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S-VHS

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
Super VHS
S-VHS
S-VHSロゴ
記録きろく容量ようりょう
  • 30ふん
  • 60ふん
  • 90ふん
  • 120ふん
  • 140ふん
  • 160ふん
  • 180ふん
  • 210ふん
速度そくど やく33.34mm/s(SP)
16.76mm/s(LP)
11.18mm/s(EP)
策定さくてい 日本にほんビクター
げんJVCケンウッド
おおきさ 188×104×25mm
(テープはば:12.7mm)
下位かい規格きかく VHS, VHS-C
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S-VHS(エス・VHS/スーパー・VHS)とは、家庭かていようビデオ方式ほうしきVHSをより高画質こうがしつにするために開発かいはつされた規格きかくである(正式せいしき名称めいしょうは「Super VHS」)。

概要がいよう

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1987ねん昭和しょうわ62ねん)に日本にほんビクターげんJVCケンウッド)が発表はっぴょうし、同年どうねん4がつにはそのだい1号機ごうきとして「HR-S7000」が発売はつばいされた[1]

従来じゅうらいのVHS(ノーマルVHS)では、画質がしつ指標しひょうとなる水平すいへい解像度かいぞうどが240TVほんであり、VHSだい1号機ごうき発表はっぴょうされた1976ねん昭和しょうわ51ねん当時とうじの、一般いっぱんてき家庭かていようテレビの水平すいへい解像度かいぞうどは200TVほん程度ていどである。また、放送ほうそうきょく使つかわれていた機材きざいもさほど性能せいのうくなかった。このことからVHSは当時とうじとしては十分じゅうぶんなビデオ規格きかくであったとえる。

しかし1980ねんだいなかば、NHK-BSなどの衛星えいせい放送ほうそうがスタートし、高画質こうがしつ放送ほうそうおこなわれるようになった。また、従来じゅうらいどおりの地上波ちじょうはにおいても、このころになるとベータカムなどの高性能こうせいのう映像えいぞう機器ききが、おおくの番組ばんぐみ制作せいさく活用かつようされるようになり、VHSの解像度かいぞうどえる高画質こうがしつ録画ろくが対応たいおうした規格きかく要求ようきゅうされるようになった。そこで開発かいはつされたS-VHSは、輝度きど信号しんごうのFM信号しんごう帯域たいいきがVHSの4.4MHzから7.0MHz(しろピーク)と広帯域こうたいいきされ、標準ひょうじゅん、3ばいモードども水平すいへい解像度かいぞうど400TVほん以上いじょう達成たっせいし、民生みんせいでははじめて映像えいぞう信号しんごう鮮明せんめい記録きろく実現じつげんさせた。なお、いろ信号しんごうかんしては帯域たいいきはVHSとわらないが、これは従来じゅうらいVHSと大幅おおはば規格きかくえないためのやむをない処置しょちであった。ただこの規格きかくないにおいて、視覚しかくてきによりうつくしいいろえるように、しん製品せいひん発表はっぴょうされるたびに信号しんごう処理しょりなどが改善かいぜんおこなわれた。また輝度きど信号しんごう以外いがい規格きかく変更へんこうしなかったことで、のちにS-VHSのVHSみの画質がしつでの簡易かんい再生さいせいSQPB(S-VHS Quasi Play Back)」機能きのうにより対応たいおうできた。

S-VHSで録画ろくがした水平すいへい解像度かいぞうどについては、録画ろくがした放送ほうそう水平すいへい解像度かいぞうどない再生さいせいされる。当時とうじ地上ちじょうアナログ放送ほうそうでは水平すいへい解像度かいぞうど330ほん、BSアナログ放送ほうそうでも350ほん程度ていどであったが、VHS記録きろくするよりも非常ひじょう高画質こうがしつ記録きろくすることが出来できことから、映像えいぞう劣化れっかきらうマニアそうには愛好あいこうされることとなった。なお、S-VHS規格きかく真価しんか発揮はっきするのは、カムコーダーでの録画ろくがや、CG使つかったアニメーションビデオの制作せいさくとう。またデジタルチューナを使つかった地上ちじょうデジタル放送ほうそうBSデジタル放送ほうそうからの録画ろくがでもSD標準ひょうじゅん画質がしつへのダウンコンバートとはいえ高画質こうがしつ発揮はっきできる。

