アットホームが自治体じちたいをサポート--増加ぞうかする空あき家やの相談そうだん、窓口まどぐちの負担ふたん軽減けいげんへ

　2023年ねん4月がつの「相続そうぞく土地とち国庫こっこ帰属きぞく制度せいど」、6月の「空家あきや等とう対策たいさくの推進すいしんに関かんする特別とくべつ措置そち法ほうの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ」に続つづき、2024年ねん4月がつからは、相続そうぞく登記とうきの申請しんせいが義務ぎむ化かされる。所有しょゆう者しゃ不明ふめいの空あき家やや荒あれた農地のうちなどを減へらすことを目的もくてきに、不動産ふどうさんを相続そうぞくで取得しゅとくしたことを知しった日ひから3年ねん以内いないに登記とうき申請しんせいしなければ、10万まん円えん以下いかの過料かりょうが科かされるというものだ。

　総務そうむ省しょうの住宅じゅうたく・土地とち統計とうけい調査ちょうさによると、空あき家やの総数そうすうは1988年ねんから2018年ねんまでの20年間ねんかんで約やく1.5倍ばい、849万まん戸こに増加ぞうかしている。中なかでも二に次じ的てき利用りよう、賃貸ちんたいや売買ばいばい用ようの住宅じゅうたくを除のぞいた、長期ちょうき不在ふざいなどに該当がいとうする「その他た空あき家や」は約やく1.9倍ばいの349万まん戸こに増加ぞうか。適切てきせつな管理かんりが行おこなわれていない空あき家やが防災ぼうさい、衛生えいせい、景観けいかんなどの点てんにおいて、地域ちいき住民じゅうみんに影響えいきょうを及およぼすと考かんがえられている。

　空あき家やが全国ぜんこく的てきな課題かだいとなる中なか、国土こくど交通省こうつうしょうのモデル事業じぎょう者しゃとして「全国ぜんこく版ばん空あき家や・空あき地ちバンク」を運営うんえいするアットホームは、どのような取とり組くみを行おこなっているのか。アットホーム 業務ぎょうむ推進すいしん部ぶ官公庁かんこうちょう・地域ちいき共ども創そう業務ぎょうむ推進すいしんグループの、太田おおた裕介ゆうすけグループ長ちょうに話はなしを聞きいた。

アットホーム 業務ぎょうむ推進すいしん部ぶ官公庁かんこうちょう・地域ちいき共ども創そう業務ぎょうむ推進すいしんグループ 太田おおた裕介ゆうすけグループ長ちょう

空あき家やに関かんする多様たような情報じょうほう発信はっしんで、参画さんかく自治体じちたいとアクセス数すうが増加ぞうか

　各かく自治体じちたいは、空あき家や対策たいさくの一環いっかんとして、流通りゅうつう活性かっせい化かを目的もくてきとした空あき家やバンクの設置せっちに取とり組くんでいた。しかし自治体じちたいごとの取とり組くみであったことから、ユーザー目線めせんでは「空あき家やバンクが自治体じちたいごとに分散ぶんさんしている」「物件ぶっけんの情報じょうほう項目こうもくが異ことなりわかりづらい」などの声こえがあり、課題かだいとなっていたという。　

　国土こくど交通省こうつうしょうはこれらの課題かだいを解消かいしょうするため、自治体じちたいが把握はあく・提供ていきょうしている空あき家や等とうの情報じょうほうについて、自治体じちたいを横断おうだんして簡単かんたんに検索けんさくできるよう「全国ぜんこく版ばん空あき家や・空あき地ちバンク」の構築こうちくに取とり組くむ。アットホームは運営うんえい事業じぎょう者しゃの一ひとつとして採択さいたくされ、2017年ねん10月がつから「全国ぜんこく版ばん空あき家や・空あき地ちバンク」である「アットホーム 空あき家やバンク」を運営うんえい。2024年ねん2月がつ末まつ時点じてんで全国ぜんこく1788自治体じちたいのうち、773自治体じちたいがアットホーム 空あき家やバンクに参画さんかくしており、普及ふきゅうは徐々じょじょに進すすんでいるという。

