料理を美味しく仕上げるためには、包丁を正しく扱うことや、食材にあった切り方をすることが必要です。きれいな切り方は、見栄えばかりか味にも影響をしてくるのです。今回は、正しい包丁の使い方と野菜の切り方を紹介します。
正しい包丁の使い方
包丁の各部分は正しく使いましょう。切りあがった見た目・スピード・仕上がりなどが大いに違ってきます。
- 刃先 …… 引き切り、ごlまうのささがきなどに使います。
- 腹 …… 押し切り、みじん切り、巻きずしを切るときに使います。
- 刃元 …… かつらむきや皮をむくときに使います。
- みね …… 肉をたたいたり、小えびをたたいてつぶしたりするときなどに使います。
引いて切る
肉や魚介類など、やわらかいものを切るときに使います。切り口をきれいに薄く切るには、刃を手前に引くような感じにすると良いでしょう。
押して切る
大根など、大きな野菜を切るときに使います。刃を向こう側に押し出すようにスパッと切るのがコツです。また、繊維のある肉などは前に押しながら切るようにします。
押さえて切る
キャベツなど、細かくきざむときに使います。下に押さえつけるようにサクサクと調子をつけて切れば、手早くできます。
野菜の切り方
輪切り
ニンジンや大根など円筒状のものを輪に切る方法です。必要な部分を切り落とし、皮を剥きます。材料を寝かした状態で同じ厚さに揃えて切ります。輪切りは、包丁の中央から刃先を使います。材料に当て、向こう側に押し出すようにすると切りやすいです。トマトのように丸いものは、へたつきを横にして端から切ると切りやすいです。輪切りは、主に煮物をする際の切り方です。
半月切り
輪切りでは大きすぎる材料は、半月切りにします。輪切りしたものを、さらに半分に切ります。煮物や炒め物にする際の切り方です。煮物にする場合は厚めに、炒め物にする場合は薄めに切ります。
いちょう切り
半月切りしたものを、さらに半分に切ります。火を早く通したいときの切り方です。薄めに切りましょう。
短冊切り
大根や人参でよく使われる切り方です。できあがりの形が短冊に似ていることからついた名前です、長方形に切る方法です。長さは4〜5cm、薄さは1〜2mmが基本形です。
拍子木切り
フライドポテトのように、直方体に切るきり方です。用途によって長さを決め、材料を必要な長さに輪切りにします。次に輪切りにしたものを、仕上げたい太さに縦に切っていきます。さらに縦に切ったものを、同じ太さに切っていきます。急ぐときの煮物やスティックサラダなどに使うときの切り方です。
さいの目切り
1cm角のサイコロのように、立方体に切るきり方です。用途によって大きさを決めます。切り方は拍子木切りをさらに、端から切っていきます。
角切り
1cm角のさいの目切りよりも一回り大きいのが角切りです。食べごたえも感じられるので、スープや炒めものなどの具材としておすすめの切り方です。
桂むき
大根やにんじん、きゅうりなど、円柱形のものを回しながら、切れないように長くむいていく方法です。飾り切りの一種ですが、皮をむくときにも活用できます。
せん切り
材料の繊維にそって細かく切ります。必要な長さを決め、材料を必要な長さに輪切りにします。次に輪切りにしたものを、縦に薄く切っていきます。さらに薄切りしたものを、端から細かく切っていきます。
細切り
せん切りよりもやや太く、食感をより楽しめるのが細切りです。にんじんの細切りは、きんぴらごぼうをイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。
みじん切り
材料を細かく砕くように切ります。縦横共、細かく切っていきます。
薄切り
食材を端から2mmの厚さを目安に薄く切ることです。たまねぎやにんにくなど丸い野菜は半分に切り、断面を下にして安定させてから切ります。用途によって斜めに薄切りにしたり、繊維に沿ってまたは繊維を断つようにして切ることもあります。
小口切り
ねぎなどの細い円筒状のものを一定の幅で切っていく切るきり方です。輪切りのように切り口を切ります。
斜め切り
白ネギやごぼうなど細長いものを切るきり方です。材料にたいして刃を少し寝かせ切ります。鍋物や煮物に適しています。
くし形切り
たまねぎやトマトなどを放射状に切るきり方です。まずは4等分に切り、さらに4等分に切ったものを半分に切ると、形がそろいやすいです。
ざく切り
小松菜やキャベツのような葉野菜を3cmほどの幅にざっくり切ること。キャベツや白菜の場合はさらに90度向きを変えて3cm角に切ります。炒め物や鍋ものに適した切り方です。
