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　坂本さかもと龍一りゅういちさんは、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの被災ひさい地ちの子こどもや若者わかものらによる「東北とうほくユースオーケストラ」を設立せつりつし、亡なくなる直前ちょくぜんまで自みずから音楽おんがく監督かんとくとして指導しどうにあたった。キャプテンを務つとめた畠山はたけやま茜あかねさん（27）は「自由じゆうに楽たのしみ、向むき合あう人ひとに心しんを持もって尊重そんちょうする姿勢しせいを学まなんだ」と語かたる。3月の追悼ついとう公演こうえんなどへの思おもいを聞きいた。

　――坂本さかもとさんの第だい一いち印象いんしょうは？

　直接ちょくせつお目めにかかったのは、福島ふくしま市し内うちの県立けんりつ高校こうこうの昇降しょうこう口くちでした。私わたしは高校こうこうの時ときのオーケストラ仲間なかまに誘さそわれ東北とうほくユースのことを知しり入団にゅうだんしました。2015年ねん、大学だいがく1年生ねんせいの時ときです。

　翌年よくねん3月がつの定期ていき公演こうえんに向むけて4月がつごろから月つきに1度ど、福島ふくしまでの練習れんしゅうが始はじまりました。まだ立たち上あがったばかりだったので練習れんしゅう場所ばしょもなく、団員だんいんの一人ひとりが通かよっていた福島ふくしま市内しないの県立けんりつ高校こうこうを借かりていました。冬ふゆに坂本さかもとさんがニューヨークから来きてくださり、私わたしたちは初はじめて対面たいめんしました。

　「やっほー」

　靴箱くつばこが並ならぶ昇降しょうこう口こうに、坂本さかもと龍一りゅういちさんが現あらわれました。

　「こんな所しょに。失礼しつれいにあたるのでは」と私わたしたちは戸惑とまどい、心配しんぱいしていたのですが。

　「よろしく。みんな楽たのしく本番ほんばんまでがんばりましょうね」

　さらっとあいさつされ、空気くうきが一変いっぺんしました。坂本さかもとさんは、用意よういしたイスには座すわらず、立たったまま。靴箱くつばこにもたれかかりながら、次つぎの瞬間しゅんかんには、私わたしたちの演奏えんそうにすごい集中しゅうちゅう力りょくで耳みみをすまして聴きいてくれました。

　曲きょくは、ラストエンペラーでした。

ぎゅうぎゅうの昇降しょうこう口こうと監督かんとくと私わたしたち

　「やばい。めちゃめちゃ聞きか…