中途半端ちゅうとはんぱなものを作つくろうとしてできた曲きょく

──葉月はづきさんは前回ぜんかいのインタビューで、シングル「LIGHTNING」は歌詞かしのメッセージ性せいや楽曲がっきょくのキャッチーさを意識いしきした攻せめの1枚まいだと説明せつめいしてくれました。シングルリリース後ごの反響はんきょうはいかがでしたか？

「LIGHTNING」はlynch.のライブの中なかで重要じゅうような位置いちを占しめる曲きょくになったんですけど、正直しょうじきな話はなし、当初とうしょ想定そうていしていたような反響はんきょうはなかったんです。たくさんの人ひとに聴きいてほしいと思おもってああいう挑戦ちょうせんをしたんですけど、新あたらしいリスナーにまでは広ひろまらなくて。もっと続つづけていかなきゃダメだなと思おもいましたね。

──なるほど。そういう意味いみで言いうと、今回こんかいのシングル「BALLAD」も「LIGHTNING」からの流ながれを汲くんだ楽曲がっきょくだなという気きがしたんですが。

個人こじん的てきには「BALLAD」はもう、好すきにやらせてもらったっていう感かんじが強つよいです。2012年ねんはまず最初さいしょに「INFERIORITY COMPLEX」という激はげしいアルバムを作つくって、そこから今度こんどはメロディに重おもきを置おいた曲きょくをやっていきたいということで「LIGHTNING」ができて。で、今回こんかいは好すきなことをやろうとは思おもったんですけど、ただメロディに重おもきを置おくモードのままだったので「BALLAD」はこういう方向ほうこうになりました。実じつは「BALLAD」って、中途半端ちゅうとはんぱなものを作つくろうとしてできた曲きょくなんです。

──中途半端ちゅうとはんぱなもの？

タイトルは「BALLAD」ですけど、バラードなのかといったら違ちがうし、じゃあアゲアゲのロックチューンなのかと言いったらそうでもない。「じゃあこれは何なになの？」と言いわれたときに、「うーん……」って考かんがえちゃうようなものを作つくりたくて。そこを最初さいしょっから狙ねらってました。

仮かりタイトルを超こえる言葉ことばが浮うかばなかった

──タイトルの「BALLAD」には最初さいしょ本当ほんとうに驚おどろかされました。前作ぜんさく「LIGHTNING」からのメロウな流ながれがあるので、本当ほんとうにスローバラードで勝負しょうぶに挑いどんだのかと思おもって。

もともとは仮かりタイトルなんですよ、「BALLAD」って。最初さいしょにデモができたとき、仮かりタイトルがないと作業さぎょうがやりづらいからと思おもってパッと考かんがえ付ついたのが「BALLAD」って言葉ことば。それで作業さぎょうを進すすめていくうちに正式せいしきタイトルを決きめなくちゃいけないことになったんですけど、ぜんぜん決きまらなくて。結局けっきょく「BALLAD」という言葉ことばを超こえるタイトルが浮うかばなくて、じゃあそのままでいいんじゃないのってことになったんです。

──確たしかにこのタイトルは歌詞かしの内容ないようとリンクしたものではないですし。

そうですね。孤独こどくがテーマの歌詞かしだから、そこから広ひろげたら「ALONE」とか「LONELINESS」とかになるんでしょうけど、それもなんか浅あさいし意味いみを限定げんていしすぎてるよねっていう話はなしになって。ちょうどよかったんですよ、「BALLAD」という言葉ことばが。

──タイトルのイメージで曲きょくを聴きき始はじめると、確たしかに最初さいしょはピアノとボーカルだけでスローに始はじまるけど、バンドの演奏えんそうが加くわわるとlynch.以外いがいの何なにものでもないロックチューンで。歌詞かしを読よみ込こむとタイトルとの関連かんれん性せいはないように思おもえるんだけど、中なかには「いろんなものが『BALLAD』という言葉ことばに集約しゅうやくされているのかもしれない」と深ふか読よみする人ひともいるんじゃないかと思おもいます。

そこまで深ふかくは考かんがえてなかったですね。だけど作つくってるときに降おりてくるインスピレーションって、あとあとになって深ふかく考かんがえると辻褄つじつまが合あうことが多おおいんです。メロディを聴きいて歌詞かしがパッと浮うかんでくることがあるんですけど、そういうときって考かんがえて練ねって作つくったものよりもフィットするんですよ。不思議ふしぎなんですけど。今回こんかいの「BALLAD」もそういう感かんじなのかな。

改あらためて言いいたいことなんてないと実感じっかん

──歌詞かしについて、もう少すこし話はなしを聞ききたいんですが。

あんまりうまく話はなせないんですよ。もう2本ほんインタビューをやったんですけど、両方りょうほうとも撃沈げきちんしましたから（笑）。

──でも「LIGHTNING」のときはメッセージという部分ぶぶんを初はじめて強つよく意識いしきしたって言いってましたよね？

「LIGHTNING」のときにも言いいましたけど、僕ぼくの中なかには伝つたえたいことがぜんぜんないんですよ。「LIGHTNING」のときに「今いまは今いましかない、明日あした死しぬかもしれない」っていうテーマで書かきましたけど、本ほん当とうそれしかなくて。で、もう何なにもねえよと思おもったんです（笑）。

──あははは（笑）。

「BALLAD」を作つくるときに、改あらためて言いいたいことなんてないよと実感じっかんして。そこから「LIGHTNING」のような書かき方かたじゃなくて、それ以前いぜんの作詞さくし方法ほうほうに戻もどしたんです。それは絵えを描えがくように歌詞かしを書かいて、メロディを色付いろづけしていくような作業さぎょうで。明確めいかくな意味いみはないかもしれないけど、聴きいたら頭あたまの中なかにイメージが湧わくようなものにしようと。だけど、実際じっさいにやってみたらそれも違ちがうなと気付きづいたんです。それで最終さいしゅう的てきには僕ぼくの中なかから直感ちょっかんで出でて来きた言葉ことば1つから広ひろげていこうかなと思おもって始はじめたら、孤独こどくという言葉ことばが思おもい浮うかんだんですね。

──なるほど。

そこから自分じぶんの中なかにある孤独こどくのイメージをつらつらと書かいていって。最初さいしょはもっと希望きぼうがなくて、愛あいだのなんだの言いおうが結局けっきょく人じんは1人ひとりで生うまれて1人ひとりで死しぬんだよってだけの歌うただったんです。そこから僕ぼくなりの考かんがえを歌うたの中なかで言いわなきゃダメだなと思おもって、「それでも僕ぼくは人ひとが好すきだ。人ひとを信しんじたいよ」っていう思おもいを付つけ加くわえました。だから「BALLAD」に関かんしてはまず曲きょくの色付いろづけを優先ゆうせんした歌詞かしがあって、そこに僕ぼくの意思いしが少すこしだけプラスされてる感かんじですかね。