S-VHSより若干じゃっかんおくれて、Beta方式ほうしきでも高画質こうがしつ規格きかくED-Beta」が登場とうじょうした。輝度きど信号しんごう帯域たいいき拡大かくだいはS-VHSよりもいちじるしく、最大さいだい9.3MHz(しろピーク)にたっし、水平すいへい解像度かいぞうど500ほん確保かくほ。またメタルテープを採用さいよう高画質こうがしつをアピールした。しかしながら下位かい互換ごかんであるVHSの普及ふきゅうりつたかかったことによりED-BetaはS-VHSほど普及ふきゅうしなかった。S-VHS/ED-Betaどもに1987ねん段階だんかいでのテープ価格かかくは、あいだ記録きろくのST-120が3,000えん。EL-500が3,500えん比較的ひかくてきこう価格かかくであったが、S-VHSテープはS-VHSの本格ほんかく普及ふきゅうにより10ほんパック製品せいひんなども供給きょうきゅうされ、結果けっかとして1/10程度ていどまで価格かかく低下ていかしたものの、ED-Betaテープの価格かかくはS-VHSテープと比較ひかくすれば価格かかく下落げらくゆるやかで家電かでん量販りょうはんてんとうでも比較的ひかくてき高価こうかであった。S-VHSやED-Betaの規格きかく地上ちじょうアナログテレビジョン放送ほうそう録画ろくがするには過剰かじょう性能せいのうであったが、高画質こうがしつ高音こうおんしつ衛星えいせい放送ほうそう録画ろくがにはてきしているものであった。またED-Betaもいろ信号しんごう帯域たいいき拡大かくだいおこなっていないてんではS-VHSと同等どうとうであり、しん製品せいひん数多かずおお登場とうじょうしたS-VHSではハイエンドモデルからデジタルTBCデジタル3次元じげんY/C分離ぶんり回路かいろなど最新さいしん技術ぎじゅつ投入とうにゅうにより高画質こうがしつ対策たいさくがなされてったのにたいしED-Betaでは1990年代ねんだい初頭しょとう以降いこうこれとった対策たいさくおこなわれず、家電かでんメーカー各社かくしゃより多様たようしん製品せいひん投入とうにゅう画質がしつ向上こうじょうさせたS-VHSのほうがED-Betaより画質がしつでも上回うわまわっているという評価ひょうかくだすビデオ雑誌ざっし評論ひょうろんもあった。

登場とうじょうあいだもないころは、すべてのVHSビデオがS-VHS対応たいおうわるという見方みかたおおく、バブル経済けいざいによる好景気こうけいきもあって映像えいぞう編集へんしゅうなどを趣味しゅみとする消費しょうひしゃAVマニア)を中心ちゅうしん販売はんばい好調こうちょうだった。しかし、S-VHS専用せんようテープが必要ひつようであること機器ききそのものが高額こうがくであったことさら一般いっぱん消費しょうひしゃおおくがVHSの画質がしつでもさほど不満ふまんっていなかったこと下位かい互換ごかんせい確保かくほしているにもかかわらずS-VHSデッキではVHS録画ろくが再生さいせいすることが出来できないひとしとS-VHSにたい誤解ごかいする一般いっぱんそう一部いちぶ存在そんざいしていたこともあった。S-VHSビデオソフトのタイトルすうそろわなかったことくわえて、1991ねん平成へいせい3ねん)のバブル崩壊ほうかいによる個人こじん消費しょうひみの影響えいきょうもあって、企業きぎょう学校がっこうなどの業務ぎょうむ用途ようと前述ぜんじゅつのマニアなど一部いちぶのヘビーユーザーをのぞき、S-VHS対応たいおう販売はんばい好調こうちょうなものではなかった。一方いっぽうでカムコーダーにおいては、画質がしつにおいて顕著けんちょられたこと当時とうじカムコーダー自体じたいてい価格かかくすすんでいたことから廉価れんか製品せいひん過剰かじょう機能きのうのぞいたり、マイクと記録きろく方式ほうしきをモノラルにするなど)が登場とうじょうしたことによって、VHS-CからS-VHS-Cへの移行いこう順調じゅんちょうすすんだ。ただ8ミリビデオ規格きかく1989ねんソニーの「パスポートサイズ(CCD-TR55)」の発売はつばい小型こがた先行せんこう。S-VHS方式ほうしき同等どうとう水平すいへい解像度かいぞうど400ほん実現じつげんする高画質こうがしつHi8方式ほうしき開発かいはつされ爆発ばくはつてきなヒットをしたことから、日立製作所ひたちせいさくしょ・シャープ・東芝とうしばなどが次々つぎつぎと8ミリビデオへえをすすめ、VHS-C・S-VHS-Cは次第しだい劣勢れっせいたされていった。

