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地層(チソウ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

地層ちそうみ)チソウ英語えいご表記ひょうき)strata

翻訳ほんやくstrata

デジタル大辞泉だいじせん地層ちそう」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

ち‐そう【地層ちそう

あるあつさとひろがりをもった層状そうじょういわたいしゅとして堆積たいせきたいせきいわからなり、そうられる。
[類語るいご]炭層たんそう油層ゆそうどろ炭層たんそう砂礫されきそう鉱床こうしょう鉱脈こうみゃく金脈きんみゃく岩盤がんばんせいかいちゅうせいかい新生しんせいかいだいさんそうだいさんけいひろし積層せきそうおき積層せきそう断層だんそうかつ断層だんそう露頭ろとう

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん地層ちそう」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

ち‐そう【地層ちそう

  1. 名詞めいし すな小石こいしどろ火山灰かざんばい生物せいぶつたいなどが地表ちひょうまたは水底みなそこかさなってできた堆積岩たいせきがんいたじょういわたい。ふつう地層ちそう断面だんめんには堆積たいせき順序じゅんじょしめしま模様もようがある。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「温度おんどこうきはけだし礦水源泉げんせん所在しょざい地層ちそうはなは深遠しんえんなるにり、あるい地層ちそうちゅう物質ぶっしつ水中すいちゅう混入こんにゅうし、作用さようにて非常ひじょうねつはっするにるなり」(出典しゅってんきば初学しょがく須知しゅうち(1875)〈田中たなか耕造こうぞうやく)

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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)地層ちそう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

地層ちそう
ちそう
strata

層状そうじょうをなしたいわたい地層ちそうという。地層ちそうおおくは堆積たいせき(たいせき)いわからなる。しかし火山かざん活動かつどう密接みっせつ関係かんけいをもつ溶岩ようがん火山岩かざんがん)や火山かざん砕屑(さいせつ)いわ地層ちそうとよばれる。また、サンゴ礁さんごしょう石灰岩せっかいがんなど堆積岩たいせきがんでありながらしょう塊状かいじょうがんからだをつくるものも、よりひろ範囲はんいない層状そうじょうをつくって分布ぶんぷするので、地層ちそうとよばれる。

木村きむら敏雄としお村田むらた明広あきひろ

そう形成けいせい過程かてい

地層ちそう海底かいてい陸上りくじょうわず地表ちひょう物質ぶっしつ堆積たいせきするか、または地表ちひょうながれてできる。火山かざん砕屑がんふくめて、堆積岩たいせきがんをつくる砕屑ぶつ化学かがく物質ぶっしつは、そのときどきに存在そんざいする堆積たいせき表面ひょうめん、すなわち地表ちひょうめん平行へいこう堆積たいせきしてそう成層せいそう)をつくる。地表ちひょうめん微小びしょうなものをふくめて、多少たしょうとも凹凸おうとつをもつ。凹凸おうとつ斜面しゃめんきゅうおおきいところには堆積たいせきはおこらない。斜面しゃめん堆積たいせきするかかは堆積たいせきぶつがもつ安息あんそくかく、すなわち、すべりをおこさずに堆積たいせき可能かのう最大さいだい傾斜けいしゃかくによる。安息あんそくかくあらつぶ堆積たいせきぶつほどおおきく、みずおおふくむほどちいさくなる傾向けいこうがある。したがって海底かいていではどろそう安息あんそくかくちいさく、すう以内いない傾斜けいしゃ斜面しゃめんでも安定あんていうしなすべり崩壊ほうかいをおこす。

