D-VHS

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D-VHS
D-VHS logo
VHS、S-VHS、D-VHSカセットの違い
VHSS-VHS、D-VHSカセットのちが
(テープの種類しゅるい識別しきべつする識別しきべつあな位置いちことなる)
メディアの種類しゅるい 磁気じきテープ
記録きろく容量ようりょう DF-160(HS:80ふん、STD:160ふん
DF-180(HS:90ふん、STD:180ふん
DF-240(HS:120ふん、STD:240ふん
DF-300(HS:150ふん、STD:300ふん
DF-360(HS:180ふん、STD:360ふん
DF-420(HS:210ふん、STD:420ふん
DF-480(HS:240ふん、STD:480ふん
コーデック MPEG-2 TS
方法ほうほう ヘリカルスキャンアジマス方式ほうしき
方法ほうほう ヘリカルスキャンアジマス方式ほうしき
回数かいすう 随時ずいじオーバーライト
策定さくてい 日本にほんビクターげんJVCケンウッド
おも用途ようと ハイビジョン映像えいぞうとう
おおきさ 188×104×25 mm
(テープはば:12.65 mm(1/2インチ))
下位かい規格きかく W-VHS
S-VHS
VHS
VHS-C
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D-VHS(ディー・ブイエイチエス/データ・ブイエイチエス)は、家庭かていようビデオデッキとして業界ぎょうかい標準ひょうじゅんとなったVHS方式ほうしきをベースにデジタル放送ほうそう対応たいおうした規格きかく日本にほんビクターげんJVCケンウッド)が当時とうじアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく放送ほうそう開始かいしされていたCSデジタル放送ほうそう信号しんごうを、そのままVHSテープ録画ろくがする規格きかくとして開発かいはつした。DIGITAL Hi-Vision Videoの文言もんごん併記へいきされることもあり間違まちがわれることがおおいが、頭文字かしらもじの「D」は“Digital”ではなく“Data”をりゃくしたものである[1]

記録きろく方式ほうしき、インターフェースなど[編集へんしゅう]

