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Cell Broadband Engine

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
Cell Broadband Engine
PlayStation 3の基板きばんじょう実装じっそうされたCell Broadband Engine
生産せいさん時期じき 2006ねんから
販売はんばいしゃ ソニー・コンピュータエンタテインメント
ソニー
東芝とうしば
IBM
設計せっけいしゃ ソニー・コンピュータエンタテインメント
ソニー
東芝とうしば
IBM
CPU周波数しゅうはすう 1.5 GHz (SpursEngine) から 3.2 GHz (PS3)
プロセスルール 90nm (PS3) から 45nm (PS3)
命令めいれいセット PowerPC
コアすう 8 (1 PPE + 7 SPE、PS3)
ソケット 1236pin / BGA (PS3)
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Cell Broadband Engine(セル ブロードバンド エンジン、略称りゃくしょう: Cell/B.E.CellCBE)は、ソニー・コンピュータエンタテインメント (SCE) 、ソニーIBM東芝とうしばによって開発かいはつされたPowerPCアーキテクチャベースの64ビットRISCマイクロプロセッサである[1]

Emotion Engine実質じっしつてき後継こうけい。ソニーはほんプロセッサの後継こうけい発表はっぴょうしていないが、東芝とうしば後継こうけいとしてレグザエンジンCEVO[2]開発かいはつしている。また、IBMはほんプロセッサの後継こうけいとなるPowerXcellを開発かいはつした。

概要がいよう

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おもだい容量ようりょうデータをこう効率こうりつ処理しょりするためのストリーム・プロセッシング志向しこうしたプロセッサである。GPGPUという概念がいねんかったころに、プログラム全体ぜんたい制御せいぎょにな汎用はんようコアとデータ処理しょりとくした補助ほじょコアのヘテロ構成こうせいのアーキテクチャを実現じつげんした。

家庭かていようゲームPlayStation 3のために開発かいはつされ、ソニーは2003ねんから2006年度ねんどにかけてCellの製造せいぞうのために総額そうがくやく5000おくえん投資とうしした[3]

CellはPS3からはじまり、サーバーやデジタル家電かでんなどの様々さまざま用途ようともちいることを想定そうていして開発かいはつされた戦略せんりゃく商品しょうひんで、サーバー(IBM BladeCenter QS21など)やワークステーション薄型うすがたテレビ東芝とうしば CELL REGZA)、映像えいぞう制作せいさく機器きき(ソニー Zego BCU-100、BKMP-AB100)などの様々さまざま製品せいひん採用さいようされた。また、べいエネルギえねるぎしょう保有ほゆうするスーパーコンピューターRoadrunnerや、どうアーキテクチャーのプロセッサのみで構成こうせいされたシステムであるQPACEが、スーパーコンピューターランキングTOP500のみならず電力でんりょく効率こうりつきそGreen500のランキングもにぎわせた。

Cellは年々ねんねん改良かいりょうされ、90nm→65nm→45nmと微細びさいされた。なお、ソフト開発かいはつむずかしさもあり、SCEはPlayStation 4にはCellを採用さいようせず、PCようプロセッサと同様どうようのアーキテクチャをつAMDのJaguarコアを採用さいようした。

Cellは独自どくじしょくつよ普及ふきゅうしなかったが、ヘテロジニアスマルチコアという構造こうぞうは、2010年代ねんだいにCPUとGPUをワンチップにおさめたAMDのAPUとう普及ふきゅうしている。

特徴とくちょう

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Cellはマルチコア分類ぶんるいされ、ひとつのマイクロプロセッサに9つのコアをっている。内訳うちわけには1個いっこ汎用はんようてきなプロセッサコアと、8のシンプルなプロセッサコア(うち1歩留ぶどまり向上こうじょうのため使用しよう)をわせたヘテロジニアスマルチコア(ヘテロジニアス: 非対称ひたいしょう異種いしゅ混合こんごう)という形態けいたいをもつ。

汎用はんようプロセッサコアはPowerPC Processor Element (PPE) とばれる制御せいぎょになうコアで、8のコアはSynergistic Processor Element (SPE) とばれる演算えんざんになうコアである。

