PlayStation Network個人こじん情報じょうほう流出りゅうしゅつ事件じけん

PlayStation Network個人こじん情報じょうほう流出りゅうしゅつ事件じけん（プレイステーションネットワークこじんじょうほうりゅうしゅつじけん）とは、2011年ねん（平成へいせい23年ねん）4月がつに発生はっせいしたソニーが運営うんえいするPlayStation Network（以下いか、PSN）における大だい規模きぼな情報じょうほう流出りゅうしゅつ事件じけんである。

事件じけんの経過けいか

2011年ねん4月がつ14日にちより断続だんぞく的てきにPlayStation Networkへの接続せつぞくが途切とぎれるようになり、米国べいこく時間じかん4月がつ19日にち(日本にっぽん20日はつか)、米国べいこくにあるサーバーで異常いじょうな動うごきを確認かくにん。そして、米国べいこく時間じかん4月がつ20日はつか(日本にっぽん21日にち)、PSNに大だい規模きぼなアクセスエラーが生しょうじ、サインインできない状態じょうたいとなった。4月23日にちに外部がいぶ要因よういんとみられる影響えいきょうと発表はっぴょうされたが、実際じっさいは4月がつ17日にちから4月がつ19日にちにかけて受うけたシステムへの不正ふせい侵入しんにゅうにより、PSN利用りよう者しゃ、約やく7700万まん件けん分ぶんの個人こじん情報じょうほうが流出りゅうしゅつした可能かのう性せいが出でたためにサービスを停止ていししたことが原因げんいんであった。

不正ふせい侵入しんにゅうを受うけたことについては日本にっぽん時間じかん4月がつ27日にちに公表こうひょうされ、各かく個人こじんにEいーメールにて呼よびかけを行おこなったが、1週間しゅうかんを空あけての情報じょうほう公開こうかいに、欧米おうべいユーザーからは訴訟そしょうおよび政治せいじ家かからの質問しつもん状じょうが飛とび交かわされ続つづけている。ソニー側がわの発表はっぴょうによれば、流出りゅうしゅつしたのは「住所じゅうしょ」や「氏名しめい」といった個人こじん情報じょうほう、「PSNのID、パスワード」、「クレジットカード番号ばんごう、各種かくしゅ購入こうにゅう履歴りれき」などで、個人こじん情報じょうほうのうち、名前なまえや住所じゅうしょ、生年月日せいねんがっぴなどの情報じょうほうは暗号あんごう化かしていなかったが、クレジットカード番号ばんごうは暗号あんごう化かしていたとしている。サービス停止ていしに伴ともないゲーム配信はいしんが相次あいついで延期えんきされたほか、ユーザー離ばなれを指摘してきするアナリストも現あらわれた。

なお、PSNと共通きょうつうのネットワークを利用りようしているQriocityも同様どうようにサービス停止ていしに追おい込こまれたほか、Qriocityの利用りよう者しゃ情報じょうほうも流出りゅうしゅつしたことが明あきらかにされている。

ソニーは日本にっぽん時間じかん5月がつ1日にちに緊急きんきゅう記者きしゃ会見かいけんを行おこない、「段階だんかい的てきにPSNのサービスを再開さいかいしていき、完全かんぜん復旧ふっきゅうは5月がつ中ちゅうを予定よていしている」と会見かいけんで公表こうひょうした。またサーバーの脆弱ぜいじゃく性せいに対処たいしょしていなかったことが不正ふせい侵入しんにゅうの原因げんいんであると発表はっぴょうし、一部いちぶコンテンツの無料むりょう配信はいしんなどを「お詫わび」として提供ていきょうするが、現げん段階だんかいで金銭きんせん的てきな被害ひがいが認みとめられないとしてユーザーへの一律いちりつ補償ほしょうについては否定ひてい的てきな考かんがえを示しめした。クレジットカード情報じょうほうの流出りゅうしゅつに関かんしては、「（クレジットカードの情報じょうほうの）項目こうもくを読よみに行いった形跡けいせきがない」こと、そして、FBIに捜査そうさを依頼いらいしたことを明あきらかにした。

