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マルウェア

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

マルウェア (malware) とは、不正ふせいかつ有害ゆうがい動作どうささせる意図いと作成さくせいされた悪意あくいのあるソフトウェア悪質あくしつコード総称そうしょうコンピュータウイルスワームトロイの木馬もくばなどがふくまれる。

悪意あくいのコード (malicious code) [1]悪意あくいのソフトウェア (malicious software) [1]悪意あくいのある不正ふせいソフトウェア[2]有害ゆうがいなソフトウェア[3][4]不正ふせいプログラム[2]ともばれる。

マルウェアのおこな活動かつどうとしてはデータの破壊はかいやデータの盗難とうなんなどがあるが、こうした「悪意あくいのある」行動こうどうをするソフトのみならず、ユーザののぞまない広告こうこく勝手かってアドウェアのような「迷惑めいわくソフト」(のなか悪質あくしつなもの[5])もマルウェアの範疇はんちゅうふくめる場合ばあいがある[6]

マルウェア (malware) は、「悪意あくいのある」という意味いみ英語えいごmalicious(マリシャス)」と「software」をわせてつくられた混合こんごうである[7]

類義語るいぎごとしてクライムウェアがあり、これはマルウェアのなかとく犯罪はんざい (crime) に使つかわれるものをすとするものもあるが[8]かならずしもこれを要件ようけんとしないものもあり[9]、マルウェアとの関係かんけい判然はんぜんとしない。

種類しゅるい[編集へんしゅう]

2011ねん3がつ種類しゅるいべつマルウェア。

マルウェアの種類しゅるい代表だいひょうれいとして以下いかのものがあげられる。なお、以下いか種類しゅるい排他はいたてきではなく、複数ふくすう種類しゅるい定義ていぎたすマルウェアも存在そんざいしうる[10]

