バーガーノミクス

昨年さくねんの初はじめ、円えんドルレートは1ドル130円えん程度ていどであったが、その後ご、円えん高だか（ドル安やす）傾向けいこうが続つづき、現在げんざいは1ドル110円えんにまで増価ぞうかしている。そこで、今回こんかいはイギリスのエコノミスト誌しが作成さくせいしているビッグマック指数しすうとセントルイス連銀れんぎんが最近さいきん発表はっぴょうしたレポート（Burgernomics: A Big Mac Guide to Purchasing Power Parity, Review, 11月/12月号ごう）を参考さんこうに為替かわせレートについて考かんがえてみたい。

ビッグマック指数しすうは、1986年ねん以来いらい、毎年まいとし4月がつに発表はっぴょうされているが、その際さいには、多おおくの人々ひとびとの注目ちゅうもくを集あつめており、その信奉しんぽう者しゃも少すくなからずいるようだ。この人気にんきの背景はいけいのひとつには、わかり易やすさがあるようだ。この指数しすうの名前なまえの由来ゆらいは、ハンバーガーショップであるマクドナルドの商品しょうひん、ビッグマックである。ビッグマックの利点りてんは、商品しょうひんはもちろんだが、製造せいぞう工程こうていまでもが世界せかい120カ国かこくで統一とういつされている点てんである。（ただし、幾いくつかの例外れいがいがある。例たとえば、ヒンズひんずー教きょうでは牛うしは神聖しんせいなものとされているために、ヒンズー教徒きょうとの多おおいインドでは、牛肉ぎゅうにくの代かわり鶏肉とりにくが使つかわれている。）従したがって、一物いちもつ一価いっかだとすると、各国かっこくのビッグマックの値段ねだんを比くらべることで、ビッグマックを基準きじゅんにした購買こうばい力りょく平価へいか、つまり為替かわせレートを求もとめることができる。

ところで、どのくらい働はたらけば、ビッグマックを１ひとつ買かうことができるのだろうか？セントルイス連銀れんぎんのレポートでは、ビッグマック指数しすうの調査ちょうさ対象たいしょうとなっている国々くにぐにの時間じかん給きゅうからそれを計算けいさんしている。その結果けっかは、調査ちょうさ対象たいしょうの32カ国かこく中ちゅうで最もっとも時間じかんの少すくないのは日本にっぽんの10分ふんとなっている。日本にっぽんでは、10分ぶんの労働ろうどうでビッグマックがひとつ買かうことができるのだ。次つぎが米国べいこくの11分ふんで、以下いか、香港ほんこん、オーストラリア14分ふん、カナダ14分ふん、イギリス15分ふんと続つづいている。反対はんたいに、ビッグマックひとつを買かうために必要ひつような労働ろうどう時間じかんが最もっとも多おおいのはフィリピンの112分ふんである。次つぎがインドネシアの74分ふんで以下いか、コロンビア67分ふん、ベネゼイラ66分ふん、メキシコ65分ふんと続つづく。

さて、興味深きょうみぶかいのは、ビッグマック指数しすうからみた円えんの為替かわせレートであるが、今年ことし4月がつの調査ちょうさでは、1ドル96円えん68銭ぜにとなっている。現在げんざいの円えんドルレートは1ドル110円えん程度ていどであるから、円えんはドルに対たいして12％過少かしょう評価ひょうかされていることになる。また、中国ちゅうごくの人民元じんみんげに対たいするビッグマック指数しすうは、1人民元じんみんげん26円えん46銭ぜにとなっている。これに対たいして実際じっさいの為替かわせレートは1人民元じんみんげん13円えん程度ていどだから、円えんは人民元じんみんげに対たいして倍ばい近ちかく過大かだい評価ひょうかされていることになる。