lynch.「FIERCE-EP」収録しゅうろく曲きょく

lynch.「FIERCE-EP」初回しょかい限定げんてい盤ばんジャケット

1. UN DEUX TROIS
   ［作詞さくし：葉月はづき / 作曲さっきょく：葉月はづき］
2. EXCENTRIC
   ［作詞さくし：葉月はづき / 作曲さっきょく：葉月はづき］
3. 斑まだら
   ［作詞さくし：葉月はづき、悠ゆう介かい / 作曲さっきょく：明徳めいとく、葉月はづき］
4. A FIERCE BLAZE
   ［作詞さくし：葉月はづき / 作曲さっきょく：玲れい央ひさし、葉月はづき］
5. REMAINS
   ［作詞さくし：葉月はづき / 作曲さっきょく：悠ゆう介かい］

出ださねばならぬ作品さくひん「FIERCE-EP」

──昨年さくねん3月がつにリリースされたフルアルバム「REBORN」で作曲さっきょくスタイルが一新いっしんされていますが、今回こんかいのEPはその流ながれを汲くむものということになりそうですね。

葉月はづき（Vo）　ええ。ただ作品さくひんの位置付いちづけとしては、むしろ単純たんじゅんに「夏なつのツアーを回まわるにあたり、出ださねばならぬ作品さくひん」というか、やっぱり新あたらしいものを出だしておいたほうがツアーも盛もり上あがりますよね。その意味いみではあくまで「ツアーありき」のものではあるし、これまでの作品さくひんも常つねにそうだったんです。ただ、そこで今いまのlynch.として作つくるならば、改あらためて「lynch.ってこういうところがいいよね」というのを再さい確認かくにんできるようなアイテムにしたいと考かんがえまして。その結果けっか、激はげしい方向ほうこうに偏かたよったものというか、かなりそっち側がわに振ふり切きった内容ないようになりました。

玲れい央ひさし（G）　1つ付つけ加くわえるとしたら、去年きょねんの秋口あきぐちから冬ふゆにかけてアイテムのリリースとは無関係むかんけいなツアーを開催かいさいして、その際さいにかなり古ふるい曲きょくも含ふくめて既存きそん曲きょくを演奏えんそうしてみたんです。そこで改あらためて自分じぶんたちならではのよさ、売うりにできるもの、自信じしんのあるものを再さい確認かくにんしたようなところがあって。それを前面ぜんめんに押おし出だした作品さくひんにしようという話はなしは、実じつは去年きょねんの10月がつ頃ごろには出でていました。その後ご、1月がつの末日まつじつまでに1人ひとり2曲きょくずつを目安めやすに提出ていしゅつして、その中なかから曲きょくをセレクトして、足たりないパーツがあればまた次つぎの締しめ切きりを設定せっていして作つくり足たしていく形かたちで進すすめていこう、と。だから本格ほんかく的てきなレコーディングは3月がつ、4月がつに各々おのおの進すすめていくという感かんじでしたね。

──アルバムではなくEPだからこそやりやすいこともあると思おもうんですが、こうした制作せいさくプランが出でてきたとき、皆みなさんはどんなビジョンを抱かかえていましたか？

悠ゆう介かい（G）　僕ぼくはもう、単純たんじゅんにストックしていた曲きょくを出だしただけでした。「REBORN」を作つくったときに漏もれたものも含ふくめて。このEPを作つくるという話はなしが出でた段階だんかいで、かつての「EXODUS-EP」（2013年ねん8月がつ発表はっぴょうの1stミニアルバム）のような作品さくひんにしようという話はなしも出でていたので、一定いっていの方向ほうこうに振ふり切きった感かんじのものになることは想像そうぞうしてましたけど、それでも1曲きょくぐらいは別べつ方向ほうこうの曲きょくがあったほうがハマるんじゃないかとも思おもっていたので。

悠ゆう介かい（G）

明徳めいとく（B）　秋冬あきふゆのツアーではいろんな時代じだいの曲きょくをやったんですけど、けっこう古いにしえめの曲きょくも多おおくて。それこそ「ecdysis」（2007年ねん4月がつ発表はっぴょうのアルバム「THE AVOIDED SUN」収録しゅうろく）というすごく古ふるい曲きょくがあるんですけど、すごくお客きゃくさんの感触かんしょくがよくて、そういった時代じだいの曲きょくの激はげしさを求もとめてみるのもいいんじゃないかな、と。ちょうど葉月はづきさんとも「あの時代じだいのニューメタル、やっぱりいいっすよね」みたいな話はなしをしたことがあって、そこで自分じぶんの中なかでは、あの頃ころ大好だいすきだったニューメタル創成そうせい期きの感かんじで作つくってみようかな、という流ながれになってました。

──ニューメタルという定義ていぎもけっこう曖昧あいまいで、世代せだいによって思おもい浮うかべるものが微妙びみょうに違ちがってくるように思おもいます。その呼称こしょうから明徳あきのりさんが真まっ先さきに思おもい浮うかべるのは？

明徳めいとく　Slipknot、Korn、Limp Bizkitとかはもちろん、Incubus、Disturbed、Dopeなんかも好すきで……あの辺あたりですかね、僕ぼくとしては。

