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プロプライエタリソフトウェア

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
Proprietary softwareから転送てんそう

プロプライエタリソフトウェアえいproprietary software)または私有しゆうソフトウェアしゆうソフトウェアは、ソフトウェア入手にゅうしゅ使用しよう改変かいへん複製ふくせいなどにかんする権利けんり議論ぎろんする文脈ぶんみゃくもちいられるソフトウェア分類ぶんるいである。

ソフトウェア利用りようしゃ権利けんり制限せいげんすることで、配布はいふしゃ利用りようしゃ利益りえきおよびセキュリティ[1]保持ほじしようとするソフトウェアをす。制限せいげんには、法的ほうてき手法しゅほう技術ぎじゅつてき手法しゅほうなど様々さまざま方法ほうほうがある。技術ぎじゅつてき制限せいげん手法しゅほうとしては、バイナリ実行じっこうコードのみを使用しようしゃ提供ていきょうし、ソースコード公開こうかいしないというソフトウェア流通りゅうつう方法ほうほうがある。法的ほうてき制限せいげん手法しゅほうとしては、著作ちょさくけん特許とっきょけん不正ふせい競争きょうそう防止ぼうしほう国家こっか機密きみつおよびそれにもとづくソフトウェアライセンス許諾きょだくといった方法ほうほうがある。

用例ようれい

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『プロプライエタリ』の形態けいたいについて

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フリーソフトウェアのパッケージのなかにも、独占どくせんてきにのみ入手にゅうしゅできるものもある。たとえば、MySQLSendmailSSHなどである。フリーソフトウェアであったとしても、そのソフトウェアのもと著作ちょさくけんしゃデュアルライセンス使用しようして、他者たしゃにプロプライエタリばんさい配布はいふ許諾きょだくすることができる。コピーレフトソフトウェア(とくに許諾きょだくきのフリーソフトウェア)では独占どくせんてきさい配布はいふおこなうことができる。

プロプライエタリソフトウェアのなかには、ソースコードきのものや、ソースコードへのアクセスけんあたえるものなどもある。この場合ばあい利用りようしゃはそのソフトウェアを自由じゆう精査せいさしたり改変かいへんしたりできるが、改変かいへんばんさい配布はいふしたり、そのソフトウェアをのものと一緒いっしょ使つかったりすることは、ライセンスまたは秘密ひみつ保持ほじ契約けいやくにより制限せいげんされる。このようなソフトウェアのれいとして、Pineやマイクロソフトのシェアードソースライセンスプログラム、SSHのプロプライエタリバージョンなどがある。

シェアウェア無償むしょう入手にゅうしゅできるプロプライエタリソフトウェアであり、試用しよう期間きかんちゅうだけ無償むしょうであるてんちがいがあり、一定いってい期間きかんぎると制限せいげんがかかったり、使つかえなくしたりするというかたちになるものもおおい。

提供ていきょうしゃ以後いご宣伝せんでん出荷しゅっかもせず、許諾きょだくしに利用りようしゃ使用しようしているソフトウェアは、アバンダンウェアばれ、ソースコードきである場合ばあいもある。このたねのソフトウェアのなかには、ソースコードが作者さくしゃもしくは著作ちょさくけんしゃによってパブリックドメインにかれ、フリーソフトウェアとなって、プロプライエタリソフトウェアではなくなっているものもある。

フリーソフトウェア・オープンソースソフトウェア運動うんどう

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フリーソフトウェア財団ざいだん(FSF)によれば、プロプライエタリソフトウェアの定義ていぎは、フリーソフトウェアまたは擬似ぎじフリーソフトウェア(semi-free software)の定義ていぎてはまらないあらゆるソフトウェアをす。元々もともと字義じぎてき意味いみとしては、ソフトウェアに知的ちてき財産ざいさんけん行使こうししうるものがおり、利用りようしゃができることを制御せいぎょするといった意味合いみあいをつ。FSFによれば、FSFが提供ていきょうするGPLライセンスはソフトウェアに制限せいげんもうけることによりユーザがソフトウェアを使用しよう改変かいへん複製ふくせいできる自由じゆう提供ていきょうするとし、プロプライエタリがわのライセンスは知的ちてき財産ざいさんけんしゃのみにえきがあるもので、許容きょようできないとしている[2]

独占どくせんてき」「プロプライエタリてき」といった形容詞けいようしもちいることの利点りてんたんなる「商用しょうようソフトウェア」との混同こんどうけられるてんにある。つまり、フリーソフトウェア自体じたいは、ソフトウェアの販売はんばい商用しょうよう目的もくてき利用りようさまたげるものではないからである。