乱切り
形をそろえずに、材料を回しながら切るきり方です。れんこんやにんじんなどは、この切り方で切ります。材料を横におき、切り口が上になるように手前に回しながら、斜めに切り落としていきます。
ささがき
笹の葉の形に似ているところから「ささがき」と呼ばれます。ごぼうやにんじんなどの細長い野菜に使います。野菜を回しながら、包丁で削るように薄く切っていきます。
そぎ切り
厚みがある材料をそぐように切る切り方のことで、切り口の表面積が大きくなるため短時間で均等に火が入り、味の含みがよくなります。包丁の刃を寝かせて、手前に引くようにして切ります。鶏肉、白菜の根元、しいたけなどの材料によく用いられます。
野菜の切り方の小技
たまねぎのみじん切り
たまねぎのみじん切りは、根元をつけたままにして切るのがコツです。途中でバラバラにならず、手早く均一の大きさにできます。
まず、縦半分に切ったら切り口を下に、根元を向こう側に置き、根元を切り離さないようにして、包丁の先で縦に3~4cm幅の切りこみを入れます。次に根元を横に向け、根元の反対側から4~5cm間隔の厚みで包丁を入れます。これを端からきざめば、たまねぎのみじん切りが出来ます。さらに細かくしたいときは、小片をまとめて、包丁の先を左手で押さえて、刃先を扇状に動かしながらトントンと下に打ち付けていきます。
水の中で皮をむいた玉ねぎは目にしみない
玉ねぎは切る前に、水の中で皮をむくと、玉ねぎに含まれている催涙物度が水に溶け出すので、泣かずにすみます。水気がなくならないうちに手早く切るのがコツ。
小口切りの厚みを同じにする方法
きゅうりやねぎなどの、小さい輪ものを切ることが小口切り。要領は輪切りと同じ押し切りですが、厚みを平均にさせるのがポイントです。人さし指で包丁の腹を支え、平行にずらしながら、食べよい大きさに切っていきます。
例えばきゅうりなら、酢のものには0.5mmほどに薄く、サラダ用には3〜5mmに切りわけます。
千六本は繊維に直角に切り切り口をざらつかせます
みそ汁の実にする千六本は、大根の繊維と直角に、細く切ります。薄い輪切りにしてせん切りに、また縦に薄切りしたら、切り口の向きを変え、少しずらして繊維と直角に。切り口がざらつ
き、味がしみやすい切り方です。
せん切りはなます切りとも、繊維にそってなめらかに
野菜のシャキッとした歯ざわりやなめらかな舌ざわりを楽しむときのせん切りは、繊維にそって切り、大根のなますやサラダを作るときに用います。また、にんじんなどかたい野菜や彩りのよいきゅうりのせん切りは、斜めの輪切りにしてから、せん切りにします。
曲がったきゅうりの輪切り
曲がったきゅうりをそのまま切ると、厚さや形が不ぞろいになってしまいます。そんなときには、きゅうりを起こして切るのがコツです。きゅうりの角度を少しずつ変えながら、切っていきましょう。
串ぎし用の玉ねぎは串を刺してから切ります
バーベキューや鉄板焼きには欠かせない玉ねぎですが、すぐにバラバラになってしまいます。この簡単な解決方法は、厚み分の間隔をあけて、枚数分の串を刺しておくこと。こうしてから串と串との間に包丁を入れていきますと、皮がバラバラにはがれることもなく、見ためもきれいです。
形のちがう材料を同じ大きさにしたいときは乱切りに
野菜を、いくつか取り合わせてつくる煮ものは、まず材料の大きさを切りそろえることが大切です。ごぼう、にんじんなど細長い材料は、手前に切り口を向け、くるくる回しながら斜め切りにします。大根などの大い材料の場合には、適当な長さに切ってから、縦に4つ割りにして、同じように回しながら乱切りにします。
ささがきのごぼうを作るとき
ささがきのごぼうが短くなってきたら、竹串を刺します。太い部分は縦に数本切り込みを入れ、竹串を持って削ります。
ごぼうの皮は包丁の背で
ごぼうは皮の部分がおいしいので、皮をむいてはいけません。たわしで洗うか、包丁の背を使ってこそげば充分です。アクが強いので、ごぼうをくるくる回しながら、手早くこそげて酢を落とした水の中に放し、アク抜きします。
パセリのみじん切りはコツプの中で
パセリをコップに入れ、キッチンバサミの先で細かく切ると、簡単にみじん切りができます。余ったらラップ紙で蓋をして、冷蔵庫に入れておくと便利です。
また、ねぎの小口切りを薬味に少量だけきざみたいときも、ねぎを2〜3本束ねてキッチンバサミで切れば簡単。みじん切りなら縦に切れ目をいれてから。保存には密閉容器を利用しましょう。