一般いっぱん消費しょうひしゃへのS-VHSの普及ふきゅうきざしがふたたおとずれたのは、1998ねん平成へいせい10ねん)の「S-VHS ET(Expansion Technology)」規格きかく登場とうじょう以降いこうである。この規格きかく誕生たんじょう背景はいけいには、長年ながねんわたるテープの研究けんきゅう開発かいはつ結果けっか、スタンダードのVHSテープの性能せいのう向上こうじょうし、HG(ハイグレード)タイプにいたっては、登場とうじょう初期しょきのS-VHSテープとくらべても性能せいのうてきにほとんどくなっていた(メーカー保証ほしょういが、HGタイプのVHSテープでD-VHSハイビジョン記録きろく可能かのう場合ばあいもある)てんげられる。さらにこのころ地上ちじょうアナログVHS地上ちじょうアナログS-VHS価格かかくも1まんえんほどであり購入こうにゅうしやすくなっていった。

2000ねんだい前半ぜんはんごろから、ランダムアクセス・高画質こうがしつ記録きろく実現じつげんしたDVDレコーダー普及ふきゅうや、24時間じかん以上いじょう録画ろくがが1まいメディア電子でんし媒体ばいたい)で可能かのうSDTV場合ばあい)なBDレコーダー登場とうじょうなどの理由りゆうにより、日本にほんビクター以外いがいのメーカー各社かくしゃはすでにデッキの生産せいさん終了しゅうりょうしており、最後さいごまで生産せいさんしていた日本にほんビクターも2008ねん平成へいせい20ねん1がつ15にちをもって民生みんせいようS-VHS対応たいおう機器ききをすべて生産せいさん終了しゅうりょうし、21ねん歴史れきしまくろした(最終さいしゅう機種きしゅは2003ねん6がつ発売はつばいの「HR-VT700」・「HR-ST700」・「HR-V700」・「HR-S700」の4機種きしゅ[2]業務ぎょうむようの「SR-MV50」についても、生産せいさん終了しゅうりょうしている。

なお、S-VHS機器きき生産せいさん終了しゅうりょうしたが、SQPB機能きのうそなえたVHSビデオデッキは、BDレコーダーないしはDVDレコーダーとの一体いったいがたというかたち生産せいさんつづいた[注釈ちゅうしゃく 1]2012ねん2がつ10日とおかにはパナソニックが「VHSデッキの日本にっぽん国内こくない生産せいさんを2011ねんかぎりで完全かんぜん終了しゅうりょうした」むね公式こうしき発表はっぴょうしたが、2012ねん5がつ1にちDXアンテナがVHSいち体型たいけいDVDレコーダーのしん製品せいひん発表はっぴょう発売はつばい[注釈ちゅうしゃく 2]した。2016ねん6がつ時点じてんでは、これが日本にっぽん国内こくないでS-VHS(簡易かんい再生さいせい機能きのうゆうする唯一ゆいいつ生産せいさん継続けいぞく機器ききであったが、需要じゅよう低迷ていめい、および製品せいひん製造せいぞうするのに必要ひつよう各種かくしゅ部品ぶひん調達ちょうたつ困難こんなんになったことを理由りゆうに2016ねん7がつまつ生産せいさん終了しゅうりょうとなった[3]

