1974年ねんの株式かぶしき上場じょうじょうから今年ことしで50年ねん。
お客きゃくさまを原点げんてんとする基本きほん理念りねんのもと、
企業きぎょうの成長せいちょうと社会しゃかいの発展はってんを目指めざし、
株主かぶぬしさまとともに歩あゆんできた50年ねんを振ふり返かえります。

平和へいわは、戦争せんそうや災害さいがいからの復興ふっこうにしても、平穏へいおんな生活せいかつの維持いじ・増進ぞうしんにしても、能動のうどう的てきで意識いしき的てきな関与かんよなしにはもたらされません。こうした思おもいの原点げんてんには、岡田おかだ卓也たくや名誉めいよ会長かいちょう相談役そうだんやくの実体験じつたいけんがあります。戦後せんご、チラシを手てにして店頭てんとうに並ならばれたお客きゃくさまが「戦争せんそうが本当ほんとうに終おわったんだな」と涙なみだされた姿すがたを見みて、小売こうり業ぎょうの存在そんざいこそが平和へいわの象徴しょうちょうであると実感じっかんしたと言いいます。そこから、小売こうり業ぎょうが成なり立たつためには平和へいわが大前提だいぜんていであり、小売こうり業ぎょうは平和へいわの維持いじに貢献こうけんしていかねばならないと決意けついしたのです。
平和へいわとは、戦争せんそうや暴力ぼうりょくがないというだけに止とまりません。心しんの安寧あんねいに加くわえて、戦争せんそうや災害さいがいさらにはさまざまな不幸ふこうから立たち上あがり、乗のり越こえる力ちからをも含ふくむものです。21世紀せいきになっても戦争せんそうは止やまず、大震災だいしんさいや異常いじょう気象きしょうなどの自然しぜん災害さいがいが頻発ひんぱつしています。今いまこそ平和へいわの価値かちがあらためて問とい直なおされています。平和へいわはそのままで与あたえられるものではありません。平和へいわは、わたしたちが能動のうどう的てきで意識いしき的てきに関与かんよすることによってはじめて保たもたれるのです。
イオンは平和へいわに反はんすることは決けっして行おこないません。また、そうした行為こういや活動かつどうには与くみしません。イオンが目指めざすのは積極せっきょく的てきな平和へいわへの貢献こうけんです。

人間にんげんに関かんしては、一人ひとりひとりを信しんじ、尊重そんちょうすることで、その人ひとの能力のうりょくや思おもいが花開はなひらき、さらに人ひととつながることによって、より幸福こうふくな状態じょうたいが生しょうじます。
岡田おかだ名誉めいよ会長かいちょうは、小売こうり業ぎょうを「人間にんげんくさい産業さんぎょう」と呼よびました。それは「人ひとの道みち」を重おもんじること、すなわち人間にんげんを尊重そんちょうすることです。個性こせい、尊厳そんげん、自律じりつ性せいの尊重そんちょうは言いうまでもありません。それに加くわえて、人間にんげんが持もつ可能かのう性せいを信しんじ、仕事しごとや学まなびを通つうじて成長せいちょうし、よりよく人間にんげん的てきになることを後押あとおしすることでもあります。人間にんげんはひとりで成長せいちょうすることは困難こんなんです。「人ひととのつながり」のなかで、他者たしゃとともによりよく人間にんげん的てきになっていくのです。それは幸福こうふくの実現じつげんであるとともに、人ひとの間あいだにある規範きはんを求もとめるものでもあります。小売こうり業ぎょうは人々ひとびとの幸福こうふくと規範きはんの産業さんぎょうなのです。