 一方いっぽう陸上りくじょうでのつぶかくつぶて(そりゅうかくれき)いわは、かなりの傾斜けいしゃかくをもつ安定あんてい斜面しゃめんをつくることができる。また、陸上りくじょうみず影響えいきょうけないところでは、火山灰かざんばいはしばしば地表ちひょう起伏おきふしなりに成層せいそうする。すなわち、堆積たいせき当初とうしょから地層ちそうはかなりの傾斜けいしゃをもつことがある。しかし、堆積岩たいせきがん主要しゅよう堆積たいせきである水底みなそこでは、凹部に堆積たいせきがおこりやすく、そこはしだいにてられて水平すいへいおおきくひろがろうとする傾向けいこうをもつ。このようにしておおきなひろがりをもった水底みなそこでは水平すいへいそう堆積たいせきする。これは「はつみなもと堆積たいせき水平すいへい法則ほうそく」とよばれる。このように水平すいへいそう次々つぎつぎうえかさなって堆積たいせきすると、うえかさなる地層ちそうした地層ちそうよりわかいことになる。これは「地層ちそうるいじゅう法則ほうそく(ちそうるいじゅうのほうそく)」(またはるいじゅう法則ほうそく)とよばれ、相接あいせっするふたつの地層ちそう新旧しんきゅう判別はんべつするときの基準きじゅんとなる。

木村きむら敏雄としお村田むらた明広あきひろ

たんそうそう

明瞭めいりょう(めいりょう)なそうめんはさまれ、かつほぼ類似るいじいわしつからなるそうたんそうという。たんそうなかにみられる、よりこまかいそうそうとよばれる。これは普通ふつう1センチメートルよりもうすいものについていう。そうはそれをつつたんそう平行へいこうであるが、はすかわしてはす交葉をつくることがある。地層ちそうはまた、たんそうをつくらずレンズじょうとなることがある。レンズじょう地層ちそうはその周辺しゅうへんでしだいにうすくなり、ついに消滅しょうめつする。同様どうよう消滅しょうめつ一方向いちほうこうにのみおこしたたんそうは、したじょうそうとよばれる。ことなるいわしつたんそう交互こうごかさなりった地層ちそうは互層である。また、ことなるいわしつ地層ちそうたがいにがわかたうつわる関係かんけいにあるとき「ゆび交interfingering」という。がけ(がけ)のようなきゅう斜面しゃめんがわかた堆積たいせきした地層ちそうはアバットabutという。堆積たいせきまもなくしょうじた海底かいていすべり褶曲しゅうきょく(しゅうきょく)そうが、褶曲しゅうきょくしない地層ちそうあいだはさまれて、堆積たいせきによるそうない褶曲しゅうきょく形成けいせいしていることもある。整合せいごうはさ地層ちそうはいうまでもないが、浮遊ふゆうしたどろしつ粒子りゅうし一様いちよう沈下ちんかしてしだいにかさなったような場合ばあいのぞくと、連続れんぞくして堆積たいせきしたとみえる地層ちそうでも堆積たいせきはやさは一様いちようでない。こん濁流だくりゅうらんどろりゅう堆積たいせきぶつちゅうどろがんそう砂岩さがんそうとの互層についていうと、どろがんすうセンチメートル未満みまんすすきそうでもすうひゃくねん堆積たいせきようしているのに、砂岩さがんは1メートルちかくのあつそうでも1にち未満みまん堆積たいせきしたものがある。きゅうそうはす交層など堆積たいせき形態けいたいのなかには、堆積たいせきにどちらが上位じょういであったかの地層ちそう堆積たいせききをしめすものがある。地殻ちかく変動へんどうによっていちじるしく変形へんけいした地層ちそう褶曲しゅうきょく構造こうぞう解析かいせきするのにやくだつ。

