利益りえき水準すいじゅんの拡大かくだいで上昇じょうしょう余地よち大おおきい香港ほんこん市場いちば

足元あしもとの香港ほんこん市場いちばは冴さえない展開てんかいが続つづいている。背景はいけいには、香港ほんこんでも金利きんり上昇じょうしょうが進すすんでいる点てんがある。事実じじつ、HIBOR(3カ月かげつ物ぶつ銀行ぎんこう間あいだ金利きんり)の水準すいじゅんは05年ねん年初ねんしょの0.3％程度ていどの水準すいじゅんから上昇じょうしょう基調きちょうに転てんじ、現時点げんじてんでは2％超ちょうの水準すいじゅんまで上昇じょうしょうしている。04年ねん末まつまで高たかまっていた人民元じんみんげ切きり上あげ期待きたいが急速きゅうそくに後退こうたいし、資金しきん流出りゅうしゅつを招まねいていることや米国べいこくでの金利きんり引ひき上あげ継続けいぞく観測かんそくが影響えいきょうしていると思おもわれる。米あめりかドルとのペッグ制せいを採用さいようする香港ほんこんドルは、資金しきん流出りゅうしゅつに伴ともなう香港ほんこんドルの変動へんどう(下落げらく)を防ふせぐために、HKMAによる為替かわせ市場いちばでの介入かいにゅう（今回こんかいのケースは米あめりかドル売うり、香港ほんこんドル買かい）を実施じっしし、香港ほんこんドルの価値かちを安定あんていさせようとする。香港ほんこんドル買かいのオペレーションがHIBORの上昇じょうしょうに拍車はくしゃをかけているようだ。

ただ、香港ほんこん市場いちばの代表だいひょう的てき指数しすうであるハンセン指数しすうとHIBORの長期ちょうき的てきな関係かんけいをみると、必かならずしも金利きんり上昇じょうしょう→株価かぶか下落げらくの関係かんけいは認みとめられない。確たしかに、通貨つうか危機きき当時とうじは急激きゅうげきな資金しきん流出りゅうしゅつに伴ともなって金利きんりが急騰きゅうとうした結果けっか、株価かぶかは暴落ぼうらくしたが、その他たの時期じきを見みるとむしろ金利きんりと株価かぶかは正せい相関そうかんの関係かんけいで動うごいているケースが多おおい。金利きんり低下ていか局面きょくめんは香港ほんこんドルに対たいする相対そうたい的てきな需要じゅよう低下ていか・景気けいき後退こうたい、金利きんり上昇じょうしょう局面きょくめんは需要じゅよう増加ぞうか・景気けいき拡大かくだい局面きょくめんと捉とらえられる傾向けいこうが強つよいからだろう。ましてや、現げん局面きょくめんは、日本にっぽん同様どうよう、デフレ進行しんこうに伴ともなう歴史れきし的てき低てい金利きんり状態じょうたいからの脱却だっきゃくが進すすみつつある状況じょうきょうで景況けいきょうは改善かいぜんしつつある。金利きんりが上昇じょうしょうしているとはいえ、過去かこの水準すいじゅんに比くらべると依然いぜんとして低てい水準すいじゅんでの推移すいいとなっている。人民元じんみんげ切きり上あげ時期じきは遠とおのいたとみられるものの、可能かのう性せいがゼロではない限かぎり香港ほんこん市場いちばから資金しきんが一斉いっせいに流出りゅうしゅつしていく事態じたいは想定そうていしがたく、今後こんご金利きんり上昇じょうしょうピッチは極きわめて緩ゆるやかなものになるとみられる。金利きんり上昇じょうしょうが継続けいぞく的てきな株価かぶか下落げらくにつながる公算こうさんは低ひくいだろう。

一方いっぽうで、利益りえき水準すいじゅんとの関係かんけいをみると、ハンセン指数しすうは12カ月かげつ先行せんこうEPSの水準すいじゅんの動うごきにほぼ追随ついずいした動うごきになっており、かなり高たかい相関そうかん性せいが窺うかがえる。そして現時点げんじてんで同どうEPSは上昇じょうしょう基調きちょうにあり、その水準すいじゅんも前回ぜんかいの不動産ふどうさん価格かかく上昇じょうしょう期きである97年央ねんおうの水準すいじゅんに比くらべるとまだ低ひくい水準すいじゅんにある。確たしかに利益りえきの伸のび率りつ自体じたいは05年ねんは04年ねんに比くらべると減速げんそくが予想よそうされるが、景気けいき拡大かくだいに伴ともない利益りえき水準すいじゅんは今後こんごも上昇じょうしょうが見込みこめることを考慮こうりょすると株価かぶかの上昇じょうしょう余地よちもまだ残のこされているといえそうだ。