広義こうぎのコンピュータウイルスあるいはたん広義こうぎのウイルス
文脈ぶんみゃくによって定義ていぎ様々さまざまであるが、 「コンピュータウイルス対策たいさく基準きじゅん」では、自己じこ伝染でんせん機能きのう潜伏せんぷく機能きのう発病はつびょう機能きのうのいずれかをもつ加害かがいプログラムのことをウイルスの定義ていぎとして採用さいようしている[11]後述こうじゅつするワームやトロイの木馬もくば狭義きょうぎのウイルスではないが、この意味いみでの広義こうぎのウイルスにはぞくする[11]さい広義こうぎでは「ウイルス」(virus) というかたりはマルウェアと同義どうぎであり[12][13]、マスメディアなどではこのさい広義こうぎ意味いみもちいられるが、これは誤用ごようであるとされることもある[12]
狭義きょうぎのコンピュータウイルスあるいはたん狭義きょうぎのウイルス
のプログラムやファイルの一部いちぶえ(寄生きせい感染かんせん)、自己じこ複製ふくせいする機能きのうつマルウェアのことである[10][14][11]感染かんせん対象たいしょうのプログラムのことをウイルスの宿主しゅくしゅもしくはホストプログラム[14]という。感染かんせん経路けいろ秘匿ひとくするなどの目的もくてきで、プログラムなどに感染かんせんしたあと一時いちじてき潜伏せんぷくし、そのしばらくってから活動かつどう開始かいし発病はつびょう)するものもおお[11]
ワーム
ウイルス同様どうよう自己じこ増殖ぞうしょくするが、ホストプログラムをたず、単体たんたい存在そんざいするプログラムのこと[10][14]
バックドアがた
外部がいぶからコンピュータをあやつるためにつくられたコンピュータへの不正ふせい侵入しんにゅう経路けいろことRAT (Remote Administration Tool) ともばれる[15]。バックドアをしかけるマルウェアをバックドアがた[15][16]
トロイの木馬もくば
一見いっけん無害むがいなファイルやプログラムに偽装ぎそうしたうえでコンピュータに侵入しんにゅうしたあと悪意あくいのあるいをするものをすことがおおいが[10][14][17]偽装ぎそうおこなわずにOSとう脆弱ぜいじゃくせい悪用あくようして勝手かってにインストールされてしまうもの(ドライブバイダウンロード)もトロイの木馬もくばふくめる場合ばあいがある[18]狭義きょうぎのウイルスとちが自己じこ増殖ぞうしょく機能きのうたない[10][18][15]。またトロイの木馬もくば定義ていぎとして単体たんたい存在そんざい宿主しゅくしゅ必要ひつようとしないことを要件ようけんくわえるものもあるが[18]、これを要件ようけんとしない場合ばあいもある[14]
トロイの木馬もくば定義ていぎとして、コンピューター内部ないぶ侵入しんにゅうしたあと攻撃こうげきしゃによる外部がいぶからの命令めいれい悪意あくいのあるいをする[10][14][18]ことやバックドアがたであること[18]要件ようけんにする場合ばあいもある。
スパイウェア
情報じょうほう収集しゅうしゅうおも目的もくてきとし[10]、コンピュータの内部ないぶ情報じょうほう外部がいぶ勝手かって送信そうしんする[19]ソフトウェアで、ユーザーがづかないうちにパソコンにインストールしているパターンがおお[10]
IPAJNSA定義ていぎによればスパイウェアとは「利用りようしゃ管理かんりしゃ意図いとはんしてインストールされ、利用りようしゃ個人こじん情報じょうほうやアクセス履歴りれきなどの情報じょうほう収集しゅうしゅうするプログラムとう」のことである[20][21]
スパイウェアはマルウェアの一種いっしゅとみなすことがおおいが[19][22][7][23][24]シマンテックはスパイウェアをマルウェアにふくめていない[10](クライムウェアにはふくめている[25])。
キーロガーもしくはキーストロークロガー[14]
