財務ざいむ担当たんとうからのメッセージ

　2024年ねん2月がつ期きは、インフレや世界せかい的てきな政情せいじょう不安ふあんで先行さきゆきへの不透明ふとうめい感かんが継続けいぞくしたなか、イオンは中期ちゅうき経営けいえい計画けいかく（以下いか、中ちゅう計けい）で掲かかげた5つの変革へんかくを着実ちゃくじつに進すすめました。

　GMS、SM、DS、ヘルス＆ウエルネス、国際こくさいの各かく事業じぎょうセグメントで構成こうせいする小売こうり事業じぎょうでは、PBのトップバリュを戦略せんりゃくの中心ちゅうしんに据すえた商品しょうひんの改革かいかくやDXによる生産せいさん性せい向上こうじょう、収益しゅうえき構造こうぞう改革かいかくに取とり組くみ、大幅おおはばな増益ぞうえきとなりました。その結果けっか、連結れんけつ業績ぎょうせきは、営業えいぎょう収益しゅうえきが9兆ちょう5,535億おく円えん、営業えいぎょう利益りえきは410億おく円えんの大幅おおはば増益ぞうえきで2,508億おく円えんに達たっし、経常けいじょう利益りえきとともに過去かこ最高さいこうを更新こうしんしました。コロナ関連かんれん需要じゅようが剥落はくらくしたヘルス＆ウエルネス事業じぎょうが減益げんえきとなったものの、小売こうり事業じぎょうの営業えいぎょう利益りえきが全体ぜんたいの52.4%となり、中ちゅう計けい目標もくひょうの52%を上回うわまわりました。インフレや少子しょうし高齢こうれい化かなどのさまざまな要因よういんで、外部がいぶ環境かんきょうは厳きびしさを増ます一方いっぽうです。そのなかで小売こうり事業じぎょうの収益しゅうえき力りょくの改善かいぜんが進捗しんちょくしたのは、グループ企業きぎょう各社かくしゃの自主じしゅ自立じりつの原則げんそく・方針ほうしんを維持いじしながらも経営けいえい資源しげんの配分はいぶんに留意りゅういし、PBの拡販かくはんや物流ぶつりゅうにおけるスケールメリットの活用かつようなどを進すすめたことによります。一方いっぽうで、これまでグループ業績ぎょうせきを牽引けんいんしてきた総合そうごう金融きんゆう事業じぎょうとディベロッパー事業じぎょうでは業績ぎょうせき回復かいふくの遅おくれが見みられ、ポストコロナ期きにおける人々ひとびとの「モノからコトへ」の行動こうどう変容へんようやマクロ環境かんきょうの変化へんかへの対応たいおうが課題かだいと考かんがえています。

　2025年ねん2月がつ期き第だい1四半期しはんきは、新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの5類るい移行いこう後ごのペントアップ需要じゅようが収益しゅうえきを支ささえた前期ぜんきとは消費しょうひ意欲いよくの様相ようそうが異ことなりました。実質じっしつ賃金ちんぎんのマイナスが長期ちょうき化かし、お客きゃくさまの節約せつやく志向しこうが高たかまるなか、環境かんきょうの変化へんかを的確てきかくに捉とらえて、営業えいぎょう利益りえきは過去かこ最高さいこうとなりました。価格かかくに訴求そきゅうしてシェアを確保かくほする戦略せんりゃくが荒あら利としに影響えいきょうし、営業えいぎょう利益りえき、経常けいじょう利益りえきは、想定そうてい線せんよりやや下した振ふれしたものの、過去かこ最高さいこうを更新こうしんした前年ぜんねん同期どうきに次つぐ水準すいじゅんで着地ちゃくちできました。

