Zuse Z4

Zuse Z4（ドイツ博物館はくぶつかん、ミュンヘン）

Zuse Z4 はドイツの技術ぎじゅつ者しゃコンラート・ツーゼが設計せっけいし、彼かれの会社かいしゃ Zuse Apparatebau で1942年ねんから1945年ねんにかけて構築こうちくした、世界せかい初はつの商用しょうようデジタルコンピュータである。Z3の設計せっけいをベースとしており、Z3と同様どうようの電気でんき機械きかい式しき（リレー式しき）であって、電子でんし装置そうちではない。

構築こうちく

設計せっけいはZ3とよく似にているが、様々さまざまな点てんで拡張かくちょうが施ほどこされている。記憶きおく装置そうちの（浮動ふどう小数点しょうすうてん数すう）ワード長ちょうは22ビットから32ビットに拡張かくちょうされている。Planfertigungsteil（プログラム構築こうちく装置そうち）と呼よばれる特別とくべつな装置そうちを備そなえており、記号きごう操作そうさとメモリセルを使用しようしてプログラム用ようさん孔こうテープの作成さくせいと修正しゅうせいを従来じゅうらいより容易よういに行おこなえるようになっている。内部ないぶは二進法にしんほうで動作どうさしているが、入出力にゅうしゅつりょくは十じゅう進しん浮動ふどう小数点しょうすうてん数すうの形式けいしきで行おこなう。様々さまざまな命令めいれいを装備そうびしており、平方根へいほうこん、最大さいだい値ち、最小さいしょう値ち、符号ふごうを求もとめる命令めいれいなどがある。無限むげん大だいとの比較ひかく命令めいれいもある。チューリッヒ工科こうか大学だいがくに納入のうにゅうされたマシンには条件じょうけん分岐ぶんき命令めいれいの機構きこうが追加ついかされ、メルセデス製せいタイプライターに印字いんじできるようになっていた。2つのプログラム用ようさん孔こうテープを使つかうことができ、2つめはサブルーチンとして使用しようする（当初とうしょは6本ほん同時どうじに扱あつかう計画けいかくだった）。

1944年ねん、ツーゼは婦人ふじんも含ふくめた20人にんほどの人々ひとびとと共ともにZ4に取とり組くんでいた。一部いちぶの技術ぎじゅつ者しゃはOKWの通信つうしん施設しせつでも働はたらいていた。1945年ねん2月がつ、Z4がソ連それん軍ぐんの手中しゅちゅうに落おちることを防ふせぐため、ベルリンからゲッティンゲンへと移送いそうした。Z4はアルバート・ベッツ率ひきいる Aerodynamische Versuchsanstalt（AVA、航空こうくう力学りきがく研究所けんきゅうじょ）のゲッティンゲンの施設しせつで完成かんせいした。AVAの科学かがく者しゃたちにそれを公開こうかいしようかというときには噂うわさはかなりとどろき渡わたっており、結局けっきょくZ4はドイツ国防こくぼう軍ぐんのトラックでバートヒンデラングに移送いそうされ、そこでツーゼはヴェルナー・フォン・ブラウンと出会であった。

戦後せんご

1949年ねん、アメリカでコンピュータを見みてきたスイス人数にんずう学者がくしゃ エドゥアルド・シュティーフェル(Eduard Stiefel) がツーゼを訪おとずれ、Z4 を見学けんがくした。彼かれがツーゼに微分びぶん方程式ほうていしきを示しめすと、ツーゼはそれをプログラムにし、即座そくざにZ4で解といて見みせた。シュティーフェルはスイスのチューリッヒ工科こうか大学だいがくにある自分じぶんの研究けんきゅう室しつ用ように Z4 を購入こうにゅうすることを決きめた。

1950年ねん9月がつ、Z4がチューリッヒ工科こうか大学だいがくに納入のうにゅうされた。1954年ねんにはフランスの Institut Franco-Allemand des Recherches de St. Louis という研究所けんきゅうじょに移うつされ、1959年ねんまで使用しようされた。現在げんざいはミュンヘンのドイツ博物館はくぶつかんに展示てんじされている。

Z4に触発しょくはつされ、チューリッヒ工科こうか大学だいがく（の A. Speiser と エドゥアルド・シュティーフェルを中心ちゅうしんとしたチーム）は独自どくじのコンピュータ ERMETH (ドイツ語ご: Elektronische Rechenmaschine ETH) の開発かいはつに乗のり出だした。

1950年ねん当時とうじ、Z4はヨーロッパ大陸たいりくで稼働かどうしていた唯一ゆいいつのデジタルコンピュータだった。製品せいひんとして販売はんばいされたコンピュータとしては、BINACに次つぐ2番目ばんめであり、Ferranti Mark 1 の5カ月かげつ前まえ、UNIVAC I の10カ月かげつ前まえのことである。ただし、BINACは不安定ふあんていで納入のうにゅう先さきでは使つかわれなかった。その後ごツーゼは Z11、Z22 といったコンピュータを製造せいぞう販売はんばいした。

Z4はスイスのグランド・ディクサンス・ダム建設けんせつのための計算けいさんにも使つかわれた。 スイス空軍くうぐんのFFA P-16の開発かいはつ時じに昇降しょうこう舵かじに起因きいんするフラッター現象げんしょうの解析かいせきにも使用しようされた。

諸しょ元もと

• クロック周波数しゅうはすう: 約やく 40 Hz
• 平均へいきん計算けいさん速度そくど: 加算かさんは400 ミリ秒びょう、乗算じょうざんは3秒びょう。平均へいきんで1時じ間あいだに1000回かいの浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざんを実行じっこうする。
• プログラミング: プログラミング用よう機械きかいで35mmフィルムに穴あなを開あける。
• 入力にゅうりょく: 十じゅう進しん浮動ふどう小数点しょうすうてん数すうをさん孔こうテープで供給きょうきゅう。
• 出力しゅつりょく: 十じゅう進しん浮動ふどう小数点しょうすうてん数すうをさん孔こうテープかメルセデス製せいタイプライターに出力しゅつりょく。
• ワード長ちょう: 32ビット（浮動ふどう小数点しょうすうてん数すう）
• 部品ぶひん: リレー約やく2,500個こ。ステップワイズリレー21個いっこ。
• メモリ: Z1と同様どうようの機械きかい式しきメモリ（32ビットワードで64ワード）
• 電力でんりょく消費しょうひ: 約やく 4 kW

関連かんれん項目こうもく

• 計算けいさん機きの歴史れきし

外部がいぶリンク

• zuse.de - ホースト・ツーゼ（コンラートの息子むすこで計算けいさん機き科学かがく者しゃ）のサイト
• チューリッヒ工科こうか大学だいがくでのZ4の写真しゃしんがある（本文ほんぶんはドイツ語ご）
• Rojas, Raúl (Spring 2006). “The Zuse Computers”. RESURRECTION the Bulletin of the Computer Conservation Society = 37. ISSN 0958-7403. http://www.cs.man.ac.uk/CCS/res/res37.htm#c 2008年ねん7月がつ26日にち閲覧えつらん。 
• Zuse, Horst. “The Z4 Computer and the Zuse Apparatebau in Berlin (1940-1945)”. The Life and Work of Konrad Zuse. 2008年ねん6月がつ1日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2008年ねん7月がつ26日にち閲覧えつらん。
• Herbert Bruderer: Konrad Zuse und die Schweiz. Wer hat den Computer erfunden? Charles Babbage, Alan Turing und John von Neumann Oldenbourg Verlag, München 2012, XXVI, 224 Seiten, ISBN 978-3-486-71366-4