キーボードからの入力にゅうりょく記録きろくするプログラムのこと[26]で、キーロガーというものそれ自体じたいはマルウェアではなく、コンピュータの所有しょゆうしゃ自身じしんデバッグのためにしかけるなどの使つかかたもあるが[26]、パスワードや個人こじん情報じょうほうなどを奪取だっしゅするため悪意あくいってしかけられるなどマルウェア[26][14](スパイウェア[19])としてもちいられることもある。同様どうようにネットワークをとおるパケットを監視かんしするスニッファ盗聴とうちょう目的もくてき使つかわれる場合ばあいがある。
ボット
ボット自体じたい常駐じょうちゅうしてチャットで会話かいわするなどといった機能きのう任意にんいのプログラムをすもので、かならずしもマルウェアをすものではない。マルウェアとしては、ボットネットばれる仕組しくみにより、IRCなどを利用りようして攻撃こうげきしゃから命令めいれいり、命令めいれいおうじてDDoS攻撃こうげきスパムメール送信そうしんなどをおこなうマルウェア[27]す。ボットに感染かんせんしたコンピュータによって構成こうせいされたネットワークをボットネットもしくはゾンビクラスタという[27]。それにたいしボットネットに指令しれいすサーバをC&Cサーバ (Command and Control server) という[28]。またボットなどの感染かんせんにより攻撃こうげきしゃによる遠隔えんかく操作そうさ可能かのうなコンピュータをゾンビマシンという[29]
ルートキット
攻撃こうげきしゃ被害ひがいしゃのコンピュータに侵入しんにゅうしたあとにもちいるツールをあつめたパッケージ[30]で、マルウェアとして被害ひがいしゃのコンピュータにしかける[31]侵入しんにゅう発覚はっかくふせぐログかいざんツール[30]、バックドアをしかけるツール[30]、キーロガー[30]、パスワードやクレジットカード情報じょうほうとう窃盗せっとうツール[31]、DDoS攻撃こうげきようのボットツール[31]、セキュリティソフトの無効むこうツール[31]などがふくまれていることがある。こうした攻撃こうげき容易よういにするため、システムバイナリをふくめたファイルをすうひゃく単位たんい改竄かいざんする[14]。ルート権限けんげんうばうなど管理かんりしゃレベルのアクセスけん取得しゅとくすること定義ていぎとする場合ばあいもある[32]また基本きほんてきにルートキットは隠蔽いんぺいされているので、普通ふつうのセキュリティソフトではつけられなく、専用せんようのセキュリティソフトでないとつけること困難こんなんとされる。
ランサムウェア (ransomware)
コンピュータをロックしたり重要じゅうようなファイルを暗号あんごうしてめなくするなどして被害ひがいしゃこまらせ,身代金みのしろきん (ransom) をはらえばもともどすと脅迫きょうはくするマルウェア[33]
スケアウェア (scareware)
ユーザの恐怖きょうふ (scare) しんあおにせ警告けいこくメッセージ(「PCから違法いほうポルノやウイルスが検出けんしゅつされた」とう)を表示ひょうじし、問題もんだい解決かいけつするには所定しょてい金額きんがく支払しはらうようにとおどすマルウェア[34][35]
ダウンローダー
サイズのちいさなマルウェアで、攻撃こうげきしゃのサーバから被害ひがいしゃのコンピュータに実行じっこうファイルなどをダウンロードする[15]などさらなる攻撃こうげきあしがかりにする。
ドロッパー(Dropper)
本体ほんたい内部ないぶ不正ふせいなプログラムが格納かくのうされており、実行じっこう実行じっこう可能かのうファイルに展開てんかいする。暗号あんごう難読なんどく、パッキングなどがほどこされているため、簡単かんたんには不正ふせいプログラムとして認識にんしきされないようになっている。
アドウェア (Adware)
ユーザののぞまない広告こうこく勝手かってすソフトウェアである。アドウェアまたはそのなか悪質あくしつなものもマルウェアの範疇はんちゅうふくめる場合ばあいがある[5][6]
ワイパー
ハードディスクドライブうちデータを完全かんぜん消去しょうきょすることを目的もくてきとしたもの。