対応たいおう製品せいひん

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ビデオデッキ

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S-VHSビデオデッキのいちれい
写真しゃしん日本にほんビクター製品せいひんである)
S-VHS-C対応たいおうアダプターを使用しようすれば、通常つうじょうのS-VHSデッキでテープの視聴しちょう可能かのう
2007ねん10がつ現在げんざい発売はつばいちゅうであるS-VHS-Cアダプターは日本にほんビクターせいの「C-P8」(ひだり)とパナソニックせいの「VW-TCA7」(みぎ)2機種きしゅ
S-VHSビデオカセットのいちれい
写真しゃしん日本にほんビクターの製品せいひんである)

規格きかく当初とうしょ製品せいひん高画質こうがしつ実現じつげんするために高価こうか部品ぶひん必要ひつようであり、必然ひつぜんてきにデッキはこう価格かかく巨大きょだいおもいものとなった。

S-VHS記録きろくがされたテープは元々もともとはノーマルVHSデッキでは再生さいせい出来できなかったのだが、のちにノーマルVHSデッキにSQPB(S-VHS Quasi Playback=S-VHS簡易かんい再生さいせい機能きのう)が搭載とうさいされ、VHS方式ほうしきよりややたか水平すいへい解像度かいぞうど280TVほん程度ていど画質がしつながら再生さいせい可能かのうになった。1990ねん平成へいせい2ねん以降いこう日本にっぽん国内こくない販売はんばいされているノーマルVHSデッキなら、一部いちぶのぞき、ほとんどの製品せいひんにSQPBが搭載とうさいされている。そのSQPBの仕組しくみだが、ノーマルVHSデッキにS-VHSようのヘッドを搭載とうさいさせ、まずテープに記録きろくされている映像えいぞう信号しんごうる。そして、内部ないぶ回路かいろでVHS方式ほうしきとS-VHS方式ほうしき記録きろく特性とくせいちがいをわせるというものである。

1990年代ねんだい後半こうはんになると、デジタルTBCやデジタル3次元じげんY/C分離ぶんり処理しょりなど高画質こうがしつのためのICチップによるデジタルすすみ、画質がしつ向上こうじょうさせつつ価格かかくがり、本体ほんたい軽量けいりょうし、衛星えいせい放送ほうそうチャンネルあいまって普及ふきゅう後押あとおしした。また、ICチップによるデジタルともない、高度こうど演算えんざん処理しょりによるいろみの低減ていげん輪郭りんかく補正ほせいによる細部さいぶ再現さいげんせい向上こうじょうなどが可能かのうになり、いちじるしく記録きろく状態じょうたいわるいテープの場合ばあいのぞき、ノーマルVHSデッキで記録きろくされたテープであってもS-VHS記録きろくせまかいぞうかん再生さいせいできるようになった。

S-VHSデッキの長年ながねん利用りようしゃはS-VHSで録画ろくがしたテープを所有しょゆうしているため、デッキ故障こしょう需要じゅようすくなからず存在そんざいするとられ、そうした消費しょうひしゃ前述ぜんじゅつ業務ぎょうむよう製品せいひんや、中古ちゅうこひんもとめる場合ばあいがある。また、地上ちじょうデジタルテレビジョン放送ほうそうなどのデジタル放送ほうそう録画ろくがするさいに、DVDレコーダーなどのデジタル機器きき録画ろくがした場合ばあいコピーワンス信号しんごう影響えいきょうけられないが、S-VHSならそうした影響えいきょう基本きほんてきにはけない利点りてんはある。

S-VHSデッキにはオーディオ規格きかくHi-Fi音声おんせいが、ほとんどの機種きしゅ業務ぎょうむようとビデオカメラの一部いちぶのぞく)に搭載とうさいされており、鮮明せんめいステレオ音声おんせいたのしめる。なお、この技術ぎじゅつについては1983ねん昭和しょうわ58ねん)に開発かいはつされたため、すで特許とっきょ消滅しょうめつしており、VHSデッキを生産せいさんする海外かいがいのメーカーにもひろ採用さいようされている。また、S-VHS規格きかくについても発表はっぴょうからすでに20ねん経過けいかしているので、基本きほん特許とっきょ消滅しょうめつしている。

