こと

ごと も参照さんしょう。

日本語にほんご

名詞めいし・事こと

こと【事こと】

1. ある一いち時期じきにおこる、まとまったひとつらなりの動どう（うご）き。ことがら。できごと。
   • ことここに至いたってはやむを得えない。
   • こと古こ美術びじゅつに関かんしては該博がいはくな知識ちしきを持もっている。
   • ことがことだけに心配しんぱいだ。
   • 落おち込こんでいる人ひとに何なにか元気げんきが出でるようなことをしてあげたい。
   • いつも話はなしの種たねになることを探さがしている。
2. 動詞どうしに付ついて、行為こういをあらわす体言たいげんを作つくる。
   • 言いうこととすることが違ちがう人ひと。
   • やることがえげつない。
3. 形容詞けいようしなどに付ついて、性状せいじょうをあらわす体言たいげんを作つくる。
   • 楽たのしいこと。静しずかなこと。確実かくじつなこと。当然とうぜんのこと。
   • 非ひ効率こうりつなことはなはだしい。
   • そんなことはありません。（=そうではない、の意い）
   • そんなことではいけません。
   • たいしたことはない。
   • 都会とかいではもちろんのこと、地方ちほうでもよく見みかけるようになった。
4. 関連かんれんする案件あんけん、できごと、事情じじょう、状況じょうきょう。
   • そのことで話はなしがある。
   • 阿鼻叫喚あびきょうかんとはまさにこのことかと思おもった。
   • 父ちちとのことでは誤解ごかいもありました。
   • 泉いずみ鏡花きょうか先生せんせいのこと
   • 私わたしことこのたび転勤てんきんを命めいぜられ名古屋なごや支社ししゃに着任ちゃくにんいたしました。
5. 事実じじつ。実際じっさいに起おきた、あるいは起おきているできごと。
   • その人ひとがもう日本にっぽんにいないことはご存知ぞんじですか。
   • 絵えを見みて特とくに感動かんどうすることもなかった。
   • 待まつこと五ご時じ間あいだ、ようやく救助きゅうじょされた。
   1. （「のこと」「のことだ」などの形かたちで）時じを表あらわす。
      • ところがその次つぎの日ひのことだ。あの畜産ちくさんの担任たんにんが、助手じょしゅを連つれて又またやって来きた。（宮沢みやざわ賢治けんじ「フランドン農みのり学校がっこうの豚ぶた」）
6. 事業じぎょう、作業さぎょう、行動こうどうなど。
   • ことにあたる。
   • ことを行おこなう。
7. 戦争せんそう、あらそいなど。
   • ことを構かまえる。
8. （婉曲えんきょく）性交せいこう、犯罪はんざいなど。
   • ことに及およぶ。
9. おおごと。一大事いちだいじ。厄介やっかい事ごと。
   • これはことだな。
10. (…ことがある/ない) 過去かこの経験けいけんを表あらわす。
    • アメリカに行いったことがあります。
11. (…ことがある/ない) 起おこり得えるできごと、可能かのう性せいなどを表あらわす。
    • 私わたしは電車でんしゃに傘かさを忘わすれることがよくある。
    • X線せん検査けんさで腫瘍しゅようが判明はんめいすることもある。
12. …についての話はなし。…の意味いみ。…という事情じじょう。
    • 「すごく高たかいビルが中東ちゅうとうにあるでしょ?」「ブルジュ・ハリファのこと?」
    • 「積つん読どくって何なに?」「本ほんを買かってきても読よまないで放置ほうちすることだよ」
    • 「打ぶてば響ひびく」というのは山田やまだくんのことだね。
    • 警察けいさつがここにいるということは、事件じけんか事故じこでもあったのだろう。
    • 「結局けっきょくあいつが嘘うそをついていたってことか」「そういうことだ」
13. (…のこと) 思考しこう、知識ちしき、好すき嫌きらい、動作どうさなどの対象たいしょうとして示しめす。
    • 君きみのことが好すきだ。
    • 仕事しごとのことばかり考かんがえている。
    • 私わたしのことをばかにしてるんだから。
    • ぼくのこと、なぐったな。
