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パープル・ヘイズ

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PURPLE HAZEから転送てんそう

パープル・ヘイズむらさきのけむり)」 (Purple Haze)は、ジミ・ヘンドリックス楽曲がっきょく1966ねんつくられ、1967ねん録音ろくおん、ヘンドリックスにとっては2まいのシングルきょくとして、イギリスアメリカ両国りょうこく発売はつばいされた。アメリカにおいては、1967ねんのアルバム『アー・ユー・エクスペリエンスト?』と、のち再発さいはつされたどうアルバムに収録しゅうろくされている。「パープル・ヘイズ」は1960年代ねんだいの"代表だいひょうてきなサイケデリックドラッグソング"となり、しばしばヘンドリックスの代表だいひょうきょくシグニチャーソング)とわれることもある[1]

一説いっせつによれば、ヘンドリックスがバックステージでいていたリフいたかれのマネージャーチャス・チャンドラーが、そのリフに歌詞かしをつけたらどうか、と提案ていあんしたところからできたきょくだという。1966ねんボクシング・デーに、アッパーカットクラブの楽屋がくやかれたとされるこのきょく歌詞かしたいして、チャンドラーは"ちっとも推敲すいこう(cut)されていない"とい(もっともヘンドリクスの歌詞かしでは大体だいたいがそうだとチャンドラーもみとめているが)、一方いっぽうでジミは"オリジナルには、はるかにおおくの文字もじふくまれていた"と主張しゅちょうしている[2]

1967ねんの3がつ17にちにイギリスでシングルが発売はつばいされた(Track 604001)。発売はつばい同時どうじに39でチャートインし、最高さいこうで3、14週間しゅうかんチャートにとどまった。アメリカでは1967ねんの6がつ19にち発売はつばいされ、最高さいこうで65。8週間しゅうかんチャートとどまった[3]

2005ねん3がつ発売はつばいQマガジンにおいて、グレイテストギタートラックの1えらばれ[4]ローリング・ストーンのえらぶオールタイム・グレイテスト・ソング500では17選出せんしゅつされた[5]。オーストラリアのテレビ局てれびきょくMAXは、2008ねんカウントダウン"ロックソングトップ100"でパープル・ヘイズを17えらんでいる[よう出典しゅってん]

歌詞かし

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"ぼくゆめ沢山たくさんうたれている"ヘンドリクスは1968ねんNew Musical Expressのインタビューにおいてこうこたえている。"'First Around the Corner' というきょくがひとつ。あとに'The Purple Haze'。これはうみなかあるいているゆめについていたものだよ"[6] パープル・ヘイズという言葉ことばは、サンドしゃDelysidという商標しょうひょう販売はんばいしていたLSD紫色むらさきいろのカプセルにはいっていたため、LSDを言葉ことばとして使つかわれている。さらに、パープル・ヘイズはその'むらさき'の形状けいじょうからマリファナひとつのであるため、'kissing the sky'は'ハイになる'というふう解釈かいしゃくされるのがもっと有力ゆうりょくである[7][8]。また、この歌詞かしいたさいにヘンドリクスは、Owsley Stanleyさくの "Purple Haze LSD"を摂取せっしゅしていたのではないかというせつがある[9]

パープルヘイズというフレーズ自体じたいは、1861ねんごろに印刷いんさつされたチャールズ・ディケンズおおいなる遺産いさんの54しょうの"There was the red sun, on the low level of the shore, in a purple haze, fast deepening into black..."という部分ぶぶん登場とうじょうする。

間違まちが

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間違まちがいで有名ゆうめいなのが、"excuse me while I kiss the sky"を"excuse me while I kiss this guy"と間違まちがえるもので、実際じっさいヘンドリックス自身じしんもジョークとして1967ねんのモンタリーポップフェスティバルやウッドストックでおこなわれたギターヒーロワールドツアーで(あいだちがったほうを)うたったという記録きろくがある[10]。またこの有名ゆうめい間違まちがいは、間違まちがいをあつめたサイトのURLに借用しゃくようされている[11]