  • 磁気じきテープやローディングなど基本きほんてきなメカニズム部分ぶぶん従来じゅうらいのVHS方式ほうしきおなじであり、アナログ放送ほうそう記録きろくかんしては従来じゅうらい規格きかく(VHSまたはS-VHS)とおな方式ほうしき録画ろくが再生さいせいおこなう。
  • 従来じゅうらい規格きかくおおきくことなるのは、各種かくしゅデジタル放送ほうそうデジタル信号しんごうを、エンコードすることなく直接ちょくせつ記録きろくするビットストリーム記録きろく方式ほうしき採用さいようしているてんにある。また映像えいぞう記録きろくにはBlu-ray DiscおなじくMPEG-2 TS方式ほうしき採用さいよう厳密げんみつには、Blu-ray DiscがD-VHSの規格きかく準拠じゅんきょしたかたち)。ハードウェアがわには入力にゅうりょくされたアナログ映像えいぞう信号しんごうMPEG-2信号しんごうデータ圧縮あっしゅくするエンコーダ復元ふくげんするデコーダが装備そうびされているが、機種きしゅによっては両方りょうほうもしくは片方かたがた省略しょうりゃくされているものもある。
  • DVDとう採用さいようしている可変かへんビットレート(VBR)とはことなり、固定こていビットレート(CBR)でのデータ記録きろく方式ほうしき採用さいようしている。
  • デジタル記録きろく場合ばあい、VHS120ふんテープ相当そうとう(DF-240)で、HS(ハイビジョン記録きろく)で1ばい、STD(標準ひょうじゅん解像度かいぞうど記録きろく)で2ばい、LS3で6ばい時間じかん記録きろく可能かのう。なお、D-VHSテープにかれている数値すうちは、STDでの記録きろく時間じかんぶん単位たんい)である。
  • HSモード(ハイビジョン記録きろく)では、1080iおよび720p対応たいおうしている。
D-VHSのかく記録きろくモードにおける最大さいだいビットレートとテープスピード
録画ろくがモード メインデータビットレート サブデータビットレート 記録きろくデータレート テープスピード
HS 28.2Mbps 292kbps 19.1Mbps×2 33.33 mm/s
STD 14.1Mbps 146kbps 19.1Mbps 16.67 mm/s
LS2 7.0Mbps 73kbps 19.1Mbps 8.33 mm/s
LS3 4.7Mbps 48.7kbps 19.1Mbps 5.56 mm/s
LS5 2.8Mbps 29.2kbps 19.1Mbps 3.33 mm/s
LS7 2.0Mbps 20.9kbps 19.1Mbps 2.38 mm/s
D-VHSのかく記録きろくモードにおける最大さいだい録画ろくが時間じかん
テープ型番かたばん 最大さいだい容量ようりょう 録画ろくが時間じかん
HS STD LS3 LS5 LS7
DF-160 16.9 GB 80ふん(1あいだ20ふん 160ふん(2あいだ40ふん 480ふん(8あいだ 800ふん(13あいだ20ふん 1,120ふん(18あいだ40ふん
DF-180 19.0 GB 90ふん(1あいだ30ふん 180ふん(3あいだ 540ふん(9あいだ 900ふん(15あいだ 1,260ふん(21あいだ
DF-240 25.4 GB 120ふん(2あいだ 240ふん(4あいだ 720ふん(12あいだ 1,200ふん(20あいだ 1,680ふん(28あいだ
DF-300 31.7 GB 150ふん(2あいだ30ふん 300ふん(5あいだ 900ふん(15あいだ 1,500ふん(25あいだ 2,100ふん(35あいだ
DF-360 38.1 GB 180ふん(3あいだ 360ふん(6あいだ 1,080ふん(18あいだ 1,800ふん(30あいだ 2,520ふん(42あいだ
DF-420 44.4 GB 210ふん(3あいだ30ふん 420ふん(7あいだ 1,260ふん(21あいだ 2,100ふん(35あいだ 2,940ふん(49あいだ
DF-480 50.7 GB 240ふん(4あいだ 480ふん(8あいだ 1,440ふん(24あいだ 2,400ふん(40あいだ 3,360ふん(56あいだ
  • デジタル放送ほうそう受信じゅしんセットトップボックス:STB)とうとの相互そうご接続せつぞくにはi.LINK採用さいよう映像えいぞう音声おんせいアスペクトなどの制御せいぎょ信号しんごう番組ばんぐみ情報じょうほうなどを双方向そうほうこう通信つうしん記録きろくできる。DV端子たんし形状けいじょう同一どういつだがあつか信号しんごうことなる(DVC-SDフォーマットではなくMPEG-2 TSフォーマット)ため、DV方式ほうしき家庭かていようデジタルビデオカメラ接続せつぞくできない(DVビデオカメラよう信号しんごうあつかえるデッキもある)。MPEG-2デコーダを装備そうびしていないD-VHSデッキでD-VHS記録きろくされた映像えいぞう再生さいせいする場合ばあい、この接続せつぞく形態けいたいでSTBとう内蔵ないぞうのMPEG-2デコーダをとおして再生さいせいすることになる。
  • テープにはアナログ方式ほうしきのS-VHSテープをリファインしたD-VHSテープを使用しようして記録きろくする。外見がいけん通常つうじょうのVHSテープとほぼおなじだが、磁性じせい磁力じりょくは1000Oeえたコバルトちゃくがた採用さいようし、記録きろくする短波たんぱちょうこう出力しゅつりょく磁性じせいたい密度みつどアップがなされており、外見がいけんじょう相違そういてんとして、テープの種類しゅるい認識にんしきするためのあな識別しきべつあな)がある。デジタル方式ほうしき記録きろくされたテープは従来じゅうらいのVHS / S-VHS / W-VHS方式ほうしきでは再生さいせいできない。しかしVHS / S-VHS方式ほうしき記録きろくしたテープはD-VHSデッキで録画ろくが再生さいせいできる。なお、D-VHSテープはデジタル記録きろく専用せんようではなくVHS / S-VHS / W-VHS / D-VHSデッキにいてアナログ方式ほうしきのVHS / S-VHS記録きろくようさい高級こうきゅうテープとしても使用しよう可能かのうである(D-VHSデッキでD-VHSテープにアナログ方式ほうしきのVHS / S-VHS記録きろくをする場合ばあい、ボタン操作そうさでVHS / S-VHS記録きろくモードにえる必要ひつようがある)。
  • メーカー保証ほしょうがいだが、S-VHSテープやHG(ハイグレード)タイプのVHSテープであればD-VHS方式ほうしきでのデジタル記録きろく可能かのう機種きしゅ存在そんざいする。本体ほんたいやリモコンのボタン操作そうさでD-VHS記録きろくモードへえると記録きろくすることができる。ただし、機種きしゅによってはテープ種類しゅるい識別しきべつあなけなければD-VHS記録きろく出来できないものもある。
  • i.LINK(IEEE 1394)を使用しようしてパソコンと接続せつぞくし、MPEG-2エンコードした映像えいぞう編集へんしゅう可能かのう製品せいひん存在そんざいする[2]。また、Windows XP搭載とうさいパソコンとIEEE 1394で接続せつぞくした場合ばあい、「JVC Tape Device」として認識にんしきされる機種きしゅがある。フリーウェア使用しようすることにより、D-VHSデッキを使用しようしたMPEG-2キャプチャ可能かのうである。