14. 指摘してきや主張しゅちょうの趣旨しゅしを表あらわす。
    • きついことを言いってしまった。
    • 入試にゅうし改革かいかくの背景はいけいには利権りけんがあるというようなことが書かいてあった。
15. (…とのこと、…ということ) …そうだ。伝聞でんぶんを表あらわす。
    • 明日あしたは晴はれるとのことだ。
    • 議員ぎいんからお話はなししたいことがあるとのことです。
    • 結局けっきょく会あえなかったということだ。
16. 通称つうしょうと正式せいしきな名前なまえを続つづいて言いうときに間あいだに入いれる語かたり。すなわち。
    • 火付ひつき盗賊とうぞく改あらため方かた、鬼平おにへいこと長谷川はせがわ平蔵へいぞう。
17. 軽かるい命令めいれい、適切てきせつ性せいなどを表あらわす。
    • 宿題しゅくだいを忘わすれた者ものは立たつこと。
    • 困こまった時ときは早はやめに相談そうだんすることだな。
18. （打だ消けしを伴ともない）必要ひつよう性せいなどを表あらわす。
    • 遅刻ちこくした者ものを待まつことはない。
19. （ことにする、ことになる、など）意志いしや未来みらい、必然ひつぜんなど表あらわす。
    • プールで泳およぐことにしよう。
    • 出でかけることにしよう。
    • 暴風雨ぼうふううの場合ばあいは中止ちゅうしされることになります。
20. （ことにする、ことになる、など）意志いしによる措定そていや、規則きそくなどによる同定どうていなどを表あらわす。
    • 見みなかったことにしてやるから早はやく行いけ。
    • 数値すうちを指定していしてもしなくても結果けっかは同おなじことになる。
21. （こととする、ことにしている、ことになっている、など）習慣しゅうかんや、しくみ、制度せいどなどを表あらわす。
    • あらかじめ警察けいさつに届とどけ出でることとする。
    • 毎日まいにちジョギングすることにしている。
    • かの国くにでは、厳然げんぜんたる歴史れきし的てき事実じじつの多おおくが実際じっさいにはなかったことになっている。
22. 詠嘆えいたんを表あらわす。
    • どれほどうれしかったことだろう。
    • まあ実じつに呆あきれたことだ。
    • 仲なかのよろしいことで。
    • まったく何なにをやっていることやら。
    • どれだけ心配しんぱいさせられたことか。
23. (…こと…こと、…ことといったら、…ことといったらない、など) とても…だ。強調きょうちょうを表あらわす。
    • その恰好かっこうのおかしいことおかしいこと。
24. (…こと、…ことで、…ことだ、…ことだから、…ことだし、など) 接続せつぞく助詞じょし的てきに、当然とうぜんに想定そうていされる事情じじょうや理由りゆうなどを表あらわす。
    • あいつのことだ、今日きょうも遅おくれて来くるだろう。
    • お腹なかも空あいたことだし、レストランにでも行いきましょうか。
25. (…ことに、…ことには) 文ぶん修飾しゅうしょく副詞ふくし的てきな機能きのうを表あらわす。
    • 困こまったことに彼かれはまだ未成年みせいねんだ。
    • 関係かんけい者しゃの言いうことには、近ちかく企業きぎょう合併がっぺいがあるらしい。
26. (…ないことには、…しないことには…しない）…なければ…しない、…してはじめて…する。
    • それは見みてみないことには何なんとも言いえない。
    • ドライバーがないことにはネジも外はずせない。
27. （口語こうご）否定ひてい文中ぶんちゅうで、用言ようげんの連体れんたい形がたに付ついて、動詞どうしは未然みぜん形がた、他たは連用形れんようけいに相当そうとうする語句ごくを形成けいせいする。
    • 最近さいきん仕事しごとが辛つらいことはないか。（=辛しんくはないか）
    • 寒さむいことない？（=寒さむくない？）
    • どうもうまいこと行いかないな。（=うまく行いかないな）
    • 接客せっきゃくの仕事しごとってけっこう疲つかれることない？（=疲つかれない？）