木村きむら敏雄としお村田むらた明広あきひろ

堆積たいせきぼん

過去かこにおいても現在げんざい同様どうように、地層ちそう河川かせん流域りゅういき河口かこう湖沼こしょうかたうみなどにあつ堆積たいせきした。地層ちそう周辺しゅうへんよりもあつ堆積たいせきした凹地じょう区域くいき堆積たいせきぼんという。りく域内いきないないしりくいきかこまれた内海うちうみでは普通ふつう沈降ちんこうによって堆積たいせきぼんができる。周辺しゅうへん区域くいき隆起りゅうきともない、そこが砕屑ぶつ供給きょうきゅうとなることもおおい。うみでは、周辺しゅうへんよりもとくに地層ちそうあついわけではないが、大洋たいよう中心ちゅうしん巨大きょだい堆積たいせきぼんがある。りくいきせっした区域くいきでも、りくからややはなれたところに隆起りゅうきたいができると、しまぜんえん盆地ぼんちのように堆積たいせきぼんができる。りくいき周辺しゅうへんひろうみでは、りくいきから多量たりょうの砕屑ぶつ供給きょうきゅうがあるため、堆積たいせきぼんがあろうとなかろうと、りくがわあつうみがわうすくなる、くさびじょう堆積たいせきたいをもつ堆積たいせきいきができる。河口かこう三角州さんかくす堆積たいせきたいはその小規模しょうきぼのものである。これらろくせっしたひろうみでは、うみがわ沈降ちんこうりくがわ上昇じょうしょうがあるとき、造山つくりやま運動うんどう堆積たいせきそうのように、その堆積たいせきたいはときに巨大きょだいになる。

 堆積たいせきぼんなかでの堆積たいせきは、かならずしも中心ちゅうしんからしだいにてていくようにはおこらない。砕屑ぶつ供給きょうきゅう運搬うんぱん仕方しかた方向ほうこう周辺しゅうへんふくめた区域くいきでの地殻ちかく変動へんどうのおこりかたによって、ひとつの堆積たいせきぼんないでも場所ばしょにより堆積たいせき仕方しかたことなる。

木村きむら敏雄としお村田むらた明広あきひろ

堆積たいせきのサイクル

堆積たいせきぼんあたらしく地層ちそう堆積たいせきはじめるとき、しばしばつぶてがんまたは砂岩さがん地層ちそう堆積たいせきし、そのうえにしだいにどろがんおもとする地層ちそう堆積たいせきする。ときには、さらにそのうえつぶがんからなる地層ちそうがのる。はじあさかったうみがしだいにふかくなりまたあさくなった、すなわちうみすすむうみ退すさとがおこったためであるとほぐされることがおおい。このようなうみしんからうみ退すさまでの一連いちれん堆積たいせき現象げんしょうを、堆積たいせきのサイクル(輪廻りんね(りんね))とよぶ。うみ退すさとき地層ちそうはしばしば侵食しんしょくによって除去じょきょされ、うみしんそううえ直接ちょくせつ整合せいごうつぎ堆積たいせきサイクル開始かいしそう堆積たいせきすることがおおいので、うみしんそうまでを堆積たいせきのサイクルとよぶことがおおい。堆積たいせきのサイクルは全体ぜんたいとして、普通ふつう200~300メートル以上いじょうあつさで、うみ成層せいそう主体しゅたいとすることがおおい。これにたいして、したはん炭層たんそうをもつ淡水たんすい成層せいそうと、うえはん浅海せんかいそうからなるあつすうメートルからすうじゅうメートルの単位たんいサイクルそうかえしてあらわれる事象じしょうが、炭田すみた地区ちくなどでられている。これについてはサイクロセムcyclothem(堆積たいせきしょうサイクル)のがある。

 堆積たいせきのサイクルはひろし(はん)世界せかいてき海面かいめん上昇じょうしょうによってもおこるが、あつ地層ちそうからなるサイクルそうは、広域こういきみやつこりく運動うんどうまたは局地きょくちてき地殻ちかく変動へんどうともな相対そうたいてき海面かいめん変動へんどうによっている。サイクロセムも地殻ちかく不安定ふあんてい起因きいんするとされている。日本にっぽんでは周期しゅうきてきにおこる火山かざん活動かつどうかえせられることがある。

