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麻疹ましん風疹ふうしん混合こんごうワクチン

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MRワクチンから転送てんそう

麻疹ましん風疹ふうしん混合こんごうワクチン(ましん・ふうしんこんごうワクチン、MRワクチン)とは、従来じゅうらい麻疹ましん(Measles)・風疹ふうしん(Rubella)ワクチンを混合こんごうした2ワクチンである。

2005ねん6がつ承認しょうにんされ、2006ねん4がつから日本にっぽん定期ていき接種せっしゅとして接種せっしゅ開始かいしされた。なお、世界せかいでは、MRワクチンを定期ていき接種せっしゅしている国家こっか極少きょくしょうすうで、流行りゅうこうせい耳下腺炎じかせんえん(おたふく風邪かぜ)をふくめたしん三種さんしゅ混合こんごうワクチン(MMRワクチン)の予防よぼう接種せっしゅ実施じっししている。

沿革えんかく

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麻疹ましんのワクチンの接種せっしゅじょうきょう(2010ねん
麻疹ましん障害しょうがい調整ちょうせい生命せいめいねん(2002ねん人口じんこう10まんにんたり)
  no data
  ≦10
  10~25
  25~50
  50~75
  75~100
  100~250
  250~500
  500~750
  750~1000
  1000~1500
  1500~2000
  ≧2000

1988ねん昭和しょうわ63ねん)から、日本にっぽん定期ていき接種せっしゅ開始かいしされた麻疹ましん流行りゅうこうせい耳下腺炎じかせんえん風疹ふうしん混合こんごうワクチンしん三種さんしゅ混合こんごうワクチン、MMRワクチン)は、大阪大学おおさかだいがく微生物びせいぶつびょう研究所けんきゅうじょ占部うらべかぶムンプスワクチン原因げんいんとする無菌むきんせいずいまくえん発症はっしょうりつ想定そうてい以上いじょうたかかったため1993ねん平成へいせい5ねん)に予防よぼう接種せっしゅ中止ちゅうしした。

その、MMRワクチンから占部うらべかぶムンプスワクチンをのぞいたMRワクチンが、2005ねん平成へいせい17ねん)6がつ日本にっぽん認可にんかされた。

実際じっさい接種せっしゅは、2006ねん平成へいせい18ねん)4がつからであり、あわせて改正かいせいされた予防よぼう接種せっしゅほうにより、だい1まん1さい~2さい未満みまん)、だい2就学しゅうがくまえの1年間ねんかん)の2かい接種せっしゅほうにて定期ていき接種せっしゅとされた。

MRワクチン開発かいはつおよび2かい接種せっしゅ理由りゆう

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  • 女性じょせい社会しゃかい進出しんしゅつともない、乳幼児にゅうようじ集団しゅうだん保育ほいく増加ぞうかしていること。また、集団しゅうだん保育ほいく機会きかい増加ぞうかもとめられていること:集団しゅうだん保育ほいくは、その当然とうぜん帰結きけつとして感染かんせんしょう罹患りかん機会きかい増加ぞうかさせることとなる。そのため、感染かんせんりょくつよ疾病しっぺい予防よぼうさく強化きょうかしたいという需要じゅようしょうじた。また、げん感染かんせんしょう罹患りかんしているさいにはワクチン接種せっしゅけられないため、ワクチン計画けいかく全体ぜんたいでの接種せっしゅ回数かいすうはなるべくすくないほうがよい。そのため、2しゅのワクチンを別個べっこ接種せっしゅするよりも、混合こんごう接種せっしゅしたほうが有利ゆうりである。
  • 麻疹ましん風疹ふうしん流行りゅうこう減少げんしょうしたことにより、ワクチンすんで接種せっしゅしゃ麻疹ましん風疹ふうしん患者かんじゃ接触せっしょくする機会きかい減少げんしょうし、ワクチン接種せっしゅ長期間ちょうきかん経過けいかすることによって抗体こうたい低下ていかこっていること:ワクチンすんで接種せっしゅしゃでは、その対象たいしょうウイルスに接触せっしょくすることによりさらに抗体こうたい上昇じょうしょうする(ブースター効果こうか)。しかし麻疹ましん風疹ふうしん流行りゅうこう減少げんしょうしたため、ブースター効果こうかられず、成人せいじんするころには感染かんせん防御ぼうぎょ十分じゅうぶん抗体こうたいゆうさないもの増加ぞうかしているとかんがえられる。
    • 2006ねん関東かんとう地方ちほう一部いちぶ地域ちいきで、ワクチンすんで接種せっしゅしゃ麻疹ましん修飾しゅうしょく麻疹ましん)が流行りゅうこうし、2018ねん8がつ風疹ふうしん流行りゅうこう東京とうきょう千葉ちばけんきているとほうじられたのも、このような背景はいけいがあってのことである。2かい接種せっしゅおこなうことでブースター効果こうか発生はっせいさせ、抗体こうたい上昇じょうしょうねらいがある。
  • 先天せんてんせい風疹ふうしん症候群しょうこうぐん危険きけんせい先天せんてんせい風疹ふうしん症候群しょうこうぐんは、妊娠にんしん初期しょき中期ちゅうきにん風疹ふうしん罹患りかんすることにより、胎児たいじ白内障はくないしょう先天せんてんせいこころ疾患しっかん難聴なんちょう精神せいしん発達はったつ遅滞ちたいなどの先天せんてんせい障害しょうがいつものである。かつて日本にっぽんでは、風疹ふうしんワクチン女性じょせいのみに定期ていき接種せっしゅおこなわれていたが、これは男性だんせい差別さべつ科学かがくてき根拠こんきょがなく、成人せいじん男性だんせい風疹ふうしん流行りゅうこう先天せんてんせい風疹ふうしん症候群しょうこうぐん原因げんいんとして、男女だんじょとも幼児ようじ接種せっしゅするようにあらためられた。
    • しかし、にん風疹ふうしんたいする抗体こうたいゆうしていたとしても、あらわせい感染かんせんによる先天せんてんせい風疹ふうしん症候群しょうこうぐん発症はっしょう予防よぼうできない可能かのうせい示唆しさされている。このため、風疹ふうしんワクチンを2かい接種せっしゅとして、風疹ふうしん流行りゅうこう自体じたい防止ぼうしすることが必須ひっすである。
  • しょ外国がいこくとの関係かんけい麻疹ましん撲滅ぼくめつ先進せんしんこくでは麻疹ましんがほとんどられない疾患しっかんのため、小規模しょうきぼながらも麻疹ましん流行りゅうこうられる日本にっぽんは、しょ外国がいこくから「麻疹ましん輸出ゆしゅつこく」とられている。麻疹ましん理論りろんじょう痘瘡とうそう天然痘てんねんとう)のように撲滅ぼくめつ可能かのう疾患しっかんであるため、日本にっぽん麻疹ましん撲滅ぼくめつあしっているという批判ひはんがっている。このため、麻疹ましんワクチン接種せっしゅりつたかめ、2かい接種せっしゅ徹底てっていさせて麻疹ましん流行りゅうこう予防よぼうすることが、世界せかいからももとめられるようになった。