発音はつおん

• (東京とうきょう式しき) こと​ [kòtóꜜ] (尾高おだか型がた – [2])
• IPA^(?): [ko̞to̞]
• (京阪けいはん式しき) こ​と

派生はせい語ご

• ことがら
• できごと
• ものごと

成句せいく

• 事ことにしている
• 事ことになっている
• 事こととする
• 事ことによると　
• 事ことが足たりる
• 事ことを運はこぶ
• 事ことを起おこす
• 事ことを好このむ
• 事ことを分わける
• 事ことを成なし遂とげる
• 事事ことごとしい
• 事ことと次第しだいで
• 事ことも無なげ
• 事こと改あらためて
• 事こと寄よせす
• 事欠ことかく
• 事こと誤あやまり
• 事細ことこまか
• 事新ことあたらしい
• 事切こときれる
• 事足ことたりる, 事足ことたる
• 事こと珍めずらしく
• 事こと無なし
• 事こと無なく
• 事勿ことなかれ主義しゅぎ
• 事こと立たてる
• ことほどさように
• としたことが

翻訳ほんやく

• インドネシア語ご: hal ^(id)
• ドイツ語ご: Ding ^(de) 中性ちゅうせい, Sache ^(de) 女性じょせい
• 英語えいご: thing ^(en), incident ^(en), event ^(en), affair ^(en)
• フランス語ふらんすご: chose ^(fr) 女性じょせい

体言たいげんをつくる

• 英語えいご: to ^(en) + 動詞どうし, -ing ^(en)
• キクユ語ご: kũ- ^(ki),（c、k、t、th の前まえで）gũ- ^(ki);（動詞どうし語幹ごかんが o や u で始はじまる場合ばあい）ku-（動詞どうし語幹ごかんが a や e で始はじまる場合ばあい）kw- ^(ki), gw- ^(ki)
• ポーランド語ご: -anie ^(pl) 中性ちゅうせい, -enie ^(pl), -cie ^(pl) 中性ちゅうせい
• リンブルフ語ご: -imas ^(lt) 男性だんせい, -ymas ^(lt) 男性だんせい

話はなし

• 英語えいご: matter ^(en)
• カンバ語ご: ũvoo ^(kam)
• キクユ語ご: ũhoro ^(ki)

名詞めいし・言げん

こと【言げん】

1. （主しゅとして複合語ふくごうごで）ことば

発音はつおん

• (東京とうきょう式しき) こと​ [kòtóꜜ] (尾高おだか型がた – [2])
• IPA^(?): [ko̞to̞]
• (京阪けいはん式しき) こ​と

関連かんれん語ご

• 熟語じゅくご:一いち（ひと）言げん（こと）、泣（な）き言げん（ごと）、詫わび（わ）び言げん（ごと）、言げん（こと）問とい（と）い

名詞めいし・琴きん

こと【琴きん、筝】

1. 弦つるが並ならべられている楽器がっき。
2. （もっとも一般いっぱん的てきには）箏そう。
   • 琴きん（きん）は、いわゆる「こと」である箏そうとは別べつの楽器がっきである。

発音はつおん

• (東京とうきょう式しき) こ​と [kóꜜtò] (頭あたま高だか型がた – [1])
• IPA^(?): [ko̞to̞]
• (京阪けいはん式しき) こと​

関連かんれん語ご

• 琴柱ことじ（ことじ）
• 平ひら調子ちょうし（ひらぢょうし）

名詞めいし・異こと

こと【異こと、殊こと】

1. 差異さい。別個べっこ。同一どういつではない状態じょうたい。他た（ほか）と区別くべつされている状態じょうたい。
   • 雰囲気ふんいきを異ことにする
   • 幽明ゆうめい界かいを異ことにする

派生はせい語ご

• ことなる
• 幽明ゆうめい界かいを異ことにする

対義語たいぎご

• つね

副詞ふくし

こと【殊こと】

1. ことに、特とくに、とりたてて。
   • 彼かれは普段ふだんから饒舌じょうぜつなのだが、殊こと、趣味しゅみの話はなしとなると誰だれも止とめられない。
   • 犯人はんにんとして疑うたがわれているが、殊こと彼女かのじょに限かぎってそんなことはしないだろう。

（これらは形容動詞けいようどうしの語幹ごかんを副詞ふくし的てきに用もちいたものとも考かんがえられる。例れい、「当然とうぜんしなければらなない」の当然とうぜん。当然とうぜんという語かたりも当然とうぜんなりという形容動詞けいようどうしの語幹ごかんである）