──なるほど。晁あきら直ただしさんはどのような方向ほうこう性せいを意識いしきしていましたか？

晁あきら直じき（Dr）　僕ぼくの場合ばあい、頭あたまで考かんがえても作曲さっきょくの技量ぎりょうが追おい付ついていかないところがあるので、とにかく作つくることだけを考かんがえて。それで実際じっさいに作つくって提出ていしゅつしたものは、あいにく選外せんがいにはなったんですけどね（笑）。そこはやっぱり経験けいけん値ち不足ふそくゆえだと思おもいます。まだ頭あたまと体からだがリンクしてないというか、作曲さっきょく面めんでの向上こうじょうを自分じぶんで実感じっかんできるところまでは来きていないので。

晁あきら直じき（Dr）

──ただ、結果けっか的てきに全員ぜんいんの曲きょくが均等きんとうに収録しゅうろくされるわけではなかったとしても、各々おのおのが作つくってくることの効用こうようは間違まちがいなくあったはずですよね？

葉月はづき　それはいろいろあると思おもいます。そのことについても10月がつの時点じてんで話はなしをしていて。ファンクラブ旅行りょこうで沖縄おきなわに行いく機会きかいがあって、その旅先たびさきでの休やすみ時間じかんにみんなに話はなしたんですけど、まずそれによって僕ぼくが背負せおう負担ふたんというか作業さぎょう量りょうというのはシンプルに減へりますよね。アイデアをなんとか自分じぶんですべて捻ひねり出だそうとしなくても、誰だれかが原案げんあんとなるものを持もってきてくれればそこから広ひろげていくことができる。で、僕ぼくがみんなに提案ていあんしたのは「その持もってきたものを僕ぼくが選えらんで作づくり変かえてしまってもいいか？」ということだったんです。各々おのおのの原案げんあんをlynch.色いろに染そめ上あげるというか、総そう仕上しあげみたいな作業さぎょうは必要ひつようだろうし、みんなが納得なっとくしてくれるなら僕ぼくがその役割やくわりをやるから、と。そこでみんなが「全然ぜんぜんいいよ」と言いってくれたわけです。それによって僕ぼくの作業さぎょう量りょうも削けずれますし、原曲げんきょくがほかの誰だれかから出でてきたものには、やっぱり僕ぼくには思おもい付つかない斬新ざんしんな展開てんかいとかがあったりもするし、いい感かんじのバランスになる気きがして。

──その葉月はづきさんの提案ていあんは、い換いかえれば「最終さいしゅう的てきには自分じぶんが責任せきにんを持もってそれをlynch.の曲きょくにするから」ということでもあるわけですよね？

葉月はづき　そうですね。「REBORN」の制作せいさく時じは、そういうスタンスではなかったんですよ。あのときは、自分じぶんの曲きょくは自分じぶんで面倒めんどうを見みるという感かんじで、作者さくしゃ以外いがいの人間にんげんは介入かいにゅうしてなかったんです。だからそのやり方かたをより有効ゆうこうな形かたちに改良かいりょうすることができたのかな、とは思おもってます。

玲れい央ひさし　「REBORN」以前いぜんの作つくり方かたと、「REBORN」のように各々おのおのが曲きょくを持もち寄よって自みずから監修かんしゅうするやり方かたの、いいとこ取とりというかハイブリッドな感かんじを狙ねらったわけなんです、今回こんかいに関かんしては。

──クレジットからもそれは明白めいはくですね。作曲さっきょくのみならず作詞さくし面めんでも葉月はづきさんとほかの誰だれかとの共とも作さくという形かたちが取とられていたりしますし。

葉月はづき　そうですね。あと、激はげしい方向ほうこうに振ふり切きったことについては、前回ぜんかいのツアーでの再さい確認かくにんみたいなところもありますけど、それに加くわえて、「REBORN」ではあまりそういう部分ぶぶんを表現ひょうげんできてなかったかな、ちょっとおとなしめだったかな、という思おもいがあって。それこそ「GALLOWS」（2014年ねん4月がつ発売はつばいのアルバム）とかと比くらべると。あとはさっきAK（明徳めいとく）も言いってましたけど、ニューメタルな感かんじというのは自分じぶんの中なかでもブームというか、「今いま、この感かんじは熱あついよね」というのがあったので、それがテーマのようになっていた部分ぶぶんもありますね。それゆえに激はげしい作品さくひんになった、というのもあると思おもいます。

葉月はづき（Vo）

──ちょっとこじつけ的てきな見方みかたになるんですが、制作せいさくのプロセスに大おおきな刷新さっしんがあった「REBORN」は、その表題ひょうだい通どおり“生うまれ変かわった”作品さくひんでもあり、言いわば新あらたなゼロ地点ちてんにあったと思おもうんです。その次つぎに来くるこの作品さくひんが「UN DEUX TROIS」という曲きょくで幕まくを開あけるというのも面白おもしろいですよね。これは要ようするに1、2、3ですし、しかも「A FIERCE BLAZE」も、「ONE TWO THREE GO」という言葉ことばから始はじまる。意識いしきの中なかに“始はじまり感かん”というか、スタートダッシュをかけたいという気持きもちが潜在せんざい的てきにあったのかな、と感かんじました。

葉月はづき　どうだろう？ 潜在せんざい的てきにはそれがあったのかもしれないです。「UN DEUX TROIS」は、イントロに入はいる前まえにお客きゃくさんが叫さけぶであろう部分ぶぶんとしてコーラスを設もうけたんですけど、そこに載のせる歌詞かしをどうしようかなと考かんがえたときに、この言葉ことばがいちばんハマりがよかったんですよ。だからあくまで言葉ことばの響ひびきが決きめ手てではあったんですけど、そういう意識いしきも深層しんそう心理しんりにはあったのかもしれない。