経緯けいい[編集へんしゅう]

JVC HMDT100U
  • 1995ねん4がつ - 日本にほんビクターがD-VHSフォーマットの技術ぎじゅつ発表はっぴょうおこなう。
  • 1996ねん4がつ - D-VHSスタンダード(STD)モードの技術ぎじゅつ仕様しよう決定けってい
  • 1997ねん - 日本にほんビクターからアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく市場いちばけにCSデジタル放送ほうそうSTBいち体型たいけいのD-VHS 1号機ごうきHM-DSR100DUを発売はつばい
  • 当初とうしょはデジタル放送ほうそう受信じゅしんとのわせが前提ぜんていであり、再生さいせいもMPEG-2デコーダを搭載とうさいしたデジタル放送ほうそう受信じゅしん接続せつぞくしないかぎ不可能ふかのうであった。しかし1999ねんには、MPEG-2エンコーダおよびMPEG-2デコーダを内蔵ないぞうし、従来じゅうらいアナログ放送ほうそう信号しんごうをデジタル信号しんごう変換へんかんし、記録きろく録画ろくがする機器きき登場とうじょうした。
  • 1998ねん7がつ - 当初とうしょ4時間じかん(DF-240、従来じゅうらいの120ふんテープに相当そうとう)のSTDモード以外いがいに、ハイビジョン記録きろく可能かのうなHS(High Speed)モード(DF-420で3.5あいだ記録きろく可能かのう)と、LS(Low Speed)モード(LS2 / 3 / 5 / 7)を規格きかく追加ついかした[3]。LS2はSTDの2ばい、LS3は3ばい、LS5は5ばい、LS7は7ばい記録きろく可能かのうで、最長さいちょうのLS7ではVHS程度ていど画質がしつで56あいだ長時間ちょうじかん記録きろく可能かのうである。ただしLS2以上いじょうについては、録画ろくがしたビデオデッキ以外いがいのデッキでの再生さいせい保証ほしょうしていない。
  • 1998ねん10月 - 日立製作所ひたちせいさくしょから日本にっぽん市場いちばけにCSデジタルチューナー搭載とうさいし、スカイパーフェクTV!の「パーフェクTV!」サービスのデジタル記録きろく対応たいおうした7B-DF100が限定げんてい発売はつばいされた[4]
  • 1999ねん7がつ - 日立製作所ひたちせいさくしょより、MPEG2エンコーダー内蔵ないぞう世界せかいはつ アナログ地上波ちじょうは・BS放送ほうそうをデジタル記録きろくする D-VHS VTR DT-DR3000」を発売はつばい[5]
  • 2000ねん9月 - デジタルハイビジョンビデオ推進すいしん協議きょうぎかい日本にほんビクター、日立製作所ひたちせいさくしょ松下電器産業まつしたでんきさんぎょうげんパナソニック)、東芝とうしばビデオプロダクツジャパンおよ賛同さんどうメーカー)は、D-VHS HSモード搭載とうさい共通きょうつうのロゴ(DIGITAL Hi-Vision Video)を制定せいていし、愛称あいしょうを「デジタルハイビジョンビデオ」に統一とういつ商品しょうひんカタログや広告こうこく使用しようすると発表はっぴょうした。
  • D-VHSにどのモードを搭載とうさいするかはメーカーの判断はんだんまかされ、HSモード、LS3モードとう搭載とうさいした機種きしゅ日本にっぽんBSデジタル放送ほうそう開始かいしされた2000ねん発売はつばいされた。HSモードは発売はつばい当時とうじ家庭かていようとしては唯一ゆいいつBSデジタル放送ほうそう完全かんぜん記録きろくできる規格きかくだった(転送てんそうレート28.2Mbps・BSデジタル放送ほうそうは24Mbps)。
  • D-VHSテープものち最長さいちょう480ふん(DF-480、STDモード対応たいおうのものが発売はつばいされた。
  • D-VHSを自社じしゃ発売はつばいしたメーカーは日本にほんビクター、松下電器産業まつしたでんきさんぎょうげんパナソニック)、日立製作所ひたちせいさくしょ三菱電機みつびしでんきOEM供給きょうきゅうソニーシャープ東芝とうしば日本にほんビクターより)であった。2008ねん時点じてん日本にほんビクターもふくめ、すべてのメーカーで製造せいぞう終了しゅうりょうしている。日本にほんビクターは2007ねん1がつかぎりで日本にっぽん国内こくないでの販売はんばい終了しゅうりょうしている(最終さいしゅう機種きしゅは「HM-DHX2」で、D-VHS(S-VHS)製品せいひんとしても最終さいしゅう機種きしゅである)。
  • D-VHSは家庭かていようとしてハイビジョンのまま記録きろくできる媒体ばいたいとしてデジタルハイビジョンを受信じゅしんするユーザーを中心ちゅうしん普及ふきゅうしていたが、デジタルチューナーは搭載とうさいで、外部がいぶチューナーかデジタルチューナー内蔵ないぞうテレビなどと接続せつぞくしなければならなかった。
  • 2004ねん4がつ - IEC 60774-5 Ed. 1.0:2004 (b) として国際こくさい規格きかくされた[6]
  • 2009ねん4がつ13にち - D-VHSを発売はつばいしていたメーカーから2011ねん以降いこうにBSデジタル放送ほうそう録画ろくが支障ししょう可能かのうせいがあることが発表はっぴょうされた。2011ねんにはNHK BShi終了しゅうりょうともなNHK衛星えいせいだい1およびNHK衛星えいせいだい2のハイビジョンおよび、アナログBS放送ほうそう終了しゅうりょうあらたな周波数しゅうはすうたいてにともな新規しんき事業じぎょうしゃ参入さんにゅうなどBSデジタル放送ほうそう再編さいへん予定よていされていたため、サービス向上こうじょう必要ひつようから新規しんききょく既存きそんきょく双方そうほうでD-VHSの設計せっけい上限じょうげんである28.2Mbpsをえる送出そうしゅつ運用うんようおこなわれる可能かのうせいがあった。その場合ばあい録画ろくが番組ばんぐみにノイズ混入こんにゅう音声おんせいれなどが想定そうていされ、D-VHS機器ききでは回避かいひできないことから、こうした運用うんよう実施じっしされた場合ばあいはSTDなどSD画質がしつ録画ろくがするようにびかけていた[7]
  • 2018ねん12月1にち以降いこう - 総務そうむしょう発表はっぴょうの「4K・8K推進すいしんのためのロードマップ」の実施じっしともない、現在げんざいおこなわれているBSデジタル放送ほうそういてすくなくともNHKと在京ざいきょうキーきょくけい民放みんぽうかんしては現行げんこうの24スロットが4K・8K放送ほうそう必要ひつよう帯域たいいき確保かくほするために最大さいだい3ぶんの1けずられ、BSデジタルハイビジョン放送ほうそうのビットレートがちることから、D-VHS機器ききでHSモード録画ろくがおこなっても設計せっけい上限じょうげんである28.2Mbpsをえる送出そうしゅつ運用うんようおこなわれる可能かのうせいはほぼくなる[8]

