(Translated by https://www.hiragana.jp/)
知的障害 - Wikipedia コンテンツにスキップ

知的ちてき障害しょうがい

半保護されたページ
出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

障害しょうがい > 精神せいしん障害しょうがい > 知的ちてき障害しょうがい
知的ちてき障害しょうがい
概要がいよう
診療しんりょう 精神せいしん医学いがく, 心理しんりがく, 神経しんけいがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 F70 - F79
ICD-9-CM 317 -319
DiseasesDB 4509
eMedicine med/3095 neuro/605
MeSH D008607

知的ちてき障害しょうがい(ちてきしょうがい、英語えいご: Intellectual Disability)とは、

  1. 知的ちてき機能きのう制約せいやくがあること
  2. 適応てきおう行動こうどう制約せいやくともな状態じょうたいであること
  3. 発達はったつしょうじる障害しょうがいであること

の3てん定義ていぎされる[1]が、一般いっぱんてきには金銭きんせん管理かんり計算けいさんなど、日常にちじょう生活せいかつ学校がっこう生活せいかつうえ頭脳ずのう使つか知的ちてき行動こうどう支障ししょうがあることをす。

精神せいしん遅滞ちたい(せいしんちたい、えい: mental retardation)とほぼ同義語どうぎごであるが、一般いっぱんてきには医学いがく用語ようごうえ用語ようごとして「精神せいしん遅滞ちたい」をもちい、学校がっこう教育きょういくほううえ用語ようごとして「知的ちてき障害しょうがい」をもちいるかたち使つかける。日本にっぽんでは、1950年代ねんだいから学校がっこう教育きょういくほう精神せいしん薄弱はくじゃく(feeble-minded)というかたり使つかわれていたが、1998ねんほう改正かいせいて「知的ちてき障害しょうがい」にわった。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどでも、こうした障害しょうがいは「精神せいしん遅滞ちたい」とばれていたが、retardation(遅滞ちたい)というかたり差別さべつてき側面そくめん配慮はいりょし「intellectual disability」との呼称こしょうこのまれるようになった。この分野ぶんや国際こくさい学会がっかい病名びょうめいなどで「mental retardation」という表現ひょうげんもちいていたが、次回じかい改正かいせい[いつ?]改名かいめいされる予定よていである。

知的ちてき障害しょうがいゆうびょうりつは、一般いっぱん人口じんこうやく2~3%である[2]ゆう病者びょうしゃの75~90%は軽度けいど知的ちてき障害しょうがいである。ともはつせいまたは特発とくはつせいのケースが30~50%をめる[2]やく1/4のケースは遺伝子いでんし疾患しっかんによってこされ[2]やく5%のケースが両親りょうしんから遺伝いでんてきなものである[3]原因げんいん不明ふめいのケースは、2013ねん時点じてんやく9500まんにん該当がいとうする[4]

法律ほうりつじょう定義ていぎ

福祉ふくし施策しさく対象たいしょうしゃとしての知的ちてき障害しょうがいしゃについて定義ていぎする法令ほうれい存在そんざいするが、個々ここ法令ほうれいにおいて、その目的もくてきおうじた定義ていぎがなされている。客観きゃっかんてき基準きじゅんしめさず、支援しえん必要ひつようせい有無うむ程度ていどをもって知的ちてき障害しょうがいしゃ定義ていぎされることもある。

客観きゃっかんてき基準きじゅんしめ法令ほうれいにあっては、発達はったつ(おおむね18さい未満みまん)において遅滞ちたいしょうじること、遅滞ちたいあきらかであること、遅滞ちたいにより適応てきおう行動こうどう困難こんなんであることの3つを要件ようけんとするものがおおい。遅滞ちたいあきらかかかの判断はんだんさいして「標準ひょうじゅんされた知能ちのう検査けんさ田中たなかビネーやWISCやK-ABCなど)で知能指数ちのうしすうが70ないし75未満みまん以下いか)のもの」といった定義ていぎがなされることもある。どちらも教育きょういく機関きかんなら問題もんだい記憶きおくされているかがおおきな基準きじゅんとされる。学校がっこう勉強べんきょうたんにやみくもにつくえかったからといって、確実かくじつ成果せいかあらわれるというものではなくついやした時間じかんがまったくの無駄むだになってしまうこともあれば、ばい価値かちになってかえってくる結果けっかもあるためおぼかたちがいによりあらわれる。

1971ねん知的ちてき障害しょうがいしゃ権利けんり宣言せんげん国連こくれん形成けいせいされた。

1987ねん7がつに、身体しんたい障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほう改正かいせいされ、知的ちてき障害しょうがいしゃ療育りょういく手帳てちょう所持しょじしゃとう)が法定ほうてい雇用こようりつ算定さんてい対象たいしょうくわえられた[5]

1998ねん7がつ知的ちてき障害しょうがいしゃ雇用こよう義務ぎむされ法定ほうてい雇用こようりつ完全かんぜん適用てきようとう追加ついかされた[5]

症状しょうじょう

よくある傾向けいこうとして、以下いかのようなものがある。

乳幼児にゅうようじ
どう年齢ねんれい幼児ようじとの交流こうりゅう上手うまくいかなかったり、言葉ことばおくれがあったりする場合ばあいおおい。染色せんしょくたい異常いじょうなどの病理びょうりてき原因げんいん後述こうじゅつ)の場合ばあい早期そうき発見はっけんされることがおおい。
学齢がくれい(6 - 15さいごろ)
判断はんだんりょく記憶きおくりょくなどの問題もんだいで、通常つうじょう学級がっきゅう授業じゅぎょうについていけない場合ばあいおおい。複雑ふくざつなルールのあそびに参加さんかすることは困難こんなんである。複雑ふくざつなルールが把握はあくできる場合ばあいでも、周囲しゅういとの人間にんげん関係かんけい併用へいようされたかんがかた困難こんなんことがみられる。そういったストレスから、各種かくしゅ障害しょうがい発生はっせいする場合ばあいもある。また、義務ぎむ教育きょういくではない後期こうき中等ちゅうとう教育きょういくへの進学しんがくたっては各種かくしゅ問題もんだいがある。
成年せいねん(18さい - )
高等こうとう教育きょういくへの進学しんがく[注釈ちゅうしゃく 1]一般いっぱんてき職場しょくばへの就労しゅうろうはハードルがたかく、障害しょうがいしゃ雇用こようでの就労しゅうろう就労しゅうろう継続けいぞく支援しえん事業じぎょうしょ就労しゅうろう移行いこう支援しえん事業じぎょうしょとうでの福祉ふくしてき就労しゅうろうおこなことおおい。また、日常にちじょうてきでない判断はんだん高額こうがく契約けいやくなど)がむずかしく、とき判断はんだんあやまることや、悪意あくい接触せっしょくにだまされることがある。

