目次もくじ

  1. 1. 遺産いさんとは
  2. 2. 遺産いさん具体ぐたいれい
    1. 2-1. プラスの遺産いさん
    2. 2-2. マイナスの遺産いさん
  3. 3. 遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎ対象たいしょうがい遺産いさん
  4. 4. 遺産いさんにならないもの
    1. 4-1. 遺族いぞく給付きゅうふ
    2. 4-2. 賃貸ちんたい物件ぶっけん家賃やちん株式かぶしき配当はいとうなど
    3. 4-3. 一身いっしん専属せんぞくてき権利けんり義務ぎむ相続そうぞく対象たいしょうがい
  5. 5. 相続そうぞくぜい課税かぜい対象たいしょうとなる遺産いさん
    1. 5-1. 相続そうぞくまたは遺贈いぞうによって取得しゅとくした財産ざいさん遺産いさん
    2. 5-2. みなし相続そうぞく財産ざいさん
    3. 5-3. 相続そうぞく開始かいしまえ7ねん以内いない贈与ぞうよ
    4. 5-4. 相続そうぞく精算せいさん課税かぜい制度せいどとは?
  6. 6. 相続そうぞくぜい非課税ひかぜいになる遺産いさん・みなし相続そうぞく財産ざいさん
    1. 6-1. 葬式そうしき費用ひよう遺産いさん総額そうがくからひきける
  7. 7. 意外いがい遺産いさん
  8. 8. 遺言ゆいごんしょがある場合ばあい遺産いさん相続そうぞく
  9. 9. 遺言ゆいごんしょがない場合ばあいなどの遺産いさん相続そうぞく
  10. 10. 遺留分いりゅうぶんあつか
  11. 11. 特別とくべつ受益じゅえき寄与きよぶん
  12. 12. 遺産いさんりたくない場合ばあい
  13. 13. 遺産いさんさがすには
    1. 13-1. げん預金よきん有価ゆうか証券しょうけん調査ちょうさ
    2. 13-2. 不動産ふどうさん調査ちょうさ
    3. 13-3. 借金しゃっきん有無うむ調査ちょうさ
  14. 14. まとめ|遺産いさん手続てつづきが不安ふあんなら税理士ぜいりし相談そうだん

遺産いさん相続そうぞくする」というと、一般いっぱんてきには、げん預金よきん宝石ほうせき不動産ふどうさんなど価値かちのあるものだけをるイメージがあります。しかし、法律ほうりつじょう相続そうぞく対象たいしょうになるものは、みなさんがおもうほどオトクかんのあるものだけではありません。くなったひと借金しゃっきんなども相続そうぞく対象たいしょうになります。また、くなったひとものであっても、遺産いさん分割ぶんかつ対象たいしょうとはならないものもあります。

そもそも遺産いさんとはなにでしょうか。遺産いさんとは、くなったひと所有しょゆうしていたすべての財産ざいさんのことをい、「相続そうぞく財産ざいさん」ともびます。相続そうぞく対象たいしょうとなる財産ざいさんともえます。ただ、財産ざいさんといっても金銭きんせんてき価値かちをもつプラスの財産ざいさん積極せっきょく財産ざいさん)だけをすのではありません。借金しゃっきんなどといった弁済べんさいしなくてはならないマイナスの財産ざいさん消極しょうきょく財産ざいさん)も遺産いさんになります。

ここでは、具体ぐたいてき遺産いさんていきます。遺産いさんには「プラスの遺産いさん」と「マイナスの遺産いさん」があります。これらのなかには、ネット銀行ぎんこう預金よきんやネットじょう証券しょうけん口座こうざにある株式かぶしき仮想かそう通貨つうか暗号あんごう資産しさん)のように、デジタルされているために相続そうぞくじんくなったひと)でなければ存在そんざい把握はあくしにくい財産ざいさんもあるので、実際じっさい遺産いさん確認かくにんさいには注意ちゅうい必要ひつようです。