PPE/SPEともに従来じゅうらいパソコンけのマイクロプロセッサであるPowerPC G5Pentium 4Athlon 64といった高度こうどアウト・オブ・オーダー実行じっこう機能きのう分岐ぶんき予測よそく機構きこうつマイクロプロセッサとはことなり、命令めいれいならえたりするような複雑ふくざつスケジューリング機構きこう搭載とうさいしないことでコアを単純たんじゅんし、こうクロック実現じつげんしている。

そのため、複雑ふくざつ条件じょうけん分岐ぶんきともな整数せいすう演算えんざん能力のうりょくはパソコンけのマイクロプロセッサとくらおとるが、強力きょうりょく高度こうど並列へいれつされた演算えんざん機能きのうそなえ、数値すうち解析かいせきシミュレーション動画どうが画像がぞう処理しょり音声おんせい処理しょりなどにおいては、複数ふくすうのコアを並列へいれつ動作どうささせることによって、Cellの性能せいのう発揮はっきさせることができる。

また、仮想かそうマシン支援しえん機能きのう搭載とうさいされており、複数ふくすう仮想かそうマシンじょう複数ふくすうのOS(ゲストOS)をたがいに干渉かんしょうさせることはしらせることができる。通常つうじょうのOSが動作どうさするスーパーバイザーモード上位じょういハイパーバイザーモードがあり、仮想かそうマシンを管理かんりするさい上位じょういOSはこのハイパーバイザーモードで動作どうさしている。

PowerPCはバイエンディアンだが、Cellではビッグエンディアンで統一とういつされている。

プロセッサアーキテクチャ

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PowerPC Processor Element

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PowerPC Processor Elementのブロックダイアグラム

PPE は64ビットPowerアーキテクチャであり、命令めいれいセットはPowerPC G5 (つまりPowerPC 970[4])互換ごかんではあるが、既存きそんPowerPCけいCPUとはことなる内部ないぶ構造こうぞうをもつしん設計せっけいのコアである。2スレッド交代こうたい実行じっこうすることが可能かのうで、スレッドのえがはやことから、OS駆動くどうなどをつ。また、AltiVecにも対応たいおうしている。

PowerPC Architecture, Book I〜III に準拠じゅんきょすることがもとめられ、なかにはBook I〜IIIでのオプション仕様しようがPPEでは必須ひっすになっているものがある。VMXもそのひとつ。

PPEの浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん性能せいのうはIBMのしめしたぬのシミュレーションれいでは、2.4 GHz駆動くどうのPPEでPentium 4 3.6GHz相当そうとうCPUの20%程度ていどのパフォーマンスしかておらず、浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん得意とくいではないとえ、通常つうじょうはSPEなどへのリソースマネージメントおこなうことになる[5]

Cellの仕様しようたすためには最低さいてい1つは搭載とうさいすることがもとめられる。

Synergistic Processor Element

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Synergistic Processor Elementのブロックダイアグラム

SPE は SIMDけいアーキテクチャで、単精度たんせいど浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざんを4スロット同時どうじ処理しょりすることができ、倍精度ばいせいど浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざんを2スロット同時どうじ演算えんざんできる。また整数せいすうも16ビットを8スロット、32ビットを4スロットの演算えんざんができる。以上いじょうのようなベクトル演算えんざん可能かのうな128ビットちょう128のレジスタをち、ソフトウェアパイプライニングなど処理しょり最適さいてき可能かのうとする。また、キャッシュメモリたずわりに256KiBのローカルストア (LS) とばれるSRAM専用せんようメモリをっており、そこにプログラムとデータを格納かくのうして実行じっこうする。SPEはメインメモリじょうのプログラムとデータを直接ちょくせつあつかえず、DMAもちいてXDR DRAMメモリとLSあいだ転送てんそうおこな必要ひつようがある。LSはメインメモリから独立どくりつしたメモリ空間くうかんつため、キャッシュコヒーレンシ保持ほじ仕組しくみが不要ふよう高速こうそく貢献こうけんしている。たとえるならつねにL1キャッシュにたっている状態じょうたいである。SPEはMemory Flow Controller (MFC) とばれる制御せいぎょユニットに専用せんようのDMAコントローラをち、これによりSPEは多量たりょうのデータを高速こうそく処理しょりするストリーム処理しょり可能かのうとする。IBMのしめした物理ぶつり挙動きょどうシミュレーションとレンダリングれいでは、3.2GHzのPentium 4と比較ひかくし、2.1GHz駆動くどうのSPE1で1.5ばい、8で12ばい性能せいのう記録きろくした[5]。IBMのしめしたシミュレーションをPentium 4 3.6GHzクラスのCPUで実装じっそうした場合ばあいとの比較ひかくでは3のSPEでPentium 4 3.6GHzクラスCPUの2ばいのパフォーマンスを記録きろくした[5]命令めいれいちょうは32ビット固定こていである。

