日次にちじ記き（読よみ）ひなみき

日々ひびのできごとを日次にちじを追おって書かきついでゆく日記にっき。古ふるくは具ぐ注ちゅう暦こよみの暦こよみ面めんに書かかれることが多おおかったので〈暦こよみ記き〉とも称しょうされた。これに対たいし特定とくていの事柄ことがらについて詳細しょうさいな記録きろくを残のこすため書かかれたものを〈別記べっき〉という。《政事せいじ要略ようりゃく》に引載する790年ねん（延のべ暦れき9）の追つい儺の〈外そと記き別べつ日記にっき〉は，すでに平安へいあん時代じだいの初はじめに日次にちじ記きと別記べっきの並存へいそんしたことを物語ものがたっている。藤原ふじわら師し輔の《九条くじょう殿どの遺誡いかい》にも，毎日まいにち起床きしょう後ごまず昨日きのうのことを暦こよみ記きに注さすべきこと，要よう枢くるるの公事こうじについては別べつに詳くわしく書かきしるして後こう鑑かんに備うべきことをおしえている。日次にちじ記きは《御堂みどう関白かんぱく記き》や《水みず左記さき》の自筆じひつ原本げんぽんで知しられるように，鎌倉かまくら時代じだいまでは巻子本かんすぼんの具ぐ注ちゅう暦れきの2～4行ぎょうの空白くうはくに書かきつけたものが多おおく，書かききれないときは裏面りめんに書かきつぎ，これを〈裏書うらがき〉といった。また藤原ふじわら宗忠むねただの《中ちゅう右記うき》や後こう崇たかし光ひかり院いんの《看み聞日記にっき》のごとく，記き主ぬし自身じしんが当初とうしょの暦こよみ記きを整理せいり清書せいしょした場合ばあいも少すくなくない。
→日記にっき
執筆しっぴつ者しゃ：橋本はしもと 義彦よしひこ