「終おわり活かつ」認知にんち度どは96％も、実践じっせんしている人ひとは少数しょうすう派は　全国ぜんこく調査ちょうさから見みえる「終おわり活かつ」の現状げんじょう

1. 終おわり活かつの認知にんち度どは96.4％　わずか10年ねん強きょうで社会しゃかいに浸透しんとう

「終おわり活かつ」という言葉ことばの認知にんち度どは年齢ねんれい層そうを問とわず高たかい結果けっかとなりました。

終おわり活かつという言葉ことばが初はじめてメディアに登場とうじょうしたのは、2009年ねんの『週刊しゅうかん朝日あさひ』（朝日新聞あさひしんぶん出版しゅっぱん）の連載れんさい記事きじといわれています。その背景はいけいには、2007年ねんに65歳さい以上いじょうの高齢こうれい者しゃが全ぜん人口じんこうの21％を超こえ、世界せかいで初はじめて「超ちょう高齢こうれい社会しゃかい」へと突入とつにゅうしたわが国くにの社会しゃかい的てきな事情じじょうが影響えいきょうしていたと考かんがえられます。それからわずか10年ねん強きょうの間あいだに、終おわり活かつという言葉ことばはすっかり社会しゃかいに定着ていちゃくしたといえます。

2. 「終おわり活かつ」に対たいするイメージは前向まえむき？後うしろ向むき？

終おわり活かつに対たいして持もっているイメージについての質問しつもんです。
大おおきく分わけると、終おわり活かつを「人生じんせいの終末しゅうまつ期きの準備じゅんび」と後うしろ向むきにとらえるか、「生いき生いきと過すごすこと」と前向まえむきにとらえるかの選択せんたくですが、まだまだ終おわり活かつに対たいして後うしろ向むきのイメージを持もつ人ひとが多数たすう派はという結果けっかでした。

「終おわり活かつ」という言葉ことばの響ひびきから、どうしても終おわり活かつには、お葬式そうしきやお墓はか、亡なくなったときの手続てつづきなど、後うしろ向むきのイメージがあります。しかし、同どう法人ほうじんでは終おわり活かつを「人生じんせいの後半こうはん期きを自分じぶんらしくいきいきと生いき、後悔こうかいのない人生じんせいを送おくるための活動かつどう」と位置いちづけ、前向まえむきな意味いみでとらえることに重点じゅうてんを置おいています。

3. エンディングノートは知しっていても書かいている人ひとは少数しょうすう派は

終おわり活かつを始はじめる第一歩だいいっぽとして、同どう法人ほうじんは、エンディングノートの活用かつようを推奨すいしょうしています。実際じっさいに「終おわり活かつ」という言葉ことばが登場とうじょうする5年ねんも前まえの2004年ねんには、ライフプランに基もとづいたエンディングノートを発刊はっかんしています。

しかし、今回こんかいの調査ちょうさでエンディングノートの認知にんち度どや活用かつようについて質問しつもんを進すすめていくと、以下いかのような結果けっかとなりました。

Q. あなたは、「エンディングノート」という言葉ことばを聞きいたことがありますか？（全体ぜんたい）
　　　　YES…80.3％　　　NO…19.7％

Q. あなたは、「エンディングノート」を持もっていますか？（60歳さい以上いじょうの回答かいとう者しゃ）
　　　　YES…20.5％　　　NO…79.5％

Q. あなたは、「エンディングノート」を書かいていますか？（エンディングノートを持もっている60歳さい以上いじょうの回答かいとう者しゃ）
　　　　YES…60.0％　　　NO…40.0％

エンディングノートの認知にんち度どは8割わり以上いじょうと高たかく、特とくに60歳さい以上いじょうの人ひとでは9割わりを超こえますが、実際じっさいにエンディングノートを持もっている人ひとや書かいている人ひとは少数しょうすう派はです。理由りゆうの1つには、まだまだ終おわり活かつに対たいして後うしろ向むきのイメージを持もっている人ひとが多おおく、「エンディングノートを書かくことは縁起えんぎでもない」という意識いしきから、なかなか書かき始はじめられないということも挙あげられます。

しかし、実際じっさいにエンディングノートを手てに取とったことのある人ひとはお分わかりかと思おもいますが、エンディングノートに書かく内容ないようは実じつにさまざまです。葬式そうしきなど死後しごの手続てつづきのことだけではなく、これからやりたいことや生いきがいを書かく欄らん、自分じぶんの周まわりの人ひとたちについて書かく欄らん、財産ざいさんを整理せいり・記録きろくする欄らん、医療いりょうや介護かいごなどの希望きぼうを書かく欄らんなど幅広はばひろく網羅もうらされています。