検査けんさ結果けっかから療育りょういく手帳てちょう交付こうふすること可能かのう結果けっか場合ばあいでも、実際じっさい福祉ふくしのサポートをけるかをめるのは本人ほんにん意思いしによるものではなく、本人ほんにん保護ほごしゃ物差ものさしをおこなう。

併発へいはつ疾患しっかん

自閉症じへいしょうスペクトラム障害しょうがいとの関連かんれんせい指摘してきされており、ASD児童じどうのうち45-60%は知的ちてき障害しょうがい併発へいはつしているとされる[6]ADHD(注意ちゅうい欠陥けっかんどう障害しょうがい)やダウン症だうんしょうなどもしばしばみられる。

知的ちてき障害しょうがいしゃ認知にんちしょう発症はっしょうするリスクが異例いれいたかく、とくに40だい後半こうはんから50だいでピークをむかえるという。また、肥満ひまんによる糖尿とうにょうびょうこうあぶらしょう心筋梗塞しんきんこうそくのう梗塞こうそくなどをこすリスクたかいと報告ほうこくされている。とく中等ちゅうとう重度じゅうどでは、高血圧こうけつあつ糖分とうぶんぎ、脂肪しぼうぶんぎなどと健康けんこう診断しんだん結果けっか指摘してきされやすい。

自閉症じへいしょうともなうほうでは健康けんこう状態じょうたい異常いじょうがある場合ばあいとくおおいとされ、未成年みせいねんのうちに発作ほっさ精神せいしん状態じょうたいなどの理由りゆうかえ入院にゅういんさせられるケースもある。莫大ばくだい医療いりょうがかかることもある。

強度きょうど行動こうどう障害しょうがいについて

重度じゅうど知的ちてき障害しょうがいともな自閉症じへいしょうしゃ対象たいしょうになる。ひどいこだわりやパニック状態じょうたいかえし、きず行為こういみつき(きず行為こうい)、いちじるしいどうなどの問題もんだい行動こうどうない状態じょうたいつづく。対処たいしょとしては薬物やくぶつ療法りょうほう行動こうどう療法りょうほうがあげられる。

原因げんいん

小児しょうにでは、3ぶんの1から2ぶんの1のケースは原因げんいん不明ふめいであり[2]両親りょうしんからの遺伝いでんは5%程度ていどである[3]知的ちてき障害しょうがい原因げんいんであるが、それが遺伝いでんしない遺伝子いでんし異常いじょうは、遺伝子いでんし発生はっせいさい事故じこ変異へんいによって発生はっせいしたものである。そのようなれいとしては、18ばん染色せんしょくたい余分よぶん発生はっせいすること(18トリソミー)、ダウン症候群しょうこうぐんもっと一般いっぱんてきである[3]血管けっかん拡張かくちょうがた顔面がんめん症候群しょうこうぐん胎児たいじせいアルコール症候群しょうこうぐんつぎおお[2]。しかし、ほかにもおおくの原因げんいんがある。

病理びょうりてき要因よういん
染色せんしょくたい異常いじょう自閉症じへいしょうなどの先天せんてんせい疾患しっかん出産しゅっさん酸素さんそ不足ふそくのう圧迫あっぱくなどのしゅうさん事故じこ生後せいご高熱こうねつ後遺症こういしょうなどの、疾患しっかん事故じこなどが原因げんいん知的ちてき障害しょうがい
脳性のうせい麻痺まひてんかんなどののう器質きしつてき障害しょうがいや、心臓しんぞうびょうなどの内部ないぶ障害しょうがい合併がっぺいしている(重複じゅうふく障害しょうがいしゃもおり、身体しんたいてきにも健康けんこうではないことがおおい。染色せんしょくたい異常いじょう原因げんいん場合ばあい知的ちてき障害しょうがいちゅう重度じゅうどであったり、外見がいけんてき特徴とくちょうてき容貌ようぼうであることもおおい。
生理せいりてき要因よういん
とく知能ちのうひくくなる疾患しっかんをもつわけではないが、たまたま知能指数ちのうしすうひくくて障害しょうがいとみなされる範囲はんい(IQ69または75以下いか)である場合ばあい生理せいりてき要因よういんから偶然ぐうぜんにも遺伝子いでんしわせでまれたことなどが原因げんいんである。おおくは合併症がっぺいしょうをもたず、健康けんこう状態じょうたい良好りょうこうである。知的ちてき障害しょうがいしゃだい部分ぶぶんはこのタイプであり、知的ちてき障害しょうがい軽度けいどちゅうであることがおおい。
心理しんりてき要因よういん
養育よういくしゃ虐待ぎゃくたい会話かいわ不足ふそくなど、発育はついく環境かんきょう原因げんいん発生はっせいする知的ちてき障害しょうがいリハビリによって知能ちのう回復かいふくすることもある。関連かんれん用語ようごに「情緒じょうちょ障害しょうがい」がある[注釈ちゅうしゃく 2]。また、離島りとう山岳さんがく地帯ちたい船上せんじょうなどの刺激しげきすくない環境かんきょう成育せいいくした児童じどうも、IQがひくくなる傾向けいこうにある(知能指数ちのうしすう#生活せいかつ環境かんきょう参照さんしょう)。ただ、IQテストそのものが文明ぶんめい社会しゃかい馴染なじんだものにとって有利ゆうりな(○や△など抽象ちゅうしょうてき図柄ずがら見分みわけるといった)問題もんだいであるため、たとえば都会とかい生活せいかつ経験けいけんしたことのない先住民せんじゅうみんぞくには不利ふり評価ひょうかくだされることになる。先天せんてんせい遺伝いでんのみが原因げんいんでもなく、そだかたおやからのあつかわれかたなど生活せいかつ環境かんきょう影響えいきょうから本人ほんにんかんがかた性格せいかくへと発達はったつ遅滞ちたい原因げんいんとなる場合ばあいもある。この場合ばあいおやのIQのことに本人ほんにん違和感いわかんっていない。ぎゃくに、元々もともと向上心こうじょうしん豊富ほうふ当事とうじしゃではあったものの、周囲しゅういからのられかたから自信じしん損失そんしつがあり啓発けいはつ意欲いよく興味きょうみしめせなくなる性格せいかくへとわること原因げんいんとなる。しかし、この場合ばあい本人ほんにん周囲しゅういたいして違和感いわかんいだ場合ばあいがあり自分じぶんえようとかんがえることもあるが、改善かいぜんへとみちびけるために当事とうじしゃ協力きょうりょくできる人間にんげん社会しゃかいてき数少かずすくないとえる。