1あたり3.2GHz駆動くどうで25.6GFLOPSの演算えんざん性能せいのうがある[6]

Cellの仕様しようたすためには最低さいてい1つは搭載とうさいすることがもとめられる。

アイソレーションモード

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セキュリティ強化きょうかのため、SPEはアイソレーションモードとばれる特殊とくしゅ動作どうさモードをそなえている[7]。これは、暗号あんごう復号ふくごう処理しょりCSSAACSなどのデジタル著作ちょさくけん管理かんりシステムでの利用りよう想定そうていされている。

アイソレーションモードで動作どうさするSPEのLS領域りょういきのSPE/PPEからのアクセスが遮断しゃだんされ、外部がいぶからのきは一切いっさいできない。アイソレーションモードで暗号あんごうもちいる秘密ひみつかぎなどの機密きみつ情報じょうほうあつかうことで、のプロセスからそれらをぬすることを不可能ふかのうにする。

SPEはアイソレーションモードよう移行いこう離脱りだつ命令めいれい実行じっこうすることでそのモードに遷移せんいする。一旦いったんSPEがアイソレーションモードにはいると、外部がいぶから可能かのう操作そうさはそのSPEで動作どうさするプロセスの停止ていしのみである。離脱りだつ命令めいれいおよび外部がいぶからのプロセス停止ていし実行じっこうされると、SPEのコンテキストおよびそのLSにかれたプログラムやデータはすみやかに消去しょうきょされるため、機密きみつ情報じょうほう外部がいぶ漏洩ろうえいすることはい。また、アイソレーションモードで実行じっこうされるプログラムコードは、それが本来ほんらいのものと改変かいへんされていないか検証けんしょうしてから実行じっこうされるため、第三者だいさんしゃによる有害ゆうがいなコードを実行じっこうする危険きけんせい排除はいじょしている。

プロセスあいだ干渉かんしょうふせ機構きこうとしておおくのプロセッサではCPUモードそなえているが、スーパーユーザーなどの元々もともとたか権限けんげんつユーザが有害ゆうがいなプロセスを特権とっけんモードで動作どうささせた場合ばあいにはこれを防止ぼうしできない。アイソレーションモードはこのような場合ばあいでも機密きみつ情報じょうほうまもることが可能かのうである。

入出力にゅうしゅつりょく

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プロセッサコア以外いがいに、Rambusしゃからライセンス供与きょうよけた帯域たいいきはば25.6GB/sのしんメモリXDR DRAMメモリコントローラと、チップあいだ接続せつぞくのためのしんインタフェースFlexIO搭載とうさいする。FlexIOの帯域たいいきはば最大さいだい76.8GB/sとなる。Cellないのコアとこれらのインタフェースぐんはやはり広帯域こうたいいきのリングじょう内部ないぶバスElement Interconnect Bus (EIB)とばれるもので接続せつぞくされる。

Internal Interrupt Controller のことであり、Cell内部ないぶ処理しょりになっている。外部がいぶからの信号しんごう対応たいおう内部ないぶのPPEやSPEからはっせられたみを外部がいぶつたえたりしている。

Element Interconnect Bus のことであり、Cell内部ないぶのメインバスとして各部かくぶ接続せつぞくしている。現在げんざい実装じっそう(PPE×1+SPE×8)ではリングバス構造こうぞうをしている。

