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VHS-C

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VHS-Compact
VHS-C
VHS logo
記録きろく容量ようりょう 20ふん
30ふん
40ふん
速度そくど やく33.34mm/s (SP)
16.76mm/s (LP)
11.18mm/s (EP)
策定さくてい 日本にほんビクター
(げんJVCケンウッド)
おも用途ようと 映像えいぞうとう
おおきさ 92×52×23mm
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2011ねん10月現在げんざい、VHS-Cアダプターについては、JVCケンウッド (Victorブランド) せいの、「C-P8」(ひだり) と、パナソニックせいの「VW-TCA7」(みぎ) の2機種きしゅ発売はつばいされている。
ビクターのVHS-Cビデオムービー「GR-AX155」VHS-C末期まっき機種きしゅ。1997ねん発売はつばい
VHS、VHS-CおよびMiniDVのサイズ比較ひかく

VHS-Cは、VHS小型こがたテープでVHS-Compact (ビデオホームシステムコンパクト) をりゃくしたもの。1982ねん (昭和しょうわ57ねん) に規格きかくがまとめられた。

概要がいよう

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ポータブルビデオの小型こがたでVHSのさきベータマックス対抗たいこうすべく日本にほんビクター (げんJVCケンウッド) によって開発かいはつされた規格きかく同社どうしゃより1982ねんにポータブルビデオデッキ「HR-C3」が発売はつばいされた[1][2]。シャープ (VC-20P)、松下まつした (NV-200)、日立ひたち (VT-M1)、三菱みつびし (HV-11G)がのちつづいた[3]のち登場とうじょうした8ミリビデオへの対抗たいこうとしてビデオカメラ採用さいようされるようになって脚光きゃっこうびた。

VHS-CのカセットサイズはVHSフルカセットのおよそ3ぶんの1。製品せいひん開発かいはつたっては、当時とうじ日本にほんビクタービデオ事業じぎょう技術ぎじゅつしゃが「VHSフルカセットのテープがヘッド (回転かいてんヘッド) にきつく角度かくど (ローディングかく) とアジマスかく (磁気じき記録きろくパターン) をなんぶんの1かにすれば、VHSフルカセットよりもちいさいサイズのテープが実現じつげん出来できる」とかんがえ、物理ぶつりてき計算けいさんとVHS-C専用せんようのテープローディング機構きこう専用せんよう小型こがたヘッドドラムを開発かいはつすることからはじまった。発売はつばい当初とうしょ録画ろくが時間じかんは20ふんだったが、そのはテープ素材そざい改良かいりょうなどで標準ひょうじゅんモード録画ろくがで40ふんまで延長えんちょうされ、3ばいモードで120ふん (2あいだ) の録画ろくが可能かのうにした。記録きろくフォーマットはVHSと完全かんぜん互換ごかんせいがあり、VHS-Cカセットアダプタを使用しようすることで通常つうじょうのVHSビデオテープとしてVHSデッキで再生さいせい録画ろくができる。平成へいせいはいるとカセットアダプタを必要ひつようとしない「コンパチブルビデオデッキ」 (れい:ビクターHR-SC1000、松下まつしたNV-CF1) も発売はつばいされた。

VHS-Cは、その構造こうぞうじょうテープハーフ (テープハウジング) と保管ほかんようケースのなかでテープがたるみやすく、子供こどもがいたずらをしてテープをしてダメにしてしまったり、たるみをらないままカメラに装填そうてんしてトラブルをこすケースもすくなくなかったようだ。のちに、テープハーフと保管ほかんケースの片方かたがたまたは双方そうほうに「セーフティロック機構きこう」などとしょうしたたるみ防止ぼうし対策たいさくこうじた改良かいりょう製品せいひん登場とうじょうしている。

当初とうしょは8ミリビデオとはげしいシェアあらそいを展開てんかいしていたが、1989ねんソニー小型こがたタイプの8ミリビデオカメラ「ハンディカム・CCD-TR55」を発売はつばいし、爆発ばくはつてきにヒットさせると市場いちばおおきく8ミリにかたむいた。VHS-C陣営じんえい翌年よくねん日本にほんビクターから「ムービーごっこ・GR-LT5」、松下電器産業まつしたでんきさんぎょう (げん パナソニック) から当時とうじとしては画期的かっきてき補正ほせい機能きのうそなえた「ブレンビー・NV-S1」などの小型こがたタイプのビデオカメラを開発かいはつし、VHSデッキでそのままられることをアピールして対抗たいこうしたが、ソニーはさらに小型こがたたしたしんモデルを投入とうにゅう流行りゅうこうにもなった「パスポートサイズ」というサイズのちいささをしめすキャッチコピーとともに「2あいだ録画ろくが」を前面ぜんめんしたこともあり録画ろくが時間じかん不利ふりなVHS-Cは次第しだいにシェアをとしていった。

一方いっぽう日本にっぽん上回うわまわ市場いちば規模きぼアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでも、VHS-C規格きかく普及ふきゅうしなかった。アメリカ市場いちばのニーズでは小型こがたされたカメラはボタンがちいさく、操作そうさがやりにくいと敬遠けいえんされ、レンタルビデオソフトの再生さいせい機能きのうねたフルサイズのVHS規格きかくのビデオカメラがこのまれた。のち安価あんかなビデオデッキの登場とうじょうで、レンタルビデオ再生さいせい専用せんようがたデッキでおこな趨勢すうせいとなったときには、日本にっぽん場合ばあいおなじく録画ろくが時間じかんみじかさやテープのたるみの問題もんだいからVHS-Cは敬遠けいえんされ、8ミリビデオが普及ふきゅうした。