メリット・デメリット[編集へんしゅう]

  • BDレコーダー存在そんざいしないころは、唯一ゆいいつのハイビジョン画質がしつでデジタル記録きろくできるメディアであり、BDレコーダーが発展はってん途上とじょう時期じきにはメリット・デメリットが拮抗きっこうしていたが、2010年代ねんだい以降いこうはメリットとえる要素ようそきわめてすくなくなっている。

メリット[編集へんしゅう]

  • テープ方式ほうしきのためにだい容量ようりょう(DF-480使用しようで50.7GB[注釈ちゅうしゃく 1]最高さいこう画質がしつのHSモード(ハイビジョン画質がしつ)で240ふん(4あいだ記録きろく可能かのう)。
    • ただし、Blu-ray DiscもDL(2そう50GB:BSデジタルで260ふん記録きろく可能かのう)、BDXL(3そう100GB:BSデジタルで520ふん記録きろく可能かのう、4そう128GB:BSデジタルで660ふん記録きろく可能かのう)を商品しょうひんしている。
  • コピーフリーの番組ばんぐみ録画ろくがしたD-VHSはi.LINKまたはDV端子たんし経由けいゆでDVDレコーダーやBDレコーダーにダビングができる。
  • 磁気じきテープによる記録きろく方式ほうしきのため、適切てきせつ湿度しつど温度おんど管理かんりをしていれば、保存ほぞん安定あんていせいたかく、D-VHSテープの製品せいひん寿命じゅみょう非常ひじょうながい。