チーチ&チョン気分きぶん最高さいこうでは"excuse me while I kiss this fly"とパロディーされている。

音楽おんがく

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このきょくは、イントロ部分ぶぶんのすぐに"ヘンドリクスコード" (dominant 7 # 9)が使つかわれていることられている。このコードは1960年代ねんだいホレス・シルヴァーなどのジャズアーティストによってしばしば使つかわれていたが、ロックでは普通ふつう使つかわれていなかった。イントロ部分ぶぶん自体じたいはトライトーンの使用しよう独特どくとくで、これも一般いっぱんてきにジャズミュージシャンに使つかわれる。これはベースがE(とそのオクターブ)をらしたときにヘンドリクスがBb(とそのオクターブ)を演奏えんそうしたときくことができる[12]。 このような不協和音ふきょうわおん当時とうじのポピュラーミュージックではほとんどもちいられていなかった[よう出典しゅってん]。 ギターソロの部分ぶぶんではオクタヴィアばれる[13]おといちオクターブげるエフェクター使つかわれている。このエフェクトはアコースティック/エレクトリックギターエンジニアのロジャー・メイヤーによって開発かいはつされ、メイヤーは開発かいはつにジミ・ヘンドリクスの協力きょうりょくがあったと発言はつげんしている[14]。 オクタビアをもちいたダビーなサウンドはアウトロ部分ぶぶんでもくことができる[よう出典しゅってん]

パープル・ヘイズのカバーと引用いんよう

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ジョニージョーンズ・アンド・キングカジュアルスによって1968ねんにカバーされた。ヘンドリクスはソロ活動かつどうはじめる以前いぜんにキングカジュアルスのメンバーであった。ディオンによるポップバージョンは、1969ねんカナダのチャートで72記録きろくし、1973ねんNational Lampoon's Lemmingsのステージにおいてジョン・ベルーシジョー・コッカーのパロディー "ロンリー・アット・ザ・ボトム"で、1960年代ねんだい後半こうはんを"days of Purple Haze and freon"と表現ひょうげんしている。1979ねん映画えいが地獄じごく黙示録もくしろくでは登場とうじょう人物じんぶつであるランスが、紫煙しえんのグレネードをボートにセットするときにLSDでトリップしながらパープル・ヘイズをうたっている。 コロンビアピクチャーズから1981ねん発売はつばいされたチーチ&チョン監督かんとく チーチ&チョンの気分きぶん最高さいこうでは、主人公しゅじんこうたち精神せいしん病院びょういんにいる場面ばめんでヘンドリクスのような格好かっこうをした黒人こくじん患者かんじゃマイケル・ウィンスロー)がパープル・ヘイズのパロディーをうたっている。1983ねんのコメディードラマパープル・ヘイズのオープニングではどうきょくのライブバージョンが使つかわれている。1984ねんヒューイ・ルイス&ザ・ニュース、"I Want a New Drug"ではきょく最終さいしゅうばんにパープル・ヘイズのイントロが使つかわれている。ロサンジェルスのアートロックバンドザ・フィボナッチズは1984ねんにアヴァンギャルドカバーを発表はっぴょうし、同年どうねんサイケデリックミュージックビデオもリリースした。サンフランシスコの弦楽げんがくよん重奏じゅうそうだんクロノス・クァルテットはライブでパープル・ヘイズを頻繁ひんぱん演奏えんそうしており、アルバムクロノス・クァルテット (1986)とDVDIn Accord (2000)に収録しゅうろくされている[15][16]