プラスの遺産いさんとなるものは以下いかとおりです。

  • げん預金よきん
  • 外国がいこく通貨つうか
  • 不動産ふどうさん自宅じたくよう建物たてもの土地とち賃貸ちんたいよう建物たてもの土地とち店舗てんぽ田畑たばた山林さんりん立木たちきなど)
  • 有価ゆうか証券しょうけん株式かぶしき投資とうし信託しんたく公社債こうしゃさいなど)
  • 債権さいけん売掛金うりかけきん貸付かしつけきん立替たてかえきん相続そうぞくじん受取うけとりじん生命せいめい保険ほけんきん請求せいきゅうけんなど)
  • 借家しゃくやけん借地しゃくちけん
  • 家庭かていよう財産ざいさんくるま家具かぐ宝石ほうせき宝飾ほうしょくひん絵画かいが書画しょがこっとうひんなど)
    ゴルフ会員かいいんけん
  • 船舶せんぱく飛行機ひこうきなど
  • 仮想かそう通貨つうか暗号あんごう資産しさん
  • 知的ちてき財産ざいさんけん特許とっきょけん著作ちょさくけんなど)
  • 慰謝いしゃりょう請求せいきゅうけん損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうけん
  • 電話でんわ加入かにゅうけんなど

マイナスの遺産いさんとなるものは以下いかとおりです。

  • 借金しゃっきん(ローン、クレジットカードの決済けっさいぶん
  • 買掛かいかけきん
  • 医療いりょう水道すいどう光熱こうねつなどのはらい経費けいひ
  • はらい税金ぜいきん
  • はらい家賃やちんはらい地代じだい
  • 未払みはらいの慰謝いしゃりょう損害そんがい賠償金ばいしょうきん
  • あずかきん敷金しききん保証ほしょうきんなど)
  • 保証ほしょう債務さいむ

これらを相続そうぞくによりいだ場合ばあい相続そうぞくしたひと弁済べんさいする義務ぎむいます。

また、遺産いさんではあるけれど遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎ対象たいしょうからはずれるものがあります。墓地ぼち墓石はかいし仏壇ぶつだん仏具ぶつぐ神棚かみだなかみ系譜けいふなど宗教しゅうきょうてき祭祀さいしてき要素ようそふくむものがこれにあたります。これらは、民法みんぽうにより、祭祀さいし主宰しゅさいしゃ祭祀さいし承継しょうけいしゃ一人ひとりこととされています。

さらに、遺産いさんられがちだけど、じつ遺産いさんではないものもあります。

遺族いぞく給付きゅうふとは、法令ほうれいとうにより相続そうぞくじん一定いってい関係かんけいにあるひとたいして給付きゅうふされることがめられているものです。これは遺族いぞく固有こゆう権利けんりであるため、遺産いさんになりません。

遺産いさんなか賃貸ちんたい物件ぶっけん株式かぶしきがある場合ばあい定期ていきてき賃料ちんりょう配当はいとう発生はっせいします。これら遺産いさんから発生はっせいした収益しゅうえき遺産いさん該当がいとうしません。ただ、発生はっせい都度つどだれるのか」についてあらそいになりやすいので、遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎなかめることがおおいです。

くなったひと一切合切いっさいがっさい財産ざいさん遺産いさんになるといましたが、一身いっしん専属せんぞく権利けんり義務ぎむ相続そうぞく対象たいしょうとはなりません。一身いっしん専属せんぞくてき権利けんり義務ぎむとは、その性質せいしつじょう本人ほんにんのみにみとめられた権利けんり義務ぎむで、他者たしゃ譲渡じょうと相続そうぞくすることができないものをいいます。具体ぐたいてきには、つぎのようなものが一身いっしん専属せんぞくけん該当がいとうします。

