文化財ぶんかざい登録とうろく制度せいど（読よみ）ぶんかざいとうろくせいど

1996年ねん（平成へいせい8）10月がつ施行しこうの文化財ぶんかざい保護ほご法ほうの一部いちぶ改正かいせい法ほうにより導入どうにゅうされた制度せいど。近代きんだいの文化財ぶんかざいの保護ほごを図はかることを目的もくてきに、従来じゅうらいの指定してい制度せいどを補完ほかんするものとして、緩ゆるやかな保護ほご措置そちを講こうずる制度せいどである。当初とうしょ、登録とうろくの対象たいしょうは、家屋かおく、倉庫そうこなどの建築けんちく物ぶつ、橋はし、ダム、トンネルなどの土木どぼく構造こうぞう物ぶつ、煙突えんとつなどの工作こうさく物ぶつなど、有形ゆうけい文化財ぶんかざいのうち建造けんぞう物ぶつのみであり、原則げんそくとして建設けんせつ後ご50年ねんを経過けいかしたものであって、かつ(1)国土こくどの歴史れきし的てき景観けいかんに寄与きよしているもの、(2)造形ぞうけいの規範きはんとなっているもの、(3)再現さいげんすることが容易よういでないもの、のいずれかを満みたすことが登録とうろくの基準きじゅんとされていた。その後ご、2004年ねん（平成へいせい16）の同どう法ほう改正かいせい（施行しこうは2005年ねん）により、登録とうろくの対象たいしょうが建造けんぞう物ぶつ以外いがいの有形ゆうけい文化財ぶんかざい（絵画かいが・彫刻ちょうこくなどの美術びじゅつ工芸こうげい品ひん）まで拡充かくじゅうされ、さらに有形ゆうけい民俗みんぞく文化財ぶんかざいおよび記念きねん物ぶつの登録とうろく制度せいども創設そうせつされた。それぞれ登録とうろく有形ゆうけい文化財ぶんかざい、登録とうろく有形ゆうけい民俗みんぞく文化財ぶんかざい、登録とうろく記念きねん物ぶつとして、文部もんぶ科学かがく大臣だいじんが文化財ぶんかざい登録とうろく原簿げんぼに登録とうろくし、その旨むねは官報かんぽうで告示こくじされる。なお、登録とうろくされた建造けんぞう物ぶつに対たいしては地価ちか税ぜい、固定こてい資産しさん税ぜいの軽減けいげんなどの支援しえん措置そちがとられる。こうした建造けんぞう物ぶつは使用しよう中ちゅうのものがほとんどであるため、所有しょゆう者しゃへの規制きせい内容ないようは指定してい制度せいどと比くらべ緩ゆるやかになっている。たとえば現状げんじょう変更へんこうについては、重要じゅうよう文化財ぶんかざいでは文化庁ぶんかちょう長官ちょうかんの許可きょかが必要ひつようであるが、登録とうろく文化財ぶんかざいの場合ばあいは届とどけ出でればよく、文化庁ぶんかちょう長官ちょうかんは必要ひつように応おうじて指導しどう、助言じょげん、勧告かんこくを行おこなう。1996年ねん12月に東京大学とうきょうだいがくの安田やすだ講堂こうどう、京都きょうとの南座みなみざなどが第だい1回かい目めとして登録とうろくされた。2019年ねん（令れい和わ1）7月がつ時点じてんで、登録とうろく有形ゆうけい文化財ぶんかざいの建造けんぞう物ぶつ1万まん2121件けん、美術びじゅつ工芸こうげい品ひん14件けん、登録とうろく有形ゆうけい民俗みんぞく文化財ぶんかざい44件けん、登録とうろく記念きねん物ぶつ110件けん。

［編集へんしゅう部ぶ］

『文化庁ぶんかちょう文化財ぶんかざい部ぶ編著へんちょ『総覧そうらん　登録とうろく有形ゆうけい文化財ぶんかざい建造けんぞう物ぶつ5000』（2005・海路かいろ書院しょいん）』