アート・アンサンブル・オブ・シカゴの1987ねんのアルバムAncient to the Futureでフィーチャーされている。スウェーデンの俳優はいゆうドルフ・ラングレン主演しゅえん映画えいがマスターズ/ちょうそら覇者はしゃにおいてパープル・ヘイズが演奏えんそうされている。The Fibonaccisが1987ねんのコメディー映画えいがValet Girlsでカバー演奏えんそうしている。ウィンガーが1988ねんアトランティック・レコードからリリースされたアルバムWingerでカバー演奏えんそうしている。1988ねんのアクション映画えいがシェイクダウンにフィーチャーされている。オジー・オズボーンは1989ねん8がつ12にち、13にちおこなわれたMoscow Music Peace Festivalにおいてヘヴィメタルバージョンを演奏えんそうした。またこのバージョンは同年どうねんリリースされたコンピレーションアルバムStairway to Heaven/Highway to Hell収録しゅうろくされている。1989ねんリリースのトラヴェリング・ウィルベリーズの"End of the Line"には"Maybe somewhere down the road a ways / You'll think of me and wonder where I am these days / Maybe somewhere down the road when somebody plays / Purple Haze"という歌詞かしふくまれている。

細野ほその晴臣はるおみ忌野いまわの清志郎きよしろう坂本さかもと冬美ふゆみの3めい構成こうせいされた音楽おんがくユニットである「HIS」のアルバム『日本にっぽんひと』で、音頭おんどふうにアレンジし、日本語にほんごで「パープル・ヘイズ音頭おんど」としてカヴァーしている。1990ねん東芝とうしばEMI創立そうりつ30周年しゅうねん記念きねんイベント「ロックのまれた」で忌野いまわの坂本さかもと三宅みやけ伸治しんじと3にんでSMIを名乗なのり、小林こばやし和生かずおがウッドベース、ケニー・モズレーがパーカッションとして参加さんかしたとき演奏えんそうもとになっている。

フランク・ザッパの1991ねんのライブアルバムThe Best Band You Never Heard in Your Lifeには1988ねん録音ろくおんされたパロディーバージョンが収録しゅうろくされている。1991ねんThe Bobsアカペラバージョンのパープル・ヘイズを録音ろくおんしている。[17] タンジェリン・ドリームの1992ねん、アメリカでのコンサートアルバム220 Volt Liveにカバーが収録しゅうろくされている。 1993ねんのトリビュートアルバムStone Free: A Tribute to Jimi Hendrixいちきょくにはザ・キュアー演奏えんそう収録しゅうろくされている。1995ねん公開こうかいの、映画えいがアポロ13ではジム・ラヴェル一番いちばんじょうむすめがアポロ13の中継ちゅうけいまえにパープル・ヘイズを演奏えんそうしている。

My Wife and KidsのエピソードのなかのMichael Kyleが息子むすことその友人ゆうじんかれのギタースキルを披露ひろうする場面ばめんでは、ギターにをつけてした演奏えんそうしている。ウダイ・サッダーム・フセイン高級こうきゅうしゃからシングルCDのコピーが発見はっけんされた。オーストラリアのバンドWolfmotherの"Dimension"のなかには"Purple Haze is in the sky"という歌詞かしふくまれている。2006ねん5がつ1にち発売はつばいレッド・ホット・チリ・ペッパーズのシングル"ダニー・カリフォルニア"のギターソロでパープル・ヘイズのイントロが使つかわれている。2007ねんにはブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブがアルバムRhythms del Mundo Classicsでカバーしている。

植松うえまつ伸夫のぶお作曲さっきょくによるファイナルファンタジーVII楽曲がっきょくかたつばさ天使てんしはパープル・ヘイズに影響えいきょうされている。 デッド・ケネディーズもとドラムスのD.H. Peligroはパンクロックバージョンのパープル・ヘイズを録音ろくおんしグラミーしょうにノミネートされた。

