ISO/TS 16949の制定せいてい

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たとえば、ゼネラル・モータースが1926ねんにイギリスのボクスホールや1930ねんアダム・オペル傘下さんかおさめたように、国境こっきょうえて企業きぎょう買収ばいしゅうすることはむかしからおこなわれてきた。企業きぎょう買収ばいしゅうするだけでなく国籍こくせきちが完成かんせいしゃメーカー同士どうしがさまざまなかたち共同きょうどう生産せいさん開発かいはつ(NPD)をおこなうこともめずらしくない。すると、たとえばアメリカのQS-9000認定にんていサプライヤーが、VDA 6、AVSQ、EAQF にも同時どうじ対応たいおうしなければならないこともあることになる。こくごとに統一とういつした自動車じどうしゃ産業さんぎょうけの品質ひんしつマネジメントシステムが出来上できあがったものの、サプライヤーが国境こっきょうえて部品ぶひん供給きょうきゅうするために、さらなる規格きかく統一とういつもとめられた。そこで欧米おうべい主要しゅよう自動車じどうしゃ生産せいさんこく自動車じどうしゃ工業こうぎょうかいかくメーカーがIATF(国際こくさい自動車じどうしゃタスクフォース)結成けっせいし、ISO/TS 176 委員いいんかい協力きょうりょくのもとに統一とういつ品質ひんしつ管理かんりシステムの仕様しようである ISO/TS 16949:1999 を作成さくせいした。

だいはんにあたる ISO/TS 16949:2002 の改定かいていには日本にっぽん自動車じどうしゃ工業こうぎょうかい(JAMA)参加さんかした(日系にっけい完成かんせいしゃメーカーは参加さんかしていない)が、2013ねん現在げんざいはんであるだいさんはん ISO/TS 16949:2009 の改定かいていには日本にっぽん自動車じどうしゃ工業こうぎょうかい参加さんかしなかった。

QS-9000はISO/TS16949に統合とうごうし、2006ねん12月15にち以降いこう無効むこうとなった。

ISO/TS 16949 の特徴とくちょう

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ISO/TS 16949 やその前身ぜんしんえる QS 9000 やVDA 6 がまとめられるまえから、TQMというかんがえがあった。元々もともとは1950年代ねんだいから1960年代ねんだいにかけてエドワーズ・デミング日本にっぽんひろめた品質ひんしつ管理かんりかんがかたもとになっている。しかし、TQMはどちらかといえば観念かんねんてきもので、具体ぐたいてき品質ひんしつマネジメントシステムを導入どうにゅうするためのガイドラインとはならなかった[13]。このてんかんしてISO/TS 16949 およびその基礎きそになっているISO 9001 や QS-9000 などは、もともとしょう取引とりひき有利ゆうりなものにすることを想定そうていしているので、品質ひんしつマネジメントシステムの具体ぐたいてき実現じつげん方法ほうほう手引てびきとしててきしている[14]

また、ISO/TS 16949 は、その前身ぜんしんひとつである QS-9000 にたいして、顧客こきゃく満足まんぞく社員しゃいん満足まんぞくあつかいに特徴とくちょうがある[15]。ISO/TS 16949:2002から、顧客こきゃく満足まんぞくについては、要求ようきゅう事項じこうへの適合てきごう度合どあいを顧客こきゃくがどのように認識にんしきしているかを継続けいぞくてき確認かくにんする方法ほうほう確立かくりつしなければならないことが規定きていされた[16] 。この項目こうもくはISO 9000:2000のアップデートでれられたものがそのまま ISO/TS 16949:2002 にれられたものである。ISO/TS 16949:2002 ではさらに製造せいぞう工程こうていのパフォーマンスを継続けいぞくてき確認かくにんすることや、製造せいぞう工程こうてい製品せいひん顧客こきゃく要求ようきゅう事項じこう合致がっちしていることをしめすことが明示めいじてき規定きていされている[17]