セキュリティ技術ぎじゅつたいする回避かいひ技術ぎじゅつ[編集へんしゅう]

不正ふせい行為こうい実行じっこうするために、攻撃こうげきしゃはマルウェアを作成さくせいするが、その不正ふせいこころみが検出けんしゅつされてしまっては、その目的もくてき達成たっせいすることはできない。セキュリティベンダがセキュリティ技術ぎじゅつ進化しんかさせると、それにわせて攻撃こうげきしゃ技術ぎじゅつ進化しんかさせる。セキュリティベンダと攻撃こうげきしゃあいだでは、いたちごっこがかえされている。回避かいひ技術ぎじゅつは、検出けんしゅつ分析ぶんせき把握はあく回避かいひするためにマルウェアが使用しようする手段しゅだん総称そうしょうである[36]

セキュリティ技術ぎじゅつたいする回避かいひ技術ぎじゅつつぎの3つに分類ぶんるいできる[36]

  • セキュリティ対策たいさく回避かいひ: マルウェア対策たいさくエンジン、ファイアウォール、アプリケーション隔離かくりなどの保護ほごツールによる検出けんしゅつ回避かいひするために使用しようされる[36]
  • サンドボックスの回避かいひ: 自動じどう分析ぶんせき検出けんしゅつし、マルウェアの挙動きょどう報告ほうこくするエンジンを回避かいひするために使用しようされる。仮想かそう環境かんきょう関連かんれんするレジストリキー、ファイル、プロセスを検出けんしゅつすることで、サンドボックスない実行じっこうされているかどうかをマルウェアに通知つうちする[36]
  • 分析ぶんせき回避かいひ: マルウェア分析ぶんせき検出けんしゅつしてあざむくために使用しようされる。たとえば、Process ExplorerやWiresharkなどの監視かんしツールを検出けんしゅつするだけでなく、リバースエンジニアリングを回避かいひするために圧縮あっしゅく難読なんどくなどをおこな[36]