地域ちいきもまた、地域ちいきごとの多様たよう性せいと自立じりつ性せいに敬意けいいを払はらい、その特有とくゆうのニーズに応こたえ、手入ていれをし続つづけることによってはじめて豊ゆたかなコミュニティが実現じつげんします。
小売こうり業ぎょうはもともと地域ちいきに根ねざした産業さんぎょうであり、地域ちいきとともに繁栄はんえいするものです。地域ちいきやそこにおけるコミュニティの豊ゆたかさを守まもっていくためには、不断ふだんに手入ていれを怠おこたらないことが必要ひつようです。それは、小売こうり業ぎょうの重要じゅうような使命しめいのひとつなのです。これからはますます、地域ちいきやコミュニティの重要じゅうよう性せいが増ましていきます。イオンは、地域ちいきに特有とくゆうの産品さんぴんを発展はってんさせ、地域ちいきの人々ひとびとの豊ゆたかな暮くらしを促進そくしんし、地域ちいきやコミュニティの繁栄はんえいに能動のうどう的てきに貢献こうけんしてゆきます。

イオンが目指めざしているのは、こうした平和へいわへの積極せっきょく的てきな関与かんよ・人間にんげんの幸福こうふくと規範きはんの下しも支ささえ・地域ちいきの繁栄はんえいへの貢献こうけんです。それが「お客きゃくさまを原点げんてんに」、すなわちお客きゃくさまを第だい一いちにするということの重要じゅうような基盤きばんなのです。
お客きゃくさまを第だい一いちにするということは、自分じぶん第だい一いちではない、つまり自分じぶんたちの都合つごうで考かんがえ、動うごくのではないということです。その反対はんたいに、常つねにお客きゃくさまを第だい一いちに考かんがえ、誠実せいじつに行動こうどうすること、これがイオンの基本きほんです。これを自分じぶんを映うつす鏡かがみとし、すべてのイオンピープルのあらゆる判断はんだんと行動こうどうの基準きじゅんとします。ややもすれば自社じしゃや自分じぶんにとって有利ゆうりなこと、都合つごうが良よいことに流ながされがちになりますが、そうした傾向けいこうを断固だんこ否定ひていし、乗のり越こえてゆくことが求もとめられています。
そのためには、イオンは革新かくしんし続つづける企業きぎょう集団しゅうだんでなければなりません。

企業きぎょうにとって、成長せいちょうし存続そんぞくし続つづけることは最さい重要じゅうようの課題かだいです。しかし、革新かくしんし続つづけることなくしては、企業きぎょうは衰退すいたいし滅亡めつぼうしてしまいます。たとえ現状げんじょうを続つづけることが安定あんてい的てきで楽らくなことであっても、それに安住あんじゅうせず、常つねに自みずからを変かえていかなければなりません。そして、革新かくしんし続つづけるためには、お客きゃくさまの変化へんかやさまざまな社会しゃかいの変化へんかについて、常つねに先さきを見みる先見せんけん性せいや洞察どうさつ力りょくが必要ひつようです。イオンピープルの一人ひとりひとりは、お客きゃくさまの生活せいかつや社会しゃかいが求もとめるものの進化しんかと変化へんかを先取さきどりしてゆく所存しょぞんです。
家業かぎょうから企業きぎょうへ、そして産業さんぎょうへとイオンは変貌へんぼうしてきました。もともとダイナミックな企業きぎょう文化ぶんかを備そなえているのです。何なによりも恐おそれているのは、ますます激はげしくなっていく変化へんかの中なかで、求もとめられる革新かくしんや企業きぎょう家か精神せいしんを失うしない、大だい企業きぎょうに特有とくゆうの停滞ていたいに陥おちいっていくことです。変化へんかすることのない、現状げんじょうのままが続つづくような静的せいてきな均衡きんこうは続つづきません。より新あたらしい革新かくしんに取とって代かわられないためには、イオンが最さい大だいかつ最先端さいせんたんの革新かくしん者しゃであり続つづけるしかありません。それは創業そうぎょうの精神せいしんを保持ほじすることで常つねに刷新さっしんし続つづけ、時代じだいを先取さきどりした組織そしきであるという覚悟かくごなのです。

イオンは、以上いじょうのことの浸透しんとうと実践じっせんを通つうじて、平和へいわ、人間にんげん、地域ちいきの維持いじと発展はってんに貢献こうけんしうると信しんじて、行動こうどうしてゆきます。