コア個数こすうなど仕様しようによって最適さいてき実装じっそうおおきくことなるのでCell仕様しよう範囲はんいがいとされている。EIBとしての役目やくめたせるならば実装じっそうじょう制限せいげんい。

構成こうせい

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2005ねん現在げんざいはコアが9(PPE×1+SPE×8)搭載とうさいされているが、これはCell Broadband Engine アーキテクチャとばれる規格きかくされた拡張かくちょう可能かのうなアーキテクチャのいち実装じっそう形態けいたいであり、これを1PEとした4PE(PPE×4+SPE×32)など多様たよう構成こうせい[8]

Cell Broadband Engineアーキテクチャ仕様しようしょではPPEとSPEがそれぞれひと以上いじょうふくまれること要求ようきゅうしている。さらにIIC、EIBがそれぞれひとふくまれること要求ようきゅうしている[9]

東芝とうしばが2007ねん9がつ発表はっぴょうした[10]Cellベースのメディアプロセッサ「SpursEngine」は、SPEを4MPEG-2H.264エンコード・デコード回路かいろ搭載とうさいし、動作どうさ周波数しゅうはすうもCellよりひくい1.5GHz駆動くどう(10Wだい)という構成こうせいである。

ビットちょう呼称こしょう

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CPUのニーモニックによってビットちょう呼称こしょうちがっているが、Cellの場合ばあい以下いかとおりになっている。

ビットちょう 名称めいしょう
128 クワッドワード
64 ダブルワード
32 ワード
16 ハーフワード
8 バイト

プログラミングモデル

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CellのSPEは通常つうじょうのマルチプロセッサとことなりかくSPEが独立どくりつしたメモリ空間くうかんち、また分岐ぶんき予測よそくなどのハードウェア機構きこうたないため、その性能せいのう十分じゅうぶんすにはそれにわせたプログラミングモデルを採用さいようする必要ひつようがある。Cellの開発かいはつしゃたちはつぎのようなモデルを提案ていあんしている[11]

ジョブ・キュー

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PPEがシステムメモリじょうジョブキュー管理かんりし、複数ふくすうのSPEにジョブをてて管理かんりする。ジョブ・キューからジョブをDMAコントローラをかいしてローカルストアにmini kernelかくSPEじょうはしり、ジョブを実行じっこうした結果けっかをシステムメモリにかえし、PPEと同期どうきる。

SPEによる自己じこマルチタスク

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かくSPEにkernelをち、共有きょうゆうメモリのタスク・キューを使つかい、分散ぶんさんしてスケジュールがおこなわれる。タスクの同期どうきは、ミューテックスまたはセマフォにより実現じつげんされる。

ストリーム・プロセッシング

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かくSPEは、input stream からの入力にゅうりょくデータにたいしてカーネル関数かんすう実行じっこうし、その結果けっかをoutput stream におくる。これは、シリアルまたは並列へいれつパイプラインを容易ようい実現じつげんする。このモデルは、データができるだけながくローカルストアに存在そんざいするので効率こうりつがよい[12]

最適さいてきコンパイラ

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最適さいてきは、Synergistic Processing Unit (SPU) のインストラクションレベル、自動じどうSIMD共有きょうゆうメモリモデルの自動じどう並列へいれつの3レベルがある。SPUのインストラクションレベルでは、ハードウエアで分岐ぶんき予測よそくたないので、分岐ぶんきヒント命令めいれいすくなくとも分岐ぶんきの11サイクルまえ自動的じどうてきにスケジュールする。共有きょうゆうメモリモデルの自動じどう並列へいれつは、OpenMP記述きじゅつされた1つのソースからPPEとSPEに自動じどう分割ぶんかつする。SPEにおいては、コードは自動じどう分割ぶんかつされ、規則きそくてきなデータは共有きょうゆうメモリとローカルストアあいだのDMA命令めいれい自動じどう生成せいせいされ、不規則ふきそくなデータはソフトウエアキャシュにより処理しょりされる。ソフトウエアキャッシュ(4 way set 連想れんそうメモリ)は、SIMD命令めいれい実行じっこうされる。

Cellコンピューティング

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Cellコンピューティングとは久夛良木くたらぎけんによれば以下いかの2つが要点ようてんとなる[13]