　自みずからの主しゅたる職責しょくせきは、財務ざいむリスクの最小さいしょう化かを図はかり、持続じぞく的てきな資金しきん調達ちょうたつと資金しきん効率こうりつの向上こうじょうを進すすめて、グループの一貫いっかんした戦略せんりゃく執行しっこうをサポートすることだと考かんがえています。戦略せんりゃく・数値すうち計画けいかくの策定さくていにあたっては、将来しょうらいのあるべき姿すがたを見据みすえたバックキャスト・革新かくしん志向しこうで対応たいおうし、非ひ現実げんじつ的てきな内容ないようにならないように施策しさくの具体ぐたい化かとKPI設定せっていを行おこない、PDCAサイクルを構築こうちくしています。特とくに、イオン・マネジメントコミッティや取締役とりしまりやく会かいにおいては、キャッシュ・フローやB/Sの変化へんかを見極みきわめ、時ときには戦略せんりゃく・計画けいかくの機動きどう的てきな修正しゅうせい・見直みなおしを提言ていげんして長期ちょうき的てきな企業きぎょう価値かち向上こうじょうにつなげることに努つとめています。現場げんば重視じゅうし、お客きゃくさま重視じゅうしの当社とうしゃでは意思いし決定けっていの場ばでもお客きゃくさまや地域ちいき社会しゃかいに対たいする貢献こうけんが判断はんだん軸じくとなりますが、私わたしはビジネスとしての視点してんやグループ全体ぜんたいの成長せいちょうの観点かんてんから見みてどうなのか、数字すうじを基点きてんとした意見いけん具申ぐしんを行おこなっています。社外しゃがい取締役とりしまりやくが過半かはんを構成こうせいする取締役とりしまりやく会かいでは、議論ぎろんを深ふかめるためのアラートを発信はっしんすることを心こころがけています。

　グループの事業じぎょうや展開てんかい地域ちいきが広ひろがった結果けっか、持株もちかぶ会社かいしゃの業務ぎょうむは高度こうど化かしています。組織そしき目標もくひょう・方針ほうしんを共有きょうゆうして連携れんけいを密みつにしたうえで、組織そしきや業務ぎょうむの重複じゅうふくを排はいして効率こうりつ化かに努つとめるほか、外部がいぶから専門せんもん人材じんざいを採用さいようするなどイオンピープルの多様たよう性せいにも留意りゅういしています。

　現げん中なか計けい期間きかん中ちゅう、営業えいぎょう利益りえき＋減価げんか償却しょうきゃく費ひ＋のれん償却しょうきゃく額がく－法人ほうじん税ぜい等とうで定義ていぎしている簡易かんい営業えいぎょうキャッシュ・フローは、中ちゅう計けい期間きかんの年度ねんど平均へいきん設備せつび投資とうし水準すいじゅんである4,000～4,500億おく円えんを上回うわまわる見通みとおしです。現げん中ちゅう計けいでの投資とうし配分はいぶんについては、前まえ中ちゅう計けい比ひでデジタル・物流ぶつりゅう投資とうしは16%から35%、海外かいがい店舗てんぽ投資とうしは13%から25%へと構成こうせい比ひを高たかめ、残のこる40%を国内こくない店舗てんぽ投資とうしとしています。 海外かいがいでの出店しゅってんに係かかる許認可きょにんかの遅おくれやコロナの影響えいきょうにより現げん中なか計けい前半ぜんはんの投資とうしが計画けいかくを下回したまわったことから、2024年度ねんどの投資とうしは金額きんがくで5,000～5,500億おく円えんへと増額ぞうがくしています。構成こうせい比ひでは国内こくない店舗てんぽ50%、海外かいがい店舗てんぽ25%、 デジタル・物流ぶつりゅう25%を見込みこんでいます。Green Beansを中心ちゅうしんとしたECや、グループ各社かくしゃの収益しゅうえき性せい・効率こうりつ性せい・生産せいさん性せいを向上こうじょうさせるインフラであるデジタル・IT・物流ぶつりゅうに、資金しきん配分はいぶんを最さい優先ゆうせんする考かんがえです。

　グループインフラはそれ自体じたいで価値かちを創出そうしゅつできるものではなく、事業じぎょう会社かいしゃのMD戦略せんりゃく・計画けいかくや店舗てんぽオペレーションと整合せいごうさせ、各社かくしゃの戦略せんりゃく・戦術せんじゅつ・施策しさくにまで落おとし込こんで初はじめて最大限さいだいげんの効果こうかを発揮はっきします。そのため、インフラを担になう機能きのう会社かいしゃはグループのスケールやニーズ、最新さいしんの技術ぎじゅつ・知見ちけん・トレンドを十分じゅうぶん踏ふまえたうえで全体ぜんたい設計せっけい・提案ていあんを行おこない、イオングループならではの差別さべつ化かされたインフラ構築こうちくを責務せきむとしています。