診断しんだん

Levine and Marks 1928 IQ分類ぶんるい[7][8]
IQ範囲はんい IQ 分類ぶんるい
175以上いじょう Precocious
150–174 Very superior
125–149 Superior
115–124 Very bright
105–114 Bright
95–104 Average (平均へいきんてき
85–94 Dull
75–84 Borderline(境界きょうかいれい
50–74 Morons
25–49 Imbeciles
0–24 Idiots

基本きほんてきには、知能指数ちのうしすうが100にちかひとほど人数にんずうおおい。しかし、知能指数ちのうしすう種類しゅるいによってはさい重度じゅうどまで正確せいかく存在そんざいすう比率ひりつせない場合ばあいもある[9]

歴史れきしてきには、Albert Julius LevineとLouis Marksは1928ねん著書ちょしょTesting Intelligence and Achievementにてカテゴリ分類ぶんるい提案ていあんした[10]。このひょうもちいられている表現ひょうげんは、知的ちてき障害しょうがいのある個人こじん分類ぶんるいするための現代げんだいてき用語ようご由来ゆらいするものである。

教育きょういく分野ぶんやでは、軽度けいど生徒せいとを「教育きょういく可能かのう」、ちゅう生徒せいとを「訓練くんれん可能かのう」と分類ぶんるいする。医学いがくてきかんがえると精神せいしん年齢ねんれいは12さい以下いか推定すいていされる(厚生こうせい労働省ろうどうしょうなどの発表はっぴょう)。

ボーダー(境界きょうかいいき
知能指数ちのうしすうは70 - 85程度ていど精神せいしん年齢ねんれい換算かんさんすると11さい3かげつ以上いじょう12さい9かげつ未満みまん)で、境界きょうかい知能ちのうばれる。知的ちてき障害しょうがいしゃとは認定にんていされない。
軽度けいど F70
知能指数ちのうしすうは50 - 69程度ていど(7さい6かげつ以上いじょう11さい3かげつ未満みまん)。理論りろんじょう知的ちてき障害しょうがいしゃの8わりあまりがこのカテゴリーに分類ぶんるいされるが、本人ほんにん周囲しゅういともに障害しょうがい自認じにんがないまま社会しゃかい生活せいかついとなんでいるケースもおおいため、認定にんていすうはこれよりすくなくなる。生理せいりてき要因よういんによる障害しょうがいおおく、大半たいはん若年じゃくねん健康けんこう状態じょうたい良好りょうこう
成人せいじん診断しんだんされ、療育りょういく手帳てちょう支給しきゅうされないこともよくあるという。近年きんねん障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんのために、精神せいしん障害しょうがいしゃ保健ほけん福祉ふくし手帳てちょう(とくに3きゅう程度ていど)の所持しょじしゃえる傾向けいこうにある。[注釈ちゅうしゃく 3]
中等ちゅうとうちゅうF71
知能指数ちのうしすうは35 - 49程度ていど(5さい3かげつ以上いじょう7さい6かげつ未満みまん)。合併症がっぺいしょう多数たすうられる。
精神せいしん疾患しっかんなどをともな場合ばあいは、療育りょういく手帳てちょうの1しゅ(重度じゅうど判定はんてい)をたすこともできる。
重度じゅうど F72
知能指数ちのうしすうは20 - 34程度ていど(3さい以上いじょう5さい3かげつ未満みまん)。だい部分ぶぶん合併症がっぺいしょうられる。どう嗜好しこうかたよりなどの問題もんだいあらわれやすい。
自閉症じへいしょうともな場合ばあいきやパニック、しなど問題もんだい行為こういないケースがおおい。
精神せいしん障害しょうがいしゃ保健ほけん福祉ふくし手帳てちょう対象たいしょうとはならない。
さい重度じゅうど F73
知能指数ちのうしすうは19以下いか程度ていど精神せいしん年齢ねんれい3さい未満みまん)。だい部分ぶぶん合併症がっぺいしょうられる。たきりの場合ばあいおおい。しかし運動うんどう機能きのう問題もんだいがない場合ばあいどうなどの問題もんだい行為こうい課題かだいとなってくる。
重度じゅうど同様どうよう精神せいしん障害しょうがいしゃ保健ほけん福祉ふくし手帳てちょう対象たいしょうとはならない。

多元的たげんてきアプローチによる分類ぶんるい

多元的たげんてきアプローチによる分類ぶんるいとしては、以下いかのようなものがげられる[11]。また、AAMRだい9はんにおいてなされている定義ていぎでは、(1)精神せいしん遅滞ちたい概念がいねんひろげること、(2)IQによって障害しょうがいのレベルを分類ぶんるいすることはやめること、(3)個人こじんのニードを、適切てきせつなサポートのレベルにむすびつけること、の3てん意図いとしている。