シアトルのバンドEclipse Revolutionがライブでパープル・ヘイズをカバー演奏えんそうした。

B'zが1990ねんにリリースしたアルバム「BREAK THROUGH収録しゅうろくの「SAVE ME!?」にはどうきょく引用いんようされており、歌詞かしにも曲名きょくめい登場とうじょうする。リリースにさい松本まつもと孝弘たかひろはセルフライナーノーツに「Purple Hazeは素晴すばらしい」とコメントした。 1994ねんおこなわれたツアー「B'z LIVE-GYM '94 “The 9th Blues -Part2-”」ではより「Purple Haze」にちかいアレンジで披露ひろうしている。また、おなじライブのなかでは松本まつもと孝弘たかひろがボーカルをり、「Little Wing」のカバーも披露ひろうしていた。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Shapiro, Harry; Caesar Glebbeek (1995). Jimi Hendrix, Electric Gypsy. MacMillan. p. 148. ISBN 9780312130626. https://books.google.co.jp/books?id=JB1W2dn31rwC&redir_esc=y&hl=ja 
  2. ^ Shapiro and Glebbeek, Jimi Hendrix, Electric Gypsy, 147.
  3. ^ Shapiro and Glebbeek, Jimi Hendrix, Electric Gypsy, 524-526.
  4. ^ Rocklist.net...Q Magazine Lists”. Rocklistmusic.co.uk. 2010ねん3がつ25にち閲覧えつらん
  5. ^ The RS 500 Greatest Songs of All Time”. Rolling Stone. 2009ねん1がつ25にち閲覧えつらん
  6. ^ Shapiro and Glebbeek, Jimi Hendrix, Electric Gypsy, 148.
  7. ^ Miller, Richard Lawrence (2002). Drugs of abuse : a reference guide to their history and use. Westport, Connecticut, U.S.A: Greenwood Press. p. 228. OCLC 224044107. ISBN 0313318077, 9780313318078. https://books.google.co.jp/books?id=G7As-qawdzMC&pg=PA228&lpg=PA228&dq=%22purple+haze%22+Sandoz&redir_esc=y&hl=ja 2009ねん3がつ11にち閲覧えつらん 
  8. ^ Noon, Chris (April 2005). “Novartis CEO Posts Strong Quarter”. Forbes (April 21). http://www.forbes.com/2005/04/21/0421autofacescan09.html 2009ねん3がつ11にち閲覧えつらん. 
  9. ^ Sriram, J. (2008ねん5がつ5にち). “My five”. The Hindu. http://www.hindu.com/mp/2008/04/05/stories/2008040551670900.htm 11 March 2009閲覧えつらん 
  10. ^ The Jimi Hendrix Story - 'scuze me while I kiss this guy!”. Kissthisguy.com. 2010ねん3がつ25にち閲覧えつらん
  11. ^ KissThisGuy.com - The Archive of Misheard Song Lyrics”. www.kissthisguy.com. 2023ねん8がつ1にち閲覧えつらん
  12. ^ Rooksby, Rikky (2002). Riffs: How to Create and Play Great Guitar Riffs. p. 24. ISBN 0879307102 
  13. ^ Shapiro and Glebbeek, Jimi Hendrix, Electric Gypsy, 524.
  14. ^ Octavia”. Guitar Effects by Roger Mayer. 2009ねん1がつ25にち閲覧えつらん
  15. ^ Walsh, Michael (1986ねん11月17にち). “Once Upon A Time In America”. Time. http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,962874,00.html?iid=chix-sphere 2009ねん1がつ24にち閲覧えつらん 
  16. ^ Wierzbicki, James (1990ねん1がつ29にち). “Kronos Quartet Audience Gets Ear-load Of Quality”. Saint Louis Dispatch. http://nl.newsbank.com/nl-search/we/Archives?p_product=SL&p_theme=sl&p_action=search&p_maxdocs=200&p_topdoc=1&p_text_direct-0=0EB04C8AFB3D913D&p_field_direct-0=document_id&p_perpage=10&p_sort=YMD_date:D&s_trackval=GooglePM 2009ねん1がつ24にち閲覧えつらん 
  17. ^ Sing the Songs Of”. The Bobs. 2010ねん3がつ25にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク

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