木村きむら敏雄としお村田むらた明広あきひろ

地層ちそう堆積たいせき環境かんきょう

沿岸えんがん沖合おきあいの区別くべつがあるように、ひとつの堆積たいせきぼんないでも堆積たいせき環境かんきょう一様いちようでない。したがって、あるおな年代ねんだい期間きかん地層ちそうでも場所ばしょによって堆積たいせきそう生物せいぶつぐんことなる。これを同時どうじ異相いそうという。そして堆積たいせき環境かんきょうちがいをしめ岩石がんせきがくてき生物せいぶつがくてき特徴とくちょうをそれぞれいわしょうなましょうという。そして沿岸えんがんしょう沖合おきあいしょうなどといわれる。砂岩さがんまたはどろがんおおいことで特徴とくちょうづけられる場合ばあいには砂岩さがんしょうどろがんしょうとよばれる。堆積たいせき環境かんきょうしめ化石かせきしめせしょう化石かせきである。これらはみじか期間きかんない異相いそうであるが、大陸たいりくてき広域こういき長期ちょうきにわたるみやつこ環境かんきょうちがいによってしょうじた異相いそう構造こうぞうしょうという。たとえば、安定あんてい陸棚りくだな環境かんきょう長期ちょうき堆積たいせきした地層ちそうぐんは、安定あんてい陸棚りくだなしょうとよばれる。

木村きむら敏雄としお村田むらた明広あきひろ

かぎそう

とくにだつ特徴とくちょうをもち、かつ広範囲こうはんいにほぼ同時どうじ堆積たいせきしたとみられる地層ちそうは、かぎそう(かぎそう)とよばれる。安定あんてい陸棚りくだな沿岸えんがんちかくで堆積たいせきした石英せきえい砂岩さがんそうはそのような特徴とくちょうをもち、安定あんてい陸棚りくだなしょう区域くいき地質ちしつ調査ちょうささいに、かぎそうとしてしばしば利用りようされている。地形ちけいてき突出とっしゅつしてだつので、かぎそうとしての有用ゆうようせいしている。これにたいして不安定ふあんてい区域くいきでは、沿岸えんがんしょう厳密げんみつ同時どうじそうでないことがおおい。たとえば基底きていつぶてがんは、うみしん進行しんこうともなって、時間じかん変化へんかとともに堆積たいせきえることがおおい。その特徴とくちょうあるいわしつ地質ちしつ調査ちょうさ手助てだすけとなるが、同時どうじしめかぎそうとはなりえない。不安定ふあんてい区域くいきであった日本にっぽんでは、ことなる環境かんきょうにまたがって同時どうじ堆積たいせきした火山灰かざんばいそうがよいかぎそうとなることがおおい。

木村きむら敏雄としお村田むらた明広あきひろ

地層ちそう区分くぶん対比たいひ

地層ちそうひろ範囲はんいではかならず同時どうじ異相いそうしめす。すなわち、場所ばしょによってことなるいわしつ地層ちそう堆積たいせきしている。したがって、地層ちそう区分くぶんには岩石がんせきがくてき性質せいしつによるいわそう区分くぶん時代じだい区分くぶんとがある。地層ちそう記載きさい地質ちしつへの記入きにゅうにあたって、いわそう区分くぶん基本きほん単位たんいそうとなるるいそう(るいそう)は、単一たんいつまたは複数ふくすうしゅ堆積岩たいせきがんからなり、そうから容易ようい区別くべつできる特徴とくちょうをもち、しかも地質ちしつ記入きにゅう可能かのうおおきさをもつものである。るいそうよりちいさい単位たんいとしてそうがある。るいそうあつまって、よりおおきい単位たんいとしてのそうぐんをつくる。整合せいごう存在そんざいをもってそうぐん境界きょうかいとすることがおおい。また、いくつかのそうぐんをまとめてるいそうぐんとよぶ。これらの単位たんいそうは、典型てんけいてき発達はったつする場所ばしょしきとして、その地名ちめいして、たとえば清澄せいちょう(きよすみ)そうるいはしばしば省略しょうりゃくされる)、上総かずさ(かずさ)そうぐんのようによばれる。日本にっぽんでは、おおきい堆積たいせきぼんひろひろがっていたなか古生代こせいだい地層ちそうについて、ひろ範囲はんいどういちいわそう単位たんい適用てきようできることがおおい。堆積たいせきぼんせまかった新生代しんせいだいしんだいさん地層ちそうではぎゃくである。