一時いちじてき(intermittent)
必要ひつようなときだけの支援しえん
限定げんていてき(limited)
期間きかん限定げんていではあるが、継続けいぞくてき性格せいかく支援しえん
長期ちょうきてき(extensive)
すくなくともある環境かんきょうにおいては定期ていきてき必要ひつよう支援しえん
全面ぜんめんてき(pervasive)
いろいろな環境かんきょう長期ちょうきてきに、しかも強力きょうりょくおこな必要ひつようがある支援しえん

大島おおしま分類ぶんるいひょう

大島おおしま分類ぶんるい

運動うんどう能力のうりょく知能指数ちのうしすうによる分類ぶんるいとして、大島おおしま一良かずよしによる大島おおしま分類ぶんるい使用しようされている。ひだりひょう大島おおしま分類ぶんるいひょう障害しょうがいべつおおまかな分布ぶんぷ範囲はんい表記ひょうきしたものであるが、個人こじんがあることに注意ちゅういされたい。

大島おおしま分類ぶんるいでは、分類ぶんるい1 - 4に該当がいとうするものを定義ていぎじょうの「重症じゅうしょう心身しんしん障害しょうがい」(ただし、児童じどう福祉ふくしほううえはなしであり、学校がっこう教育きょういくほううえは、重度じゅうど重複じゅうふく障害しょうがい一種いっしゅにすぎない)とし、分類ぶんるい5 - 9に該当がいとうするものを「周辺しゅうへん」とんでいる[12]

判定はんてい

日本にっぽんでは以下いかとお公的こうてき機関きかんによる知的ちてき障害しょうがい判定はんていおこなわれる。

18さい未満みまん場合ばあい児童じどう福祉ふくしほうもとづく児童じどう相談そうだんしょ知能指数ちのうしすう生活せいかつ能力のうりょく就学しゅうがく能力のうりょく総合そうごうてき判断はんだんして知的ちてき障害しょうがい判定はんていおこなう。 18さい以上いじょう場合ばあい知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくしほうもとづく知的ちてき障害しょうがいしゃ更生こうせい相談そうだんしょ設置せっちする地方自治体ちほうじちたいによって名称めいしょうことなる場合ばあいがある)が知能指数ちのうしすう生育せいいくれき生活せいかつ能力のうりょく就業しゅうぎょう能力のうりょく総合そうごうてき判断はんだんして知的ちてき障害しょうがい判定はんていおこなう。 都道府県とどうふけん知事ちじもしくは政令せいれい指定してい都市としちょう判定はんてい機関きかん判定はんていしょもとづいて療育りょういく手帳てちょう交付こうふおこなう。

障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほうにおいては児童じどう相談そうだんしょおよ知的ちてき障害しょうがいしゃ更生こうせい相談そうだんしょほか地域ちいき障害しょうがいしゃ職業しょくぎょうセンター精神せいしん保健ほけん福祉ふくしセンター精神せいしん保健ほけん指定してい職業しょくぎょう能力のうりょく評価ひょうか一環いっかんとして知的ちてき障害しょうがい判定はんていおこなうことができる[13]。 ただしどうほうもとづいた判定はんていしょ障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほうかんする事項じこうにのみ使つかうことができる。たとえば知的ちてき障害しょうがい判定はんていけたもの障害しょうがいしゃ雇用こよう対象たいしょうになり、雇用こようりつ算定さんてい対象たいしょうとなる。しかし、所得しょとく税法ぜいほうによる障害しょうがいしゃ控除こうじょ対象たいしょうとならず、療育りょういく手帳てちょう交付こうふ事務じむたいしては参考さんこう材料ざいりょうにしかならない。

知的ちてき障害しょうがいとその発達はったつ障害しょうがい関連かんれん

知的ちてき障害しょうがい自閉症じへいしょう

自閉症じへいしょうとアスペルガー症候群しょうこうぐんとの比較ひかく[14]

自閉症じへいしょう」という障害しょうがいは、知的ちてき障害しょうがいがあるもの(古典こてんてき自閉症じへいしょう)と、知的ちてき障害しょうがいがないもの(高機能こうきのう自閉症じへいしょうアスペルガー症候群しょうこうぐん;いわゆる高機能こうきのうPDDしょうされる)に便宜べんぎてき分類ぶんるいされているが、その関連かんれんした障害しょうがいふくめて自閉症じへいしょうスペクトラム障害しょうがいという連続れんぞくした障害しょうがい分類ぶんるいされている[14]現在げんざい精神せいしん障害しょうがい診断しんだん統計とうけいマニュアルだい5はんでは、(古典こてんてき)自閉症じへいしょうアスペルガー症候群しょうこうぐん高機能こうきのう自閉症じへいしょう特定とくてい不能ふのう広汎こうはんせい発達はったつ障害しょうがい(PDD-NOS)の4つを包括ほうかつし、自閉症じへいしょうスペクトラム規定きていされた。

広汎こうはんせい発達はったつ障害しょうがい(厳密げんみつには、知的ちてき障害しょうがいのないものについては、高機能こうきのう広汎こうはんせい発達はったつ障害しょうがい(いわゆる高機能こうきのうPDD)となる)という用語ようごがほぼ同義語どうぎごとして機能きのうしている。知的ちてき障害しょうがいは、知能ちのうめん(IQ)の全体ぜんたいてき障害しょうがいであり、自閉症じへいしょう本質ほんしつであるコミュニケーション障害しょうがいは、対人たいじん関係かんけいめんおもとした障害しょうがいである。むかしからられている種類しゅるい自閉症じへいしょう狭義きょうぎ自閉症じへいしょうのことであるが、これはコミュニケーション障害しょうがい知的ちてき障害しょうがいわさったものである。近年きんねんられてきた種類しゅるい自閉症じへいしょうである高機能こうきのう自閉症じへいしょうは、コミュニケーション障害しょうがいのみであり、知能指数ちのうしすう全体ぜんたい平均へいきん知的ちてき障害しょうがいいきたっしない。しかし、知能指数ちのうしすう要素ようそべつ計測けいそくすると、かく要素ようそあいだおおきなられる。