  • 従来じゅうらいのネットワークは情報じょうほうのネットワークだったが、それがピア・ツー・ピアコンピューティングのバスになる。
  • 従来じゅうらいのバッチでリアルタイムのグリッド・コンピューティングから、リアルタイムでのグリッドコンピューティングへ。

Cellではこのリアルタイムな処理しょり分散ぶんさん実現じつげんする前提ぜんてい設計せっけいがなされている。SPEが独自どくじにSPEようメインメモリーであるともえるローカルストアをっている理由りゆうひとつには、この一環いっかんもある。

PS3発売はつばい当初とうしょのSCEは、PS3をかくとした複数ふくすう機器ききによる家庭かていないネットワークでのCellコンピューティングを提唱ていしょうしていた[13]。しかし、久夛良木くたらぎがSCE社長しゃちょう退しりぞいて平井ひらい一夫かずお体制たいせいになって以降いこうは、Cellコンピューティングについてれられることはほとんどくなった。現状げんじょうではCellコンピューティングがおこなえる環境かんきょう整備せいびされておらず、実現じつげんできる見通みとおしもっていない。PlayStation 4ではCell Broadband Engineではなく他社たしゃせいのチップをCPUに採用さいようしたため、Cellコンピューティング構想こうそう事実じじつじょう放棄ほうきされたかたちとなっている。

評価ひょうか

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多数たすうのコアをそなえることにより処理しょり能力のうりょく向上こうじょう実現じつげんしたCell Broadband Engineの登場とうじょう衝撃しょうげきてきであった[14]当時とうじのPS3に搭載とうさいされたCell Broadband Engineのチップ全体ぜんたいのスループットは、当時とうじ汎用はんようPCけCPUの10ばい程度ていどたっした[14]。その影響えいきょうおおきく、IntelやAMDなどCPUベンダーは勿論もちろん、GPUベンダーまでもコアを肥大ひだいさせてシングルスレッド性能せいのう追求ついきゅうする方向ほうこうから、マルチコアによってチップ全体ぜんたいでの処理しょり能力のうりょく追求ついきゅうする方向ほうこうてんじた[14]。GPUコアをCell B.E.のように汎用はんよう処理しょりにも使用しようするというアイデアを展開てんかいしていった[14]

沿革えんかく

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長崎ながさきセミコンダクターマニュファクチャリング

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長崎ながさきセミコンダクターマニュファクチャリング株式会社かぶしきがいしゃ(NSM)は、2008ねん3がつ3にち設立せつりつした、東芝とうしば、ソニー、SCEの合弁ごうべん会社かいしゃ。Cell Broadband Engine、RSX東芝とうしばとソニーのデジタルコンシューマー機器ききとうシステム・オン・チップ(SoC)を生産せいさんする[45][46]

製造せいぞう設備せつびは、東芝とうしばが2008ねん4がつ[47]にソニーとソニーセミコンダクタ九州きゅうしゅう株式会社かぶしきがいしゃ(SCK)からやく900おくえん購入こうにゅう[48] [49]したSCK長崎ながさきテクノロジーセンター Fab2の下層かそう[50]の300mmウェハーラインが東芝とうしばから貸与たいよされている。資本しほんきんは1おくえんで、出資しゅっし比率ひりつ東芝とうしば 60%、ソニー 20% 、SCE 20%[45][46]