  • 生活せいかつ保護ほご受給じゅきゅうけん
  • 年金ねんきん受給じゅきゅうけん
  • 扶養ふよう請求せいきゅうけん
  • 身元みもと保証人ほしょうにんとしての地位ちい
  • 国家こっか資格しかく
  • 使用しよう貸借たいしゃくにおける借主かりぬし地位ちい
  • 本人ほんにんめにすべき罰金ばっきん

たとえば、どもがおや税理士ぜいりし事務所じむしょ場合ばあい事務所じむしょよう不動産ふどうさん家具かぐぐことはできても税理士ぜいりしという地位ちいげないわけです。税理士ぜいりし事務所じむしょ経営けいえい継続けいぞくする場合ばあいども自身じしんがあらためて税理士ぜいりし資格しかく取得しゅとくする必要ひつようがあります。

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ここまでおつたえしたのは「民法みんぽうじょう相続そうぞく財産ざいさん遺産いさん)」です。になるのが「どのような遺産いさん相続そうぞくぜい課税かぜい対象たいしょうとなるのか」です。民法みんぽうじょう相続そうぞく財産ざいさん経済けいざいてき価値かち金銭きんせん見積みつもることができるものが相続そうぞくぜい課税かぜい対象たいしょうとなります。具体ぐたいてきには「プラスの遺産いさんからマイナスの遺産いさんいた部分ぶぶん」が相続そうぞくぜい課税かぜい対象たいしょうです。

なお、マイナスの遺産いさんのうちけるものは「相続そうぞく開始かいし弁済べんさい確実かくじつみとめられるもの」になります。そのため、保証ほしょう債務さいむ連帯れんたい債務さいむ一定いってい要件ようけん該当がいとうしなければプラスの遺産いさんからくことはできません。

ただし、民法みんぽうじょう相続そうぞく財産ざいさん「だけ」が課税かぜい対象たいしょうとなるわけではありません。相続そうぞく税法ぜいほうでは「実質じっしつてき相続そうぞく財産ざいさん税金ぜいきん負担ふたんするだけの価値かちのあるものに課税かぜいする」というかんがかたから、相続そうぞくぜい課税かぜい対象たいしょうは、民法みんぽうじょう相続そうぞく財産ざいさんよりも定義ていぎ範囲はんいひろくなっています。

以下いかかかげるものが相続そうぞくぜい課税かぜい対象たいしょうとなる財産ざいさんです。

相続そうぞく遺贈いぞうによって取得しゅとくした財産ざいさん、つまり民法みんぽうじょう相続そうぞく財産ざいさん遺産いさん)は相続そうぞくぜい課税かぜい対象たいしょうとなります。

みなし相続そうぞく財産ざいさんとは「民法みんぽうじょう相続そうぞく財産ざいさんではないが、相続そうぞく税法ぜいほうじょう相続そうぞく財産ざいさんとしてみなされる財産ざいさん」です。おもつぎのようなものがあります。

  • 生命せいめい保険ほけんきん生命せいめい保険ほけん契約けいやく権利けんりふくむ。相続そうぞくじん保険ほけんりょう負担ふたんし、受取うけとりじん相続そうぞくじん以外いがいのもの)
  • 死亡しぼう退職たいしょくきん
  • 個人こじん年金ねんきんなど定期ていききんかんする権利けんり

これらは、相続そうぞくじん生前せいぜんから保有ほゆうしていた財産ざいさんではありません。そのため、民法みんぽうじょう相続そうぞく財産ざいさんには該当がいとうせず、「ったひと固有こゆう財産ざいさん」となります。

しかし、相続そうぞくじん金銭きんせんてき身体しんたいてき負担ふたんがあったからこそ発生はっせいした財産ざいさんであるてん相続そうぞくじん死亡しぼうをきっかけに相続そうぞくじん受給じゅきゅう権利けんり発生はっせいしたてんから、相続そうぞく税法ぜいほうじょう相続そうぞく財産ざいさんとみなし、課税かぜい対象たいしょうとしています。なお、生命せいめい保険ほけんきん死亡しぼう退職たいしょくきんにはそれぞれ非課税ひかぜいわくがあります(後述こうじゅつ)。

