昨年さくねん末まつより、前ぜんベーシスト明徳めいとくの脱退だったいにまつわる騒動そうどうのため表立おもてだった活動かつどうを停止ていししていたlynch.が（参照さんしょう：lynch.ベーシスト明徳めいとく、大麻たいま取締とりしまり法ほう違反いはんで起訴きそのためバンド脱退だったい）、今年ことしの4月がつ18日にちに新木場しんきばSTUDIO COASTでワンマンライブ「THE JUDGEMENT DAY」を実施じっしし、活動かつどうを再開さいかいさせた。彼かれらの復活ふっかつを飾かざる新作しんさくCD「SINNERS-EP」は、J（LUNA SEA）、人ひと時じ（黒くろ夢ゆめ）、YOSHIHIRO YASUI（OUTRAGE）、T$UYO$HI（The BONEZ、Pay money To my Pain）、YUKKE（MUCC）という5人にんのゲストベーシストを迎むかえた作品さくひんで、進化しんかを求もとめるlynch.の今いまの姿すがたを映うつし出だすかのような1枚まいとなった。

豪華ごうかベーシストたちとの共演きょうえんを経へて、彼かれらが得えたものとはなんだったのか、メンバー4人にんに話はなしを聞きいた。

取材しゅざい・文ぶん / 伊藤いとう大輔だいすけ　撮影さつえい / 後藤ごとう倫りん人じん

ゲストベーシストを迎むかえるに至いたった理由りゆう

──まずバンド再始動さいしどうを飾かざった4月がつ18日にちの新木場しんきばSTUDIO COASTでのライブの手応てごたえはどうでしたか？（参照さんしょう：lynch.再始動さいしどうライブで発表はっぴょう続々ぞくぞく、ツアー千秋楽せんしゅうらくは8月がつの日比ひび谷野たにの音おと）

葉月はづき（Vo）　僕ぼくたちとしては再始動さいしどうという道みち以外いがいにはありえなかったので、ライブのときはファンが笑顔えがおでいてくれたのがよかったです。

玲れい央ひさし（G）　復活ふっかつというよりも、これまでの歩あゆみの延長線えんちょうせん上じょうにあるようなライブにしたいというのが、自分じぶんにとって課題かだいでもあったのですが、そこはスムーズにできたと思おもいます。

──いい形がたで新あらたなスタートが切きれたんですね。では新作しんさく「SINNERS-EP」の構想こうそうについて教おしえてください。

葉月はづき　紆余曲折うよきょくせつを経へて、制作せいさくに取とりかかった「SINNERS-EP」で僕ぼくがこだわりたかったのは、「曲くせごとに違ちがうベーシストに弾ひいてもらう」ということでした。ベーシストが脱退だったいしたマイナスをなんとかプラスの方向ほうこうに持もっていきたかったし、純粋じゅんすいに作品さくひん作づくりを僕ぼくら自身じしんが楽たのしみたかった。「ベースが抜ぬけて大丈夫だいじょうぶかな？」と思おもわれるよりも、むしろ「逆ぎゃくに面白おもしろいことやってんじゃん」っていう部分ぶぶんを打うち出だしたかったんです。そのほうが聴きいてくれる人ひとにも楽たのしんでもらえるかなって。

玲れい央ひさし　再始動さいしどうを飾かざるのにふさわしい作品さくひんを出だすってなったときに、曲くせごとに名なだたるベーシストの方々かたがたに参加さんかしてもらったほうが、僕ぼくら自身じしんも今回こんかいの一いち件けんをうまく扱あつかえるんじゃないかなって思おもったんです。

──ベーシストへのオファーはどのように？

葉月はづき　まずJさんには僕ぼくから熱あつい思おもいを長文ちょうぶんのメールにして送おくりました。OUTRAGEの安井やすい（義博よしひろ）さんはsadsのGO（Dr）さんが「安井やすいさんはヤバいよ！」って紹介しょうかいしてくれたのがきっかけで、T$UYO$HIさんに関かんしてはもともとつながりがあったのでお願ねがいしました。あと、人ひと時じさんからは「困こまったことがあったらサポートするから」と言いっていただいていたので、「レコーディングはどうですか？」と打診だしんさせてもらって。YUKKEさんに関かんしては悠ゆう介かい（G）くんから声こえをかけて、参加さんかしてもらいました。

悠ゆう介かい（G）　YUKKEさんは個人こじん的てきに仲良なかよくさせてもらっていることもあるし、曲きょくに合あってると思おもってオファーしました。

Jのベース音源おんげんを聴きいてキッズに戻もどった

──それでは収録しゅうろく曲きょくの話はなしを聞きいていきたいと思おもいます。「TRIGGER feat. J」はJさんらしいドライブ感かんにあふれたビートロックですね。

葉月はづき　この曲きょくはJさんに仮かりオファーしたあとから作つくり始はじめました。まさかOKをもらえるなんて思おもってもいなかったので、いい返事へんじをいただけてうれしかったですね。最初さいしょにドラムとギターを録音ろくおんし、打うち込こみで平坦へいたんなベースを入いれて、「好すきに弾ひいてください」と、曲きょくのファイルを送おくりました。そのあとでJさんから3パターンのベースの音声おんせいファイルが、「好すきなテイクを使つかってください」と書かかれて送おくられてきました。Jさんが弾ひいたベースだけの演奏えんそうを聴きいて感動かんどうしつつ、曲きょくにはめ込こんでみてベストなものを選えらびました。

──Jさんの演奏えんそうにどんな印象いんしょうを持もちましたか？

葉月はづき　いただいたベーストラックを聴きいたときは興奮こうふんして、キッズに戻もどったような気分きぶんでしたね。演奏えんそうはいい意味いみで荒あらいというか。僕ぼくはわりと細こまかいタイプだから、曲きょく作づくりのときに録ろくったテイクをかなり刻きざんで編集へんしゅうしますが、Jさんのベースのトラックにはそういう感かんじがまったくなくて、全編ぜんぺんを通とおしてワンテイクで弾ひいたものという感かんじでした。なので、単体たんたいで聴きくと荒あらさもあるんですが、曲きょくと合あわせてみるとすごくいい感かんじになるんです。Jさんのベースを曲きょくと合あわせて聴きいたとき、（自分じぶんは）まだこの域いきには達たっしていないなと思おもいました。

晁あきら直ただし（Dr）　特とくにベースソロっぽくなるところはJさんらしいなというか。Jさんのベースってすごく波なみみたいなウネりがあるんですよね。

──あの曲きょく中ちゅうでブレイクっぽくベースソロになるパートは、最初さいしょから狙ねらっていたのですか？

葉月はづき　はい。もうあの部分ぶぶんは自分じぶんの頭あたまの中なかでJさんのベースが鳴なっていて、ソロっぽいパートだけど、Jさんなら刻きざむ感かんじでくるだろうなって。そうしたらイメージ通どおりの演奏えんそうが戻もどってきました。

悠ゆう介かい　Jさんに限かぎらずですけど、僕ぼくの場合ばあい、参加さんかしてもらえるベーシストの面々めんめんが決きまってから、ギターのフレーズを意識いしきしたところもあったんです。お願ねがいしたベーシストの方々かたがたに「こんなんじゃ弾ひきたくない」って思おもわれたくなかったし。そういう意味いみではプレッシャーにもなったし、僕ぼくとしてはしっかり勝負しょうぶをしたいと思おもっていたので、いい機会きかいになったと思おもいます。