蝶番ちょうつがい（読よみ）チョウツガイ

〈ちょうばん〉ともいい，丁ひのと番ばんとも書かく。扉とびらや箱はこのふたなどの開閉かいへいのために用もちいる金具かなぐで，左右さゆうほぼ同形どうけいの金属きんぞく板ばん（蝶ちょう板ばん（ちよういた）という）を，中央ちゅうおうの管状かんじょう部分ぶぶんで組くみ合あわせ，ピンを通とおして回転かいてんさせる構造こうぞうになっている。門扉もんぴ用ようの大型おおがたのものから小しょう箱はこ用ようのものまで，種類しゅるいが多おおい。現存げんそん最古さいこの金属きんぞく製せい蝶番ちょうつがいは，正せい倉くら院いん所蔵しょぞうの〈赤あか漆うるし文ぶん欟木厨子ずし（せきしつぶんかんぼくのずし）〉の両開りょうびらき扉とびらに用もちいられている4個この金銅かなどう製せい蝶番ちょうつがいで，7世紀せいき初期しょきのものと推定すいていされている。略式りゃくしきの蝶番ちょうつがいとして，頭部とうぶを環状かんじょうに作つくった釘くぎと，その環たまきに通とおるように先端せんたんを折おり曲まげた釘くぎとを組くみ合あわせて用もちいるものがあり，肘ひじ壺つぼ（ひじつぼ）と呼よばれる。また建築けんちくなどの扉とびらには，扉とびらの上下じょうげに軸木じくぎをつけ，それを敷居しきい，鴨居かもい，長押なげし（なげし）などに掘ほった穴あなにさしこんで回転かいてんさせる方式ほうしきがある。古語こごでは，その軸木じくぎを〈とまら（枢くるる）〉，穴あなを〈とぼそ（枢くるる，扉とびら）〉と呼よんだ。この方式ほうしきは奈良なら時代じだいの寺院じいん建築けんちくの扉とびらに多おおく用もちいられている。
執筆しっぴつ者しゃ：成田なりた 寿ことぶき一郎いちろう