このほか遺言ゆいごんにより免除めんじょされた債務さいむなどもみなし相続そうぞく財産ざいさん該当がいとうすることがありますので注意ちゅうい必要ひつようです。

関連かんれんみなし相続そうぞく財産ざいさんとは 代表だいひょうれい死亡しぼう保険ほけんきん死亡しぼう退職たいしょくきんをわかりやすく解説かいせつ

相続そうぞく税法ぜいほうでは、相続そうぞく財産ざいさんたいする税金ぜいきんだけでなく、財産ざいさんぬしきているあいだった贈与ぞうよについての税金ぜいきんについても規定きていしています。そのため、贈与ぞうよ財産ざいさんについては相続そうぞくぜいではなく贈与ぞうよぜい課税かぜいされることとなっています。

ただ、相続そうぞくぜい贈与ぞうよぜい課税かぜい対象たいしょう厳密げんみつけてしまうと、納税のうぜいしゃなかには法律ほうりつ逆手さかてって相続そうぞくぜいまぬかれようと計画けいかくするひとてきます。たとえば、財産ざいさんぬしくなる間際まぎわになってあわてて暦年れきねん課税かぜい制度せいど非課税ひかぜいわく使つかって贈与ぞうよをし、相続そうぞくぜい課税かぜい対象たいしょうがくらすという手法しゅほうです。こういった行為こうい放置ほうちすると納税のうぜいしゃあいだ課税かぜい不公平ふこうへいかんしょうじます。

この不公平ふこうへいかんをなくすため、相続そうぞく税法ぜいほうでは、相続そうぞくじんくなったからさかのぼって一定いってい期間きかんないおこなわれた生前せいぜん贈与ぞうよについては、相続そうぞく財産ざいさんくわえたうえ税額ぜいがく計算けいさんおこなうとしています。この期間きかんはこれまでは「3ねん」でしたが、2024ねんから「7ねん」に変更へんこうされました。2024ねん以降いこう贈与ぞうよについては、段階だんかいてき生前せいぜん贈与ぞうよ加算かさん期間きかん延長えんちょうされ、2031ねんからは完全かんぜんに7年間ねんかん加算かさん移行いこうされます。なお、すでに支払しはらった贈与ぞうよ税額ぜいがくは、はらったひとおさめるべき相続そうぞく税額ぜいがくから控除こうじょされます。

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生前せいぜん贈与ぞうよされた財産ざいさん原則げんそくとして贈与ぞうよぜい課税かぜい対象たいしょうとなるため、相続そうぞくぜい計算けいさんからはずれることとなります(先述せんじゅつ相続そうぞく開始かいしまえ7ねん以内いない生前せいぜん贈与ぞうよ加算かさん例外れいがい)。ただし、これはあくまでも暦年れきねん課税かぜい制度せいど適用てきようされる贈与ぞうよ財産ざいさんのみです。

贈与ぞうよぜいには、暦年れきねん課税かぜい制度せいど以外いがいにもうひとつ、「相続そうぞく精算せいさん課税かぜい制度せいど」があります。これは生前せいぜん贈与ぞうよしたときには特別とくべつ控除こうじょ2500まんえんまで贈与ぞうよぜいされないものの、相続そうぞく発生はっせい生前せいぜん贈与ぞうよぶん相続そうぞく財産ざいさんくわえたうえ相続そうぞくぜい精算せいさんするという制度せいどです。2024ねんからはとし110まんえんまでの贈与ぞうよぜい基礎きそ控除こうじょ非課税ひかぜいわく)も追加ついかされました。相続そうぞく精算せいさん課税かぜい制度せいど適用てきようされる贈与ぞうよ財産ざいさんについては、いつ贈与ぞうよおこなわれたかに関係かんけいなく、贈与ぞうよ財産ざいさん金額きんがくから基礎きそ控除こうじょがくをさしひいた金額きんがく相続そうぞく財産ざいさん加算かさんすることとなっています。なお、すでに支払しはらった贈与ぞうよ税額ぜいがくは、はらったひとおさめるべき相続そうぞく税額ぜいがくから控除こうじょされます。