 時代じだい区分くぶん単位たんいは、化石かせきたいおよびきのだいである。ことなる位置いちにある地層ちそうどう時代じだいのものであるかかの認定にんてい対比たいひという。対比たいひしめせじゅん化石かせき標準ひょうじゅん化石かせき)によっておこなわれる。したがって、化石かせきたい地層ちそう対比たいひ基本きほん単位たんいで、それをしめしめせじゅん化石かせきたねめいまたはぞくめいでよばれる。きのだいは、単一たんいつ少数しょうすうまたは多数たすう化石かせきたいからなる。かたぎしき地域ちいき地名ちめいでよばれることもあるし、そこでの研究けんきゅう反映はんえいしたのこともある。生物せいぶつ進化しんかあるいは環境かんきょう変化へんか起因きいんして、しき化石かせきたいぐんにややおおきい変化へんかがあったところに境界きょうかいが、もっとおおきい変化へんかがあったところに境界きょうかいさだめられている。だい境界きょうかいには、動物どうぶつ化石かせきぐん世界せかいてきだい変化へんかがおこった。かたぎしきでは、どういち環境かんきょう進行しんこうした生物せいぶつ進化しんかによってではなくて、その区域くいき環境かんきょう変化へんかによる生物せいぶつぐん変化へんかしたがって境界きょうかいさだめられていることがおおい。そのため、境界きょうかい位置いちについてしばしば学界がっかい論争ろんそうがある。ことなる環境かんきょうのそれぞれには、ことなる生物せいぶつグループのしめせじゅん化石かせきがある。異相いそう地層ちそうゆびかわしているとき、それぞれのしめせじゅん化石かせき利用りようしてたがいの対比たいひ可能かのうとなる。国際こくさいてきしき地域ちいきおなしめせじゅん化石かせきがない地域ちいきでも、このような研究けんきゅうもとにして国際こくさい時代じだい区分くぶんとの対比たいひおこなわれている。対比たいひおこなわれ時代じだい確定かくていした地層ちそうかいすべけいさかいとよばれる。たとえば、中新ちゅうしんジュラ紀じゅらき古生代こせいだい地層ちそうは、それぞれちゅうしんすべジュラけいいにしえせいかいとよばれる。

 近年きんねんかく時代じだい年代ねんだいあきらかになってきたので、地層ちそうはさまれた火山灰かざんばいそうなどの放射ほうしゃ年代ねんだい測定そくていによっての対比たいひおこなわれる。新生代しんせいだい後期こうきそうについては、磁気じきそうじょがくによる対比たいひおこなわれる。堆積たいせき環境かんきょうかぎらず、地質ちしつ環境かんきょうでは岩石がんせきしょうじる。また、おな時代じだい近接きんせつした場所ばしょでも、しばしばたがいの地質ちしつ環境かんきょうことなる。たとえば、隣接りんせつする火山かざんいわしつことなることがある。したがって、いわしつ類似るいじのみをもって、はなれた地区ちくいわたい対比たいひすることはできない。ただしい対比たいひによって、ひろ区域くいきなかでのある時点じてんにおける地質ちしつ環境かんきょう分布ぶんぷりうるし、時点じてんとの比較ひかくによって、地質ちしつ環境かんきょう変遷へんせんりうる。これが地質ちしつ現象げんしょう理解りかいする基本きほんとなる。

木村きむら敏雄としお村田むらた明広あきひろ


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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん地層ちそう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

地層ちそう (ちそう)
stratum

地層ちそうというのは本来ほんらいそうめんしめ地殻ちかく物質ぶっしつであり,そのことから一般いっぱんには層状そうじょうかさなった堆積岩たいせきがん場合ばあいおおい。堆積岩たいせきがんりょうとしては地殻ちかく表層ひょうそうの20%以下いかめるにすぎないが,表面積ひょうめんせきとしてはじつに75%以上いじょうたっし,しかも地層ちそう地球ちきゅう歴史れきしかんするさん次元じげんてき枠組わくぐみをあたえることがあきらかになったことから,重要じゅうようなものとしてあつかわれている。