カムコーダ

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1987ねん昭和しょうわ62ねん)にはカムコーダけにS-VHS-C規格きかく開発かいはつされ、どう規格きかく採用さいようしただい1号機ごうきとして日本にほんビクターから「GR-S55[注釈ちゅうしゃく 3]発売はつばいされた。アナログテレビ放送ほうそう全盛ぜんせい時代じだいには、放送ほうそうきょくでS-VHSを利用りようするニーズために、業務ぎょうむようのカメラやデッキなどが開発かいはつされている。

S-VHS-Cは当時とうじ高画質こうがしつもとめるアマチュアビデオカメラマンなどからひろ支持しじされデッキととも普及ふきゅうした。のち廉価れんか製品せいひん登場とうじょうしたことと、カムコーダにおいては高画質こうがしつ規格きかくのメリットが十分じゅうぶん発揮はっきできるため、VHS-Cからの移行いこうすすんだ。しかしながらHi8規格きかくのシェアにはとおおよばなかった。そのDVや、DVDなどのメディア、ハードディスク半導体はんどうたいメモリSDメモリーカード)などデジタル方式ほうしき撮影さつえいする規格きかく登場とうじょうし、現在げんざいではVHS-Cや8ミリビデオども家庭かていようカムコーダとしての主役しゅやくゆずわたしている。

ビデオテープ

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S-VHS規格きかく記録きろくには通常つうじょうのVHSテープよりこう品質ひんしつ専用せんようのS-VHSテープを使用しようする。S-VHS ET規格きかくのデッキであれば、通常つうじょうのVHSテープにも録画ろくが可能かのうであるが、この場合ばあいはハイグレード以上いじょうのテープを使用しようすることが推奨すいしょうされている。

S-VHSテープには下位かい互換ごかんせいがあり、S-VHS方式ほうしき対応たいおうのデッキであっても通常つうじょうのVHS方式ほうしきでの記録きろく可能かのうであり画質がしつ保存ほぞんせいにも有利ゆうりでありHi8方式ほうしき対応たいおうの8mmデッキでHi8テープを使つかうのとは対照たいしょうてきであった。当初とうしょ高価こうかだったS-VHSテープものち価格かかくが1/10程度ていど低下ていかした。VHSテープ自体じたい性能せいのう向上こうじょうし、カセットハーフに識別しきべつあなければS-VHS保存ほぞん再生さいせい可能かのうとなる。

2012ねん平成へいせい24ねん現在げんざい時点じてんにおいて、太陽誘電たいようゆうでん傘下さんかであるビクターアドバンストメディア(Victor・JVCブランド)が標準ひょうじゅん録画ろくが時間じかん120ぶんのテープ(ほんり)のみ生産せいさんつづけていたが2013ねん平成へいせい25ねんごろ販売はんばい終了しゅうりょうとなった。

その

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S-VHSなどの高画質こうがしつ映像えいぞう機器ききにはかせないS映像えいぞうケーブル。

S-VHS規格きかくでは、映像えいぞう入出力にゅうしゅつりょく端子たんしとして「S端子たんし」が採用さいようされた。現在げんざいではポピュラー端子たんしではあるが、このS端子たんしS-VHS規格きかく誕生たんじょうはじめて実用じつようされたものである。

S端子たんし接続せつぞくした場合ばあい、テレビやのデッキと接続せつぞくしたさい信号しんごう劣化れっかすくない鮮明せんめい映像えいぞうたのしめる(くわしくは「S端子たんし」の項目こうもく参照さんしょうされたい)。この形状けいじょう端子たんしはS-VHS規格きかく登場とうじょう以降いこう、S-VHS以外いがいにもED-BetaやHi8の機種きしゅをはじめ各種かくしゅ映像えいぞう機器きき搭載とうさいされはじめた。また家庭かていようテレビゲームでは、任天堂にんてんどう1990ねん平成へいせい2ねん)に発売はつばいした「スーパーファミコン」ではじめて採用さいようされた。すうねんまえまでは、高画質こうがしつ映像えいぞう伝送でんそうできる端子たんしとして、かくメーカーがあらゆる映像えいぞう機器ききにS端子たんし実装じっそうしていたが、2021ねん現在げんざいではS端子たんし搭載とうさいした機器ききあたらしく開発かいはつされなくなっている。

