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eye:大沢の海が好きなんよ 能登半島地震 孤立集落の半年 | 毎日新聞

特集とくしゅう

能登半島のとはんとう地震じしん

2024ねん1がつ1にち石川いしかわけん能登のと地方ちほう最大さいだい震度しんど7を観測かんそくする地震じしんがありました。どう地方ちほうでは、23ねん5がつ最大さいだい震度しんど6きょう地震じしん発生はっせいしています。

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大沢おおさわうみきなんよ 能登半島のとはんとう地震じしん 孤立こりつ集落しゅうらく半年はんとし

大沢漁港に堆積した土砂をならす谷内口喜美さん。「隆起した海底を業者が削ってくれて、出た土なんだ。ここをならして船着き場のための道を作るんだよ」=石川県輪島市で2024年6月8日、北山夏帆撮影
大沢おおさわ漁港ぎょこう堆積たいせきした土砂どしゃをならす谷内たにうちこう喜美きみさん。「隆起りゅうきした海底かいてい業者ぎょうしゃけずってくれて、なんだ。ここをならして船着ふなつのためのみちつくるんだよ」=石川いしかわけん輪島わじまで2024ねん6がつ8にち北山きたやま夏帆なつほ撮影さつえい

 能登半島のとはんとう地震じしん発生はっせい直後ちょくごから、10日とおか以上いじょう孤立こりつ状態じょうたいにあった石川いしかわけん輪島わじま西保にしのほ地区ちく大沢おおさわまち下山したやままちなど7まち構成こうせいされ、一部いちぶでは半年はんとし経過けいかしたいま電気でんき水道すいどう復旧ふっきゅうしていない。

 「いまっている場所ばしょうみうえだった。でも、自分じぶんなんでもやればやま船着ふなつにできる」。2避難ひなんさきのち仮設かせつ住宅じゅうたくはいらず自宅じたくもどった谷内たにうちこう(やちぐち)喜美きみさん(70)は、あせなが黙々もくもくとツルハシをりおろした。

 地震じしんどう地区ちく中心ちゅうしんにある大沢おおさわ漁港ぎょこう海底かいてい隆起りゅうき軒並のきなせんせなくなった。国土こくど地理ちりいんによると、漁港ぎょこうから直線ちょくせん距離きょりやく3キロ地点ちてんで2・29メートルの隆起りゅうき観測かんそくのち業者ぎょうしゃ海底かいてい掘削くっさくし、小型こがたせん出港しゅっこうできる水位すいい確保かくほされたが、土砂どしゃ周辺しゅうへん堆積たいせき(たいせき)していた。谷内たにうちこうさんはそのをならし、あらたな船着ふなつへのみちつくろうとしていた。

 市立しりつ輪島わじま病院びょういんはたら中嶋なかじまあゆみさん(31)は、大沢おおさわまちもどらず仮設かせつ住宅じゅうたくから通勤つうきんする。震災しんさいまえ夜勤やきんのあるにはとなっていた朝市あさいちちかくの祖父母そふぼたくまっていた。てつ工業こうぎょういとなんでいた祖父母そふぼ手作てづくりのブランコをに「けんがい友達ともだちは『輪島わじまからなよ』ってってくれた。でもいまは、大変たいへん状況じょうきょう地元じもとのためにはたらきたい」とむねうちかした。祖父母そふぼたく家族かぞく見守みまもられながら、7がつ中旬ちゅうじゅん解体かいたいされた。

 すみ(かど)アツ子あつこさん(69)は、大沢おおさわまちからヘリコプターで一緒いっしょ避難ひなんした愛犬あいけんのももえを5月にうしなった。同月どうげつには故郷こきょう秋田あきたらす母親ははおやくした。「地震じしん大沢おおさわはなれ、ももえがしんささえだったから。そこにははまで……」。かなしみにれるアツ子あつこさんを息子むすこたちが後押あとおしし、6がつあたらしい子犬こいぬ里親さとおやとなった。「愉快ゆかい日々ひびになるようねがいをめて『かい』と名付なづけたの」。せま仮設かせつ住宅じゅうたくで、ちいさないのちきしめる。

 下山したやままち漁師りょうしだった谷内たにうち(やち)友三ゆうぞうさん(63)は、大型おおがた漁船ぎょせん出港しゅっこう困難こんなんとなり、廃業はいぎょう決意けついした。いま石川いしかわけん小松こまつおとうと勝司しょうじさん(58)がいとなむタイヤのリサイクルぎょう従事じゅうじする。「裏山うらやま土砂崩どしゃくずれで自宅じたくかえるのは無理むりだ。いまは、あにみたいなおとうとたすけられてきています」。勝司しょうじさんも「あにらす下山げざんおれたちの故郷こきょうあつまれる場所ばしょうしなったみたいでさびしいけど、おれほうこそはたらもの兄貴あにきてくれて、たすかっています」とかたんだ。

 自宅じたくごす住民じゅうみんらはいまも、発電はつでん山水さんすい利用りようしての生活せいかつつづく。それでも大沢おおさわまちでは8世帯せたい11にん(7がつ17にち現在げんざい)がのこる。地元民じもとみん仮設かせつ住宅じゅうたくから自宅じたくかよい、近所きんじょいをつづけている。

 大沢おおさわ漁港ぎょこうまえ自宅じたくがある小橋こはし敏雄としおさん(81)は7がつ11にち病気びょうきくなった。直前ちょくぜんまで、まれそだった大沢おおさわまちのこ生活せいかつしていた。生前せいぜんうみつめてニカッとわらった。「地震じしんがあっても大沢おおさわ大沢おおさわや。ここでそだったみな大沢おおさわうみきなんよ。ふういとるがいね」【北山きたやま夏帆なつほ

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