派生はせい語ご

• ことさら
• ことに
• ことのほか

助詞じょし

こと（終おわり助詞じょし）

1. (格式かくしきばった表現ひょうげん) 活用かつよう語ごの終止しゅうし形がた(連体れんたい形がた)、または、サ変さへん動詞どうし語幹ごかんになるような動作どうさ性せいのある名詞めいしと格かく助詞じょし「の」の組くみ合あわせの後のちに付ついて、命令めいれいや決定けってい事項じこうを表あらわす。～せよ。～しろ。～であるようにしろ。主おもに、箇条書かじょうがきや補足ほそくのような一文いちぶんで完結かんけつする様式ようしきの文ぶんで使つかう。
   • 1946年ねん、日本国にっぽんこく憲法けんぽう

     一いち　法律ほうりつを誠実せいじつに執行しっこうし、国務こくむを総理そうりすること。

   • 1999年ねん、文部もんぶ科学かがく省しょう「盲学校もうがっこう，聾ろう学校がっこう及および養護ようご学校がっこう施設しせつ整備せいび指針ししん」

     日常にちじょう生活せいかつ技能ぎのうの指導しどう等とうで利用りようできる実習じっしゅうのための空間くうかんを計画けいかくすることも有効ゆうこうであること。

   • 2016年ねん、大西おおにし健介けんすけ、第だい192回かい国会こっかい衆議院しゅうぎいん

     いずれにしろ、立候補りっこうほファイルには、保証ほしょうについては保証ほしょうファイル参照さんしょうのことと書かいてあるんですけれども、この保証ほしょうファイルを開示かいじしていただけませんでしょうか。

2. 女性じょせいの古風こふうで上品じょうひんな口調くちょうを表あらわす。
   • 素敵すてきな眺ながめだこと。
   • 「お願ねがいできますこと？」「ええ、かまいませんことよ」

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古典こてん日本語にほんご

名詞めいし・事こと

こと【事こと】

1. 出来事できごと（できごと）。事件じけん。
2. 行為こうい。
3. 行事ぎょうじ。儀式ぎしき。
4. 訳わけ（わけ）。事情じじょう。
5. 仕事しごと（しごと）。任務にんむ。
6. （活用かつよう語ごの連体れんたい形がたに付ついて）〜すること。
7. 文末ぶんまつに用もちいて感嘆かんたんの意いを表あらわす。〜ことだなあ。

語源ごげん

古代こだい日本語にほんご: kötö < 日本にっぽん祖語そご *kətə

発音はつおん

二に拍はく名詞めいし三さん類るい^(?)

• (平安へいあん時代じだい)こと
• (南北なんぼく朝あさ時代じだい)こ​と
• (室町むろまち時代ときよ)こ​と
• (江戸えど時代じだい)こ​と

名詞めいし・言げん

こと【言げん】

1. 言語げんご活動かつどう。ことば。
2. 噂うわさ（うわさ）。評判ひょうばん。
3. 和歌わか。

語源ごげん

古代こだい日本語にほんご: kötö < 日本にっぽん祖語そご *kətə

発音はつおん

二に拍はく名詞めいし三さん類るい^(?)

• (平安へいあん時代じだい)こと
• (南北なんぼく朝あさ時代じだい)こ​と
• (室町むろまち時代ときよ)こ​と
• (江戸えど時代じだい)こ​と

名詞めいし・琴きん

こと【琴きん】

1. (楽器がっき) 琴きん。筝。
2. 琴きんの奏法そうほう。

発音はつおん

二に拍はく名詞めいし五ご類るい^(?)

• (平安へいあん時代じだい)こと​ぉ
• (南北なんぼく朝あさ時代じだい)こと​ぉ
• (室町むろまち時代ときよ)こと​ぉ
• (江戸えど時代じだい)こと​ぉ

形容動詞けいようどうし

こと【異こと、殊こと】

1. 例外れいがい的てきなさま。特殊とくしゅなさま。
   • 見みるに異ことなることなきものの、文字もじに書かきてことことしきもの。 （『枕草子まくらのそうし』）

基本形きほんけい	語幹ごかん	未然みぜん形がた	連用形れんようけい	終止しゅうし形がた	連体れんたい形がた	已然いぜん形がた	命令めいれい形がた	活用かつようの種類しゅるい
ことなり	こと	-なら	-なり	-なり	-なる	-なれ	-なれ	ナリ活用かつよう
			-に

接頭せっとう辞じ 

こと【異こと】

1. 名詞めいしに付ついて「別べつの」「違ちがった」などの意いを表あらわす接頭せっとう辞じ。