　サイト運営うんえい開始かいし当初とうしょは、物件ぶっけんをどのように集あつめるか、物件ぶっけん情報じょうほうをどのように出だすかなどを考かんがえることに力ちからを入いれていたと、太田おおた氏しは話はなす。しかし移住いじゅうを検討けんとうしている人ひとのニーズを紐解ひもといていくと、自治体じちたいの魅力みりょくや支援しえん制度せいどなども重要じゅうような要素ようそであることがわかった。その後ごは自治体じちたいの魅力みりょくをアピールするため、自治体じちたい専用せんようページの活用かつよう方法ほうほうをアドバイスする、各かく自治体じちたいが実施じっししている「おためし移住いじゅう」や地域ちいきおこし協力きょうりょく隊たいの情報じょうほうをサイトで紹介しょうかいするなど、物件ぶっけん情報じょうほう以外いがいの情報じょうほう提供ていきょうにも注力ちゅうりょくしている。コロナ禍か以降いこう、テレワークの普及ふきゅうや二に地域ちいき居住きょじゅうなどへの関心かんしんが高たかまったこともあり、空あき家やバンクへのアクセス数すうは増加ぞうかしているという。

　ユーザーが物件ぶっけんを探さがすとき、通常つうじょうのポータルサイトであれば、駅えきからの距離きょりや広ひろさなど細こまかな条件じょうけんを入いれて検索けんさくすることが多おおい。しかし空あき家やバンクで物件ぶっけんを探さがすときは、テーマから絞しぼったり、フリーワード検索けんさくを使つかったりなど、粗あらい条件じょうけんから絞しぼっていくケースが多おおいことが特徴とくちょう的てきだと太田おおた氏しは話はなす。最近さいきんは古こ民家みんか物件ぶっけん特集とくしゅうや、農地のうち付つき物件ぶっけん特集とくしゅうへのアクセスが増ふえているという。賃貸ちんたい用よう空あき家や物件ぶっけんのフリーワード検索けんさくでは、コロナ禍かでは「テレワーク」が上位じょういだったが、近年きんねんでは「離島りとう」が上位じょういに上あがってくることが増ふえていると、太田おおた氏しは話はなす。

各かく自治体じちたいとのデータ連携れんけいに取とり組くむ

　　「アットホーム 空あき家やバンクを作つくるにあたって目指めざしたことは、とにかく自治体じちたい担当たんとう者しゃの負担ふたんにならないこと。少しょう人数にんずうで運営うんえいでき、さらに担当たんとう者しゃが変かわっても引ひき継つぎがそれほど難むずかしくない、そんなサイト作づくりを目指めざした。空あき家やの基礎きそ知識ちしきやアットホーム 空あき家やバンクの使つかい方かたなどは、動画どうがにまとめて自治体じちたい担当たんとう者しゃ向むけに配信はいしんしている」（太田おおた氏し）

　自治体じちたい担当たんとう者しゃの負担ふたんを軽減けいげんするために進すすめた取とり組くみとしては、アットホームが和歌山わかやま県けん、愛媛えひめ県けん今治いまばり市し、新潟にいがた県けん佐渡さど市し、埼玉さいたま県けん日高ひだか市しと実施じっししたデータ連携れんけいの実証じっしょう実験じっけんもある。CSVデータなどのファイル転送てんそう、API連携れんけい、物件ぶっけんの画像がぞうや文字もじ情報じょうほうをロボットで取得しゅとくするRPA活用かつよう、PDFデータを自動じどうで読よみ取とるOCR活用かつようをそれぞれ実施じっしし、検証けんしょうを行おこなったというものだ。今治いまばり市しと行おこなったAPI連携れんけいがもっとも有効ゆうこうであるという結果けっかを得えて、2023年ねん4月がつからはアットホーム 空あき家やバンクと、今治いまばり市しが運営うんえいする「いまばり空あき家やバンク」で、物件ぶっけんデータのAPI連携れんけいを実装じっそうしている。

出典しゅってん：アットホーム
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　「とはいえ、現状げんじょうはおそらく、紙かみやPDFデータを読よみ取とるOCR活用かつようのニーズが一番いちばん多おおい。実証じっしょう実験じっけんではチェックボックスなどの特殊とくしゅ文字もじを判定はんていすることができず、実用じつよう化かが難むずかしい結果けっかとなってしまったが、PDFデータを活用かつようしている自治体じちたいとのデータ連携れんけいも、引ひき続つづきフォローしていきたい」と、太田おおた氏しは語かたる。

　2024年ねん3月がつからは、新潟にいがた県けん三条さんじょう市しが運営うんえいする「三条さんじょう市し空あき家や・空あき地ちバンク」とも、物件ぶっけんデータのAPI連携れんけいを開始かいし。アットホームは今後こんごも、自治体じちたいが抱かかえる物件ぶっけん情報じょうほうの登録とうろくや更新こうしん、公開こうかいにおける作業さぎょう負担ふたんを軽減けいげんし、業務ぎょうむ効率こうりつ化かを支援しえんしていくという。

