Re:Ron連載れんさい「竹田たけだダニエル　私わたしたちがつくる未来みらい」　第だい4回かい

　米べい映画えいが「オッペンハイマー」が米国べいこくで2023年ねん夏なつに公開こうかいされた時とき、ファンも多おおいクリストファー・ノーラン監督かんとくの作品さくひんであることと、そしてIMAX上映じょうえいもあるということもあって、戦争せんそうや歴史れきしにさほど関心かんしんのない人ひとたちも映画えいが館かんに足あしを運はこび、興行こうぎょう収入しゅうにゅうは大おおきく伸のびた。映画えいがを配信はいしんで、早送はやおくりや一時いちじ停止ていしもしながら自宅じたくで見みることができるようになり、映画えいが館かんでの料金りょうきんも高たかくなっている中なかでも、3時じ間あいだもの長ちょう尺じゃくのシリアスな作品さくひんをこれだけ多おおくの人ひとが見みたというのは、すごいことだと思おもう。

　この作品さくひんには、今いまに続つづく世界せかいの不安ふあんや、「科学かがくの発達はったつ」を名目めいもくに米国べいこくが行おこなってきた、傲慢ごうまん（ごうまん）で人権じんけんを無視むしするような兵器へいき開発かいはつや、その負まけの遺産いさんへの絶望ぜつぼう感かんが強つよく漂ただよっている。

　作品さくひんは、「原爆げんばくが戦争せんそうを早はやく終おわらせた」という米国べいこく人じんの意識いしきは否定ひていしていない。けれど、登場とうじょう人物じんぶつの会話かいわやストーリーの流ながれから、「決けっして正義せいぎ感かんだけで作つくられたわけではない」という疑念ぎねんは米国べいこくの観客かんきゃくにも抱いだかせうる内容ないようになっている。米国べいこくの歴史れきしに対たいしてそれだけ批判ひはん的てきな作品さくひんなのに、そのことに対たいする反発はんぱつは大おおきくなることなく、多おおくの人ひとが冷静れいせいに受うけ止とめることができた。米国べいこくが世界せかいに対たいして行いってきた残虐ざんぎゃくな行為こういに対たいする視線しせんの変化へんかの表あらわれだと思おもう。

愛国心あいこくしんを持もつ人ひとがかつてほど多おおくない米国べいこく

　今いまの米国べいこくは、積極せっきょく的てきに愛国心あいこくしんを持もつ人ひとがかつてほど多おおくはない。

　米国べいこくは、世界中せかいじゅうに影響えいきょうを及およぼすほど無責任むせきにんな行動こうどうをとり続つづけた。トランプ氏しの支持しじ者しゃらは、「Make America Great Again（米国べいこくを再ふたたび偉大いだいに）」「アメリカファースト」というスローガンを掲かかげた。同時どうじに、右派うはが提示ていじする熱狂ねっきょう的てきな愛国心あいこくしんが、外国がいこく人じんの排除はいじょや移民いみん差別さべつ、黒人こくじん差別さべつ、LGBTQ差別さべつなどと結むすびついた。米国べいこくの植民しょくみん地ち支配しはいや奴隷どれい制度せいどなど、負まけの歴史れきしをなかったことにしたがる人にんたちの存在そんざいも、目めに見みえる形かたちで浮うき彫ぼりになった。それに気きづいた人ひとたちが増ふえたことで逆ぎゃくに、愛国心あいこくしんにネガティブな印象いんしょうを持もつ人ひとも増ふえ、米国べいこく旗きの掲揚けいようすら、特とくにマイノリティーの人ひとたちから見みれば差別さべつ主義しゅぎと同義どうぎのアイコンにもなっている。

　そのうえZ世代せだいは、景気けいきが良りょう…