羽生はぶ善治よしはるVS渡辺わたなべ明あきら、将棋しょうぎ界かい「新しんライバル戦記せんき」（１０）トップクラスは月給げっきゅう80万まん円えん

　羽生はぶと渡辺わたなべのツートップは必然ひつぜん的てきに収入しゅうにゅう面めんでも群ぐんを抜ぬいている。12年ねんの獲得かくとく賞金しょうきん・対局たいきょく料りょうランキングは羽生はぶ1位い（9175万まん円えん）、渡辺わたなべ2位い（7197万まん円えん）。3位いの森内もりうち俊之としゆき名人めいじん（42）以下いかを大おおきく引ひき離はなしているが、高こう収入しゅうにゅうの目安めやすとなる1000万まん円えんを超こえる棋士きしは例年れいねん20人にん前後ぜんこうである。竜王りゅうおうの優勝ゆうしょう賞金しょうきん4200万まん円えん、朝日あさひ杯はいオープンの同どう1000万まん円えんが公表こうひょうされている以外いがい、賞金しょうきんや対局たいきょく料りょうは原則げんそく非ひ公表こうひょうだが、かつて棋士きしが給料きゅうりょうに相当そうとうする月額げつがく手当てあてを明あかしたことがある。

　初代しょだい竜王りゅうおうの島しま朗ろう九きゅう段だん（50）が、その著書ちょしょ「将棋しょうぎ界かいが分わかる本ほん」で94年ねん当時とうじ、月額げつがく手当てあてとして名人めいじん106万まん円えんを筆頭ひっとうに、A級きゅう約やく65万まん円えん、C2で約やく16万まん円えんと書かいている。この月額げつがく手当てあては順位じゅんい戦せんで一定いっていの成績せいせきを残のこしていれば保証ほしょうされ、先さきの対局たいきょく料りょう・獲得かくとく賞金しょうきんとはまた別べつに支払しはらわれるものだ。渡辺わたなべが極楽ごくらくとんぼ・加藤かとう浩次こうじとのBS番組ばんぐみの対談たいだんで、プロ入いりした当時とうじ、C2在籍ざいせき時じの収入しゅうにゅうを聞きかれて「対局たいきょく料りょうを入いれて300万まん円えんから400万まん円えんの間あいだ」と答こたえている。将棋しょうぎ界かいウオッチャーが言いう。

「ゴルフのように1試合しあいごとにリセットされないのが将棋しょうぎ。タイトル戦せんにしても一般いっぱん棋戦きせんにしても、予選よせんで負まけるとその棋戦きせんには翌年よくねんまで出でられなくなる。1年ねん通とおして対局たいきょくがある順位じゅんい戦せんだけになりかねないのです」

　そうなれば収入しゅうにゅうは月額げつがく手当てあてだけになるが、

「A級きゅうから落おちなければ給料きゅうりょうだけで食くえると言いわれます。A級きゅうは企業きぎょうで言いえば部長ぶちょうクラスで、羽生はぶ、渡辺わたなべは恐おそらく70万まん～80万まん円えん」（前出ぜんしゅつ・将棋しょうぎ界かいウオッチャー）

　この月額げつがく手当てあてだけで年間ねんかん約やく1000万まん円えんになるわけだが、プロ棋士きしであれば多彩たさいな副ふく収入しゅうにゅうの道みちもある。将棋しょうぎ道場どうじょうなどでのアマチュアの指導しどう料りょう、将棋しょうぎイベントの出演しゅつえん料りょう、戦術せんじゅつ本ほんを執筆しっぴつしての印税いんぜい、講演こうえん料りょう、雑誌ざっしのインタビュー取材しゅざいなどだ。中堅ちゅうけん棋士きしが明あかす。

「会社かいしゃの将棋しょうぎサークルで指導しどうすれば1回かい3万まん円えん前後ぜんこう。タイトル戦せんとは縁えんのない下位かいの棋士きしでも、回数かいすうをこなせばかなりの収入しゅうにゅうになる」

　将棋しょうぎ連盟れんめいの規定きていでは、稽古けいこ料りょう（指導しどう料りょう）は四よん段だんで1回かいだけなら4万まん2000円えんで、七なな段だんは10万まん5000円えん。八はち段だん以上いじょうとタイトル保持ほじ者しゃには金額きんがくは明示めいじされていないが、指導しどう料りょうを含ふくめ棋士きしに払はらう謝礼しゃれいの大半たいはんは「相場そうば」で決きまる。人気にんきがあるほど機会きかいは多おおく高額こうがくになるわけだが、実際じっさいの額がくは規定きていより低ひくいという。

「とはいえ、羽生はぶや渡辺わたなべのようなトップクラスは対局たいきょくで忙いそがしく、副業ふくぎょうをやる暇ひまがほとんどないのが現実げんじつ。講演こうえんやインタビューの依頼いらいはほぼ羽生はぶの一本いっぽんかぶり状態じょうたいですが、詰つめ将棋しょうぎ作成さくせいなどと同様どうよう、代役だいやく可能かのうな仕事しごとであれば他たの棋士きしに回まわしてやるのはよくあることです」（前出ぜんしゅつ・観戦かんせん記者きしゃ）