東芝とうしばとソニーは2010ねん12月24にちのニュースリリースで、東芝とうしば所有しょゆうしNSMが操業そうぎょうする、SCK長崎ながさきテクノロジーセンターの300mmウェーハラインをソニーに譲渡じょうとするむね基本きほん合意ごういしょ締結ていけつしたこと、法的ほうてき拘束こうそくりょくゆうする正式せいしき契約けいやくは2010年度ねんどない早期そうき締結ていけつ目指めざすこと、東芝とうしば、ソニー、SCEのさんしゃによるNSMの合弁ごうべん関係かんけい譲渡じょうとともな解消かいしょうされることを発表はっぴょうした[45][46]。ソニーは2010ねん12月27にちのプレスリリースで、CMOSイメージセンサーの生産せいさん能力のうりょく倍増ばいぞうするために、東芝とうしばからSCK長崎ながさきテクノロジーセンターの300mmウェーハラインを取得しゅとくし、設備せつび一部いちぶをCMOSイメージセンサーの製造せいぞうができるように整備せいびすることとう発表はっぴょうした[51]日本経済新聞にほんけいざいしんぶんでは、東芝とうしば世界せかい2のシェアであるNANDがたメモリに経営けいえい資源しげん集中しゅうちゅうするため、採算さいさんのシステムLSI事業じぎょうでは、巨額きょがく設備せつび投資とうし必要ひつよう先端せんたんひんのシステムLSIについて、2011年度ねんどからは設計せっけいだけをおこない、生産せいさんはサムスン電子でんし委託いたく収益しゅうえき改善かいぜんにつなげるため長崎ながさき工場こうじょうはソニーに売却ばいきゃくするとほうじた[52]