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なお、以下いか遺産いさんやみなし相続そうぞく財産ざいさん相続そうぞくぜい非課税ひかぜいになります。

  • 墓石はかいし仏壇ぶつだんかみなどの祭祀さいし財産ざいさん日常にちじょう礼拝れいはい対象たいしょうとなっているもの(投資とうし対象たいしょうになるものや商品しょうひんとして所有しょゆうしているものはのぞく)
  • 生命せいめい保険ほけんきん死亡しぼう退職たいしょくきんのうち、それぞれ「500まんえん×法定ほうてい相続そうぞくじんかず」に相当そうとうする部分ぶぶん金額きんがく
  • 相続そうぞく遺贈いぞうにより取得しゅとくした財産ざいさんくに地方自治体ちほうじちたい公共こうきょう事業じぎょう寄附きふされたものなど
  • 不慮ふりょ事故じこによる死亡しぼう相続そうぞくじん遺族いぞくたいして支払しはらわれた損害そんがい賠償金ばいしょうきん
  • 相続そうぞくじん生前せいぜん勤務きんむさきから支払しはらわれた弔慰ちょういきん(ただし一定いっていがくえるものは課税かぜい対象たいしょう

葬式そうしき費用ひよう相続そうぞくじん死亡しぼう発生はっせいしたものであり、マイナスの財産ざいさんではありません。しかし、以下いかのような葬式そうしき費用ひよう相続そうぞくぜい計算けいさん基礎きそとなる遺産いさん総額そうがくからくことができます。

  • 火葬かそう埋葬まいそう納骨のうこつにかかった費用ひよう遺体いたい遺骨いこつ運搬うんぱん費用ひよう
  • 葬式そうしきだい、お通夜つやだい
  • 葬儀そうぎ読経どきょうをした僧侶そうりょ読経どきょうりょうなど

ただし、香典返こうでんがえしや墓地ぼち墓石はかいし費用ひようはつななにち法事ほうじ費用ひようくことができません。

以下いか財産ざいさん相続そうぞく財産ざいさんです。盲点もうてんになりやすいので注意ちゅうい必要ひつようです。

  • 名義めいぎ預金よきん名義めいぎかぶ
  • 相続そうぞくじん死亡しぼう前後ぜんこうした預金よきん

名義めいぎ他人たにんになっているけれど、実質じっしつ管理かんりしているのは本人ほんにんである預金よきんかぶについて、とくに「名義めいぎ預金よきん」「名義めいぎかぶ」とびます。相続そうぞくでは「つま名義めいぎ銀行ぎんこう口座こうざだけれど、実質じっしつてきには生活せいかつとしてくなったおっと管理かんりしていた」というれいがよくあります。「相続そうぞくじん預金よきんかぶ贈与ぞうよされた記憶きおくがない」「ハンコや口座こうざ管理かんりしているのは相続そうぞくじんだった」という場合ばあいには、名義めいぎ預金よきん名義めいぎかぶとして相続そうぞくぜい課税かぜい対象たいしょうとなります。

また、生活せいかつ葬式そうしきだいのために、相続そうぞくじん前後ぜんご相続そうぞくじん口座こうざから預金よきんし、支払しはらいにてることがあります。このように相続そうぞく開始かいし前後ぜんこうされた預金よきんは、相続そうぞく財産ざいさんとしてあつかわれます。