接種せっしゅスケジュール

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定期ていき接種せっしゅ

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  • 1かい
月齢げつれい12~23ヶ月かげつ
  • 2かい
小学校しょうがっこう入学にゅうがくまえの1年間ねんかん
中学ちゅうがく1ねんの1年間ねんかん(2008ねん4がつ~2013ねん3がつまでの時限じげん措置そち予定よてい
高校こうこう3ねんの1年間ねんかんうえおなじ)

任意にんい接種せっしゅ

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まん1さい以上いじょうかつ定期ていき接種せっしゅ対象たいしょうおよ接種せっしゅ対象たいしょう年齢ねんれい以外いがい

2かい接種せっしゅほう変遷へんせん

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  • 2006ねん4がつ予防よぼう接種せっしゅ開始かいし時点じてんで、2かい接種せっしゅは1かいにMRワクチンの接種せっしゅけたもの限定げんていされていたため、2かい接種せっしゅ開始かいしされるのは2010ねん4がつからとなってしまい、流行りゅうこう予防よぼう対策たいさくとしては不十分ふじゅうぶんといわざるをず、2006ねん6がつ予防よぼう接種せっしゅほう再度さいど改正かいせいされ、1かいたん抗原こうげんワクチンで別個べっこけたものも2かい対象たいしょうくわわえられた。
  • 2006ねん4がつ時点じてんで2さい以上いじょう3さい未満みまんであり、かつたん抗原こうげん麻疹ましんワクチン・風疹ふうしんワクチンの接種せっしゅけていないものは経過けいか措置そちとしておおくの自治体じちたい公費こうひでの任意にんい接種せっしゅ実施じっしされた。
  • 2007ねん麻疹ましん流行りゅうこう対策たいさくとして、一部いちぶ自治体じちたいで2かい接種せっしゅ年齢ねんれい超過ちょうかした児童じどう生徒せいと公費こうひでの任意にんい接種せっしゅおこなわれた。
  • くにとしての経過けいか措置そちとして、2008ねん4がつより2013ねん3がつまで5年間ねんかん時限じげん措置そちで、中学ちゅうがく1年生ねんせいおよ高校こうこう3年生ねんせい定期ていき接種せっしゅおこなわれた。
  • 2008ねんより過去かこ罹患りかんれき有無うむかかわらず、ワクチン接種せっしゅおこなうことが出来できるようになった。このため、たとえば風疹ふうしん罹患りかんれきのあるものたいしてもMRワクチンの接種せっしゅ可能かのうとなった。風疹ふうしん罹患りかんれきは、溶連菌ようれんきん感染かんせんしょう、エンテロウイルス感染かんせんしょうなどの誤診ごしんである場合ばあいもあり、より確実かくじつ風疹ふうしん抗体こうたい獲得かくとく機会きかいられることになった。なお、実際じっさい罹患りかんれきすでにワクチン接種せっしゅれきがあっても、ワクチン接種せっしゅによる不利益ふりえき増大ぞうだいはない。

しょ外国がいこく現状げんじょう

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2004ねん現在げんざいで、MMRワクチンを定期ていき接種せっしゅするのは105ヶ国かこくであり、ロシア連邦れんぽうでは麻疹ましん・ムンプス混合こんごうワクチンを接種せっしゅしている。

2005ねん9がつアメリカ食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)は、MMRにさらに水痘すいとう-帯状疱疹たいじょうほうしんワクチンをくわえたMMRVワクチンを認可にんかし、2006ねんより接種せっしゅ開始かいしされた。

ムンプスワクチンによる無菌むきんせいずいまくえんについて

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日本にっぽん・イギリス・フランス・カナダとう使用しようされた、占部うらべかぶやロシア連邦れんぽうとう使用しようされたレニングラード・ザグレブかぶをムンプスワクチンとして接種せっしゅした場合ばあい無菌むきんせいずいまくえん発生はっせい頻度ひんど非常ひじょうたかく、このこと原因げんいん日本にっぽんではMMRワクチンの接種せっしゅ中止ちゅうしした(各国かっこくはMMRにふくまれるワクチンかぶをJeryl Lynnかぶ変更へんこうして、接種せっしゅ継続けいぞく)。

外部がいぶリンク

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