地層ちそうには化石かせきふくまれているが,その意味いみについてはながあいだ正確せいかくには理解りかいされなかった。ギリシア時代じだいアリストテレス化石かせき観察かんさつし,それらはうみ生物せいぶつ遺骸いがいであり,かつて陸地りくちうみおおわれていたとかんがえた。しかしかれかんがえには,その化石かせきふる時代じだいのものであるとか,化石かせきとなった生物せいぶつ進化しんかして現在げんざい生物せいぶつたっしたというようなことはまったくふくまれていず,このかんがえは中世ちゅうせいつうじてわらなかった。だい航海こうかい時代じだい人々ひとびとはしだいに自然しぜん観察かんさつくようになった。化石かせき成因せいいんかんして,イタリアではレオナルド・ダ・ビンチ生物せいぶつ起源きげんのものが地層ちそう化石かせきとしてのこされる過程かてい具体ぐたいてき観察かんさつ記述きじゅつしている。その17世紀せいきに,コペンハーゲンうまれでイタリアでほとんどをごしたN.ステノは地層ちそう形成けいせいかんしてつぎのような観察かんさつおこなっている。(1)堆積たいせきそうかたまった基盤きばんうえ形成けいせいされる,(2)したがってした基盤きばんそう新規しんき堆積たいせきはじまるまえかたゆいしていなければならない,(3)ひとつのそう地表ちひょうをすべておおっているか,またはそうによって局限きょくげんされて分布ぶんぷする,(4)一連いちれん堆積たいせき継続けいぞくちゅうはそこにみず存在そんざいして沈殿ちんでんおこなわれるのであるから,そのしたにある地層ちそううえのものよりふるい。このステノが観察かんさつしたものが,史学しがくにおける基本きほんてき概念がいねんひとつといわれる〈地層ちそうるいじゅう法則ほうそく〉に発展はってんする。18世紀せいきになって,現代げんだい地質ちしつがく確立かくりつしていくが,そのあいだ貢献こうけんのあった2人ふたりげるとJ.ハットンとW.スミスである。ハットンは現在げんざいみられる運搬うんぱん浸食しんしょく堆積たいせきなどの作用さよう過去かこ地層ちそう理解りかいするうえに重要じゅうよう意味いみがあり,それを〈現在げんざい過去かこかぎである〉という,のち斉一せいいつせつばれるかんがえでしめした。スミスは水路すいろ掘削くっさく調査ちょうさ技師ぎしとしてイギリス南部なんぶ地層ちそう調しらべるうちに,ことなった地層ちそうは,そのなかふくまれる特徴とくちょうてき化石かせき群集ぐんしゅうによって区別くべつされることにがついた。かれはこのかんがえにもとづいて地層ちそう新旧しんきゅう区別くべつおこない,1815ねんみなみイングランドとウェールズの最初さいしょ地質ちしつ刊行かんこうした。この化石かせき地層ちそう同定どうてい利用りようできるという〈地層ちそう同定どうてい法則ほうそく〉は地層ちそうへんねん基礎きそとしてその急速きゅうそく利用りようされた。