デメリット[編集へんしゅう]

  • テープ媒体ばいたいのためあたましの時間じかんがかかる(メーカーによっては録画ろくがした番組ばんぐみのナビゲーション機能きのう搭載とうさいしているが、どういちデッキでの使用しようかぎられる)。
  • 映像えいぞうのトリックプレイ(いわゆる特殊とくしゅ再生さいせい倍速ばいそくサーチとう)には紙芝居かみしばいのような映像えいぞうしかないこと、また初期しょきのD-VHS機種きしゅ早送はやおくり・もどようデータ記録きろく規格きかく策定さくていされていなかったこともあり、映像えいぞうながらの早送はやおくり・もどしが不可能ふかのうであった。静止せいし可能かのうであるものの、コマおくりやスローには一切いっさい対応たいおうしなかったこと。
  • D-VHSテープが適切てきせつ管理かんりされていない場合ばあい、テープのきずやホコリによわく、とく長時間ちょうじかんモードでのろくさいとき画像がぞうエラーがやすい。
  • 初期しょき一部いちぶ機種きしゅではMPEG-2デコーダを内蔵ないぞうしていないため、ビデオ単体たんたいでは映像えいぞうられない。また、通常つうじょうのMPEG-2デコーダは搭載とうさいしているがハイビジョンようデコーダを搭載とうさいしていない機種きしゅもあり、この場合ばあいにはハイビジョンチューナーを経由けいゆして再生さいせいしなければならない。
  • コピー・ワンス番組ばんぐみ録画ろくがしたD-VHSはBDレコーダーにダビング・ムーブはできない。
  • ハイビジョン録画ろくが・ダビングの手段しゅだんがi.LINK経由けいゆかぎられる。そのためi.LINK端子たんし搭載とうさいしないハイビジョンテレビやチューナーからはハイビジョン画質がしつでの録画ろくが再生さいせい(ハイビジョンようデコーダ搭載とうさい機種きしゅ)がおこなえない(ハイビジョンようチューナーを内蔵ないぞうしたD-VHSデッキは発売はつばいされなかった)。
  • 2007ねん1がつ時点じてんでD-VHSデッキの生産せいさんすべ終了しゅうりょうしており、D-VHSデッキをあらたに導入どうにゅうする手段しゅだんがない(中古ちゅうこ市場いちばでのD-VHSデッキの入手にゅうしゅはS-VHSデッキやVHSデッキとくらべると現存げんそんすうED Betaデッキほどではないものの、かなりすくないゆえにとても困難こんなんである)。
  • D-VHSテープ自体じたいがDVDやBlu-ray Discとくらべてサイズがおおきい。
  • D-VHSテープおよび、代用だいようとなるS-VHSテープも生産せいさん終了しゅうりょうしているため入手にゅうしゅ困難こんなんである(従来じゅうらいのVHSテープは磁性じせいたい磁力じりょくおとるため、D-VHS方式ほうしきでのデジタル記録きろく困難こんなん)。
  • Blu-ray Discの普及ふきゅうによる増産ぞうさんでBDメディアのてい価格かかくすすんだことたいし(BDメディアは100えんショップでも入手にゅうしゅ可能かのう)、流通りゅうつう在庫ざいこしか存在そんざいしないD-VHS/S-VHSテープとは価格かかく逆転ぎゃくてんしている。

規格きかくとの連携れんけい[編集へんしゅう]

Blu-ray Discを発売はつばいした松下電器産業まつしたでんきさんぎょうげんパナソニック)は、2004ねん4がつにD-VHS製品せいひん出荷しゅっか完了かんりょうしている。ソニー、シャープも同様どうようにBlu-ray Discへと移行いこうした。

パナソニックはこれにともない、単体たんたいデジタルチューナーやデジタル3チューナー内蔵ないぞうテレビから、D-VHSの録画ろくが不可欠ふかけつなi.LINK端子たんし撤去てっきょしたモデルを販売はんばいしている。ただし、パナソニックのBDレコーダー「DIGA」の「DMR-BW」シリーズには、i.LINK端子たんし搭載とうさいされており、ハードディスク録画ろくがしたハイビジョン番組ばんぐみを、Blu-rayメディアほか、D-VHSテープにもムーブ可能かのう公式こうしきにパナソニックせいBDレコーダーとの連携れんけい保証ほしょうされているのは、同社どうしゃのD-VHSデッキである「NV-DHE10」、「NV-DH1」、「NV-DHE20」、「NV-DH2」の4機種きしゅである。