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遺言ゆいごんしょがある場合ばあいには、原則げんそくとしてその内容ないようしたがって遺産いさん相続そうぞく遺贈いぞうされることになります。ただし、相続そうぞくじん全員ぜんいんはなって合意ごういし、なおかつ相続そうぞくじん以外いがい受贈じゅぞうしゃ同意どういられれば、遺言ゆいごんしょ内容ないようことなる方法ほうほう相続そうぞくおこなうこともできます。

遺言ゆいごんしょがない場合ばあい遺言ゆいごんしょ指定していのない財産ざいさんかんする相続そうぞく検討けんとうする場合ばあい遺言ゆいごんしょがあってもその内容ないようとはことなる方法ほうほう相続そうぞくおこないたい場合ばあいには、相続そうぞくじん全員ぜんいん遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎおこない、遺産いさん分割ぶんかつ方法ほうほうめます。協議きょうぎ結果けっか遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎしょ記録きろくします。

だれがどのくらいの割合わりあい遺産いさんぐか」については、遺言ゆいごんしょ遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎ自由じゆうめることができます。ただし、相続そうぞくじん配偶はいぐうしゃだいかさね相続そうぞくじんであるまご父母ちちはは祖父母そふぼなどの直系ちょっけい尊属そんぞくについては、相続そうぞく開始かいし生活せいかつへの配慮はいりょから、遺産いさんについて最低限さいていげん割合わりあい請求せいきゅうできる権利けんり民法みんぽうさだめられています。これを遺留分いりゅうぶんといいます。遺留分いりゅうぶん割合わりあいつぎのように民法みんぽうさだめられています。なお、相続そうぞくじん兄弟きょうだい姉妹しまい遺留分いりゅうぶんはありません。

  • 原則げんそくとして、総体そうたいてき遺留分いりゅうぶん相続そうぞく財産ざいさんの2ぶんの1
  • 父母ちちはは祖父母そふぼ直系ちょっけい尊属そんぞく)だけが相続そうぞくじん場合ばあいかぎり、相続そうぞく財産ざいさんの3ぶんの1

遺留分いりゅうぶん侵害しんがいするような遺言ゆいごんしょによる指定してい遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎがなされた場合ばあい遺留分いりゅうぶん保証ほしょうされている相続そうぞくじん遺産いさんおおいだほか相続そうぞくじん遺留分いりゅうぶんもど遺留分いりゅうぶん侵害しんがいがく請求せいきゅうおこなうことができます。ただし、この請求せいきゅうけん行使こうしには時効じこうがあるので注意ちゅうい必要ひつようです。

遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎは、法定ほうてい相続そうぞくぶん意識いしきしたうえおこなわれるのが通例つうれいですが、相続そうぞくじんなかには「生命せいめい保険ほけんきん金額きんがくいちじるしく高額こうがく」「相続そうぞくじん生前せいぜん、かなりのげん預金よきんっていた」などといった事情じじょうがあるひともいます。これを「特別とくべつ受益じゅえき」といいます。特定とくてい相続そうぞくじん特別とくべつ受益じゅえき発生はっせいしている場合ばあい法定ほうてい相続そうぞくぶんどおりに遺産いさん分割ぶんかつおこなってしまうと相続そうぞく人間にんげん不公平ふこうへいかんしょうじてしまうため、一定いってい配慮はいりょおこなったうえでの遺産いさん分割ぶんかつおこなうよう、民法みんぽう規定きていがされています。

一方いっぽう特定とくてい相続そうぞくじん相続そうぞくじん生前せいぜん介護かいご看護かんご尽力じんりょくした場合ばあい、この尽力じんりょく度合どあいを「寄与きよぶん」として、尽力じんりょくした相続そうぞくじんへの遺産いさん分割ぶんかつさい配慮はいりょするよう民法みんぽうさだめられています。

