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PowerPC

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
PowerPC
開発かいはつしゃ AIM連合れんごうフリースケール・セミコンダクターIBM
ビットすう 64ビット (32 → 64)
発表はっぴょう 1992ねん
バージョン 2.02
デザイン RISC
タイプ Load-store
エンコード Fixed/Variable (Book E)
ブランチ Condition code
エンディアン Big/Bi
拡張かくちょう AltiVec, APU
オープン Yes
レジスタ
32 GPR, 32 FPR
IBM PowerPC 601 マイクロプロセッサー PPC601FD-080-2
IBM PowerPC 601+ マイクロプロセッサー PPCA601v5FE1002
IBM PowerPC 601 マイクロプロセッサー PPC601FF-090a-2

PowerPC(パワーピーシー、えい: Performance optimization with enhanced RISC - Performance Computing)は1991ねんApple ComputerIBMモトローラ提携ていけいAIM連合れんごう)によって開発かいはつされた、RISCタイプのマイクロプロセッサーである。

PowerPCはIBMPOWERアーキテクチャーをベースに開発かいはつされ、AppleMacintoshやIBMのRS/6000などで採用さいようされた。ゲームをはじめとしたみシステムスーパーコンピューターひろ使つかわれている。POWER3以降いこうは、POWERファミリー自体じたいがPowerPCアーキテクチャーに準拠じゅんきょしている。

概要がいよう

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アーキテクチャーとして、動作どうさのベースとなる命令めいれいセット基本きほんてきレジスタセット、メモリーアドレッシングキャッシュモデルなどを規定きていしているが、それらをどのように実装じっそうすべきかまでは規定きていしていない。

そのため実際じっさい製造せいぞうされるモデルは高速こうそくのためにアーキテクチャレベルでは規定きていされていない機構きこう(L2、L3キャッシュや関連かんれんレジスタなど)をそなえているのが普通ふつうである。

性能せいのうわりてい消費しょうひ電力でんりょくでダイサイズもちいさいという特性とくせいから、ゲームやハイエンドのルーターなどのネットワーク機器ききレーザープリンターなどの分野ぶんやひろ使つかわれており、高性能こうせいのうみシステムけプロセッサーとしてよく使つかわれる。FPGAようIPコアとして提供ていきょうされているものもある。もともとはAIMプラットフォームのCPUという意味いみ開発かいはつされたものだが、CPU以外いがい開発かいはつされなかったため、今日きょうまでのこどうプロジェクト唯一ゆいいつ成果せいかぶつでもある。

デスクトップコンピューターようとしては、ApplePower MacintoshおよびPower Mac採用さいようされていたほか、IBM一部いちぶワークステーションサーバーBlueGene/Lをはじめとするスーパーコンピューターにも採用さいようされている。その、2005ねん - 2006ねん発売はつばいされた主要しゅようがたゲームさん機種きしゅWiiPLAYSTATION 3Xbox 360)は、いずれもPowerPCアーキテクチャーを採用さいようしている。

現在げんざい、PowerPCプロセッサーはモトローラから半導体はんどうたい部門ぶもん分離ぶんりして設立せつりつされたフリースケール・セミコンダクター現在げんざいNXP)とIBM開発かいはつ製造せいぞうおこなっており、PowerPC派生はせい品種ひんしゅCellプロセッサーはIBMと東芝とうしばセミコンダクター設計せっけい製造せいぞうしている。また、4xxのシリーズ(組込くみこけいCPUコア)はAMCC売却ばいきゃくされている。しかし実際じっさいは4xxシリーズでもハイエンドクラスの製造せいぞうはIBMしかおこなえないため、開発かいはつ中心ちゅうしんはIBMのままである。

設計せっけい特徴とくちょう

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PowerPCはRISC思想しそうつくられており、スーパースカラー方式ほうしき命令めいれい実行じっこうする。

