RealD

RealD（リアルディー）はデジタル3Dシステム、及およびそれを開発かいはつ・販売はんばいしている会社かいしゃである。

このシステムは劇場げきじょうスクリーンの改修かいしゅうが必要ひつようであるが、導入どうにゅうコストが低ひくく、映画えいが館かんの3Dシステムとして世界せかいで最もっとも普及ふきゅうしている。また、円えん偏へん光こう方式ほうしきを採用さいようしている。

技術ぎじゅつ

2つのRealD用よう眼鏡めがねを使用しようし、偏へん光こうの効果こうかを示しめした写真しゃしん

片方かたがたの目めで鏡かがみを見みた状態じょうたい。目めを開ひらいていても常つねに反射はんしゃ光こうは暗くらい。写真しゃしんの眼鏡めがねの間あいだに鏡かがみがあることに注意ちゅうい。

RealDには円えん偏へん光こう方式ほうしきが採用さいようされている。直線ちょくせん偏へん光こうの映像えいぞうは3次元じげんの感覚かんかくを得えるためにほとんどかしげることなく首くびをまっすぐしておく必要ひつようがあるが（かしげた場合ばあい、像ぞうが二に重じゅうに見みえたり、暗くらくなったりする）、円えん偏へん光こうは首くびをかしげても3次元じげん映像えいぞうが崩壊ほうかいしないという点てんで、直線ちょくせん偏へん光こうより円えん偏へん光こうの方ほうが利点りてんがある^[1]。

映写機えいしゃきは1秒びょうあたり144回かい、左目ひだりめ用ようと右目みぎめ用ようのコマを交互こうごに投影とうえいする。右目みぎめ用ようが右みぎ円えん偏へん光こう、左目ひだりめ用ようが左ひだり円えん偏へん光こうのコマとなる^[1]。Z-Screenと呼よばれるプルプッシュ方式ほうしきの電気でんき光学こうがく液晶えきしょう変調へんちょう器きが偏へん光こうを切きり替かえるために映写えいしゃ用ようレンズの正面しょうめんに配置はいちされる。左右さゆうそれぞれの目めが指定していされたコマだけを見みるように反対はんたい回まわりに偏へん光ひからしているレンズをはめた眼鏡めがねを観客かんきゃくは着用ちゃくようする。首くびをかしげても指定していされたコマのみが目めに届とどく。RealD 3Dシネマにはそれぞれのコマが3回かいほど点滅てんめつするトリプルフラッシュと呼よばれるシステムがある。通常つうじょう、原はら映像えいぞうは片方かたがたの目めで1秒びょうあたり24コマ（計けい48コマ）存在そんざいするが、これだけだとカメラが水平すいへい方向ほうこうに動うごいたとき微妙びみょうな残像ざんぞうや揺ゆれが発生はっせいする可能かのう性せいがあるからである。円えん偏へん光こうフィルタ固有こゆうの光量ひかりりょう低下ていかを補おぎない反射はんしゃ光こうの減少げんしょうを低減ていげんするため、また偏へん光こうを維持いじするためにシルバースクリーンが採用さいようされている。結果けっかとしてスクリーンの前後ぜんごに広ひろがるように見みえる3次元じげん映像えいぞうが得えられる^[2]。

RealDはプロジェクターの解像度かいぞうどを半分はんぶんにする3D映像えいぞうではない。2KのDLP画像がぞう処理しょりチップを使つかい、完全かんぜんな2Kの解像度かいぞうどを提供ていきょうする。チップはRealDシステムで必要ひつようとされる144Hzへるつのリフレッシュレートを満みたす必要ひつようがある。コマ1の左目ひだりめの画像がぞうは画像がぞう処理しょりチップで生成せいせいされ、Z-Screen変調へんちょう器きによって左ひだりに偏へん光ひからさせられる。コマ1の右目みぎめの画像がぞうは画像がぞう処理しょりチップで生成せいせいされ、Z-Screen変調へんちょう器きによって右みぎに偏へん光ひからさせられる。現げん映像えいぞうの各かくコマが3回かい、それぞれの目め用ように繰くり返かえされ、結果けっか的てきに1秒びょうあたり144コマ得えられる。この秒びょう144コマの切きり替かえはデジタル3Dシネマだからこそ成なし得えた業ごうである。また、この方式ほうしきにより画像がぞう生成せいせいチップで生成せいせいできる完全かんぜんな解像度かいぞうどを確保かくほしている。

ソニーの4Kプロジェクターを使用しようした場合ばあい、4KのSXRDデバイス上じょうに左右さゆう2枚まいの2K画像がぞうが分割ぶんかつ表示ひょうじされ、片方かたがたは左目ひだりめ用よう、片方かたがたは右目みぎめ用ようとして蓄積ちくせきされる。映像えいぞうを交互こうごに映写えいしゃするのではなく、垂直すいちょくに並ならんだレンズを通とおして2つの画像がぞうは両目りょうめ用ようとも同時どうじに逆ぎゃくの偏へん光こうで映写えいしゃされる。このとき映画えいがは2Kで上映じょうえいされ、2Kのプロジェクターと同様どうようの解像度かいぞうどとなるが、ちらつきを抑おさえられるという利点りてんがある^[3]。