エンディングノートを書かくことによって、情報じょうほうや考かんがえが整理せいりされ、これからの生いき方かたや課題かだいも見みえてくるため、むしろ前向まえむきに生いきるためにエンディングノートは活用かつようするものと言いえます。

4. エンディングノートは争そう族ぞく対策たいさくにも効果こうか

また、エンディングノートを書かくことは、家族かぞくとのコミュニケーションにも役立やくだっているようです。
本ほん調査ちょうさでは、エンディングノートを書かいている人ひと、書かいていない人ひとに対たいし、家族かぞくと「老後ろうごや相続そうぞく」のことを話はなし合あったことがあるかどうかを質問しつもんしています。

結果けっかは、エンディングノートを書かいている人ひとでは79.1％が話はなし合あったことがあるのに対たいし、書かいていない人ひとは51.6％と大おおきな差さが表あらわれました。相続そうぞくトラブル（＝争そう族ぞく）は、生前せいぜんのコミュニケーション不足ふそくが大おおきな原因げんいんと言いわれています。エンディングノートを書かくことで家族かぞくとのコミュニケーションが生うまれ、将来しょうらいの争そう族ぞくの防止ぼうしにもつながることが期待きたいできます。

5. 新型しんがたコロナウイルスは人生じんせいに対たいする向むき合あい方かたに影響えいきょうを与あたえたか？

終おわり活かつとは少すこし離はなれますが、コロナ禍かで、人生じんせいに対たいする向むき合あい方かたに変化へんかがあったかどうかの質問しつもんです。

全体ぜんたいの47.0％と、半数はんすう近ちかくがコロナ禍かで人生じんせいに対たいする向むき合あい方かたが変かわったと回答かいとうしています。新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうにより、身近みぢかに感かんじていた芸能人げいのうじんが突然とつぜん亡なくなるなど、死しが他人事たにんごとでなくなり人生じんせい観かんが変かわった人ひとも多おおいのでないでしょうか。また在宅ざいたくワークや「おうち時間じかん」の増加ぞうかなど、働はたらき方かたや生活せいかつスタイルそのものも大おおきく変化へんかし、個人こじんの人生じんせい観かんにも少すくなからず影響えいきょうを及およぼしていると考かんがえられます。

なお、男女だんじょ別べつにみると、女性じょせい全体ぜんたいでは54.0％の人ひとが人生じんせいに対たいする向むき合あい方かたが変かわったと回答かいとうしており、男性だんせい全体ぜんたいの40.1％よりも高たかい割合わりあいとなりました。

6. 人生じんせい100年ねん時代じだい、前向まえむきに生いきるための終おわり活かつは重要じゅうように

これからも長寿ちょうじゅ化かは進すすみ、日本人にっぽんじんはますます長ながい人生じんせいを生いきることになるでしょう。

また、おひとりさま世帯せたい、離婚りこん・未婚みこん世帯せたい、LGBT世帯せたいの増加ぞうかなど、家族かぞく構成こうせいや世帯せたいの複雑ふくざつ化かも進すすみます。このような社会しゃかいのなかで「終おわり活かつ」の重要じゅうよう性せいはますます高たかまると考かんがえられます。

今回こんかいの調査ちょうさ結果けっかからは終おわり活かつの認知にんち度どと実践じっせんのギャップが明あきらかになりましたが、今後こんご終おわり活かつを実践じっせんする人ひとの割合わりあいは高たかまると予測よそくしています。

エンディングノートも上手じょうずに活用かつようしながら、人生じんせい後ご半期はんきをよりよく生いきるために「終おわり活かつ」を実践じっせんしてください。

なお、本ほん調査ちょうさは「NPO法人ほうじんら・し・さ」及および「終おわり活かつアドバイザー協会きょうかい」のホームページで公開こうかいされています。本ほん記事きじで紹介しょうかいした以外いがいにも「老後ろうごの住すまい」「自分じぶんの葬式そうしき」「地域ちいき包括ほうかつ支援しえんセンター」「2025年ねん問題もんだい」についてなど、終おわり活かつに関かんする多おおくの調査ちょうさ結果けっかがお読よみいただけます。関心かんしんがある方ほうはご一読いちどくください。

（記事きじは2021年ねん4月がつ1日にち時点じてんの情報じょうほうに基もとづいています）

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