ベースにしたPOWER特徴とくちょうに、さらにいくつかの変更へんこうくわえた。

  • POWERアーキテクチャーのうち、複雑ふくざつなものをはぶいた命令めいれいセット。RISCプロセッサーとしては、比較的ひかくてき複雑ふくざつ命令めいれいふくむ。
  • バイエンディアン(ビッグエンディアンおよびリトルエンディアンのサポート。G5をのぞく)
  • 単精度たんせいど浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん倍精度ばいせいど浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん追加ついか
  • 32ビット命令めいれい完全かんぜん下位かい互換ごかんの64ビット命令めいれいセット
  • 32のGPR(汎用はんようレジスタ)と32のFPR(浮動ふどう小数点しょうすうてんレジスタ)
  • サブルーチン呼出よびだし規約きやく一般いっぱんてきなRISCチップとはことなりスタックわたである。実際じっさいは10引数ひきすうまでレジスタわたおこなわれるが、データのビットすうによっては使用しよう可能かのうなレジスタすう減少げんしょうしたり、揮発きはつせいレジスタ(r13 - r31[1])の退避たいひなどをおこな必要ひつようがある。
  • 1ほんのカウントレジスタ。専用せんよう分岐ぶんき命令めいれいなどとわせてループのカウントなどに利用りようする。
  • 複雑ふくざつ命令めいれいなど一部いちぶのぞき、命令めいれい基本きほんてきハードワイヤード (Hard-Wired) ロジック実装じっそう一部いちぶマイクロコード実装じっそう
  • G4(だい4世代せだい)シリーズでは128ビット単位たんいベクトル演算えんざんおこなう『AltiVec(IBMはVMX、AppleではVelocity Engineと表現ひょうげんしている)』を採用さいよう付随ふずいする専用せんようのレジスタは32ほん
  • 8ほんの4ビット条件じょうけんレジスタ(いわゆるステータスレジスタやフラグレジスタとばれるもの)。詳細しょうさいはステータスレジスタのこう参照さんしょう
  • 原則げんそくとして、現在げんざいのスタックのメモリーアドレスをベースポインターたない。かわりに汎用はんようレジスタのひとつをもちいる。この規則きそくABI依存いぞんするが、大抵たいてい場合ばあいそのレジスタは1ばん汎用はんようレジスタである。また、0ばん汎用はんようレジスタは、命令めいれいによってはゼロレジスタの代用だいようとしてもちいられることがある。
  • 静的せいてき分岐ぶんき予測よそく命令めいれい単位たんい設定せっていできる。
  • 条件じょうけん分岐ぶんき命令めいれいは8×32×17=4352とおり(分岐ぶんき予測よそくふくむ)の条件じょうけんわせることが可能かのうである。

1998ねんのPOWER3以降いこうは、POWERも64ビットPowerPC仕様しよう準拠じゅんきょしたアーキテクチャーを採用さいようしている。

歴史れきし

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PowerPC の歴史れきしは70年代ねんだい後半こうはんジョン・コックRISCアイデアを使用しようしたべい IBM801プロトタイプ・チップではじまった。801をもとにしたコアは数々かずかずのIBMせいよう製品せいひん採用さいようされ、最終さいしゅうてきには16ほんレジスタROMPプロセッサー、IBM RTにまで発展はってんした。しかし、RTプロセッサーの性能せいのう十分じゅうぶんとはえなかったため、IBMは「アメリカ・プロジェクト」とばれる、市場いちばもっと高速こうそくなプロセッサーを開発かいはつする計画けいかく始動しどうさせた。その結果けっか開発かいはつされたのがPOWERアーキテクチャーであり、1990ねん初頭しょとうRISC System/6000とも発表はっぴょうされた。

本来ほんらいのPOWERマイクロプロセッサーは、スーパースケーラーを実現じつげんした最初さいしょのプロセッサーのひとつであり、高性能こうせいのうマルチプロセッサー対応たいおうしていた。IBMがRS/6000の製品せいひんぐんローエンドけからハイエンド製品せいひんにまで拡大かくだいするにあたって、POWERプロセッサーからいくつかの機構きこうのぞき、シングルチップ・プロセッサーにする必要ひつようしょうじたため、IBMはRISC Single Chip(RSC)の開発かいはつ着手ちゃくしゅした。RSCは開発かいはつ初期しょき段階だんかいから、工業こうぎょうけに幅広はばひろ使つかえる可能かのうせいめた高機能こうきのうなプロセッサーになるであろうとかんがえられていた。