8ミリビデオの攻勢こうせいされるなか、VHS-C陣営じんえいだったシャープ日立製作所ひたちせいさくしょ東芝とうしばは、8ミリビデオに転向てんこうした。松下電器産業まつしたでんきさんぎょう自社じしゃではVHS-Cを販売はんばいする一方いっぽうで、海外かいがいメーカーけに8ミリビデオもOEM製造せいぞうしており、はちミリ転向てんこうがたびたびうわさされた。

1995ねん (平成へいせい7ねん) あきにはDV規格きかく登場とうじょう。その、ビデオカメラの市場いちばはDVやメモリーカードタイプなどにわっていき、VHS-Cのカムコーダ販売はんばい終了しゅうりょう

VHS-Cなまテープとヘッドクリーニングテープにかんしては2012ねんと2013ねん、カセットアダプターは2014ねんすべてのメーカーで販売はんばい終了しゅうりょうされ、市場いちば流通りゅうつう在庫ざいこのみのあつかいとなっている。

仕様しよう

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[カセットおよびテープ]

  • カセット形状けいじょう:92mm×52mm×23mm
  • テープはば:12.7mm (2ぶんの1インチ)
  • 録画ろくが時間じかん:20ふん (標準ひょうじゅんモード) から40ふん、60ふんから120ふん (3ばいモード)

ろく/さいメカデッキ]

  • ヘッドドラムみち:41.33mm (※一部いちぶカムコーダの機種きしゅではVHS標準ひょうじゅんドラムみち62mmを搭載とうさいしていたもの存在そんざいした)
  • きつけかく: 270°+10°
  • ヘッド回転かいてん速度そくど: 2700rpm (標準ひょうじゅんみちドラムの場合ばあい1800rpm)[4]
  • VHS-C専用せんようメカデッキ (がわリール駆動くどうのみ専用せんよう小型こがた歯車はぐるま構造こうぞう、テープパスおよびローディングはVHS-C専用せんよう構造こうぞう)

備考びこう

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  • 映画えいがバック・トゥ・ザ・フューチャー」のパート1で1985ねん世界せかいから1955ねん世界せかいにもっていったビデオカメラはビクターせい (JVCブランド) のVHS-Cカムコーダー「GR-C1U」で、1984ねん発売はつばいされた市販しはんひん。VHS-Cはつのビデオいち体型たいけいカメラである。日本にっぽんでの型番かたばんはGR-C1で、カタログなどにはバック・トゥ・ザ・フューチャーの写真しゃしん表紙ひょうしかざっていた。この映画えいがではJVCブランドの製品せいひんがほかにも登場とうじょうしている。
  • 据置すえおがたVTRでカセットアダプタを使用しようせずにフルサイズカセットとコンパクトカセットの両方りょうほう録画ろくが再生さいせい可能かのう機種きしゅ開発かいはつされた。ビクターからHR-SC1000 (1989ねん発売はつばい世界せかいはつS-VHSコンパチビデオ) とHR-FC500 (1990ねん発売はつばい・SC1000をVHS・Hi-Fiしたもの) の2機種きしゅが、松下電器産業まつしたでんきさんぎょうからはNV-V8000 (1990ねん発売はつばい・Sビデオマスター8000) とNV-CF1 (1991ねん発売はつばい・Cカセット編集へんしゅうビデオ) の2機種きしゅ発売はつばいされた。ビクターのものは「マルチフォーメーショントレイ」方式ほうしきのトレイローディング、NV-V8000は「マウス・チェンジ」方式ほうしき採用さいようしたフロントローディング、NV-CF1は左側ひだりがわにコンパクトカセット専用せんようVHS-Cデッキを、右側みぎがわにフルサイズカセットのVHSデッキのふたつのデッキを搭載とうさいしたダブルビデオだった。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 「No.70 日本にっぽんのエレクトロニクスをささえた技術ぎじゅつ「ビデオカメラ&デジカメ」だい1かい」 『 BEACON』”. アイコム株式会社かぶしきがいしゃ. 2022ねん6がつ20日はつか閲覧えつらん
  2. ^ 産業さんぎょう技術ぎじゅつ資料しりょうデータベース”. 国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかん産業さんぎょう技術ぎじゅつ資料しりょう情報じょうほうセンター. 2014ねん3がつ8にち閲覧えつらん
  3. ^ 『ASCII 1982ねん10がつごう』 6かん、10ごう株式会社かぶしきがいしゃアスキー出版しゅっぱん、1982ねん10がつ1にち、64-65ぺーじ 
  4. ^ わき泰司やすじ吉野よしのただし太田おおたゆたか (1985). “マックロードムービー: VHS方式ほうしきカメラいち体型たいけいビデオ”. テレビジョン学会がっかい技術ぎじゅつ報告ほうこく 8 (42): 67 - 72. doi:10.11485/tvtr.8.49_67.