MPEG-2

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MPEG-2(エムペグツー、H.222/H.262, ISO/IEC 13818)は1995ねん7がつISO/IEC JTC 1Moving Picture Experts Groupによってめられた標準ひょうじゅん規格きかく正式せいしき名称めいしょうはGeneric coding of moving pictures and associated audio information。

概要がいよう[編集へんしゅう]

MPEG2はビデオオーディオほか、システムとうについても規格きかくされている。また、様々さまざまなメディアでの利用りよう想定そうていして、複数ふくすう解像度かいぞうど圧縮あっしゅくりつがある。なお、復号ふくごう方式ほうしきのみがさだめられており、符号ふごう方式ほうしきについて規格きかくされていない。よって規格きかく沿った結果けっかられるのであれば、符号ふごう手順てじゅんはどのようにしてもよいことになっている。基本きほんてきMPEG-1との下位かい互換ごかんせいい(MPEG-2の再生さいせい装置そうちでMPEG-1の再生さいせい出来できるがそのぎゃくではできない)。

なお、元々もともと標準ひょうじゅんテレビ放送ほうそう(SDTV)けにMPEG-2、こう精細せいさいテレビジョン放送ほうそう (HDTV)けにMPEG-3策定さくていされる予定よていであったが、両者りょうしゃ基本きほん技術ぎじゅつおなじであったため、最終さいしゅうてきにはMPEG-3がMPEG-2に吸収きゅうしゅう統合とうごうされることが決定けっていし、MPEG-3規格きかく欠番けつばんとなっている。現在げんざいでは標準ひょうじゅんテレビからHDTVにいたるまでMPEG-2が幅広はばひろ利用りようされている。

ビデオ[編集へんしゅう]

ビデオ(ISO/IEC 13818-2)については、採用さいようされている基本きほん技術ぎじゅつだい部分ぶぶんMPEG-1ビデオと同等どうとうであるため、圧縮あっしゅく効率こうりつ側面そくめんではMPEG-1とほとんどわらない。
ただしネットワーク環境かんきょうHDTVなど動画どうが性能せいのう向上こうじょうけて、以下いか拡張かくちょうおこなわれている。

インターレースへの対応たいおう
同時どうじにフィールド補完ほかんによる動画どうが圧縮あっしゅく追加ついか
多重たじゅうへの対応たいおう
データ構造こうぞう拡張かくちょうせいあたえられている。具体ぐたいてき多重たじゅう実現じつげんについてはおもにPart1: Systemのこうなどで定義ていぎされている。
いろ情報じょうほうフォーマットの拡充かくじゅう
MPEG-1では4:2:0 (YUV420)のみ対応たいおうだったが、MPEG-2では4:4:44:2:24:2:0対応たいおう
圧縮あっしゅく効率こうりつ変更へんこう
やく2Mbps以上いじょうにおいて、圧縮あっしゅくりつ最適さいてきになるように調整ちょうせい

なお、MPEG-2ビデオはITU-TとISO/IECの合同ごうどう規格きかくであり、ITU-T勧告かんこくH.262としても標準ひょうじゅんされている。

オーディオ[編集へんしゅう]

一般いっぱんてきにはMPEG-2オーディオばれるものが定義ていぎされており(ISO/IEC 13818-3)、MPEG-1オーディオと同様どうようにLayer-1、Layer-2、Layer-3とけられて策定さくていされた。MPEG-1オーディオとの互換ごかんせい考慮こうりょされているBC(Backward Compatible)と、互換ごかんせい排除はいじょして高音こうおんしつこう圧縮あっしゅく達成たっせいしたAAC(Advanced Audio Coding)がある(MPEG-2 Audio Layer-3の正式せいしき名称めいしょうが“MPEG-2 BC”となった。)。

システム[編集へんしゅう]

システム(ISO/IEC 13818-1, ITU-T H.222.0)についても、DVD-Videoのような蓄積ちくせきメディアでの使用しよういたプログラムストリーム(MPEG-2 PS)と、デジタル放送ほうそうひとし放送ほうそう通信つうしんいたトランスポートストリーム(MPEG-2 TS)が規定きていされている。詳細しょうさいについてはMPEG-2システム記事きじ参照さんしょうされたい。

パソコンうえあつかわれる「MPEG-2ファイル」とばれるものはプログラムストリームのデータが記録きろくされているものであることがおおく、拡張子かくちょうしとして.m2pが使つかわれることがおおい。 これにたいして、.mp2はMPEG Audio Layer 2の拡張子かくちょうしとして使つかわれることが一般いっぱんてきであり、MPEG-2システムのデータをしめすものではない。

利用りようれい[編集へんしゅう]

MPEG-2は放送ほうそうHDTVなどを想定そうていした規格きかくであり、実際じっさいにもデジタル放送ほうそう記録きろくメディアなど様々さまざま用途ようと利用りようされている。以下いか代表だいひょうてき利用りようれいげる。

DVD-Video[編集へんしゅう]

DVD-Videoでは映像えいぞうとしてMPEG-2ビデオが使つかわれるとともに、プログラムストリームにじゅんじた形式けいしき音声おんせいなどのデータが混合こんごう記録きろくされている。一方いっぽう日本にっぽん国内こくないでは、音声おんせいとしてはPCMドルビーデジタル(AC-3)といった、MPEG以外いがい規格きかく技術ぎじゅつ使つかわれているれい大勢おおぜいめる。MPEGオーディオもDVD-Video規格きかくとしてはみとめられているが、日本にっぽん国内こくないでは必須ひっすではなくオプションあつかいである。なお、おなじくオプションあつかいでは、てい圧縮あっしゅく(=高音こうおんしつ)なdts方式ほうしき収録しゅうろくされているものがおおい。

デジタル放送ほうそう[編集へんしゅう]

デジタル放送ほうそうでは多重たじゅう伝送でんそう方式ほうしきとしてMPEG-2 TS、動画どうがぞう符号ふごう方式ほうしきとしてMPEG-2ビデオが採用さいようされている。(詳細しょうさいについてはデジタルテレビ記事きじ参照さんしょう。)

その利用りようれい[編集へんしゅう]

MPEG-2にかかわる裁判さいばん[編集へんしゅう]

MPEG-2にかんする符号ふごう復号ふくごう技術ぎじゅつなどの技術ぎじゅつは、電機でんきメーカー各社かくしゃ開発かいはつ特許とっきょ申請しんせいとうおこなわれ、アメリカのMPEG LAしゃ管理かんりしている。2008ねん6がつ、アメリカの液晶えきしょうテレビのトップシェアメーカーであるVIZIOしゃが、テレビ製造せいぞうさいしライセンスりょう支払しはらいをおこなっていないとして、かく電機でんきメーカーがニューヨークしゅう連邦れんぽう地方裁判所ちほうさいばんしょ提訴ていそ。VIZIOがわは、2008ねん11月17にちにライセンスりょう支払しはらうことで和解わかい成立せいりつしている。[1]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ https://xtech.nikkei.com/dm/article/NEWS/20081118/161403/?ref=RL2 べいVIZIOしゃ,MPEG-2特許とっきょべいMPEG LAとライセンス契約けいやく日経にっけいBP)

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]