堆積たいせき作用さよう堆積たいせき環境かんきょう地層ちそう構成こうせいしている物質ぶっしつ反映はんえいしているとかんがえて地層ちそう分類ぶんるいすることをいわしょうてき区分くぶんという。地層ちそう構成こうせい物質ぶっしつにはおおきくけて砕屑(さいせつ)せい火山かざんせい生物せいぶつげん化学かがくげんなどがあるが,地球ちきゅう生成せいせい以来いらい変化へんかをみると,始生代しせいだいにはおもに火山かざんせい卓越たくえつし,原生代げんせいだいつうじしだいに砕屑せいえ,あらわせいだいには生物せいぶつ化学かがくげんいわしょうおおくなってきているという特徴とくちょうがある。また,おながんしょうてき区分くぶんではあるが,堆積たいせきによってりく成層せいそううみ成層せいそうとに区分くぶんされる。このような判断はんだんだいいちがかりは,しめせしょう化石かせきといわれる特定とくてい環境かんきょうにのみ生息せいそくする化石かせきつけることによって成立せいりつする。りく成層せいそう河川かせん堆積たいせきぶつ扇状地せんじょうち堆積たいせきぶつなり堆積たいせきぶつ氷河ひょうが堆積たいせきぶつ砂漠さばく堆積たいせきぶつなどに区分くぶんされ,うみ成層せいそう海岸かいがん堆積たいせきぶつ三角州さんかくす堆積たいせきぶつ浅海あさみ深海しんかい堆積たいせきぶつなどに区分くぶんされる。これらの環境かんきょうにはそれぞれ固有こゆう初生しょせいてき堆積たいせき構造こうぞうがあり,地層ちそう特徴とくちょうづけている。一般いっぱん堆積たいせき構造こうぞうにはつぎのような種類しゅるいがある。(1)地層ちそう外形がいけい あつさとか形状けいじょうおよび連続れんぞくせいなどをし,一般いっぱん深海しんかい堆積たいせきぶつほど連続れんぞくせいがよくそうあつうすい。一方いっぽう浅海あさみ堆積たいせきぶつ形状けいじょう変化へんかみ,整合せいごうがみられる。(2)内部ないぶ構造こうぞう そう種々しゅじゅ形態けいたいす。砂漠さばく浅海あさみ堆積たいせきぶつ特徴とくちょうてきなクロスラミナ,しげる浅海あさみ堆積たいせきぶつにみられるリップルそう深海しんかい堆積たいせきぶつにみられるきゅうそうなどがそのれいである。(3)地層ちそうめん表裏ひょうりにみられるあと 地層ちそうめんのこ雨滴うてきあととか,恐竜きょうりゅう足跡あしあとなが堆積たいせきぶつ底面ていめんにできるりゅうこんあとなどがある。(4)堆積たいせき同時どうじせい変形へんけい すべり堆積たいせきぶつや,堆積たいせきせいがんみゃくなどによるらん堆積たいせき層間そうかん異常いじょうなどがそのれいである。

 このように地層ちそう構成こうせいする組成そせい組織そしきかたさ,しょくとか堆積たいせき構造こうぞう識別しきべつしてひとつの単位たんいそう区分くぶんしたとき,それをたんそうbedとぶ。たんそう地層ちそう最小さいしょう単位たんいで,そのあつさはすうmmのラミナからかずmあるいはそれ以上いじょうまでのはばがある。たんそうがまとまったのがそういんmember,るいそうformation,そうぐんgroupなどと区分くぶんされている。これらの単位たんい年代ねんだいてき意味いみをもっているものではないが,ときにそうぐんけい分類ぶんるいされることもある。しかし,一般いっぱんには堆積たいせき変動へんどう支配しはいされて地層ちそう形成けいせいするとかんがえられており,その場合ばあいに,造山つくりやまサイクルとしてケイしつ砂岩さがんまたは炭酸たんさんしおがんはじまり,蒸発じょうはつがん黒色こくしょくどろがんて,ついにフリッシュ堆積たいせきぶつとなり,やがて浅海せんかいせいあらつぶ堆積たいせきぶつから赤色あかいろ砂岩さがんわるという見方みかたひとつの基準きじゅんとなる。

 つぎ生成せいせい年代ねんだい基準きじゅんとした区分くぶん存在そんざいし,その場合ばあいにはしめせじゅん化石かせき重要じゅうよう役割やくわりをはたしている。地層ちそう地質ちしつ時代じだいながさに対応たいおうしてさかいgroup(またはerathem),けいsystem,みつるseries,かいstage,かいsubstageとけている。これを地質ちしつ系統けいとうといい,地質ちしつへんねんすることをそうがくstratigraphyと名付なづける。地質ちしつ時代じだい相対そうたい年代ねんだい絶対ぜったい年代ねんだいふたつで決定けっていされる。相対そうたい年代ねんだい化石かせき進化しんか系列けいれつ比較ひかくして地層ちそう新旧しんきゅうめる〈地層ちそう同定どうてい法則ほうそく〉にのっとった方法ほうほうで,最近さいきんでは地磁気ちじきそうがく化石かせきとまったくおな方法ほうほう調しらべられているし,また酸素さんそなどの安定あんてい同位どういたいのえがく変動へんどう曲線きょくせんおなじものとかんがえられている。一方いっぽう絶対ぜったい年代ねんだいは,14C(炭素たんそ14)ほう,K-Arほう,U-Pbほうなどの放射ほうしゃせい元素げんそ崩壊ほうかい速度そくどから,その鉱物こうぶつふく岩石がんせきができてから現在げんざいまでの年数ねんすうはかられる。