ソフト[編集へんしゅう]

ハイビジョン記録きろくされたパッケージ規格きかく “D-Theater”も開発かいはつされた。D-Theater規格きかくのテープはD-Theater機能きのう搭載とうさいしたD-VHSデッキでしか再生さいせいできない。D-TheaterにはDVDとおなじくリージョンコードがあり、パッケージとデッキのリージョン番号ばんごう一致いっちしないと再生さいせいできない。アメリカ市場いちばではソフトが商品しょうひんされているが、日本にっぽん市場いちばでのD-VHSソフトは、わずか1タイトルが発売はつばいされたにぎない[9]。D-VHS方式ほうしき開発かいはつメーカーである日本にほんビクター自身じしんがBlu-ray Discに移行いこうしているうえに、D-VHSの機器きき日本にっぽん市場いちばけモデルの製造せいぞうられたことから、今後こんごあらたなるD-Theaterソフトの発売はつばい可能かのうせい絶無ぜつむである。

D-VHS録画ろくがようビデオカセットテープについては、パナソニック、ソニー、日立ひたちマクセル(げんマクセル)、TDK富士ふじフイルム生産せいさん終了しゅうりょう

ビクターの記録きろくメディア事業じぎょう会社かいしゃ分割ぶんかつして設立せつりつした、ビクターアドバンストメディア(太陽誘電たいようゆうでん子会社こがいしゃ:2016ねん3がつ31にち解散かいさん)も2014ねん1がつまつ生産せいさん完了かんりょう2015ねん12月まつ販売はんばい終了しゅうりょうした[10][11]

2021ねん現在げんざい、D-VHSビデオカセットテープの新品しんぴん入手にゅうしゅインターネットショッピング可能かのうだが、一般いっぱん家電かでん量販りょうはんてんでは非常ひじょうむずかしい状態じょうたいである。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 28.2Mbps(HSモード)×60(びょう)×240(ぶん)=406,080Mb=50,760MB≒50.7GB

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ D-VHS入門にゅうもん、ACII.jp、2001ねん4がつ19にち
  2. ^ D-VHSからのMPEG-2キャプチャが可能かのうなIEEE1394カード GV-DVC3/PCI、ASCII.jp、2002ねん1がつ18にち
  3. ^ VHSのデジタルフォーマット「D-VHS」ぜん仕様しよう決定けってい日本にほんビクター、1998ねん7がつ3にち
  4. ^ CSデジタルチューナー内蔵ないぞう D-VHS VTRを発売はつばい - 日立製作所ひたちせいさくしょ1998ねん8がつ27にち
  5. ^ 世界せかいはつ アナログ地上波ちじょうは・BS放送ほうそうをデジタル記録きろくする D-VHS VTR DT-DR3000」を発売はつばい日立製作所ひたちせいさくしょ、1999ねん7がつ15にち
  6. ^ IEC 60774-5 Ed. 1.0:2004 12.65 mm (0.5 in)磁気じきテープをVHSで使用しようするヘリカル走査そうさビデオテープカセットシステム-だい5:D-VHSJSA GROUP Webdesk、2004ねん4がつ7にち
  7. ^ 2011ねん以降いこうのBSデジタルD-VHS記録きろく支障ししょう可能かのうせい -BS再編さいへんなどで設計せっけい上限じょうげんえる可能かのうせい。ビクター発表はっぴょう - AV Watch、2009ねん4がつ13にち
  8. ^ 総務そうむしょう衛星えいせい放送ほうそう現状げんじょう 平成へいせい29年度ねんどだい2四半期しはんきばん」30ぺーじ以降いこう参照さんしょう
  9. ^ D-VHS ハイビジョン モニターチェックテープ、Phile-web
  10. ^ S-VHS/D-VHS/W-VHSビデオテープ生産せいさん完了かんりょうのおらせ - ウェイバックマシン(2014ねん12月16にちアーカイブぶん)、ビクターアドバンストメディア、2014ねん1がつ31にち
  11. ^ 商品しょうひんかんするおわせ窓口まどぐちのご案内あんない太陽誘電たいようゆうでん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]