安やすすぎる大学だいがくの学費がくひにより日本にっぽん社会しゃかいが失うしなったもの 学生がくせいの経済けいざい的てき負担ふたんが小ちいさいことは利点りてんだが…

（写真しゃしん：yu_photo／PIXTA）

慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがくの伊藤いとう公平こうへい塾長じゅくちょうが、3月に文部もんぶ科学かがく省しょう・中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎ会かいの特別とくべつ部会ぶかいで「国公私立こっこうしりつ大学だいがくの設置せっち状態じょうたいにかかわらず、大学だいがく教育きょういくの質しつを上あげていくためには、公平こうへいな競争きょうそう環境かんきょうを整ととのえることが必要ひつよう。国立こくりつ・公立大こうりつだい学がくの家計かけい負担ふたんは、年間ねんかん150万まん円えん程度ていどに上あげるべき」と提言ていげんしました。今回こんかいは、日本にっぽんの大学だいがくと学費がくひのあり方かたについて考かんがえてみましょう。

文科ぶんか省しょうは火消ひけしに回まわる

4月がつ中旬ちゅうじゅんに伊藤いとう氏しの提言ていげんがメディアで明あきらかになると、大おおきな波紋はもんを呼よびました。ほぼ反対はんたい一色いっしょくで、SNSやネット掲示板けいじばんには次つぎのようなコメントがあふれていました。

「学費がくひの値上ねあげと大学だいがく教育きょういくの質しつの向上こうじょうがどうつながるのか。私立しりつ大学だいがくと国公立こっこうりつ大学だいがくが公平こうへいな競争きょうそうをする必要ひつようがあるのか。ちょっと意味いみがわからない」

「値上ねあげすると、いよいよ裕福ゆうふくな家庭かていしか大学だいがくに進学しんがくできなくなる。努力どりょくすれば国公立こっこうりつ大学だいがくで安やすく学まなべるという今いまの仕組しくみを変かえるのは反対はんたい」

文科ぶんか省しょうの担当たんとう者しゃは、早々そうそうに「あくまで提案ていあんが議論ぎろんに上あがった段階だんかいで、決定けってい事項じこうではない」「この内容ないようが独ひとり歩あるきするのは、われわれも本意ほんいではない」（フジテレビ「イット!」4月がつ22日にち放送ほうそうより）と火消ひけしに回まわりました。

火消ひけしの甲斐かいあって今回こんかいの「伊藤いとう騒動そうどう」は一いち件けん落着らくちゃくした印象いんしょうですが、本当ほんとうに安価あんかな学費がくひは善ぜん、値上ねあげは悪あくなのでしょうか。伊藤いとう氏しの提言ていげんを脇わきに置おいて、日本にっぽんの大学だいがくと学費がくひのあり方かたについてゼロベースで考かんがえてみましょう。