軽度けいど発達はったつ障害しょうがい使つかわれる軽度けいど、およびそのひとつにカテゴライズされる高機能こうきのう広汎こうはんせい発達はったつ障害しょうがい高機能こうきのうPDDのことで高機能こうきのう自閉症じへいしょうふくむ)に使つかわれる高機能こうきのうとは、いずれも、本稿ほんこう説明せつめいされている知的ちてき障害しょうがい」がないながらも障害しょうがい発生はっせいしている、というニュアンスでもちいられており[14]けっして、障害しょうがい度合どあいや複雑ふくざつさなどをあらわ接頭せっとうとして使つかわれていないてん十分じゅうぶん注意ちゅういする必要ひつようがある。このため、近年きんねんでは、「軽度けいど」という用語ようごでは誤解ごかいまねおそれがあることから、たんに「発達はったつ障害しょうがい」とのみいう場合ばあいや、「(軽度けいど)発達はったつ障害しょうがい」と表現ひょうげんするケースがおおい。

重度じゅうど重複じゅうふく障害しょうがい」などに使つかわれる重度じゅうどは、上述じょうじゅつの「軽度けいど」の対義語たいぎごとして使用しようされており、すなわち、知的ちてき障害しょうがい度合どあいがおも重複じゅうふく障害しょうがいということを意味いみする(ただし、しゅたる障害しょうがい知的ちてき障害しょうがい以外いがいにあるてん注意ちゅうい)。

IQが35未満みまんでは、半数はんすう以上いじょう自閉症じへいしょう併発へいはつすると報告ほうこくされている。

学習がくしゅう障害しょうがい知的ちてき障害しょうがいちが

学習がくしゅう障害しょうがいみ・き・計算けいさんなど学習がくしゅうめん障害しょうがいがあるが、会話かいわ能力のうりょく判断はんだんりょくなどの知能ちのうめんでは障害しょうがいみとめられない。知的ちてき障害しょうがいは、学習がくしゅうめんくわえて知能ちのうめんにも障害しょうがいつ。

社会しゃかいにおける歴史れきし現状げんじょう

呼称こしょう変遷へんせん

以前いぜんは、「どく:schwachsinn」「えい:feeble mindedness」「えい:mental deficiency」などの外来がいらい直訳ちょくやくとして「精神せいしん薄弱はくじゃく(せいしんはくじゃく、略称りゃくしょうせいうす)」という用語ようごひろ使つかわれており、法律ほうりつ用語ようごにも多用たようされていたが、「精神せいしん」という言葉ことば人格じんかくふくむうえ、精神せいしん障害しょうがい混同こんどうされやすいため、関係かんけい団体だんたいなどでは「知的ちてき障害しょうがい」という用語ようご使つかわれるようになった。2000ねん平成へいせい12ねん)3がつからは法律ほうりつじょう表記ひょうきも、知能ちのうめんのみに着目ちゃくもくした「知的ちてき障害しょうがい」という用語ようごあらためられた。

また、かつては重度じゅうど知的ちてき障害しょうがいを「白痴はくち」、ちゅう知的ちてき障害しょうがいを「痴愚ちぐ(ちぐ)」、軽度けいど知的ちてき障害しょうがいを「魯鈍ろどんけい(ろどん、けいぐ)」と呼称こしょうしており、これらの用語ようご法律ほうりつなどにも散見さんけんされたが、偏見へんけんあおるとして「重度じゅうど」「ちゅう」「軽度けいど」という用語ようごあらためられた。

医学いがくてき診断しんだんめいには「えい:mental retardation:MR」のわけとして「精神せいしん遅滞ちたい(せいしんちたい)」、「精神せいしん発達はったつ遅滞ちたい(せいしんはったつちたい)」という用語ようごもちいられる。これらは「知的ちてき障害しょうがい」とおな意味いみ使つかわれる場合ばあいおおい。ただし、厳密げんみつ医学いがくてき分類ぶんるいでは「精神せいしん遅滞ちたい」・「精神せいしん発達はったつ遅滞ちたい」と「知的ちてき障害しょうがい」を使つかける場合ばあいもある。DSM-IVアメリカ精神せいしん遅滞ちたい学会がっかい (AAMR) の定義ていぎでは、「精神せいしん遅滞ちたい」は「知的ちてき障害しょうがい」の症状しょうじょうくわえて生活せいかつめん、すなわち「意思いし伝達でんたつ自己じこ管理かんり家庭かてい生活せいかつ対人たいじん技能ぎのう地域ちいき社会しゃかい資源しげん利用りよう自律じりつせい学習がくしゅう能力のうりょく仕事しごと余暇よか健康けんこう安全あんぜん」のうち、2種類しゅるい以上いじょうめんにも適応てきおう問題もんだいがある場合ばあいをさす。しかし、こういった生活せいかつめん適応てきおう問題もんだいがあるかどうかを判断はんだんするのはむずかしく、現実げんじつてきには知能ちのうのみで判断はんだんしているので、知的ちてき障害しょうがい精神せいしん遅滞ちたい同義語どうぎごだとかんがえてもつかえない。

現在げんざいでは、教育きょういく分野ぶんや行政ぎょうせいマスコミなどでは、「知的ちてき障害しょうがい」や「知的ちてき発達はったつ障害しょうがい」や「知的ちてき発達はったつ遅滞ちたい」とばれることがおおく、医学いがく関係かんけいでは、「精神せいしん遅滞ちたい」や「精神せいしん発達はったつ遅滞ちたい」とばれることがおおい。

