自宅じたくで一人ひとり亡なくなり、誰だれにも気きづかれずに数日すうじつたってから発見はっけんされる「孤独こどく死し」。これまで高齢こうれい者しゃの問題もんだいとされてきたが、20・30代だいの「まだこれから」の世代せだいも孤独こどくに命いのちを絶たっている。若者わかものたちは何なにに絶望ぜつぼうし、この世よを去さってしまうのか。 孤独こどく死しや他殺たさつなどの事情じじょうで放置ほうちされた遺体いたい現場げんばの後処理あとしょりを行おこなう特殊とくしゅ清掃せいそう業ぎょう。そんな過酷かこくな仕事しごとを25年ねん続つづけている高江洲たかえす敦あつし氏しに、若者わかものの孤独こどく死しのリアルな実情じつじょうを聞きいた。 「若者わかものの孤独こどく死しで圧倒的あっとうてきに多おおいのが自殺じさつです。ただ、身寄みよりがないのではなく、一時いちじの将来しょうらいの不安ふあんから命いのちを絶たってしまうケースが多おおい。特とくに、進学しんがくや就職しゅうしょくなど環境かんきょうが変かわるタイミングは若者わかものの孤独こどく死しの現場げんばからの要請ようせいが増ふえますね」 あらゆる孤独こどく死し現場げんばに立たち会あったことで、若者わかものと高齢こうれい者しゃには違ちがいがあると気きがついた。 「若者わかものはセルフネグレクト状態じょうたいで、物ものが溢あふれた部屋へやであっても遺書いしょを残のこしていたり、管理かんり会社かいしゃに謝罪しゃざいの手紙てがみを送おくっていたりします。また、原状げんじょう回復かいふくを楽らくにしようとオムツをはいた状態じょうたいの遺体いたいも多おおくて、死亡しぼう後ごまで迷惑めいわくをかけたくないという“意思いし表示ひょうじ”が強つよい。その一方いっぽうで、高齢こうれい者しゃは病死びょうしや老衰ろうすいがほとんどで意思いし表示ひょうじが残のこっていない。発見はっけんが遅おそくなれば遺体いたいの腐敗ふはいで悪臭あくしゅうや虫むしが湧わいて、原状げんじょう回復かいふくするのにも時間じかんがかかるんです」 子供こどもの孤独こどく死しを知しった親おやからの要望ようぼうもさまざまだ。 「直近ちょっきんの写真しゃしんや交友こうゆう関係かんけいがわかるような遺品いひんを探さがしてほしいと言いわれます。上京じょうきょうしてから連絡れんらくが途絶とだえていた遺族いぞくは『もっとかまってあげればよかった』と後悔こうかいの念ねんにかられる方ほうが大半たいはんですね。その一方いっぽうで、亡なくなったことよりも『金目かねめのものはあるか？』だけを確認かくにんする遺族いぞくもいて、子供こどもの気持きもちを考かんがえたら胸むねが締しめつけられますよ」 そんな遺族いぞく対応たいおうでも大変たいへんなのが、清掃せいそう費用ひようの回収かいしゅうだ。 「通常つうじょうは管理かんり会社かいしゃや大家たいかから遺族いぞくに費用ひようを請求せいきゅうするのですが、遺族いぞくへの請求せいきゅうを任まかされることもあって。ウチの場合ばあいだと特殊とくしゅ清掃せいそう（消毒しょうどく、害虫がいちゅう駆除くじょ、汚染おせん物ぶつの処分しょぶんなど）の基本きほん料金りょうきんが9万まん8000円えんで、リフォーム代だいを加くわえると100万まん円えん以上いじょうの請求せいきゅうになることも多おおいんです。その話はなしをすると、『一切いっさい関係かんけいない！』と支払しはらいを拒否きょひする遺族いぞくもいて、管理かんり会社かいしゃが負担ふたんすることも少すくなくないんですよ」 ’03年ねんに特殊とくしゅ清掃せいそうの会社かいしゃを設立せつりつしてから、孤独こどく死しに立たち向むかい続つづけた高江洲たかえす氏し。しかし、来年らいねん中ちゅうに一線いっせんから退しりぞくという。 「さすがに心しんが疲つかれてしまったというのが本音ほんねですね。今いまは特殊とくしゅ清掃せいそうを行おこなう業者ぎょうしゃが数すう千せん社しゃ以上いじょうにも増ふえていますが、過酷かこくな作業さぎょうで心しんを病やんで、自殺じさつしてしまう人ひともいる。なので、そういう人ひとたちのケアも含ふくめて、後進こうしんの育成いくせいをしていきたいと思おもっています」 若者わかものの孤独こどく死しと向むき合あう側がわも、相応そうおうの覚悟かくごが必要ひつようなのだ。 【特殊とくしゅ清掃せいそう人じん・高江洲たかえす 敦あつし氏し】 清掃せいそうの相談そうだんは「特殊とくしゅ清掃せいそう・遺品いひん整理せいりのプロ、事件じけん現場げんば清掃せいそう会社かいしゃ」。関連かんれん会社かいしゃ「鈴すず音おん」では一緒いっしょに働はたらく仲間なかまを募集ぼしゅう中ちゅう 取材しゅざい・文ぶん／週刊しゅうかんSPA！編集へんしゅう部ぶ