　ITに関かんしてはコロナ下かにおいてレジ周まわりなど小売こうりのフロント業務ぎょうむ中心ちゅうしんに投資とうししてきましたが、今後こんごはバックオフィス、あるいは従業じゅうぎょう員いんのより良よい働はたらき方かたの実現じつげんに資しする投資とうしを強化きょうかしたいと考かんがえています。ITと物流ぶつりゅうは今後こんごのグループの最さい重要じゅうよう経営けいえい課題かだいと認識にんしきしており、現げん中なか計けい以降いこうもさらなる投資とうし増額ぞうがくが見込みこまれます。

　投資とうし判断はんだんや経営けいえい管理かんりにおいては、事業じぎょう別べつのROICに着目ちゃくもくしています。事業じぎょうセグメントが多様たようでセグメント内ないの企業きぎょう数すうも多おおいため、精緻せいちな事業じぎょう別べつROICの開示かいじには至いたっていませんが、大おおまかにいえば、ディスカウントストア事業じぎょうとヘルス&ウエルネス事業じぎょうの資本しほん効率こうりつが高たかくなっています。国際こくさい事業じぎょうはアセアンと中国ちゅうごくでは様相ようそうが異ことなり、残のこる5事業じぎょう（GMS 、SM 、総合そうごう金融きんゆう、ディベロッパー、サービス・専門せんもん店てん）は目立めだった差さがありません。従したがって、国内こくない投資とうしの中心ちゅうしんは都市とし型がたの小型こがた店舗てんぽやディスカウントストア、ドラッグストアであり、そのほかの店舗てんぽへの投資とうしは、新規しんき出店しゅってんからスクラップ&ビルドを含ふくめ、人口じんこう動態どうたいを踏ふまえた既存きそん店舗てんぽ資産しさんの活用かつようや価値かち向上こうじょうにシフトさせます。海外かいがいのモールの開発かいはつは、アセアンに加くわえ、中国ちゅうごくでは内陸ないりく部ぶを中心ちゅうしんとして投資とうしを継続けいぞくします。

　資本しほん投下とうかやM&Aの際さいの最もっとも重要じゅうような判断はんだん材料ざいりょうはグループにもたらされるシナジーであるため、定量ていりょう的てきな判断はんだん指標しひょうをひとつだけ挙あげることはできません。現在げんざいの収益しゅうえき状況じょうきょうに関かかわらず、全すべての土台どだいとなる小売こうり事業じぎょうとの関連かんれん性せいを見みて新規しんき投資とうしを判断はんだんしています。

　堅調けんちょうな連結れんけつキャッシュ・フロー創出そうしゅつ力りょくを背景はいけいに、当社とうしゃの足許あしもとの信用しんよう格付かくづけは上昇じょうしょう傾向けいこうにあります。格付かくづけは調達ちょうたつ金利きんりに加くわえて資金しきん調達ちょうたつ余力よりょくの大小だいしょうに直結ちょっけつするため、日本にっぽん格付かくづけ研究所けんきゅうじょ（JCR）でA、格付かくづけ投資とうし情報じょうほうセンター（R＆I）でA－、Standard ＆ Poorʼs（S＆P）でBBBという現状げんじょう水準すいじゅんからの格上かくあげを目指めざすべく、財務ざいむ体質たいしつの改善かいぜんを進すすめる考かんがえです。当社とうしゃグループの有利子ゆうりし負債ふさい調達ちょうたつは大だい部分ぶぶんが日本円にほんえんなので、今いまのところ急激きゅうげきな金利きんり上昇じょうしょうの影響えいきょうはありません。さらに、7割わり程度ていどが長期ちょうきの固定こてい金利きんりのため、円えん金利きんり上昇じょうしょうの影響えいきょうは限定げんてい的てきです。また、当社とうしゃの有利子ゆうりし負債ふさい比率ひりつは高たかく、結果けっかとして資本しほんコスト（WACC）を3%程度ていどまで抑制よくせいしています。投下とうか資本しほん利益りえき率りつ（ROIC）は3.9 %（2024年ねん2月がつ期き） とWACCを上回うわまわることから、効率こうりつ的てきな資本しほん構成こうせいの下したで企業きぎょう価値かちが向上こうじょうしていると捉とらえています。