日本にっぽん国外こくがいでの歴史れきし

19世紀せいき以前いぜんにも重度じゅうど知的ちてき障害しょうがいしゃはいたが、軽度けいど知的ちてき障害しょうがいしゃ場合ばあいは、それほど支障ししょうなく社会しゃかい生活せいかつおくれていた。しかし、近代きんだいてき学校がっこう制度せいど普及ふきゅうするにつれて、年齢ねんれい主義しゅぎてき進級しんきゅう制度せいどひろおこなわれるようになり、年齢ねんれい基準きじゅん学年がくねん編成へんせいでは、おくれをとる児童じどう存在そんざい無視むしできなくなった。そのような児童じどう生徒せいとは、単純たんじゅん怠惰たいだ学業がくぎょうへの関心かんしんのために成績せいせきわる生徒せいとと、努力どりょくしても成績せいせきわる生徒せいとの2種類しゅるい分類ぶんるいできた。1905ねんに、フランスのアルフレッド・ビネー世界せかいはつ知能ちのう検査けんさ公表こうひょうしたが、これ以降いこう知的ちてき障害しょうがい児童じどうは、厳密げんみつ診断しんだんのものさしで区分くぶんされることになった。ビネーの死後しご知能ちのう検査けんさはさまざまな心理しんり学者がくしゃによって改良かいりょうされ、現在げんざいでは知能指数ちのうしすうもとにして知的ちてき障害しょうがい判定はんていするようになった。かつては福祉ふくし国家こっかスウェーデンにん手術しゅじゅつをはじめ、しょ外国がいこくでも知的ちてき障害しょうがいしゃ社会しゃかいてき抑圧よくあつされてきた。ナチス・ドイツにおいては先天せんてんせい障害しょうがいしゃとともに民族みんぞく劣化れっかさせるものとされ、T4作戦さくせんひとしによる安楽あんらく実行じっこうされた。

日本にっぽんでの歴史れきし

江戸えど時代じだい中期ちゅうき医師いし漢方かんぽうふるかた)で儒学じゅがくしゃである香川かがわ修徳しゅうとく香川かがわおさむあん)は、その著書ちょしょ一本いっぽんどうぎょうあまりげん(いっぽんどうこうよいげん)」のまき5にて「」として記述きじゅつしている[15][16]

知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくし民間みんかんからはじまった。明治めいじ20年代ねんだい立教女学院りつきょうじょがくいん教頭きょうとうしょくにあった石井いしい亮一りょういちが、女学院じょがくいん(のちのたき乃川学園がくえん東京とうきょう)を開設かいせつしたことにはじまる。尾大びだい地震じしん震災しんさいおんなった亮一りょういちは、おんななか知的ちてき障害しょうがいがいたことでつよ関心かんしんしめし、アメリカへのにわたる留学りゅうがくて、日本にっぽんはつ知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくし施設しせつたき乃川学園がくえん開設かいせつしたのが、日本にっぽんにおける知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくし先鞭せんべんである。亮一りょういちは、夫人ふじんふでとともに知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくし事業じぎょう生涯しょうがいをささげ、のちには日本にっぽん精神せいしん薄弱はくじゃく愛護あいご協会きょうかいげん日本にっぽん知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくし協会きょうかい)を設立せつりつした。

重度じゅうど障害しょうがいには就学しゅうがく免除めんじょなどが適用てきようされていたが、特別とくべつ支援しえん学校がっこう1979ねん義務ぎむ教育きょういく学校がっこうとなり、重度じゅうど障害しょうがい入学にゅうがく可能かのうとなった。

障害しょうがいしゃ白書はくしょ平成へいせい21年版ねんばんによると、厚生こうせい労働省ろうどうしょう確認かくにんした日本にっぽん国内こくない知的ちてき障害しょうがいしゃすうやく55まんにん在宅ざいたくしゃやく42まんにん施設しせつ入所にゅうしょしゃやく13まんにん)。

1948ねん児童じどう福祉ふくしほう施行しこう精神せいしん薄弱はくじゃく施設しせつ規定きていされた。

1960ねん精神せいしん薄弱はくじゃくしゃ福祉ふくしほう(1999ねん知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくしほう施行しこう精神せいしん薄弱はくじゃくしゃ援護えんご施設しせつ規定きてい

1963ねん重症じゅうしょう心身しんしん障害しょうがい施設しせつ だいいちびわこ学園がくえん滋賀しがけん)、開園かいえん

1968ねん愛知あいちけん心身しんしん障害しょうがいしゃコロニー開所かいしょ

1970ねん大阪おおさか府立ふりつ金剛こんごうコロニー、開所かいしょ

1971ねん国立こくりつコロニー のぞみのえん国立こくりつのぞみのえん群馬ぐんまけん)、開所かいしょ

1981ねん国際こくさい障害しょうがいしゃねん

2006ねん障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう施行しこう

公的こうてき支援しえん

知的ちてき障害しょうがいがあると認定にんていされると療育りょういく手帳てちょう交付こうふされ、各種かくしゅ料金りょうきん免除めんじょなどの特典とくてんあたえられる。自治体じちたいによって、「あい手帳てちょう」や「みどり手帳てちょう」などの名称めいしょうがある。また、障害しょうがい年金ねんきん特別とくべつ障害しょうがいしゃ手当てあてなどの制度せいどもある。療育りょういく手帳てちょうなどの福祉ふくし手帳てちょうは、社会しゃかい福祉ふくしほう制度せいどで65さい未満みまん制限せいげんされている。人口じんこう計算けいさんすると先進せんしんこく各国かっこくでは年々ねんねん減少げんしょうはしているが、開発途上国かいはつとじょうこく各国かっこく後発こうはつ開発かいはつ途上とじょうこく各国かっこくでは減少げんしょうられないくにおおい。

知能指数ちのうしすう分布ぶんぷから予測よそくすると、IQ70以下いかひとは2.27%(認知にんちしょうふくむ)存在そんざいするはずなので、理論りろんてきには日本にっぽん知的ちてき障害しょうがいしゃすうは284まんにんになる。しかし、公的こうてき知的ちてき障害しょうがいしゃとされているひと推計すいけい41まんにんであり、実際じっさい存在そんざいするはずの障害しょうがいしゃすう比較ひかくすると6ぶんの1ないし7ぶんの1であり、いちじるしくすくない。また、上記じょうきの41まんにんのうち84%が療育りょういく手帳てちょう所持しょじしゃであるが、軽度けいどちゅう手帳てちょう所持しょじしゃが55%、重度じゅうどさい重度じゅうど手帳てちょう所持しょじしゃが45%であり、理論りろんじょう出現しゅつげん頻度ひんど障害しょうがいかるいほどおおいので、それを考慮こうりょすると、軽度けいどちゅう手帳てちょう所持しょじしゃ実際じっさい軽度けいどちゅう人数にんずうのうちのごく一部いちぶであるとかんがえられる。 軽度けいどでは精神せいしん障害しょうがいしゃ発達はったつ障害しょうがいしゃじゅんじた福祉ふくし制度せいどがあり、そのため精神せいしん障害しょうがいしゃ保健ほけん福祉ふくし手帳てちょう申請しんせいしやすい。重度じゅうどさい重度じゅうど場合ばあい対象たいしょうにはならない。