高度こうどなマルウェアのなかには、このような技術ぎじゅつわせて利用りようしているものもある。たとえば、RunPE(メモリーない自身じしんのプロセスをもう1つ実行じっこうする)などの技術ぎじゅつ使用しようして、マルウェア対策たいさくソフトウェアやサンドボックス、分析ぶんせき回避かいひしている。また、仮想かそう環境かんきょう関連かんれんする特定とくていのレジストリキーを検出けんしゅつし、サンドボックスでの自動じどう分析ぶんせき仮想かそうマシンじょうでの動的どうてき分析ぶんせき回避かいひするマルウェアもある[36]

ウイルスをはじめとしたマルウェアはセキュリティソフト発見はっけんされないよう、下記かきのようなツールや手法しゅほうもちいていることがほとんどである。また、サイバーセキュリティの回避かいひ技術ぎじゅつで、よく使つかわれる用語ようごがある。ここで、攻撃こうげきしゃ使用しようするツール、手法しゅほう用語ようごをいくつか紹介しょうかいする[36]

  • Crypter(クリプター): マルウェアの実行じっこうに、マルウェア対策たいさくエンジンや静的せいてき分析ぶんせきによる検出けんしゅつ回避かいひするため、マルウェアの暗号あんごう復号ふくごうおこなう。クリプターは、攻撃こうげき対象たいしょうわせて作成さくせいされることがおおく、やみ市場いちば購入こうにゅうすることもできる。クリプターをカスタマイズすることで、復号ふくごうぎゃくコンパイルがさらに困難こんなんになる。既知きち高度こうどなクリプターとしては、Aegisクリプター・Armadillo・RDG Tejon などがある[36]
  • Packer(パッカー): クリプターとているが、マルウェアファイルの暗号あんごうではなく圧縮あっしゅくおこなう。UPXが代表だいひょうてきなパッカーである[36]
  • Binder(バインダー): 複数ふくすうのマルウェアファイルを1つに結合けつごうする。マルウェアの実行じっこうファイルの拡張子かくちょうし変更へんこうせず、JPGファイルに結合けつごうできる。マルウェア作成さくせいしゃは、正規せいきのEXEファイルにマルウェアファイルを結合けつごうしようとする[36]
  • Pumper(ポンパー): ファイル サイズをやす。これにより、マルウェア対策たいさくエンジンによる検出けんしゅつ回避かいひできる場合ばあいがある[36]
  • FUD: マルウェアの販売はんばいしゃがツールの説明せつめいやアピールに使用しようするもので、あらゆるマルウェア対策たいさくソフトで完全かんぜん検出けんしゅつ不可ふか (FUD; Fully UnDetectable) であることをあらわす。有効ゆうこうなFUDプログラムは、スキャンタイムとランタイムの両方りょうほうわせ、100%検出けんしゅつ不可ふか実現じつげんする。既知きちのFUDとして、つぎの2種類しゅるいられている[36]
    • FUD scantime: マルウェアファイルの実行じっこうまえに、マルウェア対策たいさくエンジンで検出けんしゅつされないように保護ほごする[36]
    • FUD runtime: マルウェアファイルの実行じっこうちゅうに、マルウェア対策たいさくエンジンで検出けんしゅつされないように保護ほごする[36]
  • Unique stub generator(ユニークスタブ ジェネレーター): 実行じっこうちゅうかくインスタンスに固有こゆうのスタブを作成さくせいし、検出けんしゅつ分析ぶんせき困難こんなんにする[36]。(スタブとは、通常つうじょうもとのマルウェアファイルのメモリへのみ(復号ふくごうまたは解凍かいとう)に使用しようするルーチンがふくまれる。)
  • ファイルレス マルウェア: ディスクにファイルをむことはせず、自身じしんをメモリに挿入そうにゅうすることでシステムに感染かんせんする[36]
  • 難読なんどく: マルウェアのコードを簡単かんたんひと理解りかいできないようにする。プレーンテキストの文字もじれつエンコード (XOR, Base64など) し、マルウェアファイルに挿入そうにゅうしたり、ジャンク関数かんすうをファイルに追加ついかする[36]
  • ジャンクコード: 無駄むだなコードやにせ命令めいれいをバイナリに追加ついかし、ぎゃくアセンブルをあざむいたり、簡単かんたん分析ぶんせきされないようにする[36]
  • アンチ: 保護ほごツールや監視かんしツールの回避かいひ無効むこう終了しゅうりょう使用しようするすべての手法しゅほうす。地下ちかフォーラムややみ市場いちば使用しようされる[36]
  • Virtual machine packer(仮想かそうマシン パッカー): 仮想かそうマシンの概念がいねんれた高度こうどなパッカーである。マルウェアの EXE ファイルが圧縮あっしゅくされると、もとのコードが仮想かそうマシンのバイトコードに変換へんかんされ、プロセッサの動作どうさをエミュレートする。既知きちのものではVMProtect、CodeVirtualizerでこの手法しゅほう利用りようされている[36]