 なお,それぞれはなれた地点ちてんにある地層ちそう時代じだいごとにつきわせることを地層ちそう対比たいひというが,比較的ひかくてき短距離たんきょり対比たいひでは,化石かせきのほか火山灰かざんばい岩塩がんえんそうなどの特徴とくちょうてき地層ちそうかぎそう)ががかりとしてもちいられる。

こうはすなどには大量たいりょう地層ちそう保存ほぞんされているが,これは堆積たいせきぼん形成けいせいされ,堆積たいせきぶつがそれをめることによって保存ほぞんされるためで,地層ちそう結果けっかてきつくられるのだというかんがえがある。そこで堆積たいせきぼん種類しゅるい形成けいせい機構きこうについてふれると,堆積たいせきぼんについてはクラトン内部ないぶにできる内陸ないりく盆地ぼんち海陸かいりく縁辺えんぺんいきにできる縁辺えんぺん盆地ぼんちとにけられる。盆地ぼんち形成けいせい原因げんいんのおよそ50%は堆積たいせきぶつ自重じちょうによる地殻ちかくのアイソスタシーによって説明せつめいされるが,そのの50%の成因せいいんかんしてはいろいろな議論ぎろんがある。最近さいきん有力ゆうりょくなのがねつ冷却れいきゃくせつで,ミシガン盆地ぼんち,パリ盆地ぼんちなどの研究けんきゅうがある。一方いっぽう,マントルクリープによる地殻ちかくうす地溝ちこう形成けいせい有力ゆうりょくかんがえである。

地下ちか資源しげんの70%以上いじょう地層ちそうちゅうから産出さんしゅつする。石油せきゆ天然てんねんガスおよび石炭せきたんなどのエネルギー資源しげんはすべて堆積たいせきせい鉱床こうしょうといい,地層ちそうちゅうからさんする。そのほか,アルミニウムの原料げんりょうのボーキサイト,肥料ひりょう原料げんりょうとなるリンこう,さらに岩塩がんえんおよび層状そうじょう鉄鉱てっこうゆか窯業ようぎょう原料げんりょうとしてのカオリン粘土ねんど耐火たいか原料げんりょうケイ藻土けいそうど石綿いしわた,セメント原料げんりょう石灰岩せっかいがんなどおおくのれいがある。さらに最近さいきんではどう亜鉛あえん鉱床こうしょうとして日本にっぽんでは有名ゆうめいくろこう火山かざんせい海底かいてい堆積たいせきぶつかんがえられてきている。
地下ちか資源しげん
執筆しっぴつしゃ

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百科ひゃっか事典じてんマイペディア地層ちそう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

地層ちそう【ちそう】

堆積岩たいせきがんにみられるあるあつさとひろがりをもったそう基本きほんてき構造こうぞうとしてたんそうそうみっつをゆうする。たんそう地層ちそう最小さいしょう単位たんいであり,そうはそのじゅうなりのあらわれであり,たんそう内部ないぶ構造こうぞうである。地層ちそう区分くぶん単位たんいは,たんそうから次第しだいおおきなほうへ,そうるいそうそうぐんるいそうぐんづけられている。そうぐん境界きょうかいには,ふつう整合せいごうみとめられる。るいそうぐん一般いっぱんひとつの堆積たいせき盆地ぼんち堆積たいせきぶつあらわす。このほか,地層ちそうかたには,時間じかんによるもの(地質ちしつ系統けいとう),生成せいせい環境かんきょうによるもの(うみ成層せいそうりく成層せいそうなど)などがある。→地層ちそうるいじゅう法則ほうそく

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地層ちそう
ちそう
stratum

層状そうじょうをなして累積るいせきする堆積岩たいせきがんいわたい。その縦断じゅうだんめんにみられるしまじょう構造こうぞうそうといい,そうめん地層ちそうめんという。

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