5月4日にち、米べい下院かいんエネルギー・商業しょうぎょう委員いいん会かい小しょう委員いいん会かいが行おこなった公聴こうちょう会かいに（招致しょうちされていた）ソニー幹部かんぶが欠席けっせきし、非難ひなんを浴あびた。公表こうひょうされた回答かいとう書しょによると、すべての利用りよう者しゃ7,700万まん人にんの個人こじん情報じょうほうが不正ふせい利用りよう者しゃから盗ぬすまれたことが明あきらかになった（同月どうげつ3日にち時点じてんではクレジットカード情報じょうほうの不正ふせい利用りようはないと報告ほうこくしている）。また、侵入しんにゅうを受うけたサーバーからは「Anonymous（アノニマス）」というファイルが発見はっけんされ、「We Are Legion（我々われわれは軍団ぐんだんだ）」という文字もじ列れつで構成こうせいされていた。このことや数すう週間しゅうかん前まえのサーバー攻撃こうげきから、ソニーは以前いぜんからPSNを攻撃こうげきのターゲットにしていた米国べいこくハッカー集団しゅうだん「アノニマス」関与かんよの可能かのう性せいを示唆しさしたが、アノニマス側がわはブログ上じょうで否定ひていした。しかしNHKの取材しゅざいで、ソニーグループのコンピュータに侵入しんにゅうしたことが明あきらかになった。

5月6日にち、ハワード・ストリンガー会長かいちょうは同どう問題もんだいに対たいする謝罪しゃざい文ぶんをブログ上じょうに掲載けいさいしたほか、北米ほくべいのユーザーに対たいしては1人ひとりあたり最大さいだい100万まんドルの補償ほしょう制度せいどを導入どうにゅうしたと発表はっぴょう。

5月7日にち、5月1日にち時点じてんで1週間しゅうかん程度ていどとしていた一部いちぶのコンテンツサービスの再開さいかいを当面とうめん延期えんきすることを決定けっていした。

5月12日にち、ソニーは再開さいかいに向むけて「安全あんぜん性せいの高たかいサーバーへ情報じょうほうを移設いせつ完了かんりょうした」と発表はっぴょう。引ひき続つづき、暗号あんごう化かの強化きょうかや新あらたなファイアウォールの設置せっち作業さぎょうなどを行おこなっている事ことも明あきらかにした。また、サイバー攻撃こうげきの早期そうき発見はっけんを促うながす警告けいこくシステムの導入どうにゅうなども行おこなうという。

5月15日にち、PS3のアップデートを行おこない、米国べいこくおよび欧州おうしゅう地域ちいきにおいてPSNおよびQriocityのサービスを段階だんかい的てきに再開さいかいすると発表はっぴょうした。

5月16日にち、ストリンガーがメディアに対たいしての取材しゅざいに応おうじ「対応たいおうは迅速じんそくであった」と答こたえているが、英語えいご版ばんCNETにてこの記事きじを見みたユーザーの評価ひょうかは合計ごうけいして83％がたちの悪わるいジョークだという評価ひょうかを下くだしている。

5月17日にち、米べい下院かいんエネルギー・商業しょうぎょう委員いいん会かい小しょう委員いいん会かいは再度さいどソニーに質問しつもん状じょうを送付そうふした。

欧米おうべいでの一部いちぶサービス再開さいかいにあたり、PS3のアップデートとパスワードの変更へんこうを必須ひっすとするしていたが、Webサイト上じょうでのパスワードの再さい申請しんせい手続てつづきにおいて、漏ろうえいしたメールアドレスと生年月日せいねんがっぴを入力にゅうりょくすると本人ほんにんでなくても再さい申請しんせいが可能かのうとなる欠陥けっかんが発覚はっかく、5月18日にちにWebサイトでの再さい申請しんせいサービスを中止ちゅうしした（PS3からの再さい申請しんせいは可能かのう）。

日本にっぽんおよびアジア地域ちいきの再開さいかいは近日きんじつ中ちゅうに行おこなわれるとアナウンスされているが、日本にっぽんでは経済けいざい産業さんぎょう省しょうから「5月がつ1日にちに対策たいさくとして挙あげられていた事項じこうが遂行すいこうされていない」と再開さいかいの許可きょかが下おりていない。理由りゆうの内訳うちわけとしては、ソニーがカード不正ふせい使用しようへの監視かんし対策たいさくを講こうじていないことや、日本にっぽんには欧米おうべいのような補償ほしょうサービスが存在そんざいしないことなどが挙あげられる。

6月4日にち、ソニー・ヨーロッパは、外部がいぶに流出りゅうしゅつしたのは一部いちぶの公開こうかい情報じょうほうだけで、サイト利用りよう者しゃの個人こじん情報じょうほうは盗ぬすまれていないとしている。AP通信つうしんによると、不正ふせい侵入しんにゅうしたのはレバノン出身しゅっしんのハッカーで、外部がいぶに流出りゅうしゅつしたのは放送ほうそう用ようなどの業務ぎょうむ用よう機器ききを購入こうにゅうした顧客こきゃくに機器ききの使つかい方かたを教おしえる契約けいやく社員しゃいんの氏名しめいや顔写真かおじゃしん、メールアドレスだけだという。ただし、これらの情報じょうほうはすべてウェブサイトに公開こうかいしていた。

