国立こくりつ大だいを｢授業じゅぎょう料りょう値上ねあげ｣に追おい込こんだ｢真犯人しんはんにん｣ 大学だいがくはただ｢ピーピー騒さわいでいるだけ｣なのか

2023年ねん10月がつには、金沢大学かなざわだいがくがキャンパスのトイレ改修かいしゅう費用ひようがないため、クラウドファンディングでその資金しきんを募集ぼしゅうするまでに追おい込こまれている（写真しゃしん：hap／PIXTA）

日本にっぽんの研究けんきゅう力りょくを低下ていかさせた「大学だいがく改革かいかく」

中野なかの剛志たけし氏しらの新著しんちょ『新しん自由じゆう主義しゅぎと脱だつ成長せいちょうをもうやめる』が、このほど刊行かんこうされた。

『新しん自由じゆう主義しゅぎと脱だつ成長せいちょうをもうやめる』（書しょ影かげをクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙かみ版ばんはこちら、電子でんし版ばんはこちら。楽天らくてんサイトの紙かみ版ばんはこちら、電子でんし版ばんはこちら）

新しん自由じゆう主義しゅぎがいかに我わが国くにの国力こくりょくを破壊はかいしてきたかを、さまざまな角度かくどから論ろんじるとともに、表面ひょうめん的てきには新しん自由じゆう主義しゅぎを批判ひはんしているリベラル・左派さはの言説げんせつもまた、その実み、かえって新しん自由じゆう主義しゅぎを後押あとおしするものとなってしまっていることにも批判ひはんの射程しゃていを広ひろげている。

本書ほんしょには、私わたしも一部いちぶでゲスト参加さんかしているが、そこで私わたしは、新しん自由じゆう主義しゅぎによる90年代ねんだい以来いらいの「大学だいがく改革かいかく」こそが、日本にっぽんの研究けんきゅう力りょくを低下ていかさせた最大さいだいの原因げんいんであることを指摘してきした。

「改革かいかくをやったから、研究けんきゅう力りょくが落おちた」のである。ところが政府せいふは、「研究けんきゅう力りょくが落おちているから、改革かいかくが必要ひつようだ」という。こんなアベコベは、いいかげんアベスガ政権せいけんまでで終おわらせてほしかったものだ。だから、本書ほんしょでは冒頭ぼうとう、「新しん自由じゆう主義しゅぎからの脱却だっきゃく」をうたった岸田きしだ現げん総理そうりに対たいする、政権せいけん発足ほっそく当時とうじの期待きたいも語かたられている。

もちろん、その期待きたいはみごとに裏切うらぎられた。岸田きしだ政権せいけん下かでも、2022年ねん、「稼かせげる大学だいがく」と通称つうしょうされる「国際こくさい卓越たくえつ研究けんきゅう大学だいがく」の制度せいどが発足ほっそくした。大学だいがくを「稼かせげる経営けいえい体たい」に改革かいかくせよ、というのだ。

さらに、翌よく2023年ねんには、これに合あわせて国立こくりつ大学だいがく法人ほうじん法ほうが、なし崩くずし的てきに改正かいせい。一部いちぶの大だい規模きぼな国立こくりつ大学だいがくに、過半数かはんすうの学外がくがい委員いいんによって組織そしきされる最高さいこう意思いし決定けってい機関きかんを置おくことを義務ぎむづけた。政府せいふの息いきのかかった人物じんぶつを委員いいんとして送おくり込こみ、そこからトップダウンで、大学だいがくを効率こうりつ的てきに稼かせげる経営けいえい体たいに改革かいかくしていこうというわけだ。今後こんごは他たの国立こくりつ大学だいがくにも適用てきようされていくことは間違まちがいない。