インド領りょうアンダマン諸島しょとうの北きたセンチネル島とうに住すむセンチネル族ぞくは、外そとからの接触せっしょくに激はげしく抵抗ていこうしている。この写真しゃしんは1974年ねんにナショナル ジオグラフィックの遠征えんせい隊たいによって撮影さつえいされたもの。（PHOTOGRAPH BY RAGHUBIR SINGH, NAT GEO IMAGE COLLECTION）

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　11月中旬ちゅうじゅん、インド領りょうの孤島ことうで米国べいこく人じん宣教師せんきょうしが殺害さつがいされた。この事件じけんは、外界がいかいと接触せっしょくせず暮くらす孤立こりつ部族ぶぞくの権利けんりについて、新あらたな緊急きんきゅうの問題もんだいを提起ていきしている。

　米国べいこくワシントン州しゅう在住ざいじゅうのジョン・アレン・チャウ氏しは「冒険ぼうけん家か」を自称じしょうする26歳さいの青年せいねんで、孤島ことうの未み接触せっしょく部族ぶぞくをキリスト教きりすときょうに改宗かいしゅうさせるために北きたセンチネル島とうに侵入しんにゅうした。

　北きたセンチネル島とうは、周囲しゅういをサンゴ礁さんごしょうに囲かこまれた面積めんせき70平方へいほうキロほどの島しま。インドの南東なんとう、ベンガル湾わんに連つらなるアンダマン・ニコバル諸島しょとうの1つで、インド領りょうである。ここには地球ちきゅう上じょうで最もっとも孤立こりつしていると言いっていい狩猟しゅりょう採集さいしゅう民みんが暮くらしており、部外ぶがい者しゃの立たち入いりを完全かんぜんに拒こばんでいる。

自称じしょう「冒険ぼうけん家か」の米国べいこく人じん宣教師せんきょうしジョン・アレン・チャウ氏しが、センチネル族ぞくの人々ひとびとをキリスト教きりすときょうに改宗かいしゅうさせるために北きたセンチネル島とうに出発しゅっぱつする数日すうじつ前まえに、南みなみアフリカのケープタウンでケイシー・プリンス氏しと一緒いっしょに撮影さつえいした写真しゃしん。プリンス氏しはウブントゥ・フットボール・アカデミーの設立せつりつ者しゃ。（PHOTOGRAPH BY SARAH PRINCE, AP）

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　人口じんこうの流出りゅうしゅつ入いれがなく、基本きほん的てきに外界がいかいとの接触せっしょくがないセンチネル族ぞくの人々ひとびとが、いつからこの島しまに住すんでいるのか、正確せいかくなところは誰だれも知しらないが、いくつかの研究けんきゅうにより、数すう万まん年ねん前まえにアフリカから移住いじゅうしてきた可能かのう性せいが示唆しさされている。

　センチネル族ぞくの人々ひとびとは弓ゆみの名手めいしゅで、外そとの人間にんげんが島しまに接近せっきんすると、追おい返かえすために激はげしく攻撃こうげきしてくることで知しられる。森もりに覆おおわれたこの島しまの住人じゅうにんは彼かれらだけで、人口じんこうはおそらく100人にん程度ていど。過去かこの接触せっしょくの試こころみは、槍やりと矢やの雨あめで迎むかえられた。

　1974年ねんには、アンダマン諸島しょとうのドキュメンタリー番組ばんぐみの制作せいさくのためボートからセンチネル族ぞくを撮影さつえいしていたナショナル ジオグラフィックTVのディレクターが、投なげつけられた槍やりで負傷ふしょうする事故じこが起おきた。遠征えんせいに同行どうこうしたナショナル ジオグラフィックの写真しゃしん家かラフバー・シン氏しはこのとき、白しろい砂浜すなはまで弓ゆみと矢やを掲かかげて小躍こおどりする戦士せんしたちを撮影さつえい。この写真しゃしんは、外界がいかいからの接触せっしょくを拒絶きょぜつするセンチネル族ぞくを象徴しょうちょうする写真しゃしんとなっている。

　彼かれらの猛々たけだけしさを示しめす事件じけんは、2006年ねんにも起おきた。舟ふねで眠ねむっている間あいだに北きたセンチネル島とうの砂浜すなはまに漂着ひょうちゃくしてしまった2人ふたりの漁師りょうしが、センチネル族ぞくによって殺害さつがいされたのだ。遺体いたいを回収かいしゅうするためにヘリコプターが着陸ちゃくりくを試こころみたが、島民とうみんがヘリコプターに矢やを放はなってきたため、回収かいしゅうは断念だんねんされた。（参考さんこう記事きじ：「アマゾンの「海賊かいぞく」に襲撃しゅうげきされた家族かぞく、無事ぶじ生還せいかん」）

　今回こんかい殺害さつがいされたチャウ氏しは、最初さいしょに上陸じょうりくを試こころみた11月15日にちの体験たいけんを日誌にっしに記しるしていた。

　彼かれはまず、防水ぼうすい加工かこうされた聖書せいしょを高たかく掲かかげた。すると、島しまから矢やが飛とんできて聖書せいしょを貫通かんつうしたという。さらに2人ふたりの男性だんせいが弓ゆみに矢やをつがえるのが見みえたので、チャウ氏しは慌あわててカヤックを漕こいで退却たいきゃくした。彼かれは漁師りょうしたちに約やく350ドルを支払しはらって島しまの近ちかくまで送おくってもらい、海上かいじょうで待機たいきしてもらっていた。

サタンの最後さいごの砦とりで

　チャウ氏しは日誌にっしに、北きたセンチネル島とうの人々ひとびとは「サタンの最後さいごの砦とりで」なのだろうかと記しるし、「彼かれらはなぜ、こんなにも身構みがまえ、敵意てきいをむき出だしにするのだろう？」と、自分じぶんが歓迎かんげいされなかったことに失望しつぼうしていた。

　おそろしい思おもいをしたにもかかわらず、チャウ氏しはその夜よる、再ふたたび島とうに行いくことを決きめた。そして漁師りょうしに、今回こんかいは自分じぶんを待またず、アンダマン諸島しょとうを管轄かんかつする行政府ぎょうせいふがあるポートブレアにいる友人ゆうじんに手紙てがみを届とどけるように指示しじした。

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