なお、相続そうぞくじんなかには「遺産いさんりたくない」とかんがえているひともいます。この場合ばあいには、限定げんてい承認しょうにんにより相続そうぞくする範囲はんい限定げんていしたり、あるいは相続そうぞく放棄ほうきにより一切合切いっさいがっさい財産ざいさん相続そうぞく放棄ほうきしたりすることができます。ただし、限定げんてい承認しょうにん相続そうぞく放棄ほうきも、相続そうぞく開始かいしがあったことをった翌日よくじつから3かげつ以内いない家庭かてい裁判所さいばんしょ申述もうしのべしなくてはなりません。

遺産いさん相続そうぞくおこなうには、くなったひとがどういった財産ざいさんをどれくらい所有しょゆうしていたかを調しらべる必要ひつようがあります。この作業さぎょうは、遺産いさん相続そうぞく相続そうぞくぜい申告しんこくおこなうためだけでなく、予想よそうがい借金しゃっきん背負しょわないためにも重要じゅうようです。

どの世帯せたいにも共通きょうつうする財産ざいさんであるげん預金よきん有価ゆうか証券しょうけん不動産ふどうさん、そして借金しゃっきんについては、以下いかのような作業さぎょうおこなうことになります。

げん預金よきん有価ゆうか証券しょうけんについては、自宅じたくない現金げんきん預金よきん通帳つうちょう、キャッシュカード、株券かぶけん口座こうざ開設かいせつ通知つうちしょなどをくまなくさが作業さぎょうおこないます。ただ、最近さいきんは、店舗てんぽのある金融きんゆう機関きかんだけでなく、ネット銀行ぎんこうやネット証券しょうけんなどインターネットじょう完結かんけつする金融きんゆう機関きかんえています。そのため、銀行ぎんこうからの郵便ゆうびんぶつやノベルティ、メール、スマートフォンのアプリなども確認かくにんする必要ひつようがあります。

土地とち建物たてものなどを調しらべるには、登記とうきずみしょうなどの権利けんりしょうさがします。権利けんりしょうがなければ、固定こてい資産しさんぜい納税のうぜい通知つうちしょなどから所在しょざい調しらべ、不動産ふどうさんがある市区しく町村ちょうそん窓口まどぐち固定こてい資産しさん課税かぜい台帳だいちょう確認かくにんします。また、不動産ふどうさん権利けんり関係かんけい現状げんじょう確認かくにんするため、法務局ほうむきょく登記とうき事項じこう証明しょうめいしょ取得しゅとくする必要ひつようがあります。

借金しゃっきん有無うむ確認かくにんは、おもつぎよっつの作業さぎょうおこないます。

  • 預金よきんからの定期ていきてきおとしを
  • 契約けいやくしょ返済へんさい予定よていひょう有無うむ
  • 金融きんゆう業者ぎょうしゃからの郵便ゆうびんぶつ調しらべる
  • 連帯れんたい保証ほしょう有無うむについては、契約けいやくしょ有無うむ調しらべる

借金しゃっきん存在そんざい早々そうそうあきらかになれば、先述せんじゅつ限定げんてい承認しょうにん相続そうぞく放棄ほうき手続てつづきも期限きげんないおこなうことができ、不要ふよう債務さいむ背負しょわずにすみます。相続そうぞく開始かいししたなかでの確認かくにん作業さぎょう大変たいへんですが、できるだけはや着手ちゃくしゅするようにしましょう。

遺産いさん」といっても、プラスの財産ざいさんもマイナスの財産ざいさんもあります。また、民法みんぽうじょう遺産いさんではなくても、相続そうぞくぜい課税かぜいされるみなし相続そうぞく財産ざいさんもあります。実際じっさい相続そうぞくにあたっては、故人こじん財産ざいさんをすべて調しらべたうえで、遺産いさん分割ぶんかつ相続そうぞくぜい納付のうふなどの手続てつづきをすすめる必要ひつようがあります。期限きげんのある手続てつづきもありますので、不安ふあんかんじたら税理士ぜいりしなどの専門せんもんへのはやめの相談そうだんをおすすめします。

記事きじは2024ねん3がつ1にち時点じてん情報じょうほうもとづいています)