　2023年ねん8月がつに続つづいて今年ことし6月がつにも発行はっこうしたサステナビリティ・リンク・ボンド（SLB）は、持続じぞく可能かのうな社会しゃかいに対たいする取とり組くみや目標もくひょう設定せってい（SPT）に対たいして、投資とうし家かから高たかい評価ひょうかをいただいています。今いまや社債しゃさい市場いちばにおけるESG関連かんれん債さいのシェアは大おおきく増加ぞうかしていますが、先駆せんく的てきかつ先進せんしん的てきに環境かんきょう対応たいおうや社会しゃかい貢献こうけん事業じぎょうに取とり組くんでいる当社とうしゃは、資金しきん調達ちょうたつ面めんでのアドバンテージを有ゆうすると考かんがえます。

　イオンは、お客きゃくさまとともに「持続じぞく可能かのうな社会しゃかいの実現じつげん」を目指めざす考かんがえのもと、2018 年ねんに策定さくていした「イオン脱だつ炭素たんそビジョン」に基もとづき、省しょうエネ・創そうエネの両面りょうめんから店舗てんぽで排出はいしゅつする温室おんしつ効果こうかガスを総量そうりょうでゼロにする目標もくひょうを立たてています。その実現じつげんに向むけ、省しょうエネ設備せつびの導入どうにゅう、イオンの店舗てんぽや駐車ちゅうしゃ場じょうを活用かつようした太陽光たいようこうパネルの設置せっちなどにより、再生さいせい可能かのうエネルギー活用かつようを推進すいしんしています。CO2以外いがいにもプラスチックのリサイクルやフードロス、廃油はいゆの削減さくげんなどに取とり組くんでおり、一般いっぱん消費しょうひ者しゃを巻まき込こんだ KPIやSPTを設定せっていできることが、資金しきん調達ちょうたつ面めんからもサステナビリティに貢献こうけんできるイオンの強つよみです。

　プライム市場いちばの平均へいきんを上回うわまわるPER、PBRからは当社とうしゃの成長せいちょうに対たいする投資とうし家かのご期待きたいを感かんじますが、4.4％（2024年ねん2月がつ期き）にとどまるROEは大おおきな課題かだいとして捉とらえています。投資とうし家かからは、利益りえき率りつの改善かいぜんはもとより、親会社おやがいしゃに帰属きぞくする当期とうき純じゅん利益りえきを直ただちに拡大かくだいする方策ほうさくを執とるのが望のぞましい、具体ぐたい的てきには、グループ企業きぎょうを全すべて100％子会社こがいしゃとして少数しょうすう株主かぶぬしへの利益りえき流出りゅうしゅつを止とめるべき、多額たがくの減損げんそん損失そんしつ計上けいじょうに手てを打うつべき、といった意見いけんを多おおくいただきます。

　ROEをレバレッジ、資産しさん効率こうりつ、収益しゅうえき性せいに分わけて考かんがえるなら、当社とうしゃのレバレッジは東証とうしょうプライム上場じょうじょう企業きぎょうの平均へいきん3.44倍ばい（2024年ねん3月がつ末まつ）と比較ひかくしてプラスに効きいています。既報きほうのドラッグストア業界ぎょうかい再編さいへんに鑑かんがみると、この先さき2年ねんや3年ねんで有利子ゆうりし負債ふさい残高ざんだかを減へらすことはハードルが高たかいものの、有利子ゆうりし負債ふさい／EBITDA2.5倍ばいを目指めざし、規律きりつある財務ざいむ運営うんえいのもと、中長期ちゅうちょうきでの削減さくげんは進すすめていく考かんがえです。当社とうしゃの資産しさん回転かいてん率りつについても、金融きんゆう事業じぎょうをグループ内ないに抱かかえることから一概いちがいには論ろんじにくいものの、適正てきせい水準すいじゅんと考かんがえています。しかしながら、課題かだいが収益しゅうえき性せいにあることは否いなめません。持株もちかぶ会社かいしゃとして業績ぎょうせき不振ふしんの子会社こがいしゃには有形ゆうけい無形むけいのサポートを行おこなっており、改善かいぜんの兆きざしはあるものの、業績ぎょうせきの回復かいふくは道みち半なかばの状況じょうきょうです。