1991ねん、IBMはAppleに接近せっきんし、共同きょうどうでPOWERアーキテクチャーをベースとしたシングルチップ・マイクロプロセッサーの開発かいはつおこなうこと合意ごういした。その直後ちょくご当時とうじがたコンピュータようプロセッサーにかんしてモトローラしゃ最大さいだい顧客こきゃくであったApple Computerは、長年ながねん協力きょうりょく関係かんけい考慮こうりょして、モトローラにマイクロプロセッサー開発かいはつくわわるよう打診だしんした。モトローラには、マイクロプロセッサー開発かいはつにおける豊富ほうふ経験けいけん活用かつようと、セカンドソースとしての役割やくわり期待きたいされた。こうしてIBM、Apple、モトローラはAIM連合れんごうばれる協力きょうりょく関係かんけい組織そしきするにいたった。

1991ねん、PowerPCはAIM連合れんごうにおける最大さいだい要素ようそひとつとなった。当時とうじパーソナルコンピューター市場いちばではマイクロソフトWindows開発かいはつちゅうであり、インテルせいプロセッサーはその支配しはいつよめつつあった。また、CISCアーキテクチャーのインテル80386およ80486大半たいはんのコンピューターに採用さいようされており、後継こうけいPentiumプロセッサーの開発かいはつ順調じゅんちょうすすんでいた。PowerPCプロセッサーは冒険ぼうけんてき要素ようそふくんでいたものの、拡大かくだいするマイクロソフトとインテルによる支配しはい対抗たいこうするため、開発かいはつすすめられた。

モトローラにとって、POWERけいプロセッサーの開発かいはつくわわることは、またとないチャンスであった。この時点じてんでモトローラはすで自社じしゃせいのRISCプロセッサーMC88000市場いちば投入とうにゅうしていた。しかし、このプロセッサーは貧弱ひんじゃく設計せっけい手法しゅほう製造せいぞうじょう問題もんだいにより市場いちばでの評価ひょうかひくく、販売はんばい低迷ていめいしていた。このためモトローラは、MIPSSPARCといった競合きょうごう製品せいひん市場いちばなら機会きかいうしないつつあった。しかし、新型しんがたPOWERけいプロセッサーの開発かいはつ参加さんかすれば、キャッシュ部分ぶぶん設計せっけいするだけで、ひろくテストされた高性能こうせいのうRISCプロセッサーを販売はんばいすること可能かのうになるため、RISCプロセッサー市場いちばでのかえしが期待きたいされた。また、68000けい以来いらい重要じゅうよう顧客こきゃくであるAppleとの関係かんけい改善かいぜんや、IBMに簡略かんりゃくバージョンを供給きょうきゅうできる可能かのうせいもあった。

そのてい評価ひょうか一方いっぽうで、MC88000プロセッサーはすで生産せいさんされており、Appleはすでにこのプロセッサーを利用りようしたプロトタイプのコンピューターを動作どうささせていた。このため、開発かいはつちゅうのPOWERアーキテクチャー・シングルチップのバスにハードウェアの段階だんかいでMC88000のバスとの互換ごかんせいたせれば、ロジックボードさい設計せっけいすることなく、より迅速じんそく新型しんがたプロセッサーを市場いちば投入とうにゅうすること可能かのうであった。最終さいしゅうてきに、新型しんがたプロセッサーPowerPCはこういった要求ようきゅうふくんだ設計せっけいとなった。

PowerPCが市場いちば投入とうにゅうされる直前ちょくぜんおおきなうごきがあった。Apple ComputerにくわえてIBMとモトローラの両社りょうしゃは、PowerPCプロセッサーに対応たいおうしたシステムを提案ていあんした。マイクロソフトはモトローラのPowerPCサーバーけのWindows NT 3.51を発表はっぴょうサン・マイクロシステムズSolarisのPowerPCばん発表はっぴょうした。またIBMは、自社じしゃAIX移植いしょくし、OS/2移植いしょく計画けいかくしていた。1994ねんには組込くみこ用途ようとけに PowerPC 403 を発表はっぴょう後継こうけいのPowerPC 401、440などは機器きき制御せいぎょ用途ようとやネットワーク機器きき中心ちゅうしんひろ普及ふきゅうした。また同年どうねんにPowerPCの64ビットはんであるPowerPC 620が完成かんせいどうチップは出荷しゅっかされず普及ふきゅうはしなかったが、その設計せっけいはPOWER3以降いこうのPOWERファミリーのいしずえとなった。