社員しゃいん満足まんぞくについては、QS-9000 ではまったくれられていないが、ISO/TS 16949:1999では社員しゃいん満足まんぞく調しらべる仕組しくみをととのえることが規定きていされ[15]、ISO/TS 16949:2002では、品質ひんしつ目標もくひょう達成たっせいすることや、継続けいぞくてき改善かいぜん活動かつどうおこなうこと、あたらしいアイデアをれることなどに社員しゃいん積極せっきょくてきむようにうなが仕組しくみをつくることを規定きていしている[18]

ISO/TS 16949 の構成こうせい

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ISO/TS 16949は、ISO 9001の本文ほんぶんとそれにたいするやく100項目こうもく追加ついか項目こうもくからなっている。たとえばISO 9001:2008に「6.4 労働ろうどう環境かんきょう」という項目こうもくがある。

6.4 Work environment
The organization shall determine and manage the work environment needed to achieve conformity to product requirements. --ISO 9001:2008

6.4 労働ろうどう環境かんきょう
製品せいひんたいする要求ようきゅう事項じこうたすために必要ひつようとなる労働ろうどう環境かんきょうを、組織そしき規定きていし、管理かんりしなければならない。 --ISO 9001:2008(引用いんようしゃやく)

この項目こうもくももちろんISO/TS 16949の要求ようきゅうする要求ようきゅう項目こうもくひとつであり、ISO 9001の要求ようきゅう事項じこうはすべて ISO/TS 16949の本文ほんぶんにそのまま引用いんようされている。IATFはここに「6.4.1 製品せいひんたいする要求ようきゅう事項じこう合致がっちさせるさいひと安全あんぜん」と「6.4.2 清潔せいけつ施設しせつ」の2項目こうもくくわえている。6.4.1こうでは作業さぎょうおこな従業じゅうぎょういん安全あんぜんたいして組織そしき責任せきにんつことを規定きていし、6.4.2こうでは施設しせつ秩序ちつじょある清潔せいけつ状態じょうたいたもつこと(一般いっぱんてきには、いわゆる5Sす)をもとめている。どちらもISO 9001:2008では明示めいじてきもとめられていない項目こうもくである。このようにISO 9001にたいして ISO 9001の内容ないよう追加ついかしたり、補足ほそくしたり、適用てきよう限定げんていしたりする項目こうもく追加ついかすることでISO/TS 16949が構成こうせいされている。

また、ISO/TS 16949は、ISO/TS 16949本文ほんぶんだけでなく、顧客こきゃく固有こゆう要求ようきゅう事項じこうばれる完成かんせいしゃメーカーごとに作成さくせいする別冊べっさつわせて基本きほんてき要求ようきゅう事項じこう全体ぜんたいをなす[19]前述ぜんじゅつのとおりファイブ・コアツールなどの関連かんれん文書ぶんしょ参照さんしょうするようにもとめているのは、顧客こきゃく固有こゆう要求ようきゅう事項じこうである。また、ISO/TS 16949本文ほんぶん内容ないようをさらに具体ぐたいてき規定きていもしている。たとえばフォードは、レイアウト・インスペクション[注釈ちゅうしゃく 2]もとめているISO/TS 16949:2009本文ほんぶんの8.2.4.1こうたいして、それぞれの製品せいひんについてレイアウト・インスペクションをとしいちかいおこなうように顧客こきゃく固有こゆう要求ようきゅう事項じこう追記ついきしている[20]顧客こきゃく固有こゆう要求ようきゅう事項じこうであるから、この部分ぶぶん当然とうぜん完成かんせいしゃメーカーによってちがいがあり、たとえばゼネラル・モータースはおなじレイアウト・インスペクションにたいして、頻度ひんどとく規定きていしない、と明記めいきしている[21]

ISO/TS 16949 の内容ないよう

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ISO/TS 16949 は ISO 9001をもとにした共通きょうつう仕様しようであるので、基本きほんてき内容ないようはISO 9001とおなじである。たとえば品質ひんしつマネジメントの8つの原則げんそくは、そのまま ISO/TS 16949 にもてはまる。品質ひんしつマネジメント8つの原則げんそくとは以下いか原則げんそくのことである。