　親子おやこ上場じょうじょうに係かかるご指摘してきについて、まずイオンには、子会社こがいしゃが自主じしゅ自立じりつ精神せいしんに基もとづいて運営うんえいする根源こんげん的てきな考かんがえ方かたがあります。子会社こがいしゃ上場じょうじょうの意義いぎとして最もっとも重要じゅうような点てんは、資本しほん市場いちばからの規律きりつによる経営けいえいの質しつの向上こうじょうです。上場じょうじょう企業きぎょうには、財務ざいむ報告ほうこくに係かかる内部ないぶ統制とうせいの整備せいびおよび運用うんようの責任せきにんが求もとめられるため、高度こうどなガバナンス体制たいせいが構築こうちくされます。他ほかにも、当社とうしゃと上場じょうじょう子会社こがいしゃ間あいだをはじめとするグループ内ないシナジーの拡大かくだい、知名度ちめいどや信用しんよう力りょくの向上こうじょうおよび当社とうしゃからの独立どくりつ性せいに基もとづく自律じりつ的てきおよび機動きどう的てきな意思いし決定けっていの確保かくほや取引とりひき先さきの拡大かくだい、上場じょうじょう子会社こがいしゃに対たいする当社とうしゃの資金しきん負担ふたんの軽減けいげん、そして従業じゅうぎょう員いんのモチベーション維持いじ・向上こうじょうや優秀ゆうしゅうな人材じんざいの確保かくほが、上場じょうじょうのもたらす効果こうかとして挙あげられます。グループ会社かいしゃ独自どくじの資金しきん調達ちょうたつも、同どう企業きぎょうの自助じじょ努力どりょくによる財務ざいむ力りょく向上こうじょうや、資本しほん市場いちば・金融きんゆう機関きかんによる直接的ちょくせつてきな経営けいえい監督かんとくといったメリットが大おおきいと感かんじています。

　当社とうしゃは、上場じょうじょう子会社こがいしゃの独立どくりつ性せいに関かんしては、当社とうしゃと上場じょうじょう子会社こがいしゃの一般いっぱん株主かぶぬしとの間あいだに利益りえき相反あいはんリスクが存在そんざいすることを踏ふまえ、独立どくりつ社外しゃがい取締役とりしまりやくの選任せんにんや独立どくりつ役員やくいんによる諮問しもん委員いいん会かいの設置せっちを要請ようせいし、上場じょうじょう子会社こがいしゃの少数しょうすう株主かぶぬし保護ほごを図はかっています。イオンフィナンシャルサービス（株）かぶしきがいしゃ、イオンモール（株）かぶしきがいしゃ、イオンディライト（株）かぶしきがいしゃ、 （株）かぶしきがいしゃイオンファンタジーなどに代表だいひょうされる当社とうしゃの主要しゅようグループ子会社こがいしゃは、上場じょうじょう企業きぎょうとしてのメリットを最大限さいだいげん享受きょうじゅしながら、小売こうり事業じぎょうとの連携れんけいを通つうじ、グループの企業きぎょう価値かちの向上こうじょうに貢献こうけんしています。

　一方いっぽうで、特別とくべつ損失そんしつに多額たがくの減損げんそんを計上けいじょうすることによるROEの毀損きそんは早急そうきゅうに対策たいさくを取とるべき課題かだいです。減損げんそんについては、年数ねんすうを重かさねた店舗てんぽの業績ぎょうせきが計画けいかく通どおり進捗しんちょくしていないことが要因よういんとなりますが、現げん中ちゅう計けいとその先さきにおいては、人口じんこう動態どうたいを踏ふまえ、新規しんき出店しゅってんに加くわえ、古ふるい店舗てんぽや競争きょうそう力りょくを失うしなってきた店舗てんぽの活性かっせい化か投資とうしに重点じゅうてんを置おき、お客きゃくさまの買物かいもの体験たいけんを充実じゅうじつさせてまいります。結果けっかとして毎期まいき50－100億おく円えんずつ減損げんそん損失そんしつを縮小しゅくしょうしながら、2024年ねん2月がつ期き水準すいじゅんからの半減はんげんを目指めざします。

　2024年ねん、イオン（株）かぶしきがいしゃは株式かぶしき上場じょうじょう50周年しゅうねんを迎むかえました。当社とうしゃは極きわめて多おおくの個人こじん株主かぶぬしにお支ささえいただいています。本年ほんねんは、個人こじん投資とうし家かとのコミュニケーションを活性かっせい化かさせる考かんがえです。また、私わたし自身じしんも株主かぶぬし懇談こんだん会かいに出席しゅっせきするなど、常つねに個人こじん投資とうし家かの視点してんを大切たいせつにしています。お買かい上あげ金額きんがくの一部いちぶを返金へんきんする株主かぶぬし優待ゆうたい制度せいどには、機関きかん投資とうし家かからの厳きびしいご意見いけんもありますが、「お客きゃくさま株主かぶぬし」の考かんがえのもと、販売はんばい促進そくしんを兼かねて事業じぎょう面めんの応援おうえんをいただく方向ほうこう性せいは経営けいえい方針ほうしんと一致いっちしており、この先さきも継続けいぞくする考かんがえです。また、1株かぶ当あたり年どし間あいだ配当はいとう金きんについては前年ぜんねん以上いじょうを維持いじしつつ、連結れんけつ配当性向はいとうせいこう30%を目標もくひょうとする配当はいとう方針ほうしんを定さだめており、市場いちばからの期待きたいに応こたえて安定あんてい配当はいとうにコミットすることは重要じゅうような株主かぶぬし還元かんげん策さくと捉とらえています。日本にっぽん株かぶが34年ねんぶりにバブル期きの高値たかねを更新こうしんするなかで、海外かいがい投資とうし家かとの面談めんだん機会きかいが増加ぞうかしてきました。特とくにツルハ、ウエルシアとの経営けいえい統合とうごうの協議きょうぎ開始かいしを公表こうひょうして以降いこう、ドラッググストア業界ぎょうかいの集約しゅうやくに当社とうしゃがイニシアチブを取とっていくことに対たいして、投資とうし家かからの期待きたいの大おおきさを感かんじています。当社とうしゃの取締役とりしまりやく会かいの過半数かはんすうを占しめる社外しゃがい取締役とりしまりやくは3人にんが外国がいこく籍せきで、小売こうり業界ぎょうかいに対たいするグローバルな視点してんを有ゆうしています。彼かれらのアドバイスを十分じゅうぶんに反映はんえいし、日本にっぽん国内こくないからアジアに事業じぎょう基盤きばんを拡大かくだいしてきた当社とうしゃがアピールすべき点てん、改善かいぜんを要ようする点てんに関かんして、積極せっきょく的てきに議論ぎろんを重かさねていきます。また、気候きこう変動へんどう、人的じんてき資本しほん、人権じんけんへの取とり組くみなど、非ひ財務ざいむ資本しほんに関かんする情報じょうほう開示かいじにも注力ちゅうりょくしていきます。

　2021年ねんにスタートした現げん中ちゅう計けいは、コロナ下かの環境かんきょう激変げきへんに見舞みまわれたため、目標もくひょう数値すうちのローリングが必要ひつようになっています。それと合あわせて、現在げんざいは次期じき中ちゅう計けい策定さくていへの準備じゅんびを進すすめています。国際こくさい的てきなビジネス規範きはんの変化へんかなどの外部がいぶ要因よういんや新しんリース会計かいけいなどのレギュレーションの変更へんこうなど、対応たいおうすべき課題かだいは多おおくありますが、5年ねん、10年ねんといった長期ちょうき的てきな視座しざから、基本きほん理念りねんと未来みらいビジョンをベースに、短期たんき利益りえきの獲得かくとくに捉われない経営けいえいを進すすめることが重要じゅうようであると考かんがえています。

　グローバルな競争きょうそう環境かんきょうのなかで、当社とうしゃの置おかれた状況じょうきょうも個こ社しゃの戦たたかいからグループ総力そうりょくを挙あげた戦たたかいにシフトしています。個こ社しゃの強つよみに加くわえ、商品しょうひんや物流ぶつりゅう、ITなどの機能きのうを拡充かくじゅうし、スケールメリットを活用かつようしていくことが我々われわれの取とるべき戦略せんりゃくであると考かんがえます。それは単純たんじゅんな合理ごうり化かではなく、自主じしゅ自立じりつ精神せいしんで成長せいちょうする遠心えんしん力りょくと、企業きぎょう理念りねんと未来みらいビジョンで束たばねられた求心力きゅうしんりょくを内包ないほうするコングロマリットの強つよみを融合ゆうごうすること、これこそが真しんの企業きぎょう価値かち向上こうじょうにつながるものと確信かくしんしています。今後こんごもスケールメリットを追求ついきゅうしながら、事業じぎょう間あいだの有機ゆうき的てきな連携れんけいを図はかり、グループシナジーを最大さいだい化かすることにより、コングロマリット・プレミアムを実現じつげんし、ステークホルダーの皆みなさまの期待きたいに応こたえていきます。