6月6日にち、5月がつ下旬げじゅんからSPE等とうへクラッキングを行おこなっていた集団しゅうだん「LulzSec」がPSNにクラッキングを試こころみた際さいに入手にゅうしゅしたPSN開発かいはつ者しゃ用ようネットワークのソースコードをtorrentにて公開こうかいした。

6月がつ10日とおか、スペイン国家こっか警察けいさつがアノニマスの3人にんを逮捕たいほしたと発表はっぴょう。しかし、DDoS攻撃こうげきの証拠しょうこはあったもののPSNサーバのクラッキングに関かかわる証拠しょうこが見みつからなかったため翌よく11日にちに釈放しゃくほうされた。

6月15日にち、共同通信きょうどうつうしんの情報じょうほう公開こうかい請求せいきゅうに対たいし経済けいざい産業さんぎょう省しょうが公開こうかいした資料しりょうにより、相当そうとう量りょうのデータが漏洩ろうえいしたことをことが明あきらかとなった。なお、5月1日にちの会見かいけんでは「一部いちぶの情報じょうほうが漏ろうえいしていた可能かのう性せいがある」と説明せつめいしていた。これに対たいしSCEの広報こうほうは「ユーザIDとパスワードは個人こじん情報じょうほうではない」と釈明しゃくめいしている。

6月がつ20日はつか、新あたらしく提訴ていそされた訴状そじょうより、個人こじん情報じょうほう漏洩ろうえい事件じけんから2週間しゅうかんほど前まえにソニーがセキュリティ担当たんとう部門ぶもんの従業じゅうぎょう員いんを多数たすう解雇かいこしていたことが明あきらかとなった。

9月15日にち、アメリカにおいて規約きやく改正かいせいを行おこない、「PSNを使用しようし続つづける場合ばあい、クラスアクションに参加さんかしての申もうし立たてはできない。ソニーに対たいして成立せいりつする可能かのう性せいがある法制ほうせいにサインすることもできない。」といった旨むねの規約きやくが発表はっぴょうされた。

サービス再開さいかい

5月27日にちにSCEは翌よく28日にちより日本にっぽんおよびアジア諸国しょこくのサービスを一部いちぶ再開さいかいすることと、ユーザへのお詫わびとして無料むりょう提供ていきょうされるゲームのタイトルを発表はっぴょうした。

5月28日にちより一部いちぶのサービスが再開さいかい。また、SCEはサービス再開さいかいの際さいにパスワードを変更へんこうするよう呼よびかけている（旧来きゅうらいのパスワードは使用しよう不可能ふかのうだが、パスワード変更へんこう後ごにもう一度いちどパスワードの変更へんこうをすることで旧来きゅうらいのパスワードを使用しようすることはできる）。なお、6月2日にちに米国べいこく議会ぎかいからの任意にんい出頭しゅっとうにようやく応こたえ、公聴こうちょう会かいは開催かいさいされた。

6月2日にちに欧米おうべいおよびアジアの一部いちぶで、14日にちに香港ほんこんで、24日にちに韓国かんこくでサービスが全面ぜんめん再開さいかいされた。最後さいごに残のこされた日本にっぽんも7月がつ6日にちにサービスが全面ぜんめん再開さいかいされ、PCからのPSNへのサインインも可能かのうになっている。

関連かんれん項目こうもく

• 個人こじん情報じょうほう漏洩ろうえい
• クラッキング (コンピュータ)
• ジョージ・ホッツ（George Hotz） - facebook社しゃ社員しゃいん。iPhoneなどのハッキング（Jailbreak）で知しられるアメリカの元もとハッカー。プレイステーション3のハッキングを行おこなったことから2011年ねん1月がつにソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカに訴訟そしょうを起おこされ、ハッカー界かいからソニーへの怒いかりが高たかまっていた。

参考さんこう文献ぶんけん

• 伊東いとう寛ひろし『サイバー・インテリジェンス』祥伝社しょうでんしゃ、2015年ねん、34頁ぺーじ。ISBN 978-4396114343。 
• 御池おいけ鮎あゆ樹じゅ「ソニー、史上しじょう最悪さいあくの個人こじん情報じょうほう漏洩ろうえい事件じけん」『「サイバー危機きき(クライシス)」の記録きろく』工学こうがく社しゃ、2016年ねん。ISBN 978-4777519668。

外部がいぶリンク

• PlayStation(R)Network / Qriocity(TM)への不正ふせいアクセスに関かんする説明せつめい会かい