1994ねんにはPowerPCをベースとしたコンピューターの仕様しようであるPReP、1995ねんには後継こうけいCHRP発表はっぴょうされた。また1994ねんにはPowerPC搭載とうさいのMacintosh (Power Macintosh) が登場とうじょうした。

しかしこれらのうごきはわずかな期間きかんわり、結局けっきょくPowerPCという新型しんがたアーキテクチャーに期待きたいされていた理想りそう実現じつげんすることはなかった。Windows、OS/2、そしてサンの顧客こきゃくはPowerPCようソフトウェアの不足ふそく理由りゆうに、PowerPCプロセッサーはほとんどかえりみなかった。これらのOSの後継こうけい市場いちば投入とうにゅうされることはなく、PowerPCから完全かんぜんはなれていった。またBeOS最初さいしょのバージョンはPowerPCけに開発かいはつされたが、そのx86けいプロセッサーに移行いこうしていった。最終さいしゅうてきにはPowerPCけの商用しょうようのデスクトップOSは、AppleのClassic Mac OSMac OS Xのほかは、AmigaOSなどのみがのこった。

1990年代ねんだい中頃なかごろ、PowerPCプロセッサーはベンチマークにおいて、最速さいそくx86けいプロセッサーと同等どうとうまたは凌駕りょうがする性能せいのう発揮はっきした。90年代ねんだいまつ登場とうじょうしたG4ではAltiVec搭載とうさいし、当時とうじほかのCPUに比較ひかくして大幅おおはば高速こうそくSIMD処理しょり実現じつげんした。PowerPCは高性能こうせいのうでありながらていコスト・てい消費しょうひ電力でんりょくといった特徴とくちょうをもち、AppleはPowerPC603およびG3・G4を採用さいようすることによって、どう時期じきのPC/AT互換ごかんノートパソコンの性能せいのう凌駕りょうがするPowerBookや、ファンレスiMacPower Mac G4 Cubeといった独創どくそうてき製品せいひんつくることが可能かのうになった。しかしPowerPCの性能せいのうあたりの消費しょうひ電力でんりょくひくさは、けとしてはたか評価ひょうかされたものの、デスクトップで勢力せいりょく拡大かくだいするためのにはならなかった。

2002ねんにはPOWER4をベースとした64ビットPowerPC 970 (G5)が登場とうじょう高性能こうせいのうともないG4から大幅おおはば消費しょうひ電力でんりょく増大ぞうだいしたものの、どう時期じきPentium 4比較ひかくするとほぼ同等どうとう性能せいのうでありながらてい消費しょうひ電力でんりょくであり、IBM・Appleのサーバー製品せいひんのほか、Power Mac G5・iMac G5で採用さいようされた。

2004ねんはPowerPCけいCPUにとって激動げきどうとしになった。まず、モトローラが、半導体はんどうたい部門ぶもんをスピンオフし、『フリースケール・セミコンダクター』を設立せつりつつぎに、2005年度ねんどE3において発表はっぴょうされた各社かくしゃ次世代じせだい(だい7世代せだい)ゲームであるレボリューション(コードネーム、現在げんざいWii)、PLAYSTATION 3Xbox 360のCPUがすべてPowerPCけいアーキテクチャーのものになった。一方いっぽうで、これまでPowerPCを採用さいようしていたAppleのMacintoshが、2006ねんからインテルのCPUに全面ぜんめんてきえていくこと発表はっぴょうされた。2006ねんちゅうにAppleのハードウェアは完全かんぜんにインテルアーキテクチャーへのえが完了かんりょうし、Apple社内しゃないでPowerPCチップセット開発かいはつおこなっていた設計せっけいチームはApple A4開発かいはつてんじた。2009ねんにはセキュリティアップデートをのぞいてPowerPCけソフトウェアの開発かいはつ終了しゅうりょうした。