障害しょうがいしゃ手帳てちょう身体しんたい障害しょうがいしゃ手帳てちょうのぞく)の取得しゅとくしゃは45まんにんたっしている。

支援しえんとしては中等ちゅうとう重度じゅうどさい重度じゅうど療育りょういく専門せんもんとしているが、軽度けいどでは精神せいしん福祉ふくし担当たんとうしている。 自閉症じへいしょう併発へいはつしているものは30まんにんたっするともわれている。 なお、知的ちてき障害しょうがいともなわない高機能こうきのう自閉症じへいしょうは100まんにん前後ぜんこうだと推定すいていされている。

就労しゅうろう支援しえん

とく就労しゅうろう支援しえんにおいては今後こんご本人ほんにん安心あんしんしていられるよう知的ちてき障害しょうがい配慮はいりょした職場しょくば環境かんきょう整備せいび[17][18]職場しょくばにおいて本人ほんにん支援しえんするコーディネーターの設置せっち[17]雇用こよう契約けいやく改善かいぜん[17]就労しゅうろう支援しえん充実じゅうじつ社会しゃかいてき包摂ほうせつ[19]職場しょくば職種しょくしゅ選択肢せんたくしはばひろ社会しゃかい参加さんか機会きかい平等びょうどう保証ほしょうすること[20]などがつよもとめられる。

合理ごうりてき配慮はいりょ

障害しょうがいしゃ差別さべつ解消かいしょうほうに、合理ごうりてき配慮はいりょ必要ひつようせい明記めいきされている。多面ためんてきなアセスメントを実施じっし困難こんなんたかめている要因よういんさぐるとともに、本人ほんにん保護ほごしゃ意思いしおよびニーズを丁寧ていねいにききとり、一人ひとりいちにん実態じったいやニーズにおうじた合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょうする[21]提供ていきょうも、経過けいか観察かんさつ本人ほんにん保護ほごしゃへのききとりをとおして、本人ほんにんにとってより合理ごうりてき配慮はいりょのありかたえず模索もさくつづけることが重要じゅうようである[21]

このようにして、実態じったいやニーズを丁寧ていねいりながら様々さまざま合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょうされる[21][22]。そのいちれいとしては、以下いかのような配慮はいりょかんがえられる。

  • 様々さまざま伝達でんたつ手段しゅだん活用かつようする:知的ちてき障害しょうがいのあるほうたいしてなにかをつたえようとするとき、音声おんせい言語げんごでの伝達でんたつだけではなく、具体ぐたいもの動画どうがカードや写真しゃしんカードなどの視覚しかく支援しえんもちいるとつたわりやすい。また、知的ちてき障害しょうがいのあるほうみずからの気持きもちを表出ひょうしゅつするさいにも、様々さまざまICT機器ききなどをふく拡大かくだい代替だいたいコミュニケーション手段しゅだん活用かつようをサポートすることで、無理むりなく周囲しゅういつたわるよう支援しえんする[23][22][24]

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

  1. ^ ただし非常ひじょうまれではあるが、ダウン症だうんしょう青年せいねん女性じょせい)が大学だいがく国文学こくぶんがく)に進学しんがくし、卒業そつぎょうした事例じれいもある。
  2. ^ 自閉症じへいしょう情緒じょうちょ障害しょうがい分類ぶんるいされることもあるが、自閉症じへいしょう先天せんてんせいのう機能きのう障害しょうがいである。
  3. ^ 広義こうぎてき発達はったつ障害しょうがいしゃ支援しえんじゅんじているため、精神せいしん保健ほけん福祉ふくしほうなど適用てきようされる場合ばあいがある。

