神田かんだ孝平たかひら（読よみ）カンダタカヒラ

明治めいじ前期ぜんきの経済けいざい学者がくしゃ，開明かいめい的てき官僚かんりょう。孝平たかひらは通称つうしょうで名なは孟はじめ恪つとむという。美濃みの国こく（岐阜ぎふ県けん）不破ふわ郡ぐん岩手いわて村むら出身しゅっしん。当初とうしょ漢学かんがくを修おさめたが，ペリー来航らいこうを機きに杉田すぎた成しげる卿きょう・伊東いとう玄朴げんぼくらに蘭学らんがくを学まなんで，幕府ばくふの蕃しげる書しょ調ちょう所しょの教授きょうじゅ方かた出で役やくとなり数学すうがく，文法ぶんぽう，翻訳ほんやく，作文さくぶんなどを教授きょうじゅし，〈経済けいざい〉の訳語やくごを確定かくていし，1867年ねん（慶応けいおう3）日本にっぽん最初さいしょの西洋せいよう経済けいざい学がくの翻訳ほんやく書しょ《経済けいざい小学しょうがく》（エリスW.Ellis著ちょ《Outline of Social Economy》のオランダ語かたり訳やくからの重訳じゅうやく）を著あらわした。68年ねん（明治めいじ1）明治めいじ新しん政府せいふの徴ちょう士し，議事ぎじ体裁ていさい取調とりしらべ係がかりとなり，兵庫ひょうご県けん令れいを経へて，76年ねん元老げんろう院議いんぎ官かんとなった。この間あいだ，1870年ねんに〈田租でんそ改正かいせい建議けんぎ〉を行おこない地租ちそ改正かいせいの必要ひつようを主張しゅちょうし，地方ちほう官かん会議かいぎ議長ぎちょうとして地租ちそ改正かいせい法ほうの成立せいりつに尽つくし，また，明あかり六ろく社しゃ同どう人ひととなり《明あかり六ろく雑誌ざっし》に健筆けんぴつをふるった。文部もんぶ少しょう輔，高等法院こうとうほういん陪席ばいせき裁判官さいばんかん，憲法けんぽう取調とりしらべ委員いいんを歴任れきにん，また東京とうきょう学士がくし院いん会員かいいんに推おされ，90年ねん貴族きぞく院いん勅みことのり選せん議員ぎいんとなった。死しの直前ちょくぜん，文化ぶんか発展はってんの功こうにより男爵だんしゃく。また，考古こうこ学界がっかいの先駆せんく者しゃとしても知しられ，東京とうきょう人類じんるい学会がっかい初代しょだい会長かいちょう（1887-95）を務つとめた。英学えいがく者しゃの神田かんだ乃武ないぶは養嗣子ようしし。
執筆しっぴつ者しゃ：佐藤さとう 能のう丸まる