もっと一般いっぱんてき回避かいひ技術ぎじゅつつぎのとおりである[36]

  • 難読なんどく: データ・変数へんすう・ネットワーク通信つうしん保護ほごする。変数へんすうまたは関数かんすう名前なまえをランダムする。XORなどのエンコーディング方法ほうほう使用しようする[36]
  • 環境かんきょうのチェック: 仮想かそう環境かんきょう関連かんれんするツールやアーティファクトを検出けんしゅつし、セキュリティソフトやベンダとう分析ぶんせき回避かいひする[36]
  • サンドボックスの検出けんしゅつ: サンドボックス関連かんれんのファイルやプロセスを検出けんしゅつするためにディスクをチェックする[36]

感染かんせん経路けいろ[編集へんしゅう]

マルウェアは、下記かきのように様々さまざま感染かんせん経路けいろによって感染かんせん活動かつどうおこなっている[37]。 ネットワーク感染かんせんやメール添付てんぷ感染かんせんとう感染かんせん手法しゅほうほかに、ホームページをただけで感染かんせんする「Web閲覧えつらん感染かんせんがた」も感染かんせん手法しゅほうひとつとして確認かくにんされており、その方法ほうほう高度こうど巧妙こうみょうしている[37]

下記かき感染かんせん経路けいろれいしめ[37][38]

  • Web閲覧えつらん感染かんせんがた:ブラウザで閲覧えつらんしたサイトにまれたマルウェアをダウンロードし、感染かんせんさせるタイプである。サイトをただけで感染かんせんすることもあり、インターネット利用りようしゃ自身じしん感染かんせん認識にんしきすることがむずかしくなっている。表示ひょうじされた広告こうこくとおして感染かんせんする場合ばあいもある[39]
  • Web誘導ゆうどう感染かんせんがた:メールに添付てんぷされたURLをクリックし、アクセスしたサイトからマルウェアをダウンロードするよう誘導ゆうどうして感染かんせんさせるタイプである。
  • にせセキュリティソフト配布はいふサイト誘導ゆうどう感染かんせんがた: あたかも無料むりょうのウイルス対策たいさくソフトのようにせかけて、悪意あくいのあるプログラムをインストールさせようとする「にせセキュリティソフト」の被害ひがいえている。その代表だいひょうてき手口てぐちは、ホームページなどで「あなたのコンピュータはウイルスに感染かんせんしています」のようなメッセージを表示ひょうじし、利用りようしゃにせのウイルス対策たいさくソフトを配布はいふするWebサイトに誘導ゆうどうするタイプである。
  • ネットワーク感染かんせんがたWindows OSひとし基本きほんソフトの設定せってい不備ふび悪用あくようし、感染かんせんさせるタイプである。
  • メール添付てんぷがた:メールの添付てんぷファイルにマルウェアがまれており、この添付てんぷファイルをクリックすることにより、感染かんせんさせるタイプである。
  • 外部がいぶ記憶きおく媒体ばいたい感染かんせんがたUSBメモリ、デジタルカメラ、ミュージックプレイヤーとう外部がいぶ記憶きおく媒体ばいたいかいして感染かんせんさせるタイプである。
  • ファイル共有きょうゆうソフト感染かんせんがた: ファイル共有きょうゆうソフトでは、特定とくてい多数たすう利用りようしゃ自由じゆうにファイルを公開こうかいすることができるため、べつのファイルに偽装ぎそうするひとし方法ほうほうで、いつのにかウイルスを実行じっこうさせられてしまうタイプである。暴露ばくろウイルスなどがそのいちれいである。
  • マクロプログラム悪用あくよう感染かんせんがたOfficeアプリケーションでは、マクロを作成さくせいするさいに、高度こうどなプログラム開発かいはつ言語げんごであるVBA (Visual Basic for Applications) を使用しようできるため、ファイルのえや削除さくじょなど、コンピュータを自在じざいあやつることが可能かのうである。そのため、マクロウイルスに感染かんせんした文書ぶんしょファイルをひらいただけで、VBAで記述きじゅつされたウイルスが実行じっこうされしまい、脅威きょういとなるコードが実行じっこうされるタイプである。
  • CMSかいざんがた個人こじん企業きぎょう運営うんえいするCMS(コンテンツマネジメントシステム・ワードプレスサイトの被害ひがいとくおお[40])の脆弱ぜいじゃくせい利用りようして、管理かんりしゃ権限けんげんったうえで、不正ふせいなコードをウェブサイトに[41]かいざんによりマルウェアをまれたサイトはスパムメールの配信はいしんもととなったり、そのサイトにアクセスしたユーザーを意図いとしないサイトに転送てんそうしたりする。