過去かこには、シャープからコンポーネント映像えいぞう入出力にゅうしゅつりょく端子たんし搭載とうさいした製品せいひん発売はつばいされていた(BSアナログチューナーを搭載とうさいした「VC-ES20B」と地上ちじょうアナログチューナーのみの「VC-ES2」の2機種きしゅ)。ほかにも、シャープからはD1映像えいぞう出力しゅつりょく端子たんし搭載とうさいした製品せいひん発売はつばいされていた(地上ちじょうアナログチューナーのみの「VC-VS1」の1機種きしゅのみ)。

なお薄型うすがたテレビ場合ばあい発売はつばい当初とうしょはこれまでのブラウン管ぶらうんかんTV同様どうようにS2/S1映像えいぞう入出力にゅうしゅつりょく端子たんし標準ひょうじゅん装備そうびされていたが、2005ねん平成へいせい17ねん)に(ケーブル1ほんのみで高画質こうがしつ高音こうおんしつのAV信号しんごう伝送でんそう可能かのうな)HDMIよく2006ねん平成へいせい18ねん)に(ビエラリンクひとしの)HDMI連動れんどう機能きのう各々おのおの登場とうじょう接続せつぞく操作そうさ大幅おおはば簡略かんりゃくされたことから番組ばんぐみ録画ろくがはHDMI連動れんどう主体しゅたい移行いこうし、S端子たんし地位ちい徐々じょじょ低下ていかしていった。

2000年代ねんだい後半こうはんになるとモニター出力しゅつりょくのS2/S1映像えいぞう端子たんし廃止はいしする機種きしゅはじめ、2010年代ねんだいになるとモニター出力しゅつりょく端子たんしおよびS2/S1映像えいぞう入力にゅうりょく端子たんし自体じたい全廃ぜんぱいする機種きしゅ登場とうじょうした。このため2011ねん平成へいせい23ねん以降いこう製造せいぞうのデジタルTVと従来じゅうらいがたS-VHS・D-VHSW-VHSかくビデオデッキとのわせでは(映像えいぞう入出力にゅうしゅつりょくはコンポジットタイプをもちいるため。なお、コンポーネント・D端子たんし・HDMI端子たんし装備そうびしている機種きしゅ存在そんざいする)画質がしつ汎用はんようがたVHSデッキとわらなくなり、さらにアナログチューナーのみ搭載とうさい従来じゅうらいがた録画ろくがによるデジタル放送ほうそう録画ろくが出来できなくなっている。さら極端きょくたん安価あんか薄型うすがたテレビではAVケーブル(コンポジット)入力にゅうりょく全廃ぜんぱいさせHDMIのみになりもはやVHS直接ちょくせつ接続せつぞく不可能ふかのうにもなりつつある。平成へいせい20年代ねんだい以降いこう現在げんざいは、日本にっぽん国内こくないぜんメーカーがS-VHSデッキ生産せいさん終了しゅうりょう

S-VHSのロゴマークは当初とうしょ、Sのなかぼうほそさんほんせんだったが、途中とちゅうりつぶしにわった。

S-VHS ETの注意ちゅういてん

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S-VHS ETで録画ろくがするさいはハイグレード(HG)タイプのテープを使用しようし、再生さいせいとくにEP)は録画ろくがしたデッキでおこなうことが原則げんそくである。スタンダードタイプのテープを使用しようした場合ばあい再生さいせい画面がめんにノイズが発生はっせいする(“反転はんてんノイズ”とばれる。磁力じりょくひくいテープ使用しよう発生はっせいしやすい)。