快適かいてきな視野しや

偏へん光こうを使用しようした3D映像えいぞうシステムは偏へん光こうフィルタによる吸収きゅうしゅうのため、スクリーンの光量ひかりりょう低下ていかを引ひき起おこす。プロジェクターの正面しょうめんの偏へん光こうフィルタは映写えいしゃ光こうの半分はんぶんを透過とうかせず、スクリーンの明あかるさを低下ていかさせる。しかしながら、劇場げきじょう内ないの周囲しゅうい光こうや反射はんしゃ光こうやレンズの透過とうかによる減げん光こうもあるが、知覚ちかく的てきにコントラストを過度かどに不快ふかいさせることはない。劇場げきじょうの中なかで全体ぜんたい的てきみた最大さいだいの影響えいきょうは薄暗うすぐらい眼鏡めがねを掛かけることだが、明あかるい映写えいしゃ用ようランプを使用しようすることで補填ほてんできる。

多おおくの3D映像えいぞうシステムで存在そんざいする1つの問題もんだいとして、気持きもち悪わるくなったり頭痛ずつうを引ひき起おこす観客かんきゃくが発生はっせいすると言いうものがある^[4]^[5]。シーンやカットの境さかいで距離きょり感かんが大おおきく異ことなるとこの問題もんだいは発生はっせいするが、一般いっぱんに監督かんとくや編集へんしゅう者しゃは3D映画えいがではこのようなカット割わりを避さけようとしている^[6]。

日本にっぽんでの導入どうにゅう映画えいが館かん

シネマコンプレックスチェーン

イオンシネマ（「デジタル3-Dシネマ」名称めいしょうで導入どうにゅう）
ユナイテッド・シネマ
コロナシネマワールド
静せい活かつ（シネシティザート、シネプラザサントムーン）

その他たの映画館えいがかん及およびシネコン

出典しゅってん

^ ^a ^b Cowan, Matt. “REAL D 3D Theatrical System”. European Digital Cinema Forum. 2011年ねん7月がつ23日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2009年ねん3月がつ28日にち閲覧えつらん。
^ Cowan, Matt. “Presentations (technical)”. RealD Media Room downloadable files. 2009年ねん3月がつ28日にち閲覧えつらん。^{[リンク切きれ]}
^ “Sony Cinema 3D using RealD technology, comparing it to 2K projectors.”. Sony. 2010年ねん8月がつ18日にち閲覧えつらん。
^ Nick Watt (2009年ねん12月19日にち). “Will 'Avatar' Make Viewers Nauseous? The 3D Effects in Blockbuster Movie 'Avatar' Are Claimed to Be 'Vomit Inducing'”. ABC news. 2010年ねん8月がつ18日にち閲覧えつらん。
^ “How to avoid getting a 3D headache while watching Avatar”. Shadowlocked (2009年ねん12月21日にち). 2010年ねん8月がつ18日にち閲覧えつらん。^{[リンク切きれ]}
^ Rafe Needleman (2009年ねん6月がつ18日にち). “3D means new rules for directors”. 2010年ねん8月がつ18日にち閲覧えつらん。^{[リンク切きれ]}

特許とっきょ

US patent 7477206, "Enhanced ZScreen modulator techniques", issued January 13, 2009, assigned to RealD
US patent 6975345, "Polarizing modulator for an electronic stereoscopic display", issued December 13, 2005, assigned to StereoGraphics Corporation
US patent 5481321, "Stereoscopic motion picture projection system", issued January 2, 1996, assigned to Lenny Lipton
US patent 4884876, "Achromatic liquid crystal shutter for stereoscopic and other applications", issued December 5, 1989, assigned to Lenny Lipton
US patent 4792850, "Method and system employing a push-pull liquid crystal modulator", issued December 20, 1988, assigned to StereoGraphics Corporation

外部がいぶリンク

RealD（英語えいご）

[overview-1] Cowan, Matt. “REAL D 3D Theatrical System”. European Digital Cinema Forum. 2011年ねん7月がつ23日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2009年ねん3月がつ28日にち閲覧えつらん。

[reald-2] Cowan, Matt. “Presentations (technical)”. RealD Media Room downloadable files. 2009年ねん3月がつ28日にち閲覧えつらん。^{[リンク切きれ]}

[Sony_RealD-3] “Sony Cinema 3D using RealD technology, comparing it to 2K projectors.”. Sony. 2010年ねん8月がつ18日にち閲覧えつらん。

[4] Nick Watt (2009年ねん12月19日にち). “Will 'Avatar' Make Viewers Nauseous? The 3D Effects in Blockbuster Movie 'Avatar' Are Claimed to Be 'Vomit Inducing'”. ABC news. 2010年ねん8月がつ18日にち閲覧えつらん。

[5] “How to avoid getting a 3D headache while watching Avatar”. Shadowlocked (2009年ねん12月21日にち). 2010年ねん8月がつ18日にち閲覧えつらん。^{[リンク切きれ]}

[6] Rafe Needleman (2009年ねん6月がつ18日にち). “3D means new rules for directors”. 2010年ねん8月がつ18日にち閲覧えつらん。^{[リンク切きれ]}

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