移住いじゅう者しゃも空あき家や所有しょゆう者しゃも参照さんしょうできる総合そうごう的てきなサイトへ

　API連携れんけいを開始かいしした今治いまばり市しとは、2023年ねん6月がつから、「不動産ふどうさんID」を活用かつようした概念がいねん実証じっしょうも実施じっししている。アットホーム 空あき家やバンクに登録とうろくされている空あき家や情報じょうほうに不動産ふどうさんIDを付ふ番ばんし、これを情報じょうほう連携れんけいキーとして、自治体じちたいが保有ほゆうする学区がっく情報じょうほうや周辺しゅうへん情報じょうほうなどのオープンデータを突つき合あわせることで、情報じょうほう項目こうもくを拡充かくじゅうするというものだ。

　「他ほかにも、『他たの自治体じちたいの活動かつどうを知しりたい』『意見いけん交換こうかんができる場ばがあると良よい』との自治体じちたい担当たんとう者しゃからの声こえをきっかけに、3カ月かげつに1回かい程度ていど、参画さんかく自治体じちたいを集あつめて意見いけん交換こうかん会かいを開催かいさいしている。2023年ねん12月に施行しこうされた改正かいせい空家あきや対策たいさく推進すいしん特措法とくそほうにより、自治体じちたいは特定とくてい非ひ営利えいり活動かつどう法人ほうじんや一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんなどを『空家あきや等とう管理かんり活用かつよう支援しえん法人ほうじん』として指定していできるようになった。これを受うけて、いち早はやく法人ほうじんの指定していを行おこなった滋賀しが県けん東ひがし近江おうみ市し、山口やまぐち県けん防府ほうふ市し、和歌山わかやま県けん橋本はしもと市しを招まねき『特措法とくそほう改正かいせい以降いこうの空あき家やの取とり組くみについて』をテーマにディスカッションを行おこなうなど、先進せんしん的てきな取とり組くみを実施じっししている自治体じちたいを集あつめて情報じょうほうを共有きょうゆうし、自治体じちたい担当たんとう者しゃをフォローする場ばを設もうけている」（太田おおた氏し）

アットホーム調しらべ「空あき家や・空あき地ち」取引とりひき等とうに関かんする実態じったい・意識いしき調査ちょうさ 調査ちょうさ期間きかん:2023年ねん9～10月がつ

　現在げんざい、自治体じちたいの空あき家や担当たんとう窓口まどぐちへの相談そうだん件数けんすうは増加ぞうか傾向けいこうにある。件数けんすうだけでなく、これまでのような売買ばいばいや相続そうぞくに関かんする相談そうだん以外いがいに、解体かいたいや除じょ却、空あき家や管理かんり、リフォームなど、相談そうだんの種類しゅるい自体じたいが増ふえていることも近年きんねん見みられる傾向けいこうだと太田おおた氏しは話はなす。

アットホーム調しらべ「空あき家や・空あき地ち」取引とりひき等とうに関かんする実態じったい・意識いしき調査ちょうさ 調査ちょうさ期間きかん:2023年ねん9～10月がつ

　「アットホームとしては、これらの多様たような問とい合あわせに対応たいおうできる情報じょうほうを配信はいしんしていくことが次つぎの課題かだい。これまでのアットホーム 空あき家やバンクは移住いじゅう者しゃ向むけの情報じょうほうが多おおかったが、今後こんごは空あき家や所有しょゆう者しゃ向むけの情報じょうほうも配信はいしんできないかと考かんがえている。窓口まどぐちに問とい合あわせが来きたときに、必要ひつような情報じょうほうが一覧いちらんで確認かくにんできれば、担当たんとう者しゃの負担ふたん軽減けいげんにつながる。現在げんざいは、解体かいたい工事こうじの一括いっかつ見積みつもりサービスを提供ていきょうするクラッソーネさんが扱あつかう解体かいたい費用ひようシミュレーターをサイトのバナーに設置せっちし、所有しょゆう者しゃが質問しつもんに答こたえていくことで、おおよその解体かいたい費用ひようと解体かいたい業者ぎょうしゃの連絡れんらく先さきが入手にゅうしゅできる仕組しくみを用意よういしている」（太田おおた氏し）

　アットホーム 空あき家やバンクは今後こんごも、データ連携れんけいやその他たの取とり組くみを通とおして、自治体じちたいの空あき家やバンクに関かかわる課題かだい解決かいけつと、空あき家や情報じょうほうの流通りゅうつう活性かっせい化かに貢献こうけんしていくという。