今回こんかいは例外れいがい的てきにブックレビュー外がいとさせていただく。

　私わたしは北野きたの誠まことのファンでもなんでもない。芸人げいにんとかテレビタレントというのは、良よくも悪わるくもテレビの向むこうの顔かおで、実際じっさいの人物じんぶつとは同一どういつでないと、ちょっと冷さめたスタンスで見みている。

　ただ、今回こんかいの北野きたの事件じけんは一いち芸能げいのうニュースとしてだけでなく、多少たしょうなりとも文章ぶんしょう表現ひょうげんの世界せかいに身みを置おいている私わたしにとって看過かんかできない問題もんだいに思おもえたので、この場ばを借かりてペンを執とらせてもらう。

　現時点げんじてん（４月がつ１６日にち２３時じ）でわかっていることは、北野きたの誠まことは担当たんとうする深夜しんや番組ばんぐみやイベントで失言しつげんをし、その結果けっか、失言しつげんをしたと言いわれている深夜しんやラジオは打うち切きられ、そのほかの番組ばんぐみからも降おろされ、無期むき謹慎きんしん処分しょぶんとなった。芸能げいのう界かいでは薬物やくぶつ使用しようや傷害しょうがい致死ちしなど、これまでさまざまな事件じけんがあったが、失言しつげんでここまでの処遇しょぐうというのは聞きいたことがない。というより、これだけネットなどが発達はったつしている今日きょうにおいても昨日きのう（１５日にち）の時点じてんで、何なにがそれほどまでの致命ちめい的てきな失言しつげんだったのかも明あきらかになっていない。

　そして、今回こんかいの問題もんだいの深刻しんこく性せいは、北野きたの誠まことが担当たんとうしているすべての番組ばんぐみを降板こうばんさせられるなどのことは新聞しんぶん等とうで伝つたえられているのに、テレビの芸能げいのうニュースなどでは（番組ばんぐみ欄らんを見みる限かぎり）まったく扱あつかっていないということだ。いつもなら芸能げいのうレポーターが先さきを争あらそって報道ほうどうする場面ばめんのずなのに。（それだけでなく、私わたしの使つかっているブログのキーワードランキングに「ざこば」がランクインしているのに「北野きたの誠まこと」がランクインしていないのは明あきらかに不自然ふしぜんだし、ヤフーブログのキーワードの推移すいいで見みてみても「北野きたの誠まこと」は１４日にちを境さかいに急激きゅうげきに下降かこうしている。これは明あきらかに不自然ふしぜんである）

　今回こんかいの事件じけんを見みていると、芸能げいのう界かいのスキャンダル暴露ばくろだとか写真しゃしん週刊しゅうかん誌しのスクープというのは「三位一体さんみいったいの法則ほうそく」で成なり立たっていることがよくよくわかる。つまり、「スクープされる側がわ」も「プライバシーの侵害しんがい」などと言いいながら「スクープする側がわ」「読者どくしゃ（視聴しちょう者しゃ）」と一体化いったいかし、それを宣伝せんでん（商売しょうばい）に利用りようして成立せいりつしているのである。

　しかし、今回こんかい、北野きたの誠まことは暴露ばくろしてはいけない真実しんじつを暴露ばくろしてしまったようだ。闇やみの世界せかいを目まの当あたりにして、放送ほうそう局きょくも、タレント仲間なかまも、芸能げいのうレポーターも、局きょくアナも、北野きたの誠まことを置おき去ざりにしてしまっている。これでは「学校がっこうでイジメを見みたら、見みてみぬふりをするな」なんていうキャンペーンはマスコミにはできない。

　北野きたの誠まことのしゃべりすぎ（名誉めいよ毀損きそん）を指摘してきする声こえもあるが、芸人げいにんの言いっていることなど良よくも悪わるくも５割引わりびきで聞きいていればいいはずだ。どんなにしゃべりすぎたとしても今回こんかいの彼かれに対たいするペナルティーは余あまりに不当ふとうで、まさに流行りゅうこうの単語たんごの「パワーハラスメント」そのものだ。

　放送ほうそう局きょくの人間にんげんも、アナウンサー、レポーター、タレント仲間なかまも、緘口かんこう令れいが出でたら、それに従したがうだけなのか？

　小泉こいずみ郵政ゆうせい改革かいかくなどの時ときに公表こうひょうされるべき事実じじつがまったくニュースにならなかったが、今回こんかいの北野きたの誠まこと騒動そうどうは、大手おおてマスコミというのは所詮しょせん、権力けんりょく側がわの太鼓持たいこもちであることを誰だれにでもわかるような形かたちで浮うき彫ぼりにした。