ゲームにおいてはWiiの後継こうけい機種きしゅである2012ねん発売はつばいWii UつづきPowerPCけいのアーキテクチャーを採用さいようしたものの、2013ねん発売はつばいPlayStation 4XBOX Oneりょう陣営じんえいはx86けいのプロセッサーを採用さいようし、Wii Uの実質じっしつてき後継こうけい機種きしゅである2017ねん発売はつばいNintendo SwitchはArmけいのプロセッサーを採用さいようしたため2019ねん現在げんざい使つかわれていない。

現在げんざいではサーバーやスーパーコンピューターに採用さいようされている。プリンター・ルータ・ネットワークスイッチとう用途ようとにも積極せっきょくてき採用さいようされていたが、よりしょう電力でんりょくかつていコストなARMけいプロセッサーの台頭たいとうにより2019ねん現在げんざい新規しんき採用さいようされるケースはっている。

PowerPCのプロセッサー

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POWER改修かいしゅうけい (G1)

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PowerPCファミリーをげるために、IBMの既存きそんPOWERプロセッサーをベースに設計せっけいされた。そのため正式せいしきにはPowerPCのジェネレーション・ナンバーをっていない。1994年代ねんだいより流通りゅうつう

XPC603EFE100LF
XPC603PRX200LC

アルミ配線はいせんの603、604がG2だい1世代せだいだい2世代せだいについては、IBMによるどう配線はいせんの603eと604eすべてが該当がいとうするとする文献ぶんけんと、どうシリーズで250MHz以上いじょうのものとする文献ぶんけん散見さんけんされ、はっきりしない。どちらも完全かんぜんバス互換ごかんであったため、区別くべつ重要じゅうようでなかったこともその理由りゆうである。PowerPC 603は大変たいへん消費しょうひ電力でんりょくすくなく、デスクトップと同様どうよう仕様しようのチップがノートパソコンに搭載とうさいされたほか、けにひろ使つかわれた。PowerPC 604は4つの演算えんざんユニットを並列へいれつ動作どうささせることができ、パーソナルコンピューターけとしては当時とうじ最高さいこうレベルの演算えんざん性能せいのうっていた。浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざんとく強力きょうりょくであった。

  • PowerPC 603 - てい消費しょうひ電力でんりょく
    • PowerPC 603e - てい消費しょうひ電力でんりょく高速こうそくばん
    • PowerPC 603ev - PowerPC 603eの高速こうそくばん
  • PowerPC 604 - SMP対応たいおう、インラインL2キャッシュ、高速こうそく浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん
    • PowerPC 604e - 604のてい消費しょうひ電力でんりょく小型こがた高速こうそくばん
    • PowerPC 604ev - 604eのてい消費しょうひ電力でんりょく小型こがた高速こうそくばん
  • PowerPC 615英語えいごばん - x86とPowerPC命令めいれい両立りょうりつ目指めざしたプロセッサー。Pentium互換ごかんソケットに装着そうちゃく可能かのう。x86プロセッサーとしては当時とうじのPentiumなどに対抗たいこうできる性能せいのうゆうすと見込みこまれたが、命令めいれいえのさい性能せいのう低下ていかはげしい、ダイサイズが330mm2とPowerPCけいにしてはおおきい、MinixとOS/2が移植いしょくされていたものの[2]マイクロソフトなどが(WindowsのPowerPCモードを[2])サポートしない公算こうさんおおきかったなどの理由りゆうにより開発かいはつ中止ちゅうしになった。
  • PowerPC 620 - 64ビットばん。その設計せっけいはPOWER3にがれる
PPC750CXEHP55-3
GEKKO 45L8926ESD
(PPCDBK-EFB486X3)