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう出典しゅってん

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  1. ^ 齊藤さいとう さとしたかし (2006ねん6がつ). “Cellとともあゆ” (PDF). 株式会社かぶしきがいしゃ東芝とうしば. 2009ねん11月9にち閲覧えつらん
  2. ^ CEVOはCell Evolutionの。ただし、命令めいれいセットはPowerPCアーキテクチャベースではなく、ARMアーキテクチャベース。
  3. ^ PS3の頭脳ずのう Cellをろう [ゲーム業界ぎょうかいニュース]”. All About (2006ねん12月11にち). 2024ねん7がつ18にち閲覧えつらん
  4. ^ PowerPC G5(970)”. Oct 23, 2020閲覧えつらん
  5. ^ a b c 西川にしかわよしの3DゲームファンのためのPS3パフォーマンス考察こうさつ講座こうざ, GameWatch, 2006ねん3がつ31にち
  6. ^ IBM (2005ねん11月29にち). “Cell Broadband Engine Architecture and its first implementation” (英語えいご). 2012ねん1がつ13にち閲覧えつらん
  7. ^ K. Shimizu et al (2007). “Cell Broadband Engine processor vault security architecture”. IBM Journal of Research and Development 51 (5): 521-528. doi:10.1147/rd.515.0521. 
  8. ^ 後藤ごとうひろししげるのWeekly海外かいがいニュース - SCEIのPlayStation 3の心臓しんぞう「Cell」の正体しょうたい -, PC Watch 2003ねん5がつ29にち
  9. ^ Cell Broadband Engine技術ぎじゅつ資料しりょう公開こうかい
  10. ^ a b しんプロセッサ「SpursEngine™」の開発かいはつサンプルをCEATEC JAPANではつ公開こうかい, 株式会社かぶしきがいしゃ 東芝とうしば, 2007ねん9がつ20日はつか
  11. ^ Kahle, J. A; M. N. Day, H. P. Hofstee, C. R. Johns, T. R. Maeurer, and D. Shippy (2005). “Introduction to the Cell multiprocessor”. IBM Journal of Research and Development 49 (4): 589-604. doi:10.1147/rd.494.0589. http://researchweb.watson.ibm.com/journal/rd/494/kahle.html 2007ねん10がつ19にち閲覧えつらん. 
  12. ^ メインメモリにくらべ、ローカルストアは高速こうそくアクセス可能かのうなため
  13. ^ a b 後藤ごとうひろししげる (2003ねん9がつ9にち). “後藤ごとうひろししげるのWeekly海外かいがいニュース:PlayStation 3のつぎ家庭かていないCellコンピューティング”. PC Watch. 2012ねん7がつ5にち閲覧えつらん
  14. ^ a b c d PlayStation 4のGPUコンピュート機能きのう 後藤ごとうひろししげるのWeekly海外かいがいニュース
  15. ^ Transmetaプレスリリース(英語えいご):Accelerates LongRun2 Adoption for Cell Derivatives; Builds Technology Collaboration in Other Areas
  16. ^ ソニー、CellにTransmetaのしょう電力でんりょく技術ぎじゅつ「LongRun2」搭載とうさい, PC Watch 2005ねん4がつ1にち
  17. ^ なお、PS3では7SPEのうち1SPEはOSが占有せんゆうするため、アプリケーションが使用しよう可能かのうなのは実質じっしつ6SPEとなる。
  18. ^ IBM、ロスアラモス国立こくりつ研究所けんきゅうじょのペタフロップスパコン計画けいかく落札らくさつ--情報じょうほうすじあきらかに, CNET Japan, 2006ねん9がつ6にち
  19. ^ Beyond a Single Cell”. Los Alamos National Laboratory. 2006ねん10がつ25にち閲覧えつらん
  20. ^ PLAYSTATION 3ハードウェアレポート【速報そくほうへん, PC Watch, 2006ねん11月11にち
  21. ^ 「フルHD時代じだい原点げんてんもどった」--東芝とうしば、Cellベースのしんプロセッサを公開こうかい
  22. ^ 日本にっぽんIBM. “IBM 高性能こうせいのうプロセッサー「Cell/B.E.」搭載とうさいのブレードサーバしん製品せいひん”. 2007ねん10がつ20日はつか閲覧えつらん
  23. ^ ソニー、Cell生産せいさん設備せつび売却ばいきゃく東芝とうしば合意ごうい
  24. ^ 新型しんがたPS3ハードウェアレポート 〜大幅おおはば縮小しゅくしょうされた冷却れいきゃく機構きこう, PC Watch, 2007ねん11月12にち
  25. ^ ISSCCに次世代じせだいCell B.E. 45nmばん登場とうじょう 〜6GHz動作どうさ電力でんりょくを30%以上いじょう削減さくげん, PC Watch 後藤ごとうひろししげるのWeekly海外かいがいニュース, 2008ねん2がつ6にち
  26. ^ フィックスターズ、最新さいしんがたCell/B.E.を搭載とうさいしたアクセラレータボードを発売はつばい プレスリリース 2008ねん4がつ3にち
  27. ^ 東芝とうしば、Cellテレビや“ちょうかいぞう”テレビ/DVDなど計画けいかく, AV watch, 2008ねん5がつ8にち
  28. ^ IBM、Cellベースのブレード・サーバ「BladeCenter QS22」を発表はっぴょう Computerworld News (2008ねん05がつ14にち
  29. ^ IBM みずほ証券しょうけんへCell/B.E.搭載とうさいブレードサーバーを納入のうにゅう IBMプレスリリース 2008ねん5がつ27にち