プロプライエタリソフトウェアとの用語ようごは、フリーソフトウェアといいかえることもでき、フリーソフトウェア運動うんどうがわによりもちいられてきたかたりである。FSFの創始そうししゃリチャード・ストールマンは「user subjugate(ユーザ束縛そくばくライセンス)」ともび、エベン・モグレンは「unfree software不自由ふじゆうソフトウェア)」との呼称こしょうもちいている。Debian開発かいはつしゃあいだでは、Debianフリーソフトウェアガイドライン準拠じゅんきょしないソフトウェア全般ぜんぱん呼称こしょうとして「non-free」とのかたりもちいられており、一方いっぽう、プロプライエタリソフトウェアとのかたりとくにソースコードを提供ていきょうしないフリーソフトウェアをかたりとして使つかわれている。また、オープンソース・イニシアティブは「closed source software(ソース開示かいじソフトウェア)」とのかたり使用しようしている。

マイクロソフトなどの独占どくせんてきソフトウェアの擁護ようごがわからの意見いけんとして、営利えいり目的もくてき利益りえき機会きかいたかければイノベーションがより加速かそくされるということがある[3]占有せんゆうしゃそくが、著作ちょさくけんおよびときとして特許とっきょ利用りようして一時いちじてき寡占かせん状態じょうたいになると、ソフトウェアの価格かかく高騰こうとうする[4]。バージョン更新こうしんやアップグレードばんへの依存いぞんつよまることにより、競争きょうそう相手あいてとなるようなソフトウェアパッケージが存在そんざいしなくなり、ベンダロックインばれる状況じょうきょうとなる。プロプライエタリソフトウェアはとく売上うりあげ収益しゅうえき観点かんてんから、フリーソフトウェアよりもしょう産業さんぎょう税収ぜいしゅうめんにおいて価値かちむとわれている[5]

プロプライエタリソフトウェアにたいする著作ちょさくけん侵害しんがい防止ぼうししたり、ソフトウェア使用しようじょうきょう確認かくにんしたりするために、様々さまざま種類しゅるいアクティベーションライセンス管理かんりといったシステムが出現しゅつげんしている。占有せんゆうしゃ製品せいひん廃止はいししたり、なんらかの理由りゆうからアクティベーションキーの提供ていきょうめたり、製品せいひん出荷しゅっか停止ていししたりすると、正規せいきユーザであっても既存きそんのソフトウェア製品せいひんやそのハードウェアを利用りようできなくなる。

あるソフトウェアパッケージの占有せんゆうしゃ製品せいひん出荷しゅっか停止ていししたり、有効ゆうこう期限きげん制限せいげんしたり、サポートを停止ていししたりすると、その製品せいひん利用りようしゃ不便ふべん状況じょうきょうまれ、そのソフトウェアに問題もんだいがあったとしても、なんらサポートをけられない事態じたいおちいる。占有せんゆうしゃときとして、経営けいえいじょう問題もんだいからソフトウェア製品せいひん更新こうしんやサポートを停止ていしせざるをえない状況じょうきょうになることもある[6]営利えいり企業きぎょうでは経営けいえい戦略せんりゃく、もしくは組織そしき戦略せんりゃくじょう目的もくてきから製品せいひんのサポートを停止ていしする場合ばあいもある。その戦略せんりゃく更新こうしんばんへのアップグレードや最新さいしんばん購入こうにゅうぞう見込みこんだものである場合ばあいもある[7]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 防衛ぼうえいシステムやSCADAシステム、金融きんゆうシステムなどの社会しゃかいインフラかかわるものなど。なお、普通ふつうのセキュリティの専門せんもんは「中身なかみ秘密ひみつにすることでまもろうとするセキュリティ」のことをen:Security through obscurityぶ。
  2. ^ The GNU Project”. Free Software Foundation (2005ねん5がつ). 2006ねん6がつ9にち閲覧えつらん
  3. ^ The Commercial Software Model”. マイクロソフト (2001ねん5がつ). 2005ねん6がつ21にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2007ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  4. ^ In defense of proprietary software”. ZDNet (2003ねん12がつ). 2007ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  5. ^ Open Source Versus Commercial Software: Why Proprietary Software is Here to Stay”. Sams Publishing (2005ねん10がつ). 2007ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  6. ^ What happens when a proprietary software company dies?”. NewsForge (2003ねん10がつ). 2007ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  7. ^ Microsoft Turns Up The Heat On Windows 2000 Users”. InformationWeek (2006ねん12がつ). 2007ねん3がつ5にち閲覧えつらん