Appleが出資しゅっししていたExponential Technologyによるバイポーラトランジスターかた論理ろんり回路かいろ使つか消費しょうひ電力でんりょくおおきなハイパフォーマンスなCPUとして発表はっぴょうされた、1996ねん当時とうじほかのCPUにくら大幅おおはば高速こうそくクロック動作どうさ実現じつげんするとしていたPowerPCアーキテクチャーの予定よてい製品せいひんであった。試作しさくひん搭載とうさいされた次期じきPower Macintoshプロトタイプ[3]展示てんじかいでAppleによって公開こうかいされた[4][5]。しかし、1997ねん5がつのWWDC安価あんかなPowerPC 750やPowerPC 604evとの性能せいのうがないとして、Power Macintoshへの採用さいよう中止ちゅうしされたためにX704は量産りょうさんされずにおわった[6][7]

G3(だい3世代せだい以降いこうは、PowerPC採用さいよう代表だいひょうてき製品せいひんであるPower MacintoshシリーズでAppleがジェネレーション・ナンバーを前面ぜんめんしたため、PowerPCの世代せだい区分くぶん一般いっぱん明確めいかくとなった。性能せいのうでの消費しょうひ電力でんりょくひくいことが特徴とくちょうで、現在げんざいではおも用途ようともちいられる。なお、パイプラインはあさく、603とわらない4だんにすぎない。

  • PowerPC 75x,74x - PowerPC G3シリーズばれる。603eの発展はってんけい
    1. PowerPC 75xにはバックサイドキャッシュ採用さいよう
    2. 整数せいすう演算えんざんユニットを2
    • PowerPC 750L -750のどう配線はいせんばん
    • PowerPC 750CX/CXe -256KB L2キャッシュを内蔵ないぞう
    • PowerPC 750FX/FL -130nm SOI製造せいぞう、L2キャッシュ512KB
    • PowerPC 750GX -90nm SOIで製造せいぞう、〜1.1GHz、200MHz FSB対応たいおう、L2キャッシュ1MB
    • PowerPC 750CL -L2キャッシュ256KB、400MHz〜1GHz、PowerPC 750GXのやく半分はんぶんまでしょう電力でんりょくされている
  • Gekko - ニンテンドーゲームキューブよう開発かいはつされたもの。PowerPC 750CXeをベースに、浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん強化きょうかされ、SIMD命令めいれい追加ついかされている
  • Broadway - 90nm SOIで製造せいぞう任天堂にんてんどうWiiよう開発かいはつされたもの。Gekko互換ごかんであり、PowerPC 750CLがベースとおもわれるが詳細しょうさい非公開ひこうかい
  • Espresso - 45nm SOIで製造せいぞう任天堂にんてんどうWii Uよう開発かいはつされたもの。専用せんようGPUとのMCMに対応たいおうしたマルチコアCPUで、Broadwayがベースとおもわれるが詳細しょうさい非公開ひこうかい
XPC7400
XPC7455

G3をベースに浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん機能きのう強化きょうか、SIMDと対称たいしょうがたマルチプロセッサー機能きのう追加ついかしたもの。CPUバスは従来じゅうらいの60xバスにくわえ、より高度こうど制御せいぎょ機能きのうをもったMPXバスにも対応たいおうしている。MPC 7450 でマイクロアーキテクチャーを刷新さっしんしたため、MPC 745x・MPC 744x は、G4+ともばれる。

  • MPC 74xx - G4シリーズばれる。モトローラおよびフリースケール・セミコンダクター開発かいはつ
    1. AltiVec (Velocity Engine) 搭載とうさい
    2. CPUバスにMPXバス (MaxBus) 採用さいよう
    3. SMP対応たいおう
    4. 浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん強化きょうか
    • MPC 7400
      • MPC 7410 - しょう電力でんりょくばん。180nmプロセスで製造せいぞう
    • MPC 7450 - L2キャッシュ256KB内蔵ないぞう、L3キャッシュ対応たいおう整数せいすう演算えんざんユニットを4に、パイプラインを7だん多段ただんし、こうクロック
      • MPC 7451 - しょう電力でんりょくばん
      • MPC 7445 - 7455のL3キャッシュインターフェイス省略しょうりゃくタイプ。
      • MPC 7455 - 180 nmプロセス、SOIを採用さいよう。クロックは1GHzに到達とうたつ
      • MPC 7457 - 130nm プロセス、L2キャッシュを512KBに
      • MPC 7447 - 7457のL3キャッシュインターフェイス省略しょうりゃくタイプ。しょう電力でんりょく
      • MPC 7448 - 90nmプロセスで製造せいぞう、1MBのL2キャッシュ、e600コアを採用さいよう
      • MPC 8641 - e600コアを採用さいよう。メモリコントローラー、PCI Expressコントローラーを内蔵ないぞう
      • MPC 8641D - MPC 8641のデュアルコアばん