S-VHS ETが策定さくていされる以前いぜんのS-VHSデッキおよび、SQPB対応たいおうのVHSデッキでは一部いちぶ再生さいせいできない機種きしゅがあるので注意ちゅうい必要ひつよう

一部いちぶ機種きしゅ搭載とうさいされている5ばいモードではS-VHS ET録画ろくがができない。

再生さいせいできない機種きしゅ

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いずれもメーカー公表こうひょうぶん

日本にほんビクター(げん・JVCケンウッド)
HR-20000・S6600・S3500・SC1000
パナソニック(きゅう松下電器産業まつしたでんきさんぎょう
NV-FS1・BS1
日立ひたち
VT-Z50・Z70・S610・BS2

ビクターのS-VHS機種きしゅ

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  • 1987ねん HR-S7000
  • 1988ねん HR-S10000
  • 1990ねん HR-S9800
  • 1992ねん HR-X1
  • 1992ねん HR-Z1 (同社どうしゃ唯一ゆいいつのS-VHS DA〈Digital Audio〉対応たいおう機種きしゅ
  • 1993ねん HR-X3 HR-V3
  • 1993ねん HR-20000 デジタルTBC搭載とうさい 高画質こうがしつ回路かいろ[4]
  • 1994ねん HR-X3SPIRIT
  • 1995ねん HR-X5 HR-VX1
  • 1996ねん HR-X7 (Xシリーズ最終さいしゅう。2001ねんごろまで生産せいさん
  • 1997ねん HR-VX8 HR-VXG1
  • 1998ねん HR-DVS1
  • 1998ねん HR-VXG100 HR-VX100
  • 1998ねん HR-V100 HR-S100
  • 1999ねん HR-V200 HR-S200
  • 1999ねん HR-VXG200 HR-VX200
  • 2000ねん7がつ HR-VXG300 HR-VTG300 HR-STG300 タイムスキャン、プロフェッショナル・スロー機能きのう
  • 2001ねん5がつ HR-VT500 HR-V500 HR-ST500 HR-S500 HR-S550
  • 2001ねん8がつ HR-VFG1 インサート/アフレコ機能きのう搭載とうさい
  • 2002ねん2がつ HR-VT600・HR-ST600 TBC搭載とうさい
  • 2002ねん4がつ HR-V600・HR-S600
  • 2002ねん HR-DS1 DVDプレーヤー内蔵ないぞう
  • 2003ねん HR-S7
  • 2003ねん6がつ HR-VT700・HR-ST700・HR-V700・HR-S700 (最終さいしゅう機種きしゅやく5ねん生産せいさん

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ DVDレコーダーとの一体いったいがたなかには、ダビングのみS-VHSに対応たいおうした機種きしゅ存在そんざいした。S-VHSユーザーのつよ味方みかた松下まつした「DMR-E150V」をため - ITmedia 2004ねん7がつ8にち
  2. ^ 当時とうじのDXアンテナは船井ふない電機でんき子会社こがいしゃで、実際じっさい製造せいぞう船井ふない電機でんきおこなっていた。
  3. ^ 同社どうしゃにはGR-T55という、GR-S55とまったどう仕様しようでボディカラーの一部いちぶのみがことなるモデルもあるが、これは業務ぎょうむようルートで販売はんばいするためのモデルである。このような民生みんせいモデルとどう仕様しよう業務ぎょうむようモデルはビクターやパナソニックを中心ちゅうしんられた。

出典しゅってん

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  1. ^ 今月こんげつしん製品せいひん」『企業きぎょう広告こうこくだい13かんだい6ごう、チャネル、1987ねん6がつ1にち、46ぺーじNDLJP:2853051/26 
  2. ^ S-VHSビデオデッキ販売はんばい終了しゅうりょうのご案内あんない日本にほんビクター)
  3. ^ 船井ふない電機でんき、VHSデッキ撤退てったいへ…国内こくない唯一ゆいいつ生産せいさん - 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ 2016ねん7がつ14にち
  4. ^ 産業さんぎょう技術ぎじゅつ資料しりょうデータベース”. sts.kahaku.go.jp. 2020ねん8がつ24にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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