  1. 顧客こきゃく重視じゅうし(Customer focus)
  2. リーダーシップ(Leadership)
  3. 人々ひとびと参画さんかく(Involvement of people)
  4. プロセスアプローチ(Process approach)
  5. マネジメントへのシステムアプローチ(System approach to management)
  6. 継続けいぞくてき改善かいぜん(Continual improvement)
  7. 意思いし決定けっていへの事実じじつもとづくアプローチ(Factual approach to decision making)
  8. 供給きょうきゅうしゃとの互恵ごけい関係かんけい(Mutually beneficial supplier relationships)

これらの原則げんそく実施じっしされていることをしめし、また組織そしき周知しゅうちさせることは経営けいえいしゃのなすべきことであり[22] 、ISO/TS 16949 のかく要求ようきゅう事項じこうは、これらの原則げんそくのどれかにかなら対応たいおうしている[23]

あきらても ISO 9001 とまったくおなじである。

0しょう 序文じょぶん
ISO 9001の当該とうがい部分ぶぶんとほとんどおなじであるが、ISO/TS 16949 が目指めざしているのは、継続けいぞくてき改善かいぜん良品りょうひん予防よぼう、ばらつきはば減少げんしょうおよ無駄むだ削減さくげん実現じつげんする品質ひんしつマネジメントシステムの構築こうちくであることがべられ、いくつもの認証にんしょうけることをけるための統一とういつ仕様しようであることが付記ふきされている[24]
1しょう 適用てきよう範囲はんい
これもISO 9001の当該とうがい部分ぶぶんとほとんどおなじであるが、デザインセンター、本社ほんしゃ倉庫そうこ配送はいそうセンターというような部門ぶもんは、それが製造せいぞう工場こうじょうべつ場所ばしょにあっても、製造せいぞう工場こうじょうのサポート部門ぶもん位置いちづけられ、このサポート部門ぶもん単独たんどくで ISO/TS 16949 の認証にんしょうけることはできない。また、ISO 9001 は製造せいぞうぎょう組織そしき適用てきようすることを想定そうていして、だい7しょう 製品せいひん実現じつげん適用てきようしないことをゆるしている[25]が、ISO/TS 16949 は表題ひょうだいにもあるとおり、最初さいしょから製造せいぞうたずさわる組織そしきへの適用てきよう想定そうていしているので、適用てきよう除外じょがいできるのは 7.3しょう 設計せっけい開発かいはつ のみとしている[26] 。これは完成かんせいしゃメーカーや上位じょういのサプライヤーが設計せっけい担当たんとうし、製造せいぞうだけを当該とうがい組織そしきまかせる場合ばあいがあるからである。7.3しょう除外じょがいしたとしても、製造せいぞうプロセスの設計せっけい除外じょがいできない[26]
2しょう 関連かんれん規格きかく
ISO 9001からの引用いんようであり、ISO 9000「品質ひんしつマネジメントシステム-基礎きそ用語ようご」の最新さいしんばん必要ひつよう参照さんしょう規格きかくであることがべられている。ISO/TS 16949:2009でこれにくわえられている追加ついか項目こうもくはない。
3しょう 用語ようご定義ていぎ
コントロールプラン、 重要じゅうよう特性とくせい(special characteristics)などISO/TS 16949 で使つかわれている12の用語ようご定義ていぎしている。
4しょう 品質ひんしつマネジメントシステム
このしょうでは品質ひんしつマネジメントシステム全体ぜんたいたいする基本きほんてき要求ようきゅう事項じこう規定きていしている。システムの個別こべつ要素ようそたいする5しょう以下いか内容ないよう重複じゅうふくしている部分ぶぶんもある。ISO/TS 16949:2002 以降いこうはんでは、文書ぶんしょよりも、プロセスそのものに比重ひじゅううつしており、このしょうでも効率こうりつてきなマネジメントシステムづくりに重要じゅうよう要素ようそ規定きていしている[27]
5しょう 経営けいえいしゃ責任せきにん
このしょうでは経営けいえいしゃ責任せきにん規定きていしている。なによりも、品質ひんしつマネジメントシステムを構築こうちくしそれを適用てきようしていくことに経営けいえいしゃふかくかかわってることをしめさなければならない。具体ぐたいてきには、顧客こきゃく必要ひつよう期待きたいをつかみ、それをんで方針ほうしん作成さくせいし、具体ぐたいてき目標もくひょう設定せっていし、実現じつげんのために社内しゃない環境かんきょうととのえることに経営けいえいしゃ参加さんかすることが必要ひつようである。また、これらのことが実際じっさい実現じつげん達成たっせいできているかどうかレビューすることも経営けいえいしゃもとめている。
6しょう 資源しげん運用うんよう管理かんり
資源しげんひとつであるひとについては、ポジションに必要ひつよう能力のうりょくをまず規定きていすることがもとめられている。能力のうりょくとはたん学歴がくれきとか資格しかくということではなく、そのポジションの業務ぎょうむげる力量りきりょうのことである[28]設計せっけいにかかわるポジションの能力のうりょくについては、とくにこのことが明示めいじてきもとめられている[29]労働ろうどう環境かんきょう工場こうじょう設備せつびがどうあるべきかについてもこのしょう規定きていしている。
7しょう 製品せいひん実現じつげん
もっとも分量ぶんりょうおおしょうである。実際じっさい製品せいひん製造せいぞうする過程かてい企画きかく設計せっけい開発かいはつ購買こうばい製造せいぞう確認かくにん測定そくていけて、それぞれがどうあるべきかを規定きていしている。ISO/TS 16949 では、製品せいひん設計せっけいおよび工程こうてい設計せっけい成果せいかひとつとしてFMEAがふくまれることを具体ぐたいてきべている[30] 。また製品せいひん実現じつげん顧客こきゃく必要ひつよう要求ようきゅう実現じつげんする過程かていでもあり、顧客こきゃく必要ひつよう要求ようきゅう合致がっちさせるための仕組しくみをつくるべきであることも規定きていしている。
8しょう 測定そくてい分析ぶんせき改善かいぜん
(1) 製品せいひん要求ようきゅう項目こうもく合致がっちしていることをしめすため、(2) 品質ひんしつマネジメントシステムがしかるべきものであることを確認かくにんするため、さらに、(3) 品質ひんしつマネジメントシステムの効率こうりつつね改善かいぜんするために、測定そくてい分析ぶんせき改善かいぜん仕組しくみをととのえなければならないとしている[31]測定機そくていき管理かんり仕組しくみについては、前章ぜんしょう規定きていされている[32]