64ビットPowerPCアーキテクチャーに準拠じゅんきょし、設計せっけい全面ぜんめんてき刷新さっしんしている。

IBMがAppleと共同きょうどう開発かいはつし、POWER4ベースに設計せっけいG5ばれる。

  • 64ビット
  • パイプラインを大幅おおはば多段ただんだかクロック動作どうさ(最高さいこう2GHz以上いじょう、パイプライン段数だんすう16〜25だん)
  • CPUバスを大幅おおはば高速こうそく(1GHzちょう
  • 2FPU(G4までは1)を搭載とうさいし、高速こうそく浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん(スカラー4GFLOPS+単精度たんせいどベクタ8GFLOPS[1GHz動作どうさ])
  • AltiVec互換ごかんのVMXを搭載とうさい
  • 2のロード/ストアユニット(G4までは1
  • 複雑ふくざつ命令めいれいマイクロコードとして実装じっそう
  • フル精度せいど平方根へいほうこんをハードウェア命令めいれいとして実装じっそう(G4はソフトウェア関数かんすう)。
  • リトルエンディアン対応たいおう
PowerPC 970FX
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90nmプロセス、高速こうそくしょう電力でんりょく機能きのう「PowerTune」を搭載とうさい

PowerPC 970MP
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デュアルコアかくコアにL2キャッシュ1MB内蔵ないぞう最高さいこう2.5GHz。

PowerPC 970GX
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PowerPC 970FXの後継こうけいモデルで、970MP同等どうとう性能せいのうでシングルコア・しょう電力でんりょく実現じつげんした。最高さいこう2.5GHz。

PWRficient PA6T

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P.A. Semi(2008ねんにAppleに買収ばいしゅうされた)が設計せっけいした、64ビット対応たいおうのG5互換ごかん製品せいひん

  • 徹底的てっていてきクロックゲーティング(チップ全体ぜんたいを2まん5340の要素ようそけてクロック供給きょうきゅうおこなう)により、しょう電力でんりょく(2GHz、2コアで平均へいきん消費しょうひ電力でんりょく13W)を実現じつげん
  • マルチコア接続せつぞくようのCONEXIUMバスを搭載とうさい
  • AltiVec互換ごかんのVMXを搭載とうさい
  • バイエンディアンに対応たいおう

PowerPC Processor Elementの略称りゃくしょう、SCE・ソニー・IBM・東芝とうしばの4しゃ連合れんごうによって開発かいはつ。PowerPC互換ごかんではあるが、どのベースにもぞくさないフロムスクラッチ。Cell/B.E.およびPowerXCell 8i使用しようされている。

  • VMX拡張かくちょうき64ビットのPOWERアーキテクチャーを継承けいしょうした2命令めいれい同時どうじ発行はっこうのRISCプロセッサー
  • ふかいパイプラインとインオーダー実行じっこうなど回路かいろ簡略かんりゃくすることによりこうクロック動作どうさ最高さいこう4GHz以上いじょう、パイプライン段数だんすう19だん以上いじょう
  • PowerPC ISA v.2.02に準拠じゅんきょ
  • 2スレッドの同時どうじマルチスレッディング
  • 仮想かそう機構きこうのサポート
  • リアルタイムせい保障ほしょうするL2キャッシュ
  • リトルエンディアンにはハードウェア変換へんかん対応たいおう

Xbox 360ようにIBMがマイクロソフトと共同きょうどう開発かいはつした64ビットのPowerPC互換ごかんプロセッサー。XCPUとばれる。のちにGPU「Xenos」を統合とうごうしたXCGPU、さらにeDRAMを統合とうごうしたObanに発展はってんした。