出典しゅってん

  1. ^ 小島こじま道生みちお知的ちてき機能きのうかんする制約せいやく支援しえん橋本はしもとはじめいちら〔へん〕『障害しょうがいしゃ理解りかい教育きょういく支援しえん金子かねこ書房しょぼう、2008ねん[ようページ番号ばんごう]
  2. ^ a b c d e “Identification and evaluation of mental retardation”. American Family Physician 61 (4): 1059–67, 1070. (February 2000). PMID 10706158. https://www.aafp.org/afp/2000/0215/p1059.html. 
  3. ^ a b c "Definition of mentally retarded". Gale Encyclopedia of Medicine.
  4. ^ “Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 301 acute and chronic diseases and injuries in 188 countries, 1990-2013: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2013”. Lancet 386 (9995): 743–800. (August 2015). doi:10.1016/S0140-6736(15)60692-4. PMC 4561509. PMID 26063472. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4561509/. 
  5. ^ a b 土田つちた耕司こうじ障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほう改正かいせい背景はいけいかんする考察こうさつ」『川崎医療短期大学かわさきいりょうたんきだいがく紀要きようだい37ごう川崎医療短期大学かわさきいりょうたんきだいがく、2017ねん、15-18ぺーじdoi:10.18928/00000980ISSN 0287-30282024ねん2がつ2にち閲覧えつらん 
  6. ^ Myers SM, Johnson CP (2007). “Management of children with autism spectrum disorders”. Pediatrics 120 (5): 1162–82. doi:10.1542/peds.2007-2362. PMID 17967921. 
  7. ^ "LevineMarks1928p131"
  8. ^ "KamphausWinsoretalpp57–58"
  9. ^ 障害しょうがい評価ひょうか最近さいきん話題わだい知能指数ちのうしすう遷延せんえんせい意識いしき障害しょうがい - waybackのキャッシュ
  10. ^ [Levine, Albert J.; Marks, Louis (1928). Testing Intelligence and Achievement. Macmillan. OCLC 1437258. Retrieved 23 April 2014. Lay summary (23 April 2014)]
  11. ^ 小島こじま道生みちお知的ちてき障害しょうがいかんする制約せいやく支援しえん橋本はしもとはじめいちら〔へん〕『障害しょうがいしゃ理解りかい教育きょういく支援しえん金子かねこ書房しょぼう、2008ねん[ようページ番号ばんごう]
  12. ^ 加藤かとう昭和あきかず重症じゅうしょう心身しんしん障害しょうがいしゃへの地域ちいき支援しえん橋本はしもとはじめいちら〔へん〕『障害しょうがいしゃ理解りかい教育きょういく支援しえん金子かねこ書房しょぼう、2008ねん
  13. ^ 障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんとうかんする法律ほうりつ施行しこう規則きそく(昭和しょうわ51ねん労働省ろうどうしょうれいだい38ごう) だい1じょうの2
  14. ^ a b c サイモン・バロン=コーエン自閉症じへいしょうスペクトラム入門にゅうもん のう心理しんりから教育きょういく治療ちりょうまでの最新さいしん知識ちしき』2011ねん8がつ、21-22ぺーじISBN 978-4805835234 
  15. ^ 日本にっぽん医家いか列伝れつでん 鈴木すずきあきら 大修館書店たいしゅうかんしょてん、2013ねんISBN 9784469267457 p94-p95
  16. ^ 精神せいしん障害しょうがいしゃをどうさばくか 岩波いわなみあきら 光文社こうぶんしゃ、2009ねんISBN 9784334035013
  17. ^ a b c 黒木くろき美佳みか, 大和やまと明日香あすか, 中坪なかつぼ晃一こういち, 田村たむら光子みつこ、「知的ちてき障害しょうがいしゃ雇用こよう状況じょうきょう課題かだい : 大学だいがくにおける就労しゅうろう事例じれいとおして」 『植草学園うえくさがくえん短期大学たんきだいがく紀要きよう』 2012ねん 13かん p.39-45, doi:10.24683/uekusat.13.0_39, 植草学園うえくさがくえん
  18. ^ 野川のがわさちてん, 是永これながかな、「知的ちてき障害しょうがいしゃ一般いっぱん就労しゅうろうにおける環境かんきょう設定せってい実態じったい課題かだい : 卒業生そつぎょうせいへの合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょう目指めざして」『高知大学こうちだいがく教育きょういく学部がくぶ研究けんきゅう報告ほうこく』 2016ねん 76かん p.77-83, 高知大学こうちだいがく教育きょういく学部がくぶ
  19. ^ 米澤よねざわだん、「福井ふくいけんにおける障害しょうがいしゃへの就労しゅうろう支援しえんつうじた社会しゃかいてき包摂ほうせつこころみ : コミュニティネットワークふくいを事例じれいとして」『社會しゃかい科學かがく研究けんきゅう』 2014ねん 65かん p.117-134, 東京大学とうきょうだいがく社会しゃかい科学かがく研究所けんきゅうじょ
  20. ^ 森口もりぐち弘美ひろみ, 久保くぼ真人まさと、「障害しょうがいのあるひと就労しゅうろう現状げんじょう障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう問題もんだいてん社会しゃかい参加さんか機会きかい平等びょうどう観点かんてんから」『同志社どうししゃ政策せいさく研究けんきゅう』 2007ねん 1ごう p.42-52, doi:10.14988/pa.2017.0000011086, 同志社大学どうししゃだいがく政策せいさく学会がっかい
  21. ^ a b c 鈴木すずききの理子さとこ阿部あべたかししょう曾根そね和子かずこ柘植つげ雅義まさよし鈴木すずききの理子さとこ阿部あべたかししょう曾根そね和子かずこ柘植つげ 雅義まさよし (2018). “意思いし推察すいさつ本人ほんにん保護ほごしゃとの対話たいわふく意思いし決定けってい支援しえん基盤きばんとした合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょう : 重度じゅうど知的ちてき障害しょうがいへの合理ごうりてき配慮はいりょ本人ほんにん主体しゅたいであるために”. 筑波大学つくばだいがく特別とくべつ支援しえん教育きょういく研究けんきゅう 12: 51-64. 
  22. ^ a b 熊田くまだ正俊まさとし宮本みやもと正一しょういち (2017). “知的ちてき障害しょうがい特別とくべつ支援しえん学級がっきゅうにおける合理ごうりてき配慮はいりょ実際じっさい”. 中部学院大学ちゅうぶがくいんだいがく中部学院大学ちゅうぶがくいんだいがく短期大学たんきだいがく教育きょういく実践じっせん研究けんきゅう 2: 77-85. 
  23. ^ 日本にっぽん認知にんち行動こうどう療法りょうほう学会がっかい へん認知にんち行動こうどう療法りょうほう事典じてん丸善まるぜん出版しゅっぱん、2019ねん、148-149ぺーじ 
  24. ^ 髙津あずさ奥田おくだ健次けんじ田上たうえさいわいふとし田中たなかしょうだい生田いくたしげる (2021). “特別とくべつ支援しえん学校がっこうにおける発話はつわ困難こんなん知的ちてき障害しょうがい言語げんご表出ひょうしゅつ促進そくしんするICTの活用かつよう継続けいぞく”. 特殊とくしゅ教育きょういくがく研究けんきゅう 58 (4): 283-292. 

参考さんこう文献ぶんけん

  • 橋本はしもとはじめいち菅野かんのあつし大伴おおともきよしはやし安紀あき小林こばやしいわお霜田しもだ浩信ひろのぶ武田たけだ鉄郎てつお千賀せんがあい小島こじま道生みちお池田いけだ一成いっせい編著へんちょ〕『障害しょうがいしゃ理解りかい教育きょういく支援しえん 特別とくべつ支援しえん教育きょういく障害しょうがいしゃ支援しえんのガイド』金子かねこ書房しょぼう、2008ねん

関連かんれん項目こうもく

外部がいぶリンク