ISO 9001のしょうてにくわえて、ISO/TS 16949 では附則ふそくAとして、コントロールプランの書式しょしき規定きていしている。コントロールプランとは、製造せいぞう工程こうていにそって、どの工程こうていで、どの項目こうもくを、どのように、どれくらいの頻度ひんど確認かくにんするかをまとめた一覧いちらんひょうである。ISO/TS 16949 ではコントロールプランを製造せいぞう工程こうてい部品ぶひん材料ざいりょうについてかなら作成さくせいするようにめられている[33]。AIAGのファイブコアツールの手引てびきしょなかでは、APQPの手引てびきしょでコントロールプランについてよりくわしく解説かいせつしている。

おも認証にんしょう機関きかん

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 完成かんせいしゃメーカー(OEMばれる)に直接ちょくせつ製品せいひんおさめるサプライヤーをティア1 (Tier 1) といい、ティア1サプライヤーに製品せいひんおさめる会社かいしゃをティア2 (Tier 2) という。
  2. ^ 設計せっけい記録きろくのこっているすべての寸法すんぽう - 図面ずめん記載きさいされているすべての寸法すんぽうなど - を測定そくていすること。

出典しゅってん

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  2. ^ IATF 16949:2016, accessed 21 February 2021
  3. ^ IATF 16949:2016”. Automotive Industry Action Group (AIAG) (2016ねん10がつ3にち). 2016ねん11月11にち閲覧えつらん
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  6. ^ D. Hoyle, pp.100-101.
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  8. ^ QS-9000:1998, FOREWORD TO FIRST EDITION
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  10. ^ VDA - History
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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 菱沼ひしぬま雅博まさひろ『ISO/TS16949:2009 解説かいせつ適用てきようガイド』日本にっぽん規格きかく協会きょうかい,2010ねん3がつ
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  • ISO 9001:2008 Quality management systems - Requirements.
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