  • 3つの対称たいしょうがたマルチコアプロセッサー
  • ゲームやグラフィックスよう拡張かくちょうされたVMX128
  • 1MBの共有きょうゆうL2キャッシュ
  • 21.6GB/sのFSB

最初さいしょから組込くみこけとしてIBMが開発かいはつ現在げんざいAMCC権利けんりつ。単体たんたいのマイクロプロセッサーとしてではなく、ASICのCPUコアとしてまれることがおおい。2005ねんごろより流通りゅうつう

  • 405 シリーズ
    • PowerPC NPe405H
    • PowerPC 405EP
    • PowerPC 405EX
    • PowerPC 405EXr
    • PowerPC 405GP
    • PowerPC 405GPr
  • 440 シリーズ
    • PowerPC 440EP
    • PowerPC 440EPx
    • PowerPC 440GR
    • PowerPC 440GRx
    • PowerPC 440GX
    • PowerPC 440SP
    • PowerPC 440SPe
  • 460 シリーズ
    • PowerPC 460EX
    • PowerPC 460GT
    • PowerPC 460SX
    • PowerPC 460GTx

470シリーズ

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2009ねん9がつ24にち発表はっぴょうされた470シリーズは、それまでの400シリーズと比較ひかくして性能せいのうを2ばい以上いじょう引上ひきあげた。ソフトウェアは400シリーズと共通きょうつうであるが、464FPと比較ひかくしてパイプラインが7だんから9だんえており、out-of-order、倍精度ばいせいど浮動ふどう小数点しょうすうてんすう演算えんざん対応たいおうSIMDと、PowerPC G3 (PowerPC750) シリーズの後継こうけいシリーズとしての位置いちづけとなっている。

  • PowerPC 476FP 12S -45nm SOIで製造せいぞう。1.6GHzに1.6Wで動作どうさする。倍精度ばいせいど浮動ふどう小数点しょうすうてんすう演算えんざん対応たいおうSIMD命令めいれい単精度たんせいど2並列へいれつSIMD命令めいれい対応たいおう最高さいこう2GHz。

2010ねん2がつ9にちにISSCC2010で発表はっぴょうされたプロセッサ[8]。1コアあたり4スレッドで16コア1チップで構成こうせいされている。L1キャッシュ16KB+16KB。L2キャッシュ2MB。1.6GHz55W、204.8Gflops。最高さいこう2.3GHz、65Wで稼動かどうする。スーパーコンピューターBlue Gene/Q(ブルージーンQ)のコアCPUに採用さいようされている。

使用しよう製品せいひん

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Kacmarcik, Cary (1995). Optimizing PowerPC Code. Addison-Wesley Publishing Company. p. 252. ISBN 0-201-40839-2 
  2. ^ a b Microsoft killed the PowerPC 615” (英語えいご). theregister.com. 2021ねん6がつ26にち閲覧えつらん
  3. ^ X704 with Exponential processor Power PC - Computer History Museum
  4. ^ 後藤ごとうひろししげるのCOMDEXリアルタイムレポート(その4)”. PC Watch. (1996ねん11月21にち). https://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/961122/gotocom4.htm 
  5. ^ 山田やまだ久美くみおっとの「MACWORLD Expo/San Francisco 1997」会場かいじょうレポート”. PC Watch. (1997ねん1がつ9にち). https://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970109/macworld.htm 
  6. ^ “ExponentialのX704チップ 500MHzちょうだい3四半期しはんき以降いこう. MacWEEK. (1997ねん3がつ31にち). オリジナルの1999ねん4がつ23にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/19990423191240/http://www.zdnet.co.jp/macweek/9703/n0331_exponential.html 
  7. ^ “Apple,X704チップ採用さいよう計画けいかく中止ちゅうし Arthur,Mach 5と「性能せいのうなし」”. MacWEEK. (1997ねん5がつ16にち). オリジナルの1998ねん12月1にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/19981201210217/http://www.zdnet.co.jp/macweek/9705/n0516_x704.html 
  8. ^ [1]

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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