“妄想もうそう”と“うつつ”が入はいり混こんじる…高橋たかはし一生かずおら出演しゅつえん、NODA・MAP「兎うさぎ、波なみを走はしる」開幕かいまく

NODA・MAP「兎うさぎ、波なみを走はしる」が、本日ほんじつ6月がつ17日にちに東京とうきょう・東京とうきょう芸術げいじゅつ劇場げきじょう プレイハウスで開幕かいまく。これに先駆さきがけ、昨日きのう16日にちにマスコミ公開こうかいゲネプロが行おこなわれた。なお本ほん記事きじには舞台ぶたい写真しゃしんを掲載けいさいしているため、未見みけんの読者どくしゃは注意ちゅういしてほしい。

「兎うさぎ、波なみを走はしる」は、野田のだ秀樹ひでき率ひきいるNODA・MAPの最新さいしん作さく。潰つぶれかかった遊ゆう園地えんちを舞台ぶたいに“劇げき中ちゅう劇げき（ショー）”が繰くり広ひろげられ、物語ものがたりの軸じくを担になう脱兎だっと役やくを高橋たかはし一生かずお、迷子まいごになったアリス役やくを多た部ぶ未み華子はなこ、アリスの母はは役やくを松まつたか子こが演えんじる。さらに、大倉おおくら孝二こうじ扮ふんする“第だい一いちの作家さっか？”や野田のだ演えんじる“第だい二にの作家さっか？”といった、“世界せかい的てきな稀代きたいの劇げき作家さっか”まがいのキャタクターたちも登場とうじょうする。

本ほん作さくの上演じょうえんが決定けっていした際さい、作さく・演出えんしゅつの野田のだが「この芝居しばいを観みた方々かたがたに、この『兎うさぎ、波なみを走はしる』という響ひびきから、『なんともいたたまれない不条理ふじょうり』を感かんじとっていただければと切せつに願ねがう」と述のべていたように、ストーリーが進すすむにつれて“妄想もうそう”と“うつつ”が入はいり混まじり、心しんに重おもくのしかかるような不条理ふじょうりな物語ものがたりが展開てんかいされていく。その中なかで高橋たかはしは、他人たにんの痛いたみに鈍感どんかんになっていく自分じぶんに対たいして、心しんを痛いため苦くるしむ脱兎だっとを熱演ねつえん。松まつは、苦悩くのうする脱兎だっとに寄より添そいながら、根気こんき強つよくアリスを探さがし続つづける母ははを、温あたたかみのある人物じんぶつとして立たち上あげた。

今いま作さくでも、野田のだの鋭するどい言語げんご感覚かんかくが冴さえ渡わたり、アナグラムを用もちいた言葉ことば遊あそびが随所ずいしょに取とり入いれられている。タイトルの「うさぎ、なみをはしる」とは何なにを意味いみする言葉ことばなのか。答こたえはぜひ劇場げきじょうで確認かくにんしてほしい。

そのほか、「不思議ふしぎの国くにのアリス」を彷彿ほうふつとさせる堀尾ほりお幸男ゆきおの舞台ぶたい美術びじゅつ、白しろを基調きちょうとした脱兎だっとの衣裳いしょうや、水色みずいろをベースにしたアリスの愛あいらしいドレスなど、ひびのこづえが手てがけたポップなスタイリングの衣裳いしょう、大おおきなペーパーに脱兎だっとの姿すがたを投影とうえいし、“非ひ現実げんじつ感かん”と躍動やくどう感かんを表現ひょうげんした上田うえだ大樹だいきの映像えいぞうなど、スタッフワークにも注目ちゅうもくだ。

上演じょうえん時間じかんは休憩きゅうけいなしの約やく2時じ間あいだ10分ふん。東京とうきょう公演こうえんは7月がつ30日にちまで行おこなわれ、その後ご、8月がつ3日にちから13日にちまで大阪おおさか・新しん歌舞伎座かぶきざ、17日にちから27日にちまで福岡ふくおか・博多はかた座ざで上演じょうえんされる。