マルウェアの検出けんしゅつ技術ぎじゅつ[編集へんしゅう]

マルウェアの検出けんしゅつには、マルウェア検出けんしゅつ回避かいひ技術ぎじゅつ対抗たいこうするために様々さまざま技術ぎじゅつもちいている。下記かきれいしめす。ただし、いかなる方法ほうほう手段しゅだん技術ぎじゅつもちいても未知みちのマルウェアを100%検出けんしゅつ発見はっけんできるわけではない。また、いかなる方法ほうほう手段しゅだん技術ぎじゅつもちいても未知みちのマルウェアからパソコンを100%保護ほごしてくれるわけではない。

  • パターンマッチング検出けんしゅつ技術ぎじゅつ:セキュリティソフトなどがマルウェアを発見はっけんするための、もっと一般いっぱんてき方式ほうしきである[42]。セキュリティソフトは、パターンファイルとばれるマルウェアの特徴とくちょう(パターン)を記録きろくしたリストをっている[42]。そして、そのリストとパソコンないのファイルを比較ひかくして、一致いっちすればマルウェアと判定はんていして除去じょきょする[42]。これが、パターンマッチングとばれる方式ほうしきである[42]。パターンマッチングは、すでに存在そんざいられているマルウェアは間違まちがいなく検出けんしゅつできる可能かのうせいたか[42]。ただし、そのためにはつねにパターンファイルを最新さいしん状態じょうたいにしておく必要ひつようがある[42]あたらしいマルウェアが登場とうじょうしたとき、その存在そんざいられて、パターンファイルにあたらしいマルウェアの情報じょうほう登録とうろくされるまでは効果こうかがない[42]亜種あしゅ変種へんしゅといって、既知きちのマルウェアをわずかに改変かいへんしたマルウェアにも対応たいおうできない[42]
  • ヒューリスティック検出けんしゅつ技術ぎじゅつ:ヒューリスティック検出けんしゅつ技術ぎじゅつとは、セキュリティソフトなどがマルウェアを探索たんさくするさいに、パターンマッチングではなくマルウェアに特徴とくちょうてき挙動きょどう有無うむ調しらべる手法しゅほうである[43]。ヒューリスティック検知けんちでは、実行じっこうファイルの挙動きょどうなどを解析かいせきし、ライブラリファイルのえなど、一般いっぱんてきなプログラムではあまりられないような特異とくい挙動きょどうさがし、感染かんせんしたマルウェアによるものと類推るいすいする[43]未知みちのマルウェアや亜種あしゅなどにたいして、ある程度ていど対応たいおう可能かのうである。ただし、この方法ほうほうでは未知みちのマルウェアを100%発見はっけんできるわけではなく、また、マルウェアではないものをマルウェアと誤認ごにんする場合ばあいもある[43]
  • サンドボックス検出けんしゅつ技術ぎじゅつ:パソコンの内部ないぶに「サンドボックス」と仮想かそう環境かんきょう用意よういして、そこで不審ふしんなプログラムを動作どうささせてみてマルウェアかどうかを判定はんていする手法しゅほうである[44]仮想かそう環境かんきょうでなら不審ふしんなプログラムを動作どうささせても、じつ環境かんきょう被害ひがいおよぶことはない[44]
  • ビヘイビアブロッキング(検知けんち技術ぎじゅつ:サンドボックス検出けんしゅつ技術ぎじゅつのサンドボックスじょうじつ環境かんきょうにおけるプログラムの挙動きょどうてウイルスを検出けんしゅつするものを「検知けんち」あるいは「ビヘイビアブロッキング」と[44]
  • ジェネリック検出けんしゅつ技術ぎじゅつ短期間たんきかん大量たいりょう発生はっせいするウイルスの亜種あしゅ迅速じんそく対応たいおうする検出けんしゅつ技術ぎじゅつとして採用さいようされているのがジェネリック検出けんしゅつである[45]。ジェネリック検出けんしゅつでは、特定とくていのマルウェアの既知きち亜種あしゅから共通きょうつうてん抽出ちゅうしゅつし、既知きち亜種あしゅだけでなく亜種あしゅ想定そうていされる複数ふくすうのマルウェアを検出けんしゅつする[45]。また、パターンマッチング方式ほうしきでは検出けんしゅつできないあたらしい亜種あしゅであっても、共通きょうつうてん一致いっちしていれば発生はっせいした時点じてん検出けんしゅつできる[45]
  • パッカー検出けんしゅつ技術ぎじゅつ使つかわれたパッカー・クリプターなどのコード改変かいへんツールの「種類しゅるい」から、あやしいかどうかを判定はんていしてマルウェアのうたがいのあるファイルを検出けんしゅつする手法しゅほうである[45]。マルウェアに使つかわれることのおおいコード改変かいへんツールが利用りようされたファイルを、うたがわしいファイルとして検出けんしゅつする[45]
  • ホストベース不正ふせい侵入しんにゅう検知けんちシステム (Host-based Intrusion Detection System, HIDS) :Host IDSはシステム設定せってい変更へんこうおこなったユーザーや設定せっていファイルの変更へんこう箇所かしょなど、ファイルやレジストリへの変更へんこうをリアルタイムで監視かんし不正ふせい動作どうさ検出けんしゅつする手法しゅほうである[46]
  • ホストベース不正ふせい侵入しんにゅう防止ぼうしシステム (Host-based Intrusion Prevention System, HIPS) :アプリケーションにたいしての最小さいしょう権限けんげんアクセス制御せいぎょ機能きのうによりゼロデイ攻撃こうげきふせぎ、承認しょうにんされたアプリケーションのプロセスであっても所定しょてい動作どうさ制限せいげんし、不正ふせい攻撃こうげきからシステムを防御ぼうぎょする手法しゅほうである[46]
  • エクスプロイト対策たいさく技術ぎじゅつ:アプリケーション(PDFビューア・ブラウザなど)の脆弱ぜいじゃくせいくエクスプロイト攻撃こうげきにより、パソコンが不正ふせい侵入しんにゅうけないように保護ほごする機能きのうである[47]一般いっぱんてきなエクスプロイト対策たいさくとしてはアプリケーションを最新さいしん状態じょうたい更新こうしんすることが非常ひじょう重要じゅうようであるが、未知みちのエクスプロイト攻撃こうげきがあった場合ばあい更新こうしんおこなっているだけでは完全かんぜんふせげない可能かのうせいがある[47]。どうしてもふせぎきれない未知みちのエクスプロイト攻撃こうげきから出来できかぎりパソコンを保護ほごする機能きのうである。脆弱ぜいじゃくせい攻撃こうげき防御ぼうぎょ技術ぎじゅつともばれる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

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関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]