  30. ^ フィックスターズ、みずほ証券しょうけんのデリバティブシステムをCell/B.E.で高速こうそく成功せいこう プレスリリース 2008ねん5がつ27にち
  31. ^ べいエネルギえねるぎしょう、IBMのスパコン「Roadrunner」が1PFLOPSを達成たっせい発表はっぴょう
  32. ^ 東芝とうしば、SpursEngine搭載とうさい/ちょう解像度かいぞうど変換へんかんAVノート「Qosmio」, AV watch, 2008ねん6がつ23にち
  33. ^ CRI・ミドルウェア、東芝とうしばSpursEngine™けミドルウェアに参入さんにゅう, CRI・ミドルウェア プレスリリース, 2008ねん7がつ18にち
  34. ^ 「SpursEngine」のハード/ソフト開発かいはつ環境かんきょうあきらかに, HD Processing FORUM, 2008ねん8がつ6にち
  35. ^ 米国べいこく市場いちばけてCell/B.E.およびRSX®搭載とうさい“ZEGO(ゼゴ)”コンピューティングユニット年内ねんない発売はつばい, Sony プレスリリース, 2008ねん8がつ13にち
  36. ^ CRI・ミドルウェア:「CRI SpursCoder」ダウンロード, CRI・ミドルウェア, 2008ねん11月26にち
  37. ^ 三菱みつびし総合そうごう研究所けんきゅうじょ動産どうさん担保たんぽ融資ゆうしにおける在庫ざいこデータのモニタリングにCell/B.E.を活用かつよう プレスリリース 2008ねん12月8にち
  38. ^ フィックスターズ、Cell活用かつようのH.264リアルタイムソフトウェアエンコーダ マイコミジャーナル 2009ねん2がつ24にち
  39. ^ 北部ほくぶ九州きゅうしゅう研究けんきゅうしゃはCell/B.E.を無償むしょう活用かつよう ITmedia エンタープライズニュース 2009ねん5がつ22にち
  40. ^ 北九州きたきゅうしゅう産業さんぎょう学術がくじゅつ推進すいしん機構きこう高性能こうせいのうプロセッサ「Cell/B.E.」をもちいたシステム基盤きばん研究けんきゅうしゃ開放かいほう エンタープライズ RBB TODAY 2009ねん5がつ22にち
  41. ^ SCEJ、「プレイステーション」戦略せんりゃく発表はっぴょうかい新型しんがたPS3発表はっぴょう機動きどう戦士せんしガンダム戦記せんきどうこりBOXは38,359えん同時どうじ発売はつばい, GAME Watch, 2009ねん8がつ19にち
  42. ^ 世界せかいはつ「Cell Broadband EngineTM」搭載とうさい 高画質こうがしつ液晶えきしょうテレビ「CELLレグザ 55X1」の発売はつばいについて ニュースリリース 2009ねん10がつ5にち
  43. ^ Air Force To Expand PlayStation-Based Supercomputer InfomationWeek 2009ねん11月20にち
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  45. ^ a b c 東芝とうしばおよびソニーによる半導体はんどうたい製造せいぞう設備せつび譲渡じょうとかんする基本きほん合意ごういしょ締結ていけつについて, 東芝とうしばニュースリリース, 2010ねん12月24にち
  46. ^ a b c 東芝とうしばおよびソニーによる半導体はんどうたい製造せいぞう設備せつび譲渡じょうとかんする基本きほん合意ごういしょ締結ていけつについて, ソニーニュースリリース, 2010ねん12月24にち
  47. ^ 東芝とうしば半導体はんどうたい改革かいかくメド 大分おおいた画像がぞうセンサー中心ちゅうしん 設計せっけい生産せいさん分業ぶんぎょう時代じだいに」『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん』2010ねん12月24にちづけ日刊にっかんだい13はんだい9めん
  48. ^ 高性能こうせいのう半導体はんどうたい生産せいさん合弁ごうべん会社かいしゃ概要がいようについて, 東芝とうしばニュースリリース, 2008ねん2がつ20日はつか
  49. ^ 高性能こうせいのう半導体はんどうたい生産せいさん合弁ごうべん会社かいしゃ概要がいようについて, ソニーニュースリリース, 2008ねん2がつ20日はつか
  50. ^ ソニーの裏面りめん照射しょうしゃがたCMOSセンサー工場こうじょうたずねる, デジカメWatch, 2010ねん3がつ4にち
  51. ^ ソニー、イメージセンサーの生産せいさん能力のうりょく倍増ばいぞう, ソニーニュースリリース, 2010ねん12月27にち
  52. ^ 東芝とうしば、サムスンと提携ていけい 先端せんたんLSI生産せいさん委託いたく 投資とうし競争きょうそうから撤退てったい メモリー事業じぎょう集中しゅうちゅう」『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん』2010ねん12月24にちづけ日刊にっかんだい13はんだい1めん

外部がいぶリンク、参考さんこう文献ぶんけん

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アーキテクチャ、ニーモニック、SPEけの言語げんご拡張かくちょうなどCellにかんする基本きほん情報じょうほう網羅もうらしている。
2005ねんのGame Developers ConferenceでSony Computer Entertainment US Research and Developmentが発表はっぴょうしたスライド。
製造せいぞうプロセスや、音声おんせい認識にんしきエンジンでの性能せいのう評価ひょうかやプログラミングモデルなどの応用おうようかんするジャーナル。
Cellの開発かいはつ中心ちゅうしんてき役割やくわりになったIBMのPeter Hofsteeらによるチュートリアルスライド。

東芝とうしば

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Cellの概要がいようのほか、開発かいはつようリファレンスキット、家電かでんけのI/Oインタフェースを提供ていきょうするSuperCompanionChip、ハイパーバイザー、ソフトウェア開発かいはつ環境かんきょう画像がぞう処理しょりにおける性能せいのう評価ひょうかなどの技術ぎじゅつ報告ほうこく

COC世界せかい拠点きょてん

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