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Intel MCS-48

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
（Intel 8048から転送てんそう）
Intel 8048 マイクロコントローラ
UV EPROM付つきの8749
HP3478Aマルチメーターに使つかわれているIntel 8049。製造せいぞう時期じきは1990年ねん第だい48週しゅう。

Intel 8048またはそのシリーズであるIntel MCS-48はインテル初はつのマイクロコントローラである。Intel MCS-48は、1976年ねんに導入どうにゅうされた[1]。当初とうしょのラインナップには8048、8035、8748が存在そんざいした。これらは元々もともとNMOSプロセスで生産せいさんされていたが、1980年代ねんだい初はじめにはCMOS版ばんも供給きょうきゅうされた。既存きそんの古ふるい設計せっけいをサポートするため、1990年代ねんだいに入はいっても製造せいぞうされた。

構成こうせい

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8048のアーキテクチャはハーバード・アーキテクチャの変形へんけいであり、プログラム用ようROM（内蔵ないぞうまたは外そと付づけ）とデータ用ようRAMを分離ぶんりして持もっていた。27個このI/Oポートを持もつが、それらは独自どくじのアドレス空間くうかんにマップされ、プログラムやデータとは分離ぶんりされている。また1回かい路ろの8bitタイマ・カウンタを自前じまえでもっていた。8048の内蔵ないぞうROMは1KBで、外そと付づけのプログラム用ようROMを用もちいることもできた。内蔵ないぞうRAMは64バイトであった。ROMの種類しゅるい、メモリ容量ようりょうによってファミリーを形成けいせいし、例たとえば8049は2 KiBのマスクROM（8749はEPROM）を内蔵ないぞうしており、このROMは4 KiBの外部がいぶROMで置おき換かえることができる。

外部がいぶから供給きょうきゅうされたクロックは内部ないぶの発振器はっしんきブロックによって15の内部ないぶフェーズに分割ぶんかつされる。そこで、最高さいこう動作どうさ周波数しゅうはすうである11MHzの水晶すいしょう発振器はっしんきを接続せつぞくすると、0.73MIPS（1クロック命令めいれいについて）の性能せいのうが出でる。1CPUサイクルで実行じっこうできる1バイト長ちょうの命令めいれいもあるが、多おおくの命令めいれいは2CPUサイクルないし2バイトを必要ひつようとする。従したがって実際じっさいの動作どうさ速度そくどは0.5MIPS程度ていどである。

MCS-48ファミリー

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8049は2KBのマスクROM（8748と8749はEPROM）と128バイトのRAM、27個このI/Oポートを搭載とうさいし、ROMは4KBの外部がいぶROMに置おき換かえることができた。マイクロコントローラのクロック発振器はっしんきブロックは入力にゅうりょくクロックを15分ふん周しゅうし、最大さいだい11MHzで0.73MIPSの駆動くどうが可能かのうであった。命令めいれいの7割わりは1命令めいれいサイクルあたり1バイトで、3割わりは2サイクル・2バイトを必要ひつようとしたため、実際じっさいのパフォーマンスは0.5MIPSほどになる。

フィリップス・セミコンダクタ（現げんNXP）がこのシリーズを生産せいさんするライセンスを所有しょゆうしており、このアーキテクチャをベースにMAB8400ファミリとして開発かいはつしていた。これらはI2Cインターフェースを統合とうごうした最初さいしょのマイクロコントローラで、フィリップスの最初さいしょのCDプレーヤー「CD-100」に用もちいられた[2]。

Intel 8748はクロック発振器はっしんきを内蔵ないぞうしており、8ビットタイマーを2個こ、I/Oポートを27個こ、64バイトのRAMと1KBのEPROMを搭載とうさいしていた。2KB EPROMと128バイトのRAMを搭載とうさいしたバージョンは8749としてリリースされた。

デバイス 内部ないぶROM メモリ 注釈ちゅうしゃく
8020 1K × 8 ROM 64 × 8 RAM 8048のサブセット、20ピン、13本ほんのI/O
8021 8048のサブセット、28ピン、21本ほんのI/O
8022 2K × 8 ROM 8048のサブセット、A/Dコンバータ、1982年ねんNECにセカンドソースライセンスされた[3]
8035 無なし
8039 128 × 8 RAM
8040 256 × 8 RAM
8048 1K × 8 ROM 64 × 8 RAM
8049 2K × 8 ROM 128 × 8 RAM
8050 外部がいぶROMソケット 256 × 8 RAM
8748 1K × 8 EPROM[1] 64 × 8 RAM[1] 4Kプログラムメモリ外がい付づけ可か[4]
8749 2K × 8 EPROM 128 × 8 RAM
8648 1K × 8 OTP EPROM 64 × 8 RAM
デバイス 内部ないぶROM メモリ 注釈ちゅうしゃく
8041 1K × 8 ROM 64 × 8 RAM Universal Peripheral Interface (UPI)
8041AH 128 × 8 RAM UPI
8741A 1K × 8 EPROM 64 × 8 RAM UPI、8041のEPROM版ばん
8741AH 1K × 8 OTP EPROM 128 × 8 RAM UPI、8041AHのOTP EPROM版ばん
8042AH 2K × 8 ROM 256 × 8 RAM UPI
8742 2K × 8 EPROM 128 × 8 RAM UPI、EPROM版ばん
8742AH 2K × 8 OTP EPROM 256 × 8 RAM UPI、8042AHのOTP EPROM版ばん

応用おうよう

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8048は後のちに開発かいはつされた8051に駆逐くちくされつつあるが、21世紀せいきを迎むかえた時点じてんでもまだ広ひろく用もちいられている。コストが低ひくく、広範こうはんな応用おうよう範囲はんいを持もち、1バイト命令めいれいセットによってメモリ利用りよう効率こうりつが高たかく、枯かれた開発かいはつ用ようツールが存在そんざいすることがその理由りゆうである。そのため、大量たいりょう生産せいさんされる民生みんせい用よう電子でんし機器きき、例たとえばTVのリモコン、玩具おもちゃ等とうといったコストダウンが至上しじょう命令めいれいであるような製品せいひんによく用もちいられる。

8048はマグナボックスオデッセイ、コルグTridentシリーズ[要よう出典しゅってん]、コルグPoly-61[5]、ローランドJupiter-4およびProMars[6]アナログシンセサイザーに使用しようされた。

オリジナルのIBM PCキーボードは内蔵ないぞうマイクロコントローラとして8048を使用しようしていた[7]。PC/ATではPCのI/Oアドレス0x60～0x63にあるIntel 8255周辺しゅうへん機器ききインターフェースチップが0x60-0x64にある8042に置おき換かえられた[8]。キーボードインターフェースを管理かんりするだけでなく、8042はATのIntel 80286 CPUのA20ラインを制御せいぎょ、または80286をリセットするコマンドを送おくることができた（80386やそれ以降いこうのプロセッサとは異ことなり、80286はリセットする以外いがいにプロテクトモードからリアルモードに戻もどる方法ほうほうがなかった）。後ごのPC/AT互換ごかん機きでは8042の機能きのうはスーパーI/Oチップに統合とうごうされていった。日本電気にほんでんきPC-9800シリーズでは、キーボード側がわの8048と本体ほんたい側がわの8251AがI/Oアドレス43Hでシリアル通信つうしんを行おこなった。[9]。キーボードと本体ほんたい間あいだのシリアル通信つうしんはシャープX1シリーズでも使用しようされた。

かわった使つかわれ方ほうとしては、ROMを持もたない8035が任天堂にんてんどうのアーケードゲーム『ドンキーコング』でバックに音楽おんがくを流ながすために使つかわれた例れいがある。

関連かんれん項目こうもく

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  • Intel 8051 - 8048に比くらべ、高速こうそく化かがなされ、シリアルインタフェースも内蔵ないぞうするようになった。またメモリ空間くうかんの拡大かくだいと命令めいれいの強化きょうかがなされた。

参考さんこう文献ぶんけん

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MCS-48
  • MCS-48 Single Component Microcomputer, Applications Seminar Notebook, 1978, Intel Corporation.
  • http://www.sharpmz.org/download/8048.pdf MCS-48 MICROCOMPUTER USER'S MANUAL (PDF) , 1978, Intel Corporation.
  • Lionel Smith, Cecil Moore: Serial I/O and Math Utilities for the 8049 Microcomputer, Application Note AP-49, January 1979, Intel Corporation.
  • A High-Speed Emulator for Intel MCS-48 Microcomputers, Application Note AP-55A, August 1979, Intel Corporation.
  • Phil Dahm, Stuart Rosenberg: Intel MCS-48 and UPI-41A Microcontrollers, Reliability Report RR-25, December 1979, Intel Corporation.
  • Microcontroller Handbook, Intel 1984, Order number 210918-002.
  • 8-Bit Embedded Controllers, Intel 1991, Order number 270645-003.
UPI-41
  • UPI-41A User's Manual, Intel 1980, Order number 9800504-02 Rev. B.
  • http://games.rossiters.com/manuals/Fluke/UPI-41a.pdf Microprocessor Peripherals UPI-41A/41AH/42/42AH User's Manual (PDF) , October 1993, Order number 231318-006, Intel Corporation.
  • Johan Beaston, Jim Kahn: An 8741A/8041A Digital Cassette Controller, Application Note AP-90, May 1980, Intel Corporation.

外部がいぶリンク

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ウィキメディア・コモンズには、Intel MCS-48に関連かんれんするカテゴリがあります。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c CompArchOrg, p. 57.
  2. ^ Datasheet (pdf) Philips MAB8400-Family
  3. ^ 『ASCII 1982年ねん9月がつ号ごう』 6巻かん、9号ごう、株式会社かぶしきがいしゃアスキー出版しゅっぱん、1982年ねん9月がつ1日にち、63頁ぺーじ。 
  4. ^ CompArchOrg, p. 58-59.
  5. ^ “Korg Poly-61 Service Manual” (PDF). 2016年ねん11月2日にち閲覧えつらん。
  6. ^ Gordon Reid (November 2004). “The History Of Roland, Part 1: 1930–1978”. The History Of Roland. Sound On Sound Magazine. 29 November 2010閲覧えつらん。
  7. ^ “Section 4: Keyboard”, Technical Reference: Personal Computer, Personal Computer Hardware Reference Library (Revised ed.), IBM, (April 1984) 
  8. ^ “Section 1: System Board”, Technical Reference: Personal Computer AT, Personal Computer Hardware Reference Library, IBM, (September 1985) 
  9. ^ アスキーテクライト（編へん）「第だい2部ぶ ハードウェア 第だい6章しょう キーボード」『改訂かいてい版ばん PC-9800シリーズ テクニカルデータブック HARDWARE編へん』アスキー、1993年ねん10月がつ25日にち、139-155頁ぺーじ。ISBN 4-7561-0456-8。 

参考さんこう文献ぶんけん

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  • P.HAYES, JOHN (1978,1979). Computer Architecture and Organization. ISBN 0-07-027363-4 

この記事きじは2008年ねん11月1日にち以前いぜんにFree On-line Dictionary of Computingから取得しゅとくした項目こうもくの資料しりょうを元もとに、GFDL バージョン1.3以降いこうの「RELICENSING」(再さいライセンス) 条件じょうけんに基もとづいて組くみ込こまれている。

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