羽生はぶ善治よしはるVS渡辺わたなべ明あきら、将棋しょうぎ界かい「新しんライバル戦記せんき」（１１）1日にち24レースの馬券ばけん買かい

　対局たいきょくの日ひは終日しゅうじつ、盤ばんの前まえにいる、座業ざぎょうであるのが棋士きし。ゴルフを趣味しゅみにあげる棋士きしがいるのは、体力たいりょく維持いじも兼かねているからだ。

　渡辺わたなべもスポーツジムでウエートトレーニングをしたり、長距離ちょうきょり走はしをしたりしているが、趣味しゅみは何なにといっても競馬けいば。競馬けいば場じょうに行いって馬券ばけんを買かい、ゴール前まえで叫さけんでいるシーンをブログでおもしろおかしく実況じっきょうを交まじえ書かいているほど。WIN5は発売はつばい当初とうしょから買かい続つづけ、GIフェブラリーSがあった2月がつ17日にちには54万まん9120円えんを的中てきちゅうさせている。その日ひのブログを見みると、

〈今いままで1万まん円えん台だいの低てい配当はいとうしか当あたったことがなかったのですが、今日きょうは当あたりました〉

〈勝因しょういんとしては小倉おぐら大賞たいしょう典てんのヒットザターゲットを拾ひろえたことでしょうか。この馬うまはラチを頼たよるので内うち枠わくなら買かえるんですよね〉

　ヒットザターゲットは6番ばん人気にんきだった。本誌ほんし競馬けいば担当たんとう記者きしゃは、

「それまで5走はしのうち4走はしが2桁けた着ぎ順じゅん。競馬けいばを知しらないと買かえない馬うまです」

　と評ひょうするのだ。

　1年間ねんかんに手てを出だすレースは1300を超こえ、1日にち24レースは買かう渡辺わたなべ。回収かいしゅう率りつは90％前後ぜんこうというから、競馬けいば評論ひょうろん家かでも通用つうようする成績せいせきである。

　一方いっぽうの羽生はぶの趣味しゅみはチェス。対局たいきょくを調整ちょうせいして本場ほんばヨーロッパで武者むしゃ修行しゅぎょうする姿すがたがテレビ放映ほうえいされたほど、のめり込こんでいる。もちろん日本にっぽんの第一人者だいいちにんしゃで、昨年さくねん10月がつにフランス王者おうじゃと対戦たいせんした時ときは引ひき分わけに持もち込こみ、

「チェス一いち本ほんにしぼっていれば、世界せかいも狙ねらえた」とたたえられたほど。

　さて、将棋しょうぎ界かいのこのツートップの戦たたかいはどうなるのか。観戦かんせん記者きしゃの大矢おおや順じゅん正ただし氏しが予測よそくする。

「渡辺わたなべが王将おうしょう戦せんで戦たたかった佐藤さとうも棋王きおう戦せんの郷田ごうだも森内もりうちも皆みな、羽生はぶ世代せだい。渡辺わたなべは孤軍こぐん奮闘ふんとうしているわけで、同どう世代せだいや若手わかてから渡辺わたなべに続つづく棋士きしが出でてくればもっと戦たたかいやすくなるのではないか」

　引退いんたい棋士きしの桐谷きりたに広人ひろと七なな段だんも言いう。

「2人ふたりは人間にんげん的てきにも優すぐれている。競きそい合あってくれるのは将棋しょうぎ界かいには望のぞましいこと。かつての大山おおやま（康晴やすはる）さんと升田ますだ（幸三こうぞう）さんみたいに戦たたかってくれると、さらに盛もり上あがりますね」

　渡辺わたなべが棋王きおうを取とり、羽生はぶが名人めいじんを奪還だっかんすれば七なな冠かん全すべてを2人ふたりで分わけ合あうことになる。二に強きょう時代じだいの激